介護現場のICT化に向けた動きが、ついに本格的になってきたようです。
厚生労働省は、人材不足が深刻化している介護職員の配置基準の緩和を検討していることがわかりました。その条件として、ICT技術の活用を挙げています。
来年度には実証事業をおこない、見守りセンサーなどの機器を導入することで、職員の負担や業務の効率がどのように変化するかを検証します。
厚生省が、介護職員の人員配置基準の緩和を検討していることがわかりました。
現在の介護保険制度では、入居者3人に対して職員1人以上の配置が定められています。しかし実際の現場では、入居者の安全性や業務量が多さを理由にそれ以上の職員が配置されている場合もあります。
加えて、高齢者人口がピークになると予測されている2040年には、さらに70万人近くも介護職員を増やさないといけないという試算が出ています。そのため、業務の効率化による人員の削減が介護現場の大きな課題です。
この人員配置の緩和については、先月18日の日本経済団体連合会による提言でも触れられており、他業界からも注目されています。
今回、厚生省は2022年度に見守りセンサーや介護ロボットなどを活用した実証事業をおこなうとしており、来週にも方針を説明するとのことです。
この実証では、介護施設に見守りセンサーや介護ロボットを実際に導入し、どれくらい業務の効率化がされるかを数値化。人員配置を少なくした際に、入居者の安全が確保できるか、職員の負担が増加しないかを確認するそうです。
また、直接の介護業務ではない清掃や配膳などをおこなう介護助手を活用した場合の効果も検証するとのことです。
具体的な実証内容や実施施設については、公募をおこなって3月に決定する予定しています。
これまでも、介護現場のITC化の推進や職員の人員配置基準の緩和について何度も議論されてきましたが、具体的にはなりませんでした。
しかし、今回の実証事業が上手くいけば、段階を踏んで「入居者4人に対して職員1名」に人員配置に緩和されるかもしれません。
もし、単に人員配置を緩和するだけであれば、現場は崩壊することでしょう。加えて、ICT化せずに職員数を減らして、利用料を安くすることで集客するような悪質な施設が現れる可能性もあります。
しかし、ICT化が進んでいることが条件になりそうですので、実際の現場ではすぐには変化しないのではないでしょうか。
また、ICT導入のための支援をさらに充実させないと「人員配置を緩和しただけで現場のICT化は進んでいない」というのが実際のところかもしれません。
今回の実証では、どんなシステムをどれだけ導入すれば職員数を減らしても良いのかをしっかり検証したうえで、人員配置の緩和を検討してほしいですね。
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