医療的なケアが必要な母の入居先を探しています。特養では受け入れが難しいと断られてしまいました

医療的なケアが必要な母の入居先を探しています。特養では受け入れが難しいと断られてしまいました

更新日 2024/03/18
胃ろうの母が入居する介護施設を探しています。特別養護老人ホームや有料老人ホームも検討したのですが、胃ろうの対応ができなかったり料金が高すぎたりして入れる施設がありません。胃ろうのケアができる施設はあるでしょうか?
(谷口さん・会社員・61歳)

公的な介護施設の中でも医療体制が充実している「介護医療院」はどうでしょうか?医師や看護師が常駐しているので医療ケアができますし、公的施設なので有料老人ホームよりも比較的安く入居できますよ。

介護医療院の特徴と対応できる医療ケア

胃ろうの母の介護施設を探しています。先日、体調を崩したために入院しており、退院後は施設に入れようと思っているんです。なので、特別養護老人ホームや有料老人ホームを検討してみたのですが…どこも胃ろうの受け入れが難しかったり、料金が高かったりで入れるところがなくて…。

そうなんですね…。うーん、でしたら、介護医療院はどうでしょうか?

介護医療院ですか?聞いたことないです。

介護医療院というのは、介護サービスと充実した医療ケアを両立した公的施設です。病院よりも「生活」という点に注目しており、イベントやレクリエーションなどもおこなっているのも特徴です。

へぇ、今、母は病院ではほとんどベッドの上で過ごしていて退屈そうなので、そうしたイベントをしてくれると助かりますね。

ただ、介護度が「要介護1」以上で、医療的なケアが必要なことが入居の条件です。介護と医療が必要な人向けの施設なので、身体状況が重度の人が多い傾向にあります。

対応できる医療ケアは

医療的なケアというと、どんなことを対応してもらえるんでしょうか?母は、胃ろうの処置の他に、たんの吸引も必要なのですが…。

看護師が常勤しているので、胃ろうもたん吸引も対応できますよ。他にもインスリン注射や点滴、在宅酸素などの人も入居ができますし、看取りやターミナルケアもおこなっています。

特に介護医療院には、医師が必ずいますから診察や健康管理、薬の処方もできるんです。

そうなんですね!お医者さんがいてくれるなら、何かあったときでもすぐみてもらえそうですね。

特別養護老人ホームや介護老人保健施設とは何が違う?

入居にはならなかったんですが、先日、特養の見学に行きました。介護医療院とは何が違うんでしょうか?

特養と大きく違うのは、医療ケアの充実度ですね。特養には医師の配置が業務付けられていないので、医師がいないところも多いです。なので、特養では提携医療機関の医師が月に数回、訪問診療をする形にしているのが一般的ですね。

また、特養はより介護サービスに重点を置いている施設なので、入居時に要介護3以上の介護度であることが入居条件です。介護医療院よりも入居条件の介護度が高いんですね。

なるほど…。特養にはお医者さんがいないんですね。

そういえば、老健っていうのもありますよね?ケアマネジャーさんから聞いたことがあるような気がするのですが…。

老健、つまり介護老人保健施設は基本的にリハビリ目的の施設です。リハビリをして在宅復帰するのを目指す施設なので、だいたい3~6ヵ月で退去するケースが多いですね。

対して、介護医療院は長期療養が目的の施設。老健は、リハビリによって改善したときに退去する必要があるので、長期的な入居を前提としている場合は介護医療院の方が向いていますね。

介護医療院の費用はどれくらいかかる?

介護医療院の特徴がよくわかったので具体的に検討したいのですが、入居にはどれくらいの費用がかかるのでしょうか?

