「老人ホームでは介護保険が適用されるの?」「老人ホームの料金が高い。介護保険を使ってもう少し安くならないかな」と、お金に関する悩みを抱えながら老人ホーム探しをしている人がいるかもしれません。
そこで、今回は介護保険が適用される老人ホームと、そうでない老人ホームを紹介。老人ホームの料金の仕組みや費用の軽減制度も紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
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介護保険は、介護保険料を支払うことで介護サービスの自己負担が軽減される制度。介護保険料は満40歳から支払いが始まり、満65歳以上で要介護認定を受けている場合に介護サービスを利用できるようになります。
介護サービスの自己負担割合は原則1割。ただ、所得に応じて2~3割負担になることもあります。
老人ホームは9種類に分けられます。そのなかでも、民間企業が運営する施設は「民間施設」、社会福祉法人や自治体などが運営する施設は「公的施設」に分類されます。
民間施設と公的施設には、以下のようなものがあります。
施設の種類 | 入居時費用 | 月額利用料 | 入居条件 | 認知症の受け入れ |
---|---|---|---|---|
介護付き有料老人ホーム | 要介護1以上 | |||
住宅型有料老人ホーム | 自立~要介護3程度 | |||
サービス付き高齢者向け住宅 | 自立~要介護1程度 | |||
グループホーム | 要支援2以上 |
施設の種類 | 入居時費用 | 月額利用料 | 入居条件 | 認知症の受け入れ |
---|---|---|---|---|
特別養護老人ホーム(特養) | 要介護3以上 | |||
介護老人保健施設 (老健) | 要介護1以上 | |||
介護医療院 | 要介護1以上 | |||
養護老人ホーム | 自立 | |||
ケアハウス | 自立~要介護3程度 |
老人ホームの中には、介護保険が適用される施設と適用されない施設があります。なぜなら、毎月の費用のうち介護サービス費のみが介護保険の対象となるためです。
老人ホームの毎月の費用は、大まかに以下に分けられます。
介護サービスを提供していない老人ホームの場合、施設の費用として介護サービス費が発生しません。上記の費用のうち、介護サービス費のみが介護保険が適用されるため、施設が介護サービスを提供していない場合、介護保険が適用されません。
次から、介護保険が適用される施設と適用されない施設を解説していきます。
民間施設で介護保険が適用されるのは、以下の施設です。
介護付き有料老人ホームは、都道府県から「特定施設入居者生活介護」の指定を受けている施設。この指定を受けるには、介護の資格を有する人員や設備などが充実している必要があり、手厚い介護体制が整っている施設と言えます。
グループホームは認知症の方専用の施設。そのため認知症ケアに特化しており、認知症の方が安心して生活できる介護体制が整っています。
この2つの施設は、施設が直接、介護サービスを提供しているため、介護サービス費に介護保険が適用されます。
介護付き有料老人ホームでは、入居者の生活をサポートするためのさまざまなサービスを提供しています。その費用のなかには、介護保険が適用されるものとされないものがあります。以下の表で確認しておきましょう。
サービス | 介護保険適用 | 介護保険適用外 |
---|---|---|
食事の提供 | ○ | |
食事の介助 | ○ | |
排泄の介助、おむつ交換 | ○ | |
おむつ代 | ○ | |
入浴介助 | ○ | |
入浴介助(規定回数を超える部分) | ○ | |
看取り | ○ | |
安否確認 | ○ | |
生活相談 | ○ | |
掃除 | ○ | |
理美容 | ○ | |
外出・通院の同行 | ○ | |
買い物の代行 | ○ |
民間の老人ホームの中でも、以下の施設は介護保険が適用されません。
住宅型有料老人ホームとは、食事の提供や生活相談などの生活支援サービスを提供する施設。食事介助などの介護サービスは提供されません。
サービス付き高齢者向け住宅とは、安否確認や生活相談サービスを提供する住まい。住宅型有料老人ホームと同様に、介護サービスは提供されません。
この2施設に入居後に介護サービスを利用したい場合は、外部の介護事業所と個別に契約を交わしてサービスの提供を受けます。介護サービスの料金は外部事業者に支払うので、施設に支払う費用に介護保険が適用されるわけではありません。
公的施設で介護保険が適用されるのは、以下の施設です。
特別養護老人ホームは、原則として要介護3以上の方が入居できる施設。看取りの対応をしており、終身利用が可能です。
介護老人保健施設は、リハビリテーションにより身体機能の回復を目指す施設。基本的には在宅復帰を目的としているため、3~6ヵ月ほどで退去する必要があります。
介護医療院は、胃ろうなどの経管栄養や痰吸引などの医療的ケアに対応できる施設。加えて、排泄介助や食事介助といった身体介護サービスも合わせて提供しています。
この3つの施設は、「介護保険施設」と呼ばれ、介護保険が適用される施設です。また、費用が民間施設よりも安価であることが特徴です。
公的施設の中でも、以下の施設は介護保険が適用されません。
養護老人ホームは、経済的事情で自立した生活ができない高齢者を対象とした施設。介護サービスは提供されません。
ケアハウスには介護サービスの提供がない「一般型」と、提供がある「介護型」があります。そのため、一般型の費用には介護保険が適用されず、介護型には介護保険が適用されます。
介護保険が適用される介護サービスを利用するためには、まず「要介護認定」を受ける必要があります。
