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#最新研究 #認知症対策

認知症の誤診率は4割!?誤診を防ぐ手法が慶應大学の研究で判明

新たに、アルツハイマー型認知症の診断精度を高められる可能性がある手法が開発されました。 この研究は慶應義塾大学によっておこなわれ、研究結果は「Neurology」というアメリカの医学誌に掲載されています。 認知症の誤診率は4割程度 アルツハイマー型認知症の診断を確定させるのは難しいと言われています。 アルツハイマー型認知症だと診断を確定させるためには、脳の一部を採取して、「アミロイドベータ」や「タウ」と呼ばれる異常なタンパク質が脳に蓄積していることを確認する必要があります。しかし、こうした検査は患者に大きな負担がかかるため、実際にはほとんどおこなわれていません。 では、どのようにアルツハイマー型認知症だと診断されているのでしょうか? 診断するためには、主に脳の萎縮具合を画像で見る頭部MRIや認知機能を測る認知テストなどが用いられています。その結果を精査して、総合的にアルツハイマー型認知症かどうかが判断されているのです。 しかし、それらはどれも決定的な検査ではないため、認知症の誤診率は4割程度に上るとも言われています。 こうした状況を改善する手がかりを見つけるために、慶應義塾大学のグループは今回の研究を実施することにしたのです。 2種類の画像診断で誤診を防ぐ 研究グループは、107人の研究対象者を、認知症がある42人、軽度認知障がいがある25人、認知機能が正常な人40人に分類。その後、それぞれの対象者に、脳に異常なタンパク質が蓄積されているかどうかが画像でわかるPET検査を2種類実施しました。 その結果、全体の35%に診断の変更があったことが明らかになったのです。 【PET(ペット)検査とは】がんなどの病変を検査する画像診断法のひとつ。「陽電子放射断層撮影法」を表す、ポジトロン・エミッション・トモグラフィー(Positron Emission Tomography)の略で、微量の放射線で目印をつけたブドウ糖を体内に投与してから専用のカメラで撮影するとがん細胞が光っているように表示され、がんの位置や大きさ、活動の状態を判断することができる。 研究前、軽度認知障がいがある25人のうち、23人は将来アルツハイマー型認知症になるリスクが高いと言われていました。 しかし、2種類のPET検査によって、25人のうち11人の脳内にはアルツハイマー型認知症の原因物質である「アミロイドベータ」は検出されなかったことが判明。そのため、11人はアルツハイマー型ではない、別のタイプの認知症になるリスクが高いと診断が変更されたのです。 また、2種類のPET検査によって認知機能が正常な40人のうち4人にも脳内に「アミロイドベータ」が蓄積されていることが確認され、将来アルツハイマー型認知症になるリスクがあることがわかりました。 今回の研究をリードした伊東大介特任教授は「2種類のPET検査を実施することで、診断の精度が向上し、アルツハイマー型認知症の薬をより適切に使えるようになるかもしれない」としています。 これから認知症診断の精度が改善され、より迅速に認知症の人を支援につなげられるようになると良いですね。

2023/01/30

#最新研究 #認知症予防

認知症予防に「Brain Suite」!脳ドック用のソフトウェアで脳の状態がわかる!?

