高齢化によって認知症の高齢者の数は増加すると見込まれています。
厚生労働省の推計によると、2025年には65歳以上の高齢者の5人に1人が認知症になるとも。そこで問題のひとつとして挙げられているのが、「認知症の人が起こした事故の賠償」です。
もし認知症の人が1人で外出して事故を起こしたり誰かに怪我をさせてしまった場合、家族が損害賠償責任を負うこともあります。
過去には約720万円の賠償を命じられたケースも。そこで、兵庫県高砂市では賠償金を支払う保険に市が代わりに加入する制度を設立しました。
この制度によって、約3億円までであれば保険によってカバーできるようになるそうです。
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高砂市では、今年7月から認知症の人が起こした事故の賠償金を支払う保険に家族に代わって市が加入する制度を設けることを発表しました。
この制度の対象となるのは、「自宅で暮らしている」「認知症だが歩き回る体力があると診断を受けている」「『市高齢者等見守り・SOSネットワーク事業』に登録している」の3つの条件を満たしている高齢者。これらの条件をクリアできれば、市が年間保険料1810円を負担します。
この制度ができた背景には、2007年の愛知県での鉄道事故があります。
この事故は認知症の高齢男性が線路に立ち入り、電車にはねられて亡くなったもの。男性の妻と息子に振替輸送費などの約720万円の賠償を命じられました。
このケースは最終的に賠償請求は棄却されましたが、これを機に認知症の人が起こした賠償金の支払いが注目されるようになりました。
こうしたことから、全国の自治体で認知症の人の賠償補償をする取り組みが広がりつつあります。
兵庫県内でも、神戸市や尼崎市などの6つの市で保険料を負担。認知症の人やその家族が安心して暮らせるまちを目指すとしています。
この数年、認知症の人が行方不明になるケースが増えています。
警察庁によると、2015年の認知症の人の行方不明者数は約12200人。それが2019年には約17500人にまで増加しているのです。
つまり、認知症の人が1人で出かけて交通事故を起こしてしまう危険性も増加しているということ。「もし家族が事故に巻き込まれてしまったら…」と考えると不安になってしまいますよね。
そういうときに自治体で保険に加入してくれていると、少しは安心かもしれません。
今回の高砂市のような制度が導入されているかどうかは自治体によって異なるので、お住まいの地域で確認してみてくださいね。
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