上乗せ介護費とは、介護保険で決められている以上のスタッフを配置しているときに発生する追加費用のことです。主に人件費に充てられており、介護保険外なので全額がご入居者の負担となります。
上乗せ介護費は毎月数万円の負担が発生します。そのため、費用を抑えつつ、介護保険外のサービスを利用したい場合は、オプションサービスを利用するのが良いでしょう。オプションサービスは利用時間や回数に応じた都度払いのため、上乗せ介護費が設定されている施設よりも費用負担が抑えられると思いますよ。
実家で一人暮らしをしている母の介護をしています。母は認知症が悪化して、料理や掃除といった家事ができなくなってきてしまっています。そのため、私が週3回ほど通って家のことをしているのですが…。私がいない間に何か起こったらどうしよう、と不安な気持ちでいっぱいです。
なので、老人ホームに入れようと思って施設探しをしています。実家の近くに気になる施設があったので資料を取り寄せたところ、料金表に「上乗せ介護費」という記載がありました。上乗せ介護費とは何のための費用なのでしょうか?
上乗せ介護費というのは、介護保険法で決められている以上の人員配置をしている場合に発生する追加料金のことです。
介護保険法では、「要介護者3名に対して介護スタッフ・看護師が1名」以上の比率で人員を配置しなければならないと定められています。上乗せ介護費は、この比率以上の人員体制であるときに発生するものです。
人員配置というのは、何を見ればわかるんですか?
施設の資料などの職員体制の欄に記載があると思います。職員体制の項目に「3:1」「2.5:1」という記載がありませんか?
えーっと…。そうですね。「2:1」と書いてあります。
となると、「要介護者2名に対して介護スタッフ・看護師が1名」の比率で配置されていることになりますので、かなり手厚い人員配置をしているようですね!
なるほど、そういうことなんですね!
上乗せ介護費は、介護保険が適用されない費用です。そのため、全額がご入居者の負担。各施設で決められる料金なので、金額は施設ごとに大きく異なります。
また、ちなみに上乗せ介護費は「特定施設入居者生活介護」に認定されている施設のみ設定できる費用です。それ以外の施設では発生しません。
特定施設は、厚生労働省の定めた基準を満たす施設で受けられる介護保険サービスです。特定施設ではケアマネジャーが作成したケアプランに基づき提供される食事や入浴・排泄など介助のほか、生活支援、機能回復のためのリハビリなどもおこなわれます。
特定施設として認定を受けている施設は以下の種類です。
ほとんどの施設で、上乗せ介護費は家賃などと同様に毎月支払う料金体系になっています。
料金表に「介護サービス費」というものもありますが、それとは別の費用なんですね。
はい、そうなんです。
介護サービス費は、介護保険が適用される介護サービスの費用のこと。つまり、「3:1」に収まる費用ですね。上乗せ介護費はそれ以上の人員を配置して、基準以上のサービスを提供するための費用ですので、介護サービス費とは別に発生します。
上乗せ介護費がスタッフさんの人件費ということはわかりました。ただ、上乗せ介護費として追加でお金がかかる以上、上乗せ介護費がかからない施設と違いがあるということですよね?
そうですね。上乗せ介護費が発生するような手厚い人員体制の施設では、通常の人員配置だと難しい”プラスアルファ”のケアをおこなっていたり、レクリエーションやイベントが充実している傾向があります。
「”プラスアルファ”のケア」ってどんなものですか?
具体的には、週に1度、スタッフがお客様のお話を一対一で聞く時間を設けたり、リハビリの時間以外でもスタッフが付き添って歩行訓練をしたり…。そのほか、「天気が良いから」と、空いた時間で近隣のお散歩に出かけることもあります。こうした対応は、人員に余裕があるからできることだと思います。
もちろん、どのようなケアをしているかは施設ごとの運営方針によって大きく異なるので、一概には言えません。あくまで、”プラスアルファ”のケアをしてもらえる傾向がある、と考えておいてくださいね。
人員体制が手厚い施設は、通常の施設よりも充実したケアをしてくれる一方で、何万円もの追加費用が毎月発生します。そのため、予算的に厳しい場合は上乗せ介護費が発生する施設を選べない場合もあるでしょう。
そこで、オプションサービスを活用することで、必要なケアを賄えることもあります。
オプションサービスとは何ですか?
例えば、オプションサービスには以下のようなものがあります。
これらのサービスは、1時間ごとや回数ごとに料金が発生します。そのため、例えば「月2回の通院の同行だけはしてほしい」という場合には、その回数分だけ支払えば良いわけです。
つまり、何万円の上乗せ介護費を毎月支払うよりも費用を抑えられるというわけですね。
おっしゃる通りです。ただし、注意していただきたいのが、基準以上の人員配置の施設でも、上乗せ介護費に上記のオプションサービス費が含まれているとは限らないことです。
つまり、上乗せ介護費がある施設でもオプションサービスとして費用が追加発生することがあります。「介護保険外のサービスはすべて上乗せ介護費に含まれている」と考えてしまうと、想定していない出費が発生することがあります。
上乗せ介護費にどこまでの費用が含まれているかは施設によって異なるので、事前に確認が必要です。複数の施設の資料を取り寄せたり見学に行ってみたりして、必要なサービスが提供してもらえるか、追加費用が発生するのかを比較するのがおすすめです。
介護施設への入居について、地域に特化した専門相談員が電話・WEB・対面などさまざまな方法でアドバイス。東証プライム上場の鎌倉新書の100%子会社である株式会社エイジプラスが運営する信頼のサービスです。