2022年12月20日、株式会社CogSmart(コグスマート)は、認知症予防に役立つ脳ドック用のソフトウェア「Brain Suite(ブレーンスイート)」の受検者が受け取る結果レポートを新しくしたと発表。脳の記憶を司る「海馬」の体積変化をグラフで確認できるようになりました。 脳ドック用ソフトウェア「Brain Suite」について 「Brain Suite」は東北大学加齢医学研究所で収集された脳画像のデータを用いて、受検者の海馬の体積変化を測定するという脳ドック用のソフトウェアです。 また、受検者は会員ページから脳の健康維持や海馬の改善方法についてアドバイスを受けられます。 海馬の体積変化が一目でわかる 今回、CogSmartは「Brain Suite」の結果レポートを刷新。海馬の体積がどれくらい変化しているのかを、年数ごとにグラフで示せるようになりました。 また、脳全体の中で海馬の体積が占める割合を、同世代の平均値と比較することも可能に。CogSmartは「脳の状態をより深く理解してもらうために改良した」としています。 海馬と認知症の関係 認知症と記憶を司る「海馬」の間には深い関係があります。 アルツハイマー型認知症は、脳が萎縮することで徐々に認知機能が低下していく病気です。また、脳の中でも記憶を司る海馬から萎縮が始まると考えられています。 ただ、海馬は脳細胞の中で唯一数を増やせる細胞だと言われています。そのため、早期に海馬の萎縮に気づいて睡眠や運動などの生活習慣を改めれば、海馬の状態を改善し、認知機能の低下を防げる可能性があります。 認知機能の低下を防ぐポイントは、早期に海馬の萎縮に気づくことです。もし最近もの忘れが増えてきたと思ったら、脳ドックを受けて海馬の状態を調べてみると良いかもしれませんね。

2023/01/27

#最新研究 #認知症予防

加齢性難聴があると認知機能が低下する!?アメリカの研究で判明

アメリカでおこなわれた研究で、加齢による難聴がある人はそうでない人に比べて認知症を発症するリスクが高い可能性が示されました。 この研究は、2011年にジョンズ・ホプキンズ大学で実施されたものです。 加齢性難聴とは 元々聴力に問題がなかった人でも、歳を重ねるにつれて聴力が低下することがあります。 要因はさまざまですが、聴力を司る脳の部位の衰えや、騒音などによる聴覚細胞の損傷などが一因として考えられています。 難聴になると認知症リスクが高い ジョンズ・ホプキンス大学の研究グループは、過去の研究で明らかになった被験者の認知テストや聴力テストの結果を解析。その結果、被験者の聴力が重度の難聴であればあるほど認知症リスクが高いことが判明しました。 なぜ難聴になると、認知症になる可能性が高まるのでしょうか? 研究グループによると、難聴の人は人の話を聞き取ることに脳のキャパシティを費やしてしまうため、記憶しようとする意識が向かなくなり、結果的に認知機能が低下した可能性があるそうです。 さらに、研究グループは「難聴になりコミュニケーションが困難になると、社会的な孤立が生まれる。孤立感は、認知症の発症リスクを高める可能性がある」と指摘しました。 軽度の難聴でも認知機能に影響 コロンビア大学とジョージ・ワシントン大学が合同で実施した別の研究では、軽度の難聴であっても認知機能が低下する可能性が示されました。 PTA値と呼ばれる、音が聞こえなくなる値が10デシベル未満の聴力に問題がない人に比べて、音が聞こえなくなる値が11~20デシベルの軽度の難聴の人は、認知機能の低下が見られたのです。 加齢によって失った聴力を元に戻すことはできませんが、補聴器などで聴力をサポートすることはできます。補聴器などを使って他者とコミュニケーションが取れれば、脳も活性化するかもしれませんね。

