認知症の進行は人それぞれなので一概には言えませんが、症状が急に進むことはありえます。特に血管性認知症の場合、脳の血管の損傷部分が広がったタイミングで進行するので、「急に症状が進んだ」と感じることがあります。
また、失敗を責められたり環境の変化などでストレスがかかることで認知症が進行することもあります。
認知症の進行を抑制するには、規則正しい生活や人との交流を持つ機会を作ることが大切。認知症だからと言ってこもりきりにならないように気をつけましょう。
Contents
最近、父の認知症が急に進んでしまったような気がして心配です。以前は物忘れはあるものの、着替えやトイレといった身の回りのことは自分でできていました。ですが、この数週間、服の着方がわからないのか、ボタンをちぐはぐにかけていたり洋服が乱れていることが増えました。それに、この間はトイレの場所がわからなくなって廊下でおもらししてしまったんです!
今までこんなことありませんでした。この数週間で一気に認知症が進んでしまったのでしょうか?そもそも、そんなことはありえるんでしょうか?
認知症の進行は個人差が大きいので一概には言えませんが、症状が一気に進むことはありえます。例えば、以下のようなことが原因で症状が進んでしまうことがあるんです
認知症のなかでも脳血管性認知症の場合、症状が段階的に進行するため、「一気に認知症が進んだ」と感じることがあります。
というのも、脳血管性認知症は脳血管の損傷によって起こる認知症です。そのため、脳の血管の損傷が増えたタイミングで症状が進行することも。ついこの間までできていたことが急にできなくなったり、その状態のまましばらく状況が落ち着いていたり…と段階的に症状が進むのが特徴なんです。
ちなみに、お父様は脳血管性認知症でしょうか?
いえ、アルツハイマー型認知症と診断されています。なので、これは父には当てはまらなさそうですね…
認知症が進行する理由として、脳への刺激不足もあります。これまでご自分でやっていた家事や家計の管理などをご家族が代わりにしてあげたり物事を考える機会が減ると、脳への刺激が不足してしまって症状が進行してしまうんです。
脳への刺激不足ですか…。確かに、以前は父も掃除や土いじりといったことをよくやっていました。でも認知症になってからは全然やってないですね。確かに家族がやってしまっていたかも。
精神的なストレスも認知症が進行する原因になりえます。ストレスが溜まると記憶力がさらに低下したり、感情のコントロールができなくなったり注意力が散漫になることもあります。
ストレスで認知症が悪化してしまうなんて…。どんなことがストレスの原因になるんでしょうか?
例えば、以下のようなときにストレスを感じやすいです。
認知症の影響や老化によって、できないことが増えていきますよね。当然、これまで当たり前にできたことができなくなったり時間がかかることもあるでしょう。それを「ちゃんとやって!」「早くして」と責められたり急かされたりすることが大きなストレスになることがあります。
認知症の方はどうしてできないのか自分でもわからない場合や、そもそも失敗を記憶していない場合もあるので、責められたり急かされたりすることが余計にストレスを感じやすいんです。
そうなんだ…。私に余裕がないときは、父がちゃんとできないのを見てイライラして責めてしまって。それが原因で認知症が悪化したのかな…。
ほかにも、暮らす環境や人間関係の変化も認知症の方にとって大きなストレスになることも。認知症になると新しい物事の記憶が苦手になります。そのため、引っ越しなどで生活環境が変わったり、身近な人が亡くなったりした際に慣れるのにより時間ががかかるんです。
誰でも、気が付いたら知らない場所にいたり、いつのまにか身近な人が亡くなっていたら不安になりますよね。新しい出来事の記憶が難しい認知症の人にとって、環境の変化は大きなストレスになることが想像できると思います。
つまり、認知症の人は新しいことをすぐに忘れてしまうから、環境が変化したことを覚えていないんですね。確かに、それだったらものすごいストレスかも。
また、行動が制限されることもストレスの原因のひとつ。外出を制限されたり、やりたいことを自由にできない状況だとストレスを感じてしまいます。
そんな状況だったら誰でもストレスが溜まると思います。
おっしゃる通りです。ですが、高齢になったり認知症になると、「危ないから」と行動を制限することが増えてしまいがちですよね。
例えば、料理や掃除といった家事や1人での外出を制限しているご家庭は多いと思います。
もちろん、危険性を考えたら制限しないといけないことはあります。しかし、必要以上に制限するとストレスが大きくなって認知症進行の原因になってしまうこともあるんです。
認知症が一気に進んだ理由について、思い当たることがいくつかありました。これ以上、認知症を悪化させないようにするにはどうしたら良いですか?
残念ながら、完全に認知症の進行を止める方法は見つかっていません。が、認知症の進行をゆっくりにすると考えられる方法はあります。
例えば、以下のような方法です。
認知症の症状は、いわゆる体内時計(概日リズム)が乱れることでも悪化してしまうことが知られています。そのため、決まった時間に起床・就寝したり、食事を摂ることで体内時計を整えていきましょう。
また、栄養バランスの良い食事を摂ることでも認知症の進行が抑えられることがわかっています。朝・昼・夕の3食きちんと摂ると生活リズムを整えやすくもなりますよ。
健康的な生活が認知症の進行を抑えるんですね!
おっしゃる通りです。また、日中に運動を取り入れることで程よく疲れて、夜に眠りやすくなります。
体を動かすのはストレス解消にもなります。散歩などの軽いもので良いので、運動を習慣にしましょう。
デイサービス、良いですね。今まで在宅介護サービスって使ったことがなかったのですが、デイサービスを利用してみるのも良いかもしれないです。
認知症は症状や進行状況に大きな個人差がある病気です。薬などによって治療する必要がある場合もあるでしょう。そのため、「いつもと違う」「今までできたことができなくなった」と感じたら、病院に行くことも大切です。
症状に変化があったらすぐに対応できるように、お父様とのコミュニケーションは欠かさないでくださいね。
介護施設への入居について、地域に特化した専門相談員が電話・WEB・対面などさまざまな方法でアドバイス。東証プライム上場の鎌倉新書の100%子会社である株式会社エイジプラスが運営する信頼のサービスです。