イギリスの科学雑誌『Nature』に、日本とインドの高齢者ケアを比較した論文が掲載されました。
それによると、日本は介護保険制度により高齢になれば誰でもケアを受けられるようになっている一方で、インドは家庭での介護に依存しているとのこと。国内の労働人口の確保が課題であるインドにおいて、家で介護をするために女性が就職できず、労働人口が増えないという問題があるそうです。
論文の中で、「日本にも多くの問題があるものの、インドやその他の高齢化が進む国でも日本の介護保険のような仕組みづくりを進めるべき」と述べられています。
国際的な科学雑誌『Nature』に、世界の高齢者介護の問題について述べた論文が掲載されました。その中で、世界で2番目に人口が多い国のインドと、世界で最も高齢化が進んでいる日本の介護の現状が比較されています。
この論文によると、インドの家庭の多くが高齢者世代と同居、もしくは同じ建物の別フロアで生活しており、在宅介護がしやすい暮らしをしているそう。そのため「高齢者の介護は、家で家族がおこなうもの」という価値観ができているようです。
しかし、その介護をしているのは主に女性。そのため、女性の正社員雇用率が低く、2020年で16%程度だそうです。ちなみに、日本女性の正社員雇用率は45%程なので、日本と大きな差があることがわかります。
こういったことが問題になる理由は、インドで労働力確保が課題となっているから。海外へ移住する人が増えているインドでは、国内の労働力の確保が急務となっています。
しかし、女性は家庭で介護をしなければならないため、女性の就業率が高まりません。論文では「労働力の半分を無視している」と述べられています。
そこでこの論文では、日本のような介護保険制度を作ることを提案。日本のように、すべての高齢者が介護サービスを受けられて、その人の状況に応じて施設介護・在宅介護を選べる制度を作れば、家庭に縛られない女性が増えると述べられています。
日本国内での介護関連の話題となると、とかく課題ばかりに目を向けてしまいがちですよね。しかし、海外からは一定の評価をされているようです。
もちろん、人手不足や社会保障費用、介護難民問題など、日本の介護業界はあらゆる課題を抱えているのも事実。これらの問題は高齢化が進む他の国でも、ゆくゆくは直面する問題でしょう。
そのため、世界が日本の介護のあり方に注目しているとも言えます。高齢社会を先行している国として、世界のモデルになるような介護を求めていきたいですね。
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