2023/01/26

#ペット #最新研究 #認知症予防

ペットを5年以上飼っている高齢者は認知能力が高い!?アメリカの研究で判明

新たな研究で、ペットを5年以上飼っている65歳以上の高齢者は、飼っていない人に比べて、記憶力などの認知能力が高いことが明らかになりました。 この研究はミシガン大学が主導する研究グループによっておこなわれ、その研究結果は「Aging and Health」という学術誌に掲載されています。 テストで認知機能を評価 ミシガン大学で神経学を研究しているティファニー・J・ブラリー准教授は、過去にミシガン大学がおこなった、高齢化によるアメリカ社会への影響を調査した「健康と引退に関する研究」を解析することにしました。 「健康と引退に関する研究」は以下の要領で実施されました。 対象者はアメリカ在住の50歳以上の男女 さまざまな認知テストをおこない、総合的な認知機能を評価 2010年から2年ごとに2万人の被験者を調査 「健康と引退に関する研究」では、「現在ペットを飼っているか」「どのくらいの期間ペットを飼っているか」などペットに関する質問もあったそうです。 今回ブラリー氏がおこなった研究は、「健康と引退に関する研究」の中の2012~2016年の結果を分析したものです。 ペットを飼っている人は認知機能が高い 2012年に実施された「健康と引退に関する研究」では、対象者のうち47%が「ペットを飼っている」と回答しました。その時点でペットを飼っている期間を尋ねたところ、「1~5年」と回答した人が19%、「5年以上」と回答した人が28%でした。 ブラリー氏は、「健康と引退に関する研究」で判明した、ペットを飼っている人とペットを飼っていない人の認知テストの結果を比較。すると、5年以上長期にわたってペットを飼っている人はそうでない人に比べて認知能力が優れていることが明らかになったのです。特に、言葉を思い出す言語記憶の領域が顕著でした。 この結果を踏まえ、研究グループは「継続的にペットを飼っている人は、言葉を思い出す能力が高いことがわかった」と述べています。 しかし、なぜペットを飼うと認知能力が上がるのかというメカニズムについては今後の研究を待たなければならないとしています。 家にペットがいると、雰囲気が明るくなり家族や周りの人とペットに関する会話も生まれそうです。もしかしたら、そうしたペットを通じたコミュニケーションが言葉を思い出す能力につながっているのかもしれませんね。

2023/01/25

#最新研究 #認知症予防

ビールの原料「ホップ」の成分が認知機能を改善する!?慶應大学の研究で明らかに

新たな研究で、ビールの原料であるホップを熟成して生まれる「熟成ホップ苦味酸」を摂取すると、注意力などの認知機能が向上する可能性が示されました。 この研究は、慶應義塾大学とキリンホールディングス株式会社が合同でおこなったものです。 ホップとは ホップは、ビールの原料になっている植物で、ビールに香りや苦味を与えています。 また、古くから薬用ハーブとしても知られていて、多様な効果が認められています。具体的には、不安や不眠などを解消する鎮静作用や、血圧を改善するはたらきなどがあるとされています。 さらに、「熟成ホップ苦味酸」やホップに含まれるビールの苦味成分の「イソα酸」には、認知機能を改善する効果があることも最近の研究で判明しています。 しかし、「熟成ホップ苦味酸」が人における認知機能の改善のメカニズムはまだ解明されていません。そこで研究グループは、「熟成ホップ苦味酸」がどういったメカニズムで認知機能を改善するのか調べることにしたのです。 「熟成ホップ苦味酸」を1回摂取だけでも認知機能に効果 今回の研究は、30~64歳の成人34名を対象に実施されました。 研究グループは対象者に、ホップを熟成して生まれる「熟成ホップ苦味酸」のカプセルまたは有効成分がない偽薬をランダムに1回投与。また、その前後に認知機能を測るテストをおこないました。 研究で用いられたテストは、パソコンの画面の上下にそれぞれ図形が表示され、上段に表示された図形と色か形が合う図形を下段の図形から選ぶというものです。 カプセルを投与し認知テストをおこなった結果、「熟成ホップ苦味酸」のカプセルを1回飲んだ人は偽薬を飲んだ人に比べて認知テストの成績が高かったことが判明しました。 さらに研究グループは、認知機能が改善するメカニズムを調査するために、対象者の自律神経の働きも調査。その結果、「熟成ホップ苦味酸」のカプセルを1回飲んだ人は自律神経全体の働きも活発になったことが明らかになったのです。 今回の結果を踏まえ、研究グループは「研究熟成ホップ苦味酸のさらなる作用の解明や、アルツハイマー型認知症への効果の検証も期待できる」としています。 「酒は百薬の長」という言葉もあるように、お酒には多種多様な健康面での効果があると言われています。もちろん、飲みすぎは健康に良くないので、適度にお酒を楽しめると良いですね。

