老人ホームでは、専門家によるリハビリや一般の介護職員さんによる「生活リハビリ」をおこなっています。具体的には、立ち上がりや歩行などの基本的な動作や、着替えや工作などの指先を使う細かい動作をできるようにするリハビリ、日常生活の中でできるリハビリをおこないます。
専門家によって提供するリハビリ内容が変わりますので、希望のリハビリ内容を担当する専門家が常駐している老人ホームを探すと希望とのズレが少なくなるでしょう。
先日、母が大腿骨骨折で入院してしまい、ほとんど歩けなくなってしまいました。今はリハビリ病院でリハビリをして多少は歩けるようになったものの、長距離を歩くのは難しい状況です。
もうすぐ退院しないといけないので退院後の老人ホームを探しています。できれば継続してリハビリができる施設が良いのですが、老人ホームではどんな内容のリハビリができるのでしょうか?
老人ホームでおこなっているリハビリは、多岐にわたります。特に老人ホームでのリハビリは常駐している専門家によって内容が大きく異なります。
どういうことですか?
リハビリの専門家は、主に以下の3つの職種があります。ひとくちに”リハビリ”と言っても、身体の部位や動作の特徴によって必要なリハビリが異なるんです。
そのため、動作の特徴に合わせてそれぞれの分野のプロが専門的にリハビリを学び、提供しているわけですね。
あ、「理学療法士」というのは聞いたことがあります。今、母のリハビリを担当していただいている人が理学療法士さんだったと思います。
そうなんですね!理学療法士さんは、「立つ」「歩く」「起き上がる」「寝返りをうつ」などの基本的な動作を維持・回復することを目指したリハビリをおこなう専門家なんです。
具体的には、歩行訓練や体操をして身体機能の回復を目指したり、関節の動き方を良くするサポートをおこないます。まさに「歩けるようになりたい」というお母様の希望に合うリハビリの専門家が理学療法士さんですね。
本当にそうですね。母も歩行訓練で歩ける距離が伸びる度にうれしそうに話してくれます。
ちなみに、専用のリハビリ器具や運動マシンを導入している施設では、軽い負荷をかけて筋力トレーニングのようなこともしています。
もちろん、運動マシンを使うのが難しい身体状況の人には使いません。お一人おひとりの状態に合わせてリハビリプログラムを組んでいますから、そこは安心してください。
それはよかったです。母はまだほとんど歩けないのに、筋トレをさせられたらどうしようかと思いました。
その次の「作業療法士」は、より細かな作業が必要な日常動作の維持・回復を目的としたリハビリをおこないます。「より細かな作業が必要な日常動作」というのは、例えば着替えや食事、洗濯などです。
こうした動作は、私たちは何気なくおこなっていますが、意外と細かな指の動きを必要とします。なので、指先を細かく動かさないとできない手芸や工作、将棋などの趣味活動を通して指先の動きの回復を目指すこともあります。
確かに、手芸や将棋って細かい作業が多いから、指先のリハビリになりそうです。
最後の「言語聴覚士」は、話したり食べたりなどの言葉や口に関わる動作のリハビリの専門家。脳梗塞で言葉が出にくくなった人が会話するためのリハビリや、加齢によって飲み込む力が落ちた人の嚥下(えんげ)機能の回復を目指すリハビリをおこなっています。
こうやって聞くと、専門家によってまったくリハビリ内容が異なるんですね!リハビリといえば脚や手が動くように回復させるイメージがあったので驚きました。
おっしゃる通り、リハビリ内容が専門家によってまったく異なるので、施設探しをするにはどの専門家がどんなリハビリをおこなうのかを把握しておくことが大切ですね。
ちなみに、専門家だけではなくて一般の介護職員さんでもできるリハビリもあるんですよ。
そうなんですか?それは、専門家のリハビリと内容が違うんですか?
はい、少し異なります。介護職員さんが提供するリハビリのことを「生活リハビリ」と言います。”普段の生活の中の動作すべてがリハビリ”と考え、食事や排泄、入浴、着替えなどの日常動作をできる範囲でご本人でしてもらいます。
専門家によるリハビリは、特別にリハビリの時間を設けて訓練をすることが多いですが、生活リハビリはリハビリの時間を設けないことがほとんど。介護職員さんが最低限の介助だけにすることで、できるだけご本人の力で生活するのがリハビリにつながるんです。
老人ホームでできるリハビリの内容は理解できました。でも、リハビリができる老人ホームを探すにはどうしたら良いでしょうか?
まずは、希望のリハビリ内容を提供する専門家を把握しましょう。お母様の場合、理学療法士さんによるリハビリを希望でよろしいですか?
はい。引き続き歩行訓練をしてもらいたいので。
でしたら、理学療法士さんが常駐している施設を探すのが良いと思いますよ。
「歩行なら理学療法士」「細かい作業なら作業療法士」「嚥下なら言語聴覚士」というように、回復したい身体機能に合った専門家が常駐している施設を探しましょう。すると入居後に「こんなはずじゃなかった…」となるのを避けられるでしょう。
わかりました。母の場合は、理学療法士さんのいる老人ホームを探してみます。
また、リハビリの専門家が常駐していない施設でも生活リハビリや介護予防体操などをおこなっている場合があります。
これらは、身体機能の回復というより維持を目的としているもの。そのため、「歩行機能を回復したい」というお母様には向いていないかもしれませんが、介護予防目的であれば生活リハビリや介護予防体操でも問題ないでしょう。
リハビリの専門家が常駐している施設は数が限られてしまうので、「積極的にリハビリをしたい」という場合でなければ、生活リハビリや介護予防体操などに取り組んでいる施設を選ぶのもアリですよ。
うーん、なるほど…。でも、やはり母は「もっと歩けるようになりたい」と考えているようなので、理学療法士さんにしっかりリハビリしてもらえる介護施設を探したいと思います。
ちなみに、リハビリの専門家が常駐していない施設でも、専門家によるリハビリを受ける方法があります。
え、そうなんですか!どんな方法ですか?
それは、「訪問リハビリ」を利用する方法です。訪問リハビリとはリハビリの専門家を自宅に呼んで、一対一の個別リハビリをしてもらえる介護サービスです。施設に入居している場合は、施設の居室に訪問してもらいます。
ただ、これは在宅介護サービスを併用できる「住宅型有料老人ホーム」「サービス付き高齢者向け住宅」に入居した場合にのみできる方法です。「介護付き有料老人ホーム」ではできない方法ですので、そこは注意してくださいね。
介護付き有料老人ホームでは、訪問リハビリを利用できないんですね…。何だかややこしいですが、頭に入れておきます。
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