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筑波大学は、視線のパターンの変化によって認知症を検出・認識できるツールを開発したことを発表しました。今回開発した認知症を検出・認識できるツールでは、アルツハイマー型認知症とレビー小体型認知症の2つの認知症を検知できるそうです。 認知症特有の視線パターンをAIが学習 筑波大学は、アルツハイマー型認知症・レビー小体型認知症のどちらかの症状がある人と、そうでない人の、200枚の日常生活の写真を用いて視線のパターンを計測し、違いを解析。その結果、アルツハイマー型認知症・レビー小体型認知症のどちらかの症状がある人にしか見られない視線のパターンを発見しました。 筑波大学は今回の研究を踏まえて、研究で発見した認知症患者に見られる視線のパターンをAIに学習させ、アルツハイマー型認知症・レビー小体型認知症を高精度に検出・識別できるツールを開発したそうです。開発した認知症を検出・識別できるツールは、自由に画像を見るだけで認知症がわかるので、とても気軽に検査ができ、認知症の早期発見につながります。 また、重度の認知症の人や言語が違う人も利用できるので、認知症の検査の幅が広がる可能性が考えられます。 認知症は早期発見が大切 現在、一般的におこなわれている認知症の検査は主に以下です。 医師との面談 身体検査:血圧検査、血液検査、レントゲン、など 神経心理学検査:紙に絵を描く、口頭での質問、など 脳画像検査:CT、MRI、など 認知症は早期発見することが大切です。認知症の症状が早期の段階で発見できれば、治療やリハビリなどで認知症の進行を遅らせたり、改善することができるからです。しかし、認知症の検査に行くのを嫌がる人は少なくありません。家族や周囲の人が「認知症かも」と思い、検査に行くことを持ちかけても、本人には自覚がなかったり、強い不安感などから認知症の検査に強い抵抗を示すこともあります。 本人が認知症の検査を拒否している場合には、無理に連れて行かず、自宅へ訪問してくれる地域の専門家へ頼ったり、かかりつけの医師の協力を借りて本人の健康上の相談を行くついでに認知症の検査を持ちかけるのが良いでしょう。 昨今では認知症の検査もさまざまな方法があります。簡単にできるセルフチェックから始めるのも良いかもしれませんね。 参考:「視線パターンからAIで認知症の原因疾患を識別する診断支援ツールを開発」(筑波大学)
2024/05/17
東北大学大学院歯学研究科の研究で、たばこを吸う人は歯を失いやすく、また歯を失った場合には、たばこを吸わない歯の健康な人に比べて、認知症のリスクが高いことがわかりました。 この研究は65歳以上の高齢者3万2986人を対象に、2010~2019年の9年間に渡っておこなわれました。 喫煙者は歯を失い、認知症になるリスクが高い 東北大学大学院歯学研究科の研究グループは、まず、65歳以上の高齢者3万2986人に2010年時点と過去の喫煙状況を調査。その後、2019年までの間、喫煙状況の変化と歯の喪失、認知症の発生率の関係性を調査しました。 調査の結果、3万2986人のうち約400人が認知症を発症。喫煙状況と認知症の因果関係を調べたところ、たばこを吸わない人よりも、たばこを吸う人の方が認知症のリスクが1.18倍高いという結果が出ました。また、認知症を発症した約20%の人が、たばこを吸う習慣により歯を失い、その後に認知症を発症したことがわかりました。つまり、たばこを吸うことにより歯を失うと、認知症になるリスクが上がってしまうのです。 歯を失うことには、さまざまリスクが潜んでいる そもそも歯が少ない人は、認知症のリスクに限らず、さまざまな全身疾患のリスクが高くなることが多くの研究で知られています。高齢になると歯を失うリスクが高くなりますが、たばこを吸うことで、より歯を失うリスクを高めてしまうのです。 食事の際、噛むことで唾液が分泌され、病気に対する抵抗力を高めてくれます。歯がないと唾液の分泌が少なくなるので病気にかかりやすくなります。また、歯がないと滑舌が悪くなり喋りにくくなるので、人とのコミュニケーションを取るのが億劫になり孤立することもあります。つまり、歯を失うことは、食べ物が制限されるだけでなく、身体的にも精神的にもさまざまな影響があることがわかりますね。 歯を守るためには、毎日の歯磨きのケアだけでなく、口や顔の体操も効果があります。食事をよく噛んで食べることも歯の健康につながるので、普段から意識してみましょう。 参考:「喫煙による歯の喪失で認知症のリスクが上昇」(東北大学)