2023/01/23

#介護予防 #最新研究 #高齢者の一人暮らし

一人で食事する高齢者は老衰リスクが61%上昇!?誰かと食事する機会を

新たな研究で、一人で食事を摂る高齢者はそうでない高齢者より早く老化することが明らかになりました。 この研究は三星(サムスン)ソウル大学病院によっておこなわれ、研究結果は「実験高齢者学」という学術誌に掲載されました。 老衰とは 今回の研究において、「老衰」は「老化が進行する過程で身体や認知機能が低下して、障がいや病気になる可能性が高くなった状態」と定義されています。 加えて、今回の研究をリードしているソン・ユンミ教授は、老衰の段階を測る指標を発表しています。 発表された指標は以下のとおりです。 体重の減少 筋力の減少 疲れを訴えることが多くなる 歩く速度の低下 身体活動量の低下 これらの指標のうち、1~2つ該当したら「老衰前段階」、3つ以上該当したら「老衰段階」としました。 孤食で老衰のリスクが上昇 研究グループは2016年から2年間にわたって、韓国在住の70~84歳の高齢者2072人の食生活と老衰の相関関係を追跡調査。その結果、一人で食事をすることが多い高齢者は、誰かと一緒に食事を摂る高齢者に比べて老衰のリスクが61%高いことが明らかになったのです。 また、一人で食事を摂る高齢者は、体重が落ちた人の割合がそうでない人に比べて3倍高いことが判明。さらに、一人で食事をする女性の高齢者高齢女性では歩く速さが遅くなった人の割合がそうでない人より2.8倍高いこともわかりました。 ただ、研究グループによると、一人で食事をする習慣があった人でも誰かと食事をするようになれば、身体の状態が回復する可能性があるそうです。 研究グループが、一人で食事を摂っていたが誰かと食事するようになった高齢者136人の身体の状態を調べたところ、老衰前段階や老衰段階にあった人の割合が3%程度低くなったことが明らかになったのです。 今回の結果を受けて、ソン教授は「一人で食事を摂る生活を続けていると、老衰の原因となる栄養不足やうつ病、社会的孤立などを誘発するリスクが高まることがわかった」と指摘。また「誰かと一緒に食事ができる機会を提供するような政策アプローチが必要だ」と述べました。

2023/01/20

#最新研究 #認知症予防 #認知症対策

便秘だと認知症テスト結果が2.7倍速く悪化!?腸内環境が脳に与える影響

新たな研究で、慢性的な便秘がある高齢者は、そうでない人に比べて認知機能の低下が速い可能性が示されました。 以前から、慢性的な便秘が続いて腸内環境が大きく変化すると脳の神経細胞がダメージを受けることが指摘されていますが、詳細は明らかになっていませんでした。 そのため、東北大学の加齢医学研究所の中瀬泰然氏らが、便秘がある高齢者と認知機能の低下速度の関係を調べることにしたのです。 便秘ありと便秘なしで対象者を分類 今回の研究は、アルツハイマー型認知症か軽度認知障がいと診断を受けている高齢者84人を対象に実施。対象者の平均年齢は77歳でした。 また、研究グループは対象者を、「慢性的な便秘があるグループ」と「慢性的な便秘がないグループ」にそれぞれ分類。グループ間で認知機能の低下速度に差があるかどうかを調べました。 便秘がある人は認知機能の低下が速い 研究グループは、対象者に対し2種類の認知テストと脳の状態を画像で調べるMRI検査を実施。MRI検査では、脳の萎縮と脳の血管の血流が不足したことによって起こる変化「大脳白質病変」を調べました。 「大脳白質病変」があるということは、血流が不足して脳内が酸素不足になっていることを意味します。また、この状態が進行するとアルツハイマー型認知症を引き起こすリスクが高まると言われています。 まず認知テストの結果を、便秘がある人と便秘がない人でそれぞれ比較。その結果、便秘がある人のほうが認知機能の低下が2.7倍速いことが明らかになったのです。 また、MRI検査の結果も便秘がある人と便秘がない人で比べました。脳の萎縮の程度に差は見られませんでしたが、大脳白質病変は便秘がある人のほうが1.65倍速く進行していたことが判明しました。 研究グループは「この研究の対象者は少ないため、統計的な結果としてはまだ不十分だ。今後は、より大規模な研究をおこなって結果を確認したい」としています。

