福祉施設の経営サポートなどをおこなっている福祉医療機構が、2020年の特別養護老人ホームの経営状況をまとめた調査結果を公表しました。
それによると、新型コロナウイルスの拡大により施設の利用率が下がったことと人件費が増加したことで、赤字経営の施設数が微増したと伝えています。
福祉医療機構が、2020年度の特養の経営状況を公表しました。これは、福祉医療機構が貸付をおこなっている社会福祉法人が運営している5050施設を対象とした調査です。
今回の調査は、大人数で共同生活をする「従来型」と、10名程度の少人数グループで生活する「ユニット型」に分けてまとめています。
2019年と2020年を比較すると、赤字経営になっている施設は従来型は34.0%から35.2%、ユニット型は28.2%から29.0%に微増しています。
この理由として、福祉医療機構は「施設利用率の低下」「人件費の増加」を挙げています。
施設利用率について、特にショートステイが低下しているようで、従来型・ユニット型ともに約5%低下しています。これについて福祉医療機構は、新型コロナの感染拡大によって施設の”利用控え”が原因としています。
また、人件費については「感染拡大によって発熱した職員の代わりの人材を雇用したことによって増加した可能性がある」としています。
そして、赤字経営になっているのが小規模施設に多いのは例年通りとのこと。そのため福祉医療機構は「小規模施設は、ICT活用で効率化をして経営改善が求められている」と述べています。
感染拡大による”利用控え”は、感染収束に伴ってなくなっていくと考えられますが、小規模施設の経営が厳しいのはコロナ以前からの問題のようです。
この問題に対して、福祉医療機構は小規模施設にICT活用を求めていますが、ICT活用が進まないのは導入コストがネックになっていることが理由とわかっています。
そのため、比較的に経営に余裕がある大規模施設ではICT導入が進んで業務の効率化が進み、小規模施設では依然として進まない可能性も。それによって、大規模施設と小規模施設の経営状況の格差がさらに広がることも懸念されます。
そうなってくると、介護事業所の努力だけでは経営が改善できないのではないでしょうか。事業所の取り組みに加えて、国としても財政的な支援が必要なのかもしれません。
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