運転免許の自主返納制度は、高齢者ドライバーによる深刻な事故が多発していることを受けて1998年(平成10)4月から導入されました。
運転免許証を有効期間内に返却すると、公的な身分証明書として使用できる「運転経歴証明書」の交付を受けることが可能。運転経歴証明書を持っているとバスやタクシーの運賃割引など、地域によってさまざまな返納特典が受けられるのです。
しかし、地域によっては、警察署に出向いて自主返納した後に、運転経歴証明書を受け取りのために再度警察署に行くことが必要。さらに、返納特典を受けるためには運転経歴証明書を持って役場に行かなければならないと高齢者には大変複雑な仕組みとなっています。
とくにバスが通っていない地方では、免許を返納したあとに何度も警察署や役場まで行って複雑な手続きをしなくてはならないため積極的な自主返納につながらないという課題と実態があるようです。
Contents
運転免許証を返納すると公的な身分証明書としても使える運転経歴証明書が交付されます。地域によってはそれを提示することにより様々な特典やサービスを受けることができます。しかし、その手続きが一本化しておらず複雑なために、高齢者にとって返納しにくい現状があります。
そこで、北海道・北竜町と深川警察署は、1回の外出で免許返納が全てできる、道内初の取り組みをはじめました。
その内容は、高齢者が免許証を返納する際にタクシーで隣町の警察署まで無料送迎し、自主返納後の一連の手続きは役場の職員が代行してくれるというサービスです。
このサービスを利用して免許証を自主返納した町民(86歳)は「簡単でしたね。本当にありがたく思います」と話しています。
運転免許証の自主返納制度は2019年の東京都・池袋で、当時87歳の男が11人を死傷させた暴走事故をきっかけに注目を集めました。
警察庁のまとめによると免許を自主返納した人は池袋の事故のあった2019年に前年から約18万人増え、過去最多の約60万人に上りました。しかしその後は、返納する人が徐々に減少しているそうです。
自主返納者が減少した理由にはさまざまなことがありますが、運転に不安のある高齢者が安心して免許証を自主返納できるように、返納をしやすい環境を整えることも事故による犠牲者を減らすことにつながる重要な取り組みと言えるのではないでしょうか。
北海道・北竜町のように高齢者に寄り添った支援制度が広がっていくと良いですよね。
介護施設への入居について、地域に特化した専門相談員が電話・WEB・対面などさまざまな方法でアドバイス。東証プライム上場の鎌倉新書の100%子会社である株式会社エイジプラスが運営する信頼のサービスです。