2024/05/10
愛媛県は2024年5月1日より、同県に住む認知症と診断された人を対象に「えひめ認知症希望大使」の募集を開始したそうです。 「えひめ認知症希望大使」とは、認知症になった人が県や市、町のイベントで自身の体験談や前向きな思いを語るなどの活動をおこなう大使のこと。認知症になった人が希望をもって生き生きと活動している姿をPRし、認知症についての理解を深めてもらうのが目的です。 認知症の人を県の大使へ任命 愛媛県は2022年度より「えひめ認知症希望大使」を立ち上げ、認知症になっても希望をもって暮らせる地域をつくる取り組みをおこなってきました。 同県在住の認知症の診断を受けた高齢者本人に「えひめ認知症希望大使」になってもらい、県や市、町のイベントで自分の体験談を話すなど、大使とともに認知症のPR活動をおこなうそうです。 「えひめ認知症希望大使」は郵送やメール、インターネットで応募を受け付け、選ばれた人は2年間、大使として認知症の普及啓発活動をおこないます。 同県は「認知症になっても希望をもって暮らせる地域づくりを進めていきたいので、積極的に応募してほしい」と呼びかけています。 認知症の人のサポートは地域全体で 認知症の人を地域で支える取り組みは、さまざまな自治体がおこなっています。例えば、厚生労働省は認知症高齢者などにやさしい地域づくりを目指し、全国の自治体で「認知症サポーター」の活動を呼びかけています。 厚生労働省は認知症サポーターに期待するポイントとして以下をあげています。 認知症に対して正しく理解し偏見をもたない 認知症の人や家族に対して温かい目で見守る 近隣の認知症の人や家族に対して自分なりにできる簡単なことから実践する 地域でできることを探し、相互扶助・協力・連携、ネットワークをつくる 街づくりを担う地域のリーダーとして活躍する 「認知症サポーター」は資格など必要ないので誰でもなることができます。認知症サポーターは認知症について正しく理解し、認知症本人や家族を温かく見守る支援者。何か特別なことは必要なく、自分のできる範囲で活動をすれば良いのです。 認知症サポーターの活動は各自治体でおこなっているので、自分の住んでいる地域のホームページを見てみましょう。認知症について知識に不安があれば認知症サポーター養成講座を受けてみるのも良いですね。 参考:「「えひめ認知症希望大使」を募集します!」(愛媛県) 参考:「認知症サポーター」(厚生労働省)
2024/05/02
長崎県諫早市有喜町は、認知症の高齢者が行方不明になった場合を想定しアプリを利用して捜索する訓練をおこないました。 同市は行方不明者を捜索できるアプリ「オレンジセーフティネット」を県内で初めて導入。アプリを利用すると、事前に登録した写真などを利用して対象者を捜索できるそうです。 認知症による行方不明者の捜索訓練 今回おこなった認知症による行方不明の高齢者を捜索する訓練は、諫早市有喜町の民生委員や社会福祉協議会、自治会などでつくるワーキンググループが主催したそうです。市や包括支援センター、公民館などが協力し、住民や関係者など110人が参加しました。 今回の訓練では、アプリに事前登録した捜索対象者の写真や、ほかの参加者の居場所をアプリで確認しながら捜索範囲を絞り込み、対象者を発見。その後、神社など普段人気がない場所に対象者がいることを想定して、対象者に声をかける訓練もおこなったそうです。 参加者は「アプリで写真などの情報を共有できるのは画期的。使い慣れるまで何度も訓練を続けたい」と訓練の感想を話していました。 高齢者を見つけたらまずは声掛けを 認知症の人が行方不明になる事件は、さまざまな地域が見守り、声掛けなどの取り組みをおこなっています。例えば、兵庫県西宮市は認知症の人への声のかけ方について、以下のポイントを紹介しています。 後ろから突然声をかけない 正面から「こんにちは」など普通の挨拶で声をかける 焦らず、余裕をもって対応する 認知症の人に声をかけるときは1人で声をかける 相手に目線を合わせやさしい口調で話しかける 穏やかにはっきりした話し方で話す 相手の言葉に耳を傾けてゆっくり対応する 不自然な様子がある高齢者を心配して助けよう思いと声をかけたとしても、高齢者にとっては、突然何人かの複数人に怖い声で話しかけられ、「警察に連絡する」などと言われると驚いて怖くなってしまいますね。まずは優しく声をかけることが望ましいです。 また、日頃からあいさつなどをして地域全体で信頼関係を築いておくのも大切です。 認知症の高齢者との接し方や見守り活動など、自分の住んでいる地域ではどんな活動がおこなわれているのか、ホームページで調べてみるのも良いですね。 参考:「認知症の人との接し方について(あったか見守り声かけ講座)」(西宮市)