2023/01/19

#介護予防 #最新研究

高齢者でも「タンパク質+運動」で筋肉量が増加!要介護を防ぐ習慣を

新たな研究で、タンパク質を適切に摂取しながら筋力運動をおこなった高齢者は、筋肉量が増えて介護が必要な状態になりにくくなる可能性が示されました。 この研究は関西医科大学と日本ハムが共同で実施したもの。研究結果は「日本健康医学会雑誌」という医学誌に掲載されています。 対象者にタンパク質と運動機会を提供 今回の研究は、65歳以上の高齢者27人を対象に実施。対象者は、週2~3回、1日3時間の運動教室に参加。運動教室では、ストレッチ・有酸素運動・筋力トレーニング・リラクゼーションがおこなわれました。 また、タンパク質20gを含む食品を週4回、3ヵ月にわたって対象者に配布しています。 さらに、結果を比較するために、タンパク質を豊富に含んだ食品を与えず運動だけおこなう期間も3ヵ月設けられました。 タンパク質を補充しながら運動すると筋肉量が増加 調査の結果、タンパク質を食品で補充しながら運動した期間では、高齢者の筋肉量と握力が増加したことが判明。一方、タンパク質を補充せず運動だけおこなった期間では筋肉量と握力が低下しました。 高齢者の筋肉量が増えれば、ものを握れるようになったり、立つ座るなどの動作がスムーズになったりします。このように高齢者の筋肉量が増え、自分の筋肉で日常動作をおこなうことができれば、介護が必要な状態になるのを防げる可能性が高まります。 この結果を受けて、関西医科大学の西山利正氏は「タンパク質を摂取しながら適度な運動をすることで、高齢者の要支援・要介護度が戻ることがわかった。また、加工肉を食べても同時に継続的な運動をすることで、コレステロール値が悪くなったりすることもなかった」と話しています。 タンパク質の必要性 タンパク質は人体にとって不可欠だと言われていますが、それはどうしてでしょうか? それは、タンパク質が皮膚や筋肉、血管など生きるのになくてはならない部分を形成しているからです。 加えて、脳の機能をつかさどる神経細胞や、神経細胞に情報を伝達する物質もタンパク質からできています。そのため、タンパク質が不足した状態が続くと、脳の働きが悪くなって記憶力や集中力が低下するリスクが高まるのです。 このように、人が生きるのに欠かせないタンパク質。運動とともに毎日の生活に取り入れて、健康的な毎日を送りましょう。

2023/01/19

#最新研究 #認知症の薬 #認知症対策

認知症新薬「レカネマブ」が国内でも申請。症状の進行を7ヵ月半も抑制!?

以下の記事で、認知症の新たな治療薬「レカネマブ」がアメリカで承認されたことを伝えました。今回はその続報です。 2023年1月16日、製薬会社エーザイは、認知症の治療薬「レカネマブ」を厚生労働省に国内での製造・販売の承認を申請したことを明らかにしました。 「レカネマブ」は、エーザイとアメリカの製薬会社バイオジェンが共同で開発した新薬です。 認知症の新薬「レカネマブ」とは 認知症の新たな治療薬「レカネマブ」は、アルツハイマー型認知症の原因とされる異常なタンパク質を脳内から取り除く作用があります。 症状を一時的に抑えるしかなかった今までの治療薬と異なり、「レカネマブ」は原因物質に直接作用するため、長期的に認知症の進行を抑える効果が期待されているのです。 エーザイは、東京大学やイェール大学とともにアルツハイマー型認知症の早期患者およそ1800人を対象にした臨床試験を実施。2週間に1回、1年半にかけて対象者に「レカネマブ」を投与しました。 その結果、「レカネマブ」が認知症の進行を27%遅らせることが判明。これは、症状の進行を7ヵ月半遅らせることを意味します。 一方、すでに進行した病状を改善することはできないため、早期の認知症患者でなければ効果は薄いとされています。 また、医療関係者によると、脳浮腫や脳出血などの副作用も一部で報告されているため、「レカネマブ」を投与する対象は慎重に選ぶ必要があると言います。 エーザイが「レカネマブ」を承認申請 1月16日、エーザイは薬の審査や承認などをおこなう厚生労働省管轄の「医薬品医療機器総合機構」に「レカネマブ」製造と販売の承認を申請したことを発表しました。 アメリカではすでに承認を受けていて、ヨーロッパでも1月11日に申請を終えています。エーザイは、国内について2023年中の承認を目指したいとしています。

2023/01/18

#最新研究 #認知症予防

自然が多い地域に住むと認知症やパーキンソン病での入院リスクが低下!?

