介護にかかるお金や老人ホームの利用料を軽減する制度があります。そうした制度を上手く活用していきましょう。
もし、費用の軽減制度の対象にならない場合や、制度を利用してもなお介護のお金が足りない場合は、生活保護の受給も検討してみてください。
一人っ子の介護は、介護の負担が集中しやすいです。大森さんが体調を崩してしまっては元も子もないので、介護サービスを上手く活用していきましょう!
母が亡くなってから父の様子がおかしくなって、介護サービスを利用するようになりました。でも、父の年金が少なくてこれまでの生活を維持するので手一杯。介護のお金が捻出できません。
私も自分の生活でギリギリで、お金の支援はあまりできそうにありません。それに、私は一人っ子でお金の工面をしてくれる兄弟もいませんし…。
父の介護をしたくてもお金がないんです。介護のお金がないときはどうしたら良いですか?
一人っ子の介護はお金の面でも大変ですよね…。例えば、介護にかかる費用を軽減する制度があるので、それを利用してみるのはどうでしょうか?
費用が抑えられる制度があるんですか!ぜひ教えてください。
では、介護や医療費全般が軽減される制度と、介護施設の利用費が軽減される制度についてお話ししますね。
介護費や医療費の軽減制度には、以下のようなものがあります。
「福祉用具購入費」は、福祉用具を購入した場合に、介護保険が適用されて一部の費用が手元に戻ってくる制度。以下の特定の福祉用具を購入した場合に、費用の助成を受けられます。
費用の助成を受けるには、事前の申請が必要なので忘れないでくださいね。
「居宅介護住宅改修費」は、介護リフォームの費用を助成する制度です。介助が必要な方が暮らしやすいように自宅を改修した場合に、最大20万円が支給されます。
20万円も!最近、父が段差でつまづくことが多くなったのでリフォームしても良いのかも。
それは良いですね!以下のリフォームが対象となりますので、念のため確認しておいてください。
「高額介護サービス費」は、所得に応じた介護サービス費の自己負担額の上限を超えた場合、超えた分のお金が払い戻される制度です。
高額介護サービス費の負担限度額は、以下のように定められています。
区分 | 負担の上限(月額) |
---|---|
生活保護を受給している方など | 15,000円(個人) |
前年の「公的年金等収入額」と「その他の合計所得金額」の合計が年間80万円以下 | 24,600円(世帯) 15,000円(個人※1) |
世帯の全員が市区町村民税を課税されていない方 | 24,600円(世帯) |
市区町村税課税~課税所得380万円(年収約770万円)未満 | 44,400円(世帯) |
課税所得380万円(年収約770万円)~課税所得690万円(年収約1160万円)未満 | 93,000円(世帯) |
課税所得690万円(年収約1160万円)以上 | 140,100円(世帯) |
「高額介護合算療養費」は、介護保険と医療保険の自己負担額の合計が、限度額を超えたときに超えた分が戻ってくる制度です。
限度額は、以下のように所得に応じて定められています。
70歳以上 | 70歳未満 | |
---|---|---|
年収約1160万円以上 | 212万円 | 212万円 |
年収770万~1160万円 | 141万円 | 141万円 |
年収370万~770万円 | 67万円 | 67万円 |
年収156万~370万円 | 56万円 | 60万円 |
市町村民税世帯非課税 | 31万円 | 34万円 |
市町村民税世帯非課税 (所得が一定以下) | 19万円 | 34万円 |
なるほど。この費用を上回ったときに、超えた分のお金が戻ってくるんですね。
「医療費控除」は、医療費が一定額を超えた場合に控除が受けられるものです。通院などにかかった医療費だけでなく、介護サービスの中でも以下のサービスであれば対象となります。
介護施設の居住費や食費を軽減する「特定入所者介護サービス費」という制度もあります。すべての介護施設に適用されるわけではなく、以下の公的施設であれば制度を利用できます。
加えて、所得に応じて以下の5段階に分けられており、段階ごとに各施設の金額が設定されています。
出典:「特定入所者介護サービス費」(厚生労働省)
特養は、要介護3以上の方が入居できる施設。寝たきりなどの要介護度が高い方や看取りの方にも対応しているので、「終の棲家」として人気があります。
「特定入所者介護サービス費」を利用すると、特養の費用は以下のようになります。
負担限度額(日額) | |||||
---|---|---|---|---|---|
第1段階 | 第2段階 | 第3段階① | 第3段階② | ||
食費 | 300円 | 390円 | 650円 | 1360円 | |
居住費 | 多床室 | 0円 | 370円 | 370円 | 370円 |
従来型個室 | 320円 | 420円 | 820円 | 820円 | |
ユニット型個室的多床室 | 490円 | 490円 | 1310円 | 1310円 | |
ユニット型個室 | 820円 | 820円 | 1310円 | 1310円 |
部屋のタイプによっても費用がかなり違うんですね。父はまだ要介護2なので、入居はできないですが、ゆくゆくは検討しないといけないのかも…。
老健は、リハビリや医療ケアが充実している施設です。リハビリを重点的におこなって、在宅復帰することが前提の施設のため、入居期間は基本的に3~6ヵ月と短いのが特徴です。
老健も居室タイプによって料金が異なります。詳しい料金は、以下の表のとおりです。
負担限度額(日額) | |||||
---|---|---|---|---|---|
第1段階 | 第2段階 | 第3段階① | 第3段階② | ||
食費 | 300円 | 390円 | 650円 | 1360円 | |
居住費 | 多床室 | 0円 | 370円 | 370円 | 370円 |
従来型個室 | 320円 | 420円 | 820円 | 820円 | |
ユニット型個室的多床室 | 490円 | 490円 | 1310円 | 1310円 | |
ユニット型個室 | 820円 | 820円 | 1310円 | 1310円 |
介護医療院は、かなり充実した医療体制が特徴。医師が常駐しており、胃ろうなどの経管栄養やたん吸引といった、常に医療ケアが必要な方も入居可能です。
介護と医療のサポートが必要な方を対象とした施設のため、要介護1以上で医療ケアが必要な方が入居対象です。
「特定入所者介護サービス費」を利用したときの介護医療院の費用は、以下のとおりです。
負担限度額(日額) | |||||
---|---|---|---|---|---|
第1段階 | 第2段階 | 第3段階① | 第3段階② | ||
食費 | 300円 | 390円 | 650円 | 1360円 | |
居住費 | 多床室 | 0円 | 370円 | 370円 | 370円 |
従来型個室 | 490円 | 490円 | 1310円 | 1310円 | |
ユニット型個室的多床室 | 490円 | 490円 | 1310円 | 1310円 | |
ユニット型個室 | 820円 | 820円 | 1310円 | 1310円 |
いくつか費用の助成制度をご紹介しましたが、制度の対象にならなかったり、制度を活用しても経済的に厳しい場合もあるでしょう。
そういうときは、生活保護の受給も検討してください。
えっ、生活保護ですか?生活保護でも介護サービスは利用できるんですか?
もちろんです!生活保護になった場合、介護保険料や介護サービス費は生活保護費の中から支払われます。なので、自己負担はありません。
生活保護を受給するためにはいくつもの条件がありますので、簡単に決断できるものではないかもしれませんが、介護のお金がない場合には、一度検討してみてください。
介護施設への入居について、地域に特化した専門相談員が電話・WEB・対面などさまざまな方法でアドバイス。東証プライム上場の鎌倉新書の100%子会社である株式会社エイジプラスが運営する信頼のサービスです。