2024/04/16
八王子市が取り組む「練り歩き隊」の活動が、NHK厚生文化事業団による「第7回認知症とともに生きるまち大賞」を受賞したそうです。 「認知症とともに生きるまち大賞」とは、認知症になっても安心して暮らせる街づくりの取り組みを表彰するもの。今回受賞した「練り歩き隊」は、八王子市内に住む認知症当事者が地域を回り、認知症の人が利用しづらいと感じた点を指摘する活動をしています。 認知症の人が「利用しづらい」を指摘 「練り歩き隊」は、八王子市内に住む認知症当事者と、認知症当事者をサポートするデイサービス事業者、高齢者あんしん相談センターの認知症地域支援推進員、行政、企業や学生ボランティアなどが所属しています。 練り歩き隊の活動内容は、練り歩き隊のメンバーである認知症当事者と認知症当事者をサポートをするメンバーが、地域の図書館やスーパー内を歩いて案内表示など施設を利用するうえで「認知症の人が利用しづらい」と感じた点などを指摘する活動をしています。 また、施設側は、指摘された内容を参考に認知症の人が利用しやすい環境や利便性を向上するのに役立てています。 認知症の人が「利用しづらい」環境とは 認知症の人にはどういった環境が「利用しづらい」と感じるのでしょうか。株式会社ソーシャルデザインネットワークスがおこなった調査では、一般的にはわかりやすい記号が認知症の人にはわかりにくい場合があることがわかりました。 例えば、男女が立って並んでいるトイレのマーク。認知症の人が見る場合には「人が2人立っているマーク」「男と女のマーク」など、「トイレのマーク」と認識できていない人が半数以上いました。 一方、人が便座に座っており、背景が青い色のマークは「男性トイレ」、女性のシルエットで背景が赤い色のマークには「女性トイレ」と正しく認識している人が多いそうです。この結果から、認知症の人には絵柄の内容ではなく、色で伝える方が認識しやすいということがわかりました。 認知症の人が「わかりにくい」「利用しづらい」と思うものがどんなものなのかは、認知症の当事者でないとわからないことが多いです。練り歩き隊のように、認知症の人の声を聞きながら、認知症の人が生活しやすい環境を整える活動が広がると良いですね。 参考:「認知症の人にも優しい記号の調査」
2024/03/19
「CLIMAX クライマックス」などで知られるアルゼンチンの映画監督ギャスパー・ノエ氏が今回、認知症をテーマにした最新作「VOLTEX ヴォルテックス」を製作しました。日本では12月8日より全国の映画館で公開予定だといいます。 「病」と「死」をテーマにした最新作がリリース アルゼンチンの映画監督ギャスパー・ノエ氏が創り上げた、「病」と「死」をテーマにした最新作「VOLTEX ヴォルテックス」が、2023年12月8日より全国の映画館で公開されることが明らかになりました。 主演は、「サスペリア」などさまざまなホラー映画を世に送り出してきた巨匠、ダリオ・アルジェントで、心臓病を患い、余命いくばくもない夫を演じます。 また、フランソワーズ・ルブランが演じる妻も認知症を患っていて、残り少ない命。「VOLTEX ヴォルテックス」では、画面を二つに分割するスプリットスクリーンによって、老夫婦の「人生最期の日々」がそれぞれの視点から描かれていきます。 さらに、病や不測の出来事、家族との不和が老夫婦二人を襲い、やがて死んでいくといいます。 死までの過程を冷徹に描く 二人は元々、仲むつまじい老夫婦でした。しかし、妻の認知症が進行してからは一転、意思疎通すら難しくなり、息子ともあまりうまくいっていないようなシーンが映し出されます。 多くの映画では、死にゆく命だったとしても、支えてくれる家族や友人がいるなど希望が持てるシーンが描写されることもありますが、「VOLTEX ヴォルテックス」はそんなわずかな「救い」すらなく、老夫婦がそれぞれ歩む死までの道のりが淡々と描かれていきます。 このたび、「VOLTEX ヴォルテックス」の場面写真と30秒の予告編が解禁されました。ベッドの上で心臓発作を起こし苦しむ夫の横にいながら、認知症の妻は「うるさい」とばかりに布団をかぶるだけ…。二人の人生は、どのような結末を迎えるのでしょうか?