介護認定の申請は、介護認定を受ける方が住んでいる市区町村に届け出ます。
介護認定の申請を本人ができない場合は、ご家族が本人の住民表がある市区町村に届け出ることもできます。
それが難しい場合には以下の施設の職員に申請を代行してもらうこともできます。
すでに以下の施設に入居している場合は施設の職員に代行してもらうことも可能です。
地域包括支援センターは各市区町村が設置主体であることも多く、どこに相談すればいいか迷った時にも安心です。専門知識を持った職員に介護認定の申請はもちろん、高齢者が住み慣れた地域で生活できるように、幅広く相談に乗ってもらえます。
介護認定を申請してから介護認定を受けるまでの流れは、以下の通りです。
ケアマネジャーなどの介護認定調査員が自宅や施設、病院を訪れて直接訪問調査をおこないます。介護を希望する対象者が介護を必要とする状態か、介護が必要な場合はどの程度の介護や支援が必要かなどを確認します。
家族構成・生活状態、心身の状態をはじめ、身体機能、生活機能、認知機能、特別な医療が必要なのかなど。決められた質問形式で調査がおこなわれます。
訪問調査の結果と主治医意見書の一部の項目をコンピュータ入力して一次判定をおこないます。厚生労働省が作成した全国共通の要介護認定ソフトが使われ、客観的に分析して申請者を振り分けます。
コンピュータによる一次判定結果に、主治医意見書と認定調査における特記事項を踏まえて二次判定がおこなわれます。
各市区町村が設置している「介護認定審査会」は、保健・医療・福祉の学識経験者5名ほどで構成され、ここで申請者の介護度や支援度を検討します。
「介護認定審査会」の審査結果に基づき、要介護度が認定され通知されます。一般的に介護認定申請から約30日で結果が通知されますが、地域によっては申請から判定まで1ヵ月以上かかる場合もあります。
認定結果は「申請日から30日以内に利用者へ通知する」ことになっているので、認定通知が遅れる場合には、申請者に見込み期間と遅れる理由が通知されます。
認定結果は「要介護1~5」「要支援1・2」「非該当(自立)」のいずれかに分類され、「要介護認定1~5」に認定されると「介護保険サービス」が利用できるようになります。
介護保険を活用する以外にも、老人ホームの費用や介護の費用を軽減する方法があります。うまく利用すれば、大幅に経済的負担を抑えられます。
特定入所者介護サービスは、所得の低い人を対象とした補助制度です。特養や老健、介護医療院といった「介護保険施設」に入居する際に活用できる制度で、住居費や食費を安く抑えられます。
なお、特定入所者介護サービス費を利用できる対象者は4段階に分けられます。以下で入居者本人がどれに当てはまるのか確認しておきましょう。
出典:「特定入所者介護サービス費」(厚生労働省)
制度を利用するには、本人または代理人の住まいの各自治体の窓口へ申請します。以下、主に必要な書類をまとめました。
「高額介護サービス費制度」は、1ヵ月の介護保険サービス自己負担額が限度額を超えた場合、超えた分の金額が戻ってくる制度です。支給対象の方には自治体から「高額介護サービス費支給申請書」が送られてくるので、忘れずに申請しましょう。
高額介護サービス費の支給を受ける際は、各自治体の窓口に申請しましょう。以下、申請時に必要な主な書類をまとめました。
「高額医療・高額介護合算制度」は、同一世帯で支払った介護保険サービスと医療費の自己負担額の合計が基準を越えた場合、越えた分の金額が戻ってくる制度です。合算期間は8月1日から翌年の7月31日です。
ただし、同一世帯内でも「夫が75歳以上で後期高齢者医療保険、妻が75歳未満で国民健康保険」など、加入する保険が異なる場合は合算することができません。さらに、基準を500円以上越えない場合は適用外です。
高額医療・高額介護合算制度を利用する際は、各自治体の窓口に申請しましょう。以下、主に必要な書類をまとめました。
条件を満たすことで介護保険料の減免措置を受けられます。各自治体による条件をクリアし、減免措置を受けられた場合、介護保険料は最大で7割程度安くなります。
以下、主な条件をまとめました。
条件により必要な書類は異なるので、減免制度を利用する際は各自治体の窓口に確認しましょう。
各自治体では、高齢者の生活を支援するための助成制度が設けられている場合が多いです。条件として、収入や資産が一定以下であるということや、住民税非課税世帯であることなどが挙げられます。
以下は、独自の助成制度を設けている自治体の内容をまとめました。
上記以外にも独自の助成制度を設けている自治体は多数あります。まずは、お住まいの自治体の窓口に助成制度の有無や、助成がある場合はその内容を確認しましょう。
自治体独自の助成制度を利用する際は、各窓口に申請する必要があります。各窓口は自治体により名称がさまざまで、「保険年金課」「介護保険課介護給付係」「介護福祉課」などが挙げられます。
また、助成制度を利用する際の必要な書類は各自治体により異なります。以下、主に必要な書類をまとめました。
老人ホームの費用の中でも、「介護サービス費」のみに介護保険が適用されます。その他の「居住費(家賃)」「管理費」「食費」などの料金には介護保険が適用されません。そのため、施設が直接、介護サービスを提供していない施設には介護保険が適用されず、介護サービスを提供している施設には介護保険が適用されます。
介護保険施設の費用を抑えるために、「特定入所者介護サービス費」制度が利用できます。また、老人ホームに限らず介護サービス費がかさんでしまった場合には、「高額介護サービス費」制度が利用でき、1ヵ月の上限額を超えた分の金額が戻ってきます。
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