がん患者には、身体の痛みや治療、生活への不安から心身ともに負担がかかります。負担が大きいと、痛みや将来の心配から眠れなくなったり無気力状態になってしまうこともあります。
そのため、がんの治療と並行して痛みの緩和やメンタルのサポートなどの緩和ケアがおこなわれます。
そこで、国立がん研究センターは、がん患者の人生の最終段階の療養について、遺族にアンケートを実施。この調査をもとに、患者の療養場所や医療に関する意思決定支援などの具体的な政策の提言につなげたいとしています。
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国立がん研究センターが、がん患者の遺族に対しておこなった調査の結果を公表しました。
この調査は、がん患者が人生の最期で利用した医療サービスや療養生活の実態を明らかにするため実施されたものです。
その結果、最期を療養する場所として、症状の重い患者はがん治療を中心におこなう病院を選択し、症状が比較的落ち着いており高齢な患者の場合は介護施設を選択していたことがわかりました。
さらに、死亡時の年齢が80代以上だったがん患者は約5割。多くの人が高齢になってから亡くなったことがわかっています。
また、遺族の約8割が「患者の苦痛に対して医療従事者はよく対応していた」と回答している一方で、「身体の苦痛が少なく過ごせた」と回答したのは約4割にとどまりました。
この結果から、緩和ケアの際、痛みへの基本的な対応はされているものの、それだけでは緩和されない症状がある場合やがん以外の症状が混在するなど複雑なケースがあることが判明。そのため、緩和ケアの効果が十分に得られなかった可能性があるそうです。
こうしたことを受けて、国立がん研究センターは「がん患者の苦痛緩和は改善の余地」があると指摘。医療従事者への緩和ケアへの教育と同時に、複雑な場面での診断方法や治療の難しい症状への新しい治療法の開発を検討する必要性を伝えています。
特にがん治療において、痛みの制御や精神的な支援などの緩和ケアが重視されています。
というのも、がん患者は痛みや倦怠感などの身体的な症状や、がんと診断されたことによる落ち込みや悲しみを経験するから。苦しみや無力感によって治療する気力をうばうこともあります。それを抑えて、自分らしい生活を送れるようにするのが緩和ケアの役割です。
今回の調査で、緩和ケアは完全に痛みを取ることもできる一方で、基本的な対応だけでは痛みを緩和しきれないこともあることがわかりました。多様なケースに対応できるように、治療や緩和ケアの選択肢が増えることに期待したいですね。
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