2023/11/16
新たな研究で、南アジア人は白人や黒人に比べて認知症の発症リスクが高い可能性が示されました。この研究はカレッジ・ロンドン大学によっておこなわれ、その研究結果はPLos Oneという科学誌に掲載されています。 80万人以上の高齢者を対象に調査を実施 今回、研究グループはイギリスの大規模医療データに登録された人のうち、86万5674人の65歳以上の高齢者を対象に調査をおこないました。 具体的には、高血圧や肥満、糖尿病、睡眠障害、血中濃度が低い方が認知症のリスクが高まるとされるHLDコレステロールの値といった、危険因子が認知症の発症リスクがどの程度影響を及ぼすのかについて、白人・黒人・南アジア人と人種ごとに調査を実施したといいます。 また追跡期間中に、対象者のうち14万9228人が認知症を発症したことが明らかになりました。 南アジア人はほかの人種よりも認知症リスクが高い 研究グループが白人・黒人・南アジア人と各人種ごとに認知症の発症リスクを統計的に解析した結果、南アジア人はほかの人種よりも高血圧や肥満、HLD低値、睡眠障害が白人よりも大きな認知症の発症リスクにつながる可能性が示されました。 また、黒人は高血圧が白人よりも認知症の発症リスクにつながることがわかりました。 以上の結果を受けて、今回の研究をリードしたカレッジ・ロンドン大学のナーヒード・ムカダム氏は「大規模サンプルを用いて、危険因子が認知症の発症に及ぼす影響を人種ごとに比較検証した研究は今回が初めてだ。今後は南アジア人や黒人などの民族マイノリティーにターゲットを絞った認知症予防の取り組みが必要になるだろう」と指摘しています。 今回の研究はイギリス国内の状況を調べたものであるため、日本人にも同じ仮説が当てはまるかはわかりません。 しかし、高血圧や肥満、睡眠障害などの生活習慣病が認知症につながることは多くの研究で明らかになっているのは事実。日々を健康に過ごすためにも、毎日の生活習慣を見直していきたいですね。 参考:「南アジア人、黒人と白人の民族性と認知症に対する潜在的に修正可能な危険因子の影響:英国の電子医療記録に関する研究」
2023/11/14
新たな研究で、豆乳を飲んでいる人は、豆乳・牛乳などのミルクを飲まない人に比べて、認知症の発症リスクが低くなる可能性が示されました。 この研究は中国の中山大学によっておこなわれ、その研究結果は「Clinical Nutrition」という栄養学の専門誌に掲載されています。 30万人以上の医療データを解析 今回、研究グループは、イギリスの大規模データベース「英国バイオバンク」に登録されている、30万7231人(平均56.3歳)を対象に調査を実施。調査前に「ミルクを飲む習慣があるかどうか」や「牛乳や豆乳など、どのような種類のミルクを飲むか」といった質問をおこない、その後追跡して調べました。 追跡期間は中央値で12.3年。その間に認知症を発症した人は3789人でした。 豆乳を飲むと認知症リスクが下がる 研究グループが統計的に解析をおこなった結果、豆乳を飲む人は豆乳や牛乳を含むミルクを飲まない人に比べて、認知症の発症リスクが31%低下したことが判明。また、豆乳ではなく、牛乳を飲む人と比べても、認知症リスクが24%下がったことが明らかになりました。 研究グループは、「豆乳の摂取量や摂取頻度によって、認知症リスクがどのように変わるかについては、さらなる調査が必要である」としています。 日本豆乳協会によると、豆乳の原料である大豆には、がんや骨粗鬆症を予防するとされるイソフラボン、動脈硬化を抑制するとされる大豆たんぱく、肥満予防に効果的だとされるサポニンなどさまざまな栄養が含まれているそうです。 豆乳は単に飲むだけでなく、豆乳鍋やパンケーキなど幅広い料理に使えるのが特徴。日々の食事に豆乳を活用してみてはいかがでしょうか。 参考:「各種ミルクの中でも豆乳の摂取が認知症リスク低下と関連」(CareNet) 参考:「豆乳の栄養成分」(日本豆乳協会)
2023/10/19
