東京都が「高齢者の特性を踏まえたサービス提供のあり方検討会」で、民間企業が高齢者にサービスを提供するときの留意点などをまとめた報告書を公表しました。
この報告書では、認知能力や判断力が低下して支払いにとまどったり機械の操作ができないといった高齢者への支援を事例で紹介。丁寧にフォローすることで、企業やブランドのイメージの向上にもつながるとしています。
東京都は有識者でつくる「高齢者の特性を踏まえたサービス提供のあり方検討会」の報告書を公表しました。
この報告書によると、2050年には東京都の65歳以上の高齢者は総人口の3割を超えるとしています。
そのため、業界を問わず高齢者に配慮したサービス設計が重要。これからは、身体障害に配慮したバリアフリー化だけでなく「認知機能に着目したバリアフリー社会」をつくっていくことが求められると述べています。
例えば、近年進められているサービスのデジタル化やオンライン化を高齢者にも配慮すること。高齢者の多くがスマホを利用していますが、ネット上の手続きや決済までできるとは限らないそうです。
さらに、タッチパネルなどの機器を導入する際には、ボタンを大きくしたり操作回数を減らすなどの、操作性やデザインにも注意が必要とのことです。
また、報告書では「近所付き合い」についても触れています。
それによると、高齢者の近所付き合いの程度は徐々に減少。2005年度の調査では「お互いに訪問し合う人がいる」と回答した人が26.1%だったのに対し、2020年度には12.1%まで低下しています。
マンションや借家だったり、1人暮らしや夫婦のみ世帯が増加している影響で地域とのつながりが希薄化しているとのこと。そのため、困ったときに相談に乗ってくれるサービスを求める高齢者が今後増えるとしています。
また、こうした地域のつながりの場をつくっている企業の事例も紹介しています。
例えばドラッグストア大手の「ウエルシア薬局」では、全国366店で「ウエルカフェ」というフリースペースを展開。地域包括支援センターと連携して認知症カフェを開催したり、フレイルチェックなどのセミナーを開催しているそうです。
高齢化がさらに進んでいく日本において、高齢者向けのサービスでなくても高齢者が使いやすいように配慮することは避けられません。
「高齢者ばかりを優遇して」と憤りを感じる人もいるかもしれませんが、高齢者が使いやすいということは、他の世代や多様な背景を持つ人の使いやすさにもつながるでしょう。
「寛容さを持ったサービスを提供している」と、プラスの面に目を向けることで全世代が暮らしやすい社会になっていくのではないでしょうか。
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