介護医療院にはいくつかの種類に分けられており、その種類や介護度によって費用が異なります。まずは、おおまかに介護医療院の種類についてお話ししますね。

はじめに、介護医療院は「Ⅰ型」と「Ⅱ型」の2種類があります。Ⅰ型は、要介護度が比較的重度の人を対象としている施設です。さらに、Ⅰ型の中でも医療体制などによって「強化型A」「強化型B」に分けられています。

なんだかややこしいんですね。

そうなんですよ。強化型Aの方が医療的処置が必要だったりターミナルケアの人が多いのが大きな違いですかね。つまり、強化型Aがもっとも医療依存度が高い人も受け入れられる施設、と言えます。

対して、Ⅱ型はリハビリなどをおこなって自宅復帰をサポートする施設。そういった意味では、老健と似たような扱いです。

このように、介護医療院には複数の種類があり、それぞれに料金の設定がされています。次の表は、それぞれのタイプの介護サービス費です。

<Ⅰ型 サービス費(Ⅰ)療養機能強化型A相当/看護6:1 介護4:1>
1日あたりの
施設サービス費
1ヵ月の
施設サービス費
要介護1803円24,090円
要介護2911円27,330円
要介護31,144円34,320円
要介護41,243円37,290円
要介護51,332円39,960円

出典:「介護療養病床・介護医療院の これまでの経緯」(厚生労働省)

<Ⅰ型 サービス費(Ⅱ)療養機能強化型B相当/看護6:1 介護4:1>
1日あたりの
施設サービス費
1ヵ月の
施設サービス費
要介護1791円23,730円
要介護2898円26,940円
要介護31,127円33,810円
要介護41,224円36,720円
要介護51,312円39,360円

出典:「介護療養病床・介護医療院の これまでの経緯」(厚生労働省)

<Ⅰ型 サービス費(Ⅲ)療養機能強化型B相当/看護6:1 介護5:1>
1日あたりの
施設サービス費
1ヵ月の
施設サービス費
要介護1775円23,250円
要介護2882円26,460円
要介護31,111円33,330円
要介護41,208円36,240円
要介護51,296円36,880円

出典:「介護療養病床・介護医療院の これまでの経緯」(厚生労働省)

<Ⅱ型 サービス費(Ⅰ)転換老健相当/看護6:1 介護4:1>
1日あたりの
施設サービス費
1ヵ月の
施設サービス費
要介護1758円22,740円
要介護2852円25,560円
要介護31,056円31,680円
要介護41,143円34,290円
要介護51,221円36,630円

出典:「介護療養病床・介護医療院の これまでの経緯」(厚生労働省)

<Ⅱ型 サービス費(Ⅱ)転換老健相当/看護6:1 介護5:1>
1日あたりの
施設サービス費
1ヵ月の
施設サービス費
要介護1742円22,260円
要介護2836円25,080円
要介護31,040円31,200円
要介護41,127円33,810円
要介護51,205円36,150円

出典:「介護療養病床・介護医療院の これまでの経緯」(厚生労働省)

<Ⅱ型 サービス費(Ⅲ)転換老健相当/看護6:1 介護6:1>
1日あたりの
施設サービス費
1ヵ月の
施設サービス費
要介護1731円21,930円
要介護2825円24,750円
要介護31,029円30,870円
要介護41,116円33,480円
要介護51,194円35,820円

出典:「介護療養病床・介護医療院の これまでの経緯」(厚生労働省)

ただ、介護サービス費は入居する人の所得や施設の形態、居室の種類、職員の人数などによって変わります。この金額よりも高くなる可能性があるので事前に確認してくださいね。

また、月にかかるお金は、これだけでなく「居住費」「食費」「日常生活費」といったものも追加されます。これも所得によって変動があったり、その人その人で金額が変わってきますが、約10~20万円程度が目安です。

やっぱりこれもわかりにくいなあ…。

そうなんですよね…。なので、介護医療院を探す場合は、入院先のソーシャルワーカーさんや担当のケアマネジャーさんに相談してみてください。費用面はもちろん、医療体制についても確認できますよ。

  • 介護医療院は介護・医療サービスの両方を提供している公的施設
  • 医師・看護師が常駐しているので医療体制が充実
  • 「Ⅰ型」は重度の要介護者向け、「Ⅱ型」は在宅復帰を目指してリハビリができる
  • 1ヵ月の利用料は約10~20万円程が目安

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