東京都八王子市で、認知症当事者が店長と調理長を務めるレストランがオープンしました。発生した収益は材料費やスタッフの謝礼に使われ、今後、月2回ほど店を開くといいます。 認知症当事者がレストランをオープン 認知症当事者である男性2人が店長と調理長を務めるレストランが、東京都八王子市でオープン。ポークカレーとキーマカレー、合わせて50食を訪れた一般客に提供しました。 2人は、認知症になる前は飲食店を営んだりファミリーレストランの店長をしていたりしたといいます。現在は2人とも市内にあるデイサービスに通っており、そこで「もう一度お客さんの前に立ちたい」という思いを打ち明けたそうです。 2人の思いを聞き入れたデイサービスの事業者は、市内のシェアキッチンを借り、店舗の準備をスタート。一定の準備期間を経て今回の実施にこぎつけたといいます。 店長と調理長という大役を担った男性2人は、「調理場に立つと昔のことを思い出して懐かしくなる」「また店に立てて良かった。帰るときに『おいしかった』と言ってもらえるとうれしい」と話しているそうです。 料理をすることが認知機能の改善にも 最近の研究で、料理をすることがさまざまな心身機能の改善につながる可能性が示されています。 京都教育大学の湯川夏子氏は、各地の高齢者施設などでおこなわれている「料理療法」を「料理活動を介して、心身の障害の機能回復や情緒の安定、豊かな人間関係の構築と生活の質の向上を目指すもの」と定義。料理がもたらす効果を、自身の論文で示しました。 また、アメリカの研究で、調理が認知症の症状の改善にもつながることが示唆されています。具体的には、メニューを考える、複数の作業を平行しておこなう、冷蔵庫にある食材を思い出すなどの調理にまつわる一連の行為が、認知症やその前段階である軽度認知障害において特に低下しやすい種類の認知機能を刺激するそうです。 料理をすることは、「自分にも美味しい料理が作れる」「みんなの役に立てた」という自尊心の回復にもつながります。今回紹介したような取り組みがさまざまな場所で広がっていけば、認知症になってもより豊かに生きられる社会になりそうですね。 参考:「料理療法 ─調理による認知症ケアと予防の効果─」(日本調理科学会)
2023/10/12
東京海上日動火災保険株式会社と製薬大手のエーザイ株式会社は、認知症の早期発見や早期治療を支援する「認知症治療支援保険」を共同で開発したことを明らかにしました。エーザイが開発した認知症治療薬「レカネマブ」とともに活用してもらうことで、認知症の早期治療につなげるねらいがあるといいます。 「認知症治療支援保険」で認知症治療をサポート 東京海上日動とエーザイは、認知症の発見や治療を支援する「認知症治療支援保険」を開発したと発表しました。 エーザイが開発した認知症治療薬「レカネマブ」を処方してもらうためには、脳内に異常な物質が蓄積しているかどうかを確認する「PET検査」などを受ける必要があります。 しかし、こうした検査には一定の自己負担を要することも事実。そこで、認知症治療支援保険にあらかじめ加入しておけば、検査で軽度認知障害や認知症であると診断された段階で検査の費用等に充てられる一時金が支給されるそうです。 また、アルツハイマー病による軽度認知障害またはアルツハイマー型認知症だと診断された場合は、認知症治療薬による治療費用等に充てられる一時金も支給されるといいます。 加入者に認知機能を測定するツール「のうKNOW」を提供 さらに付帯サービスとして、認知症治療支援保険の加入者に「のうKNOW」という認知機能の測定ツールを提供することも明らかにしました。 この「のうKNOW」とは、どのようなツールなのでしょうか? のうKNOWとは、エーザイが開発した、パソコンやスマートフォンなどのデバイスから脳の健康度を測定するデジタルツールのこと。トランプカードを使ったゲーム感覚でできる4つのテストを受けることで、「記憶する」「判断する」「考える」などのパフォーマンスを自分で確認できるといいます。 担当者は「認知症との共生社会実現に向けて、さまざまな企業や団体と連携し、ネットワークを拡大していくことで、社会課題の解決につながる取り組みを進めていく」としています。 新たな認知症治療薬「レカネマブ」は、薬の価格が高額なことがネックでした。今回の取り組みが広まっていけば、経済的な負担を気にせず、治療に専念できるようになるかもしれませんね。 参考:「『のうKNOW』公式サイト」
2023/10/11
介護施設への入居について、地域に特化した専門相談員が電話・WEB・対面などさまざまな方法でアドバイス。東証プライム上場の鎌倉新書の100%子会社である株式会社エイジプラスが運営する信頼のサービスです。