超高齢社会を歩む日本に、なくてはならないものが介護保険制度です。
この制度の土台である介護保険法は、高齢者介護の現状を踏まえて3年ごとに改定されてきました。次の改定は2024年度となっており、それに向けてはさまざまな意見があります。
その中でも気になるのは、年々増え続ける介護費を賄うために「利用者の自己負担の割合を引き上げるべき」という財務省などからの意見です。
こうした意見が出ている中、9月26日に厚生労働省は有識者による審議会(社会保障審議会・介護保険部会)を開き、介護保険制度改定に向けた協議をおこないました。
今回の協議の主なポイントになったのは、増え続ける介護費を今後どうやって賄っていくか、という点です。
そのうえで焦点になったのは次の2つでした。
1.原則1割負担となっている介護保険の利用者負担を、2割負担、3割負担へと引き上げるべきか。
2.現在、例外的に利用負担のない居宅介護支援のケアマネジメントであっても、負担金の徴収を始めるかどうか。
審議会の委員へ意見を聞いたところ、回答は真っ二つに分かれました。
「(高齢者を支えている)現役世代の負担は限界。利用者の負担は原則2割とすべき」という声や、「ケアマネジメントでも利用者負担の導入を」との提言がありました。
これに対し、「物価高騰で高齢者の生活は更に厳しくなった」などと利用者負担の引き上げに反対する意見があがっています。
また、居宅介護支援の負担金の徴収については「適切なケアマネジメントを誰もが受けられる環境が重要」だという声も。
そのうえで、部会長代理の野口委員は「今後の更なる高齢化、生産年齢人口の急激な減少を乗り越えるために、制度の見直しは必要。高齢者には負担をお願いできる人もいる。そうした人に負担をお願いしていくことはもはや避けられない」と語っています。
厚生労働省は年内に大まかな方針を決める予定で、最終的には政府が決定することになります。
なお、10月から後期高齢者のうち、年収200万円以上所得のある人の医療費の自己負担割合が2割へ引き上げられました。もし介護保険法の改定で介護費の自己負担が増えると、本人やその家族の負担がさらに重くなりますね。
今後の状況は見通しにくく、早めの情報収集が大切です。また、介護保険料の免除・軽減制度の活用なども視野に入れてみてはどうでしょうか。
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