新たな研究で、居住地域の自然が豊かであるほど、認知症や動きが鈍くなったり手が震えたりするパーキンソン病の入院リスクが低下する可能性が示されました。 この研究は、アメリカのハーバード公衆衛生大学院によっておこなわれ、研究結果は「JAMA Netowork Open」という医学誌に掲載されています。 研究の概要 この研究の対象者は以下のとおりです。 アメリカの保険福祉省が提供する高齢者向けの保険サービス「メディケア」に加入している 65歳以上の高齢者である 2000年1月1日~2016年12月31日の期間にアメリカに住んでいた これらの条件に該当した研究の対象者数は、約6200万人です。 また、今回の研究にあたって、研究グループは対象者が住んでいた地域の自然環境も調査しています。調査した自然環境は以下のとおりです。 周囲にどれだけ植物が生えているか(緑地面積) 公園の割合 池などの水辺の割合 研究の結果 約6200万人分にも及ぶ対象者の医療データを解析した結果、居住地域の自然環境と、パーキンソン病や認知症の入院リスクは相関関係にあったことが明らかになりました。 パーキンソン病の入院リスクは、周囲の緑地面積、公園の割合、水辺の割合という今回の研究で用いられたすべての指標に関連性が見られました。 つまり、さまざまな植物が生えていたり、公園や水辺が多かったりする地域に住んでいる人のほうがパーキンソン病の入院リスクが低いことが判明したのです。 一方、認知症の入院リスクは周囲の緑地面積のみに関連性が見られました。言い換えると、公園や水辺の多さは認知症の入院リスクに関係ありませんでした。 今回の結果を踏まえ、研究グループは「今回の研究で、豊かな自然環境に身を置く高齢者のほうが、認知症やパーキンソン病の入院リスクが低下することがわかった。このことを踏まえ、政策決定者は高齢者の居住環境に対する政策アプローチを検討してほしい」としています。

2023/01/17

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介護付き有料老人ホームとは│提供されるサービス・費用・入居条件などを解説

介護付き有料老人ホームは、介護スタッフが24時間常駐している介護施設。介護サービスや身の回りの世話を受けられます。 この記事では、介護付き有料老人ホームの種類及び入居のための条件や必要な費用、サービス内容などを詳しく説明しています。 https://youtu.be/oK_me_rA0MY 介護付き有料老人ホームの特徴 介護付き有料老人ホームとは、有料老人ホームのうち、都道府県または市町村から「特定施設入居者生活介護」の指定を受けた施設です。24時間介護スタッフが常駐し、介護や生活支援などは施設の職員により提供されます。 主に民間企業が運営しているため、サービスの内容や料金は施設ごとに異なります。また、入居基準も施設により異なり、自立している方から介護が必要な方まで幅広く受け入れている施設も。選択肢が幅広いため、自分に合った施設を選ぶことができます。 看取りまで対応している施設も多数あり、「終の棲家(ついのすみか)」を選ぶうえでも選択肢のひとつとなります。 全体の概要をまとめるとこのようになります。 費用相場 入居時費用 0~数千万円 月額利用料 15~30万円 入居条件 要介護度 自立~要介護5※1 認知症 対応可 看取り 対応可 入居のしやすさ ◯ ※施設の種類によって異なります。 特定施設入居者生活介護とは 特定施設入居者生活介護は、厚生労働省の定めた基準を満たす施設で受けられる介護保険サービスです。ケアマネジャーが作成したケアプランに基づき提供される食事や入浴・排泄など介助のほか、生活支援、機能回復のためのリハビリなどもおこなわれます。指定を受けてこのサービスを提供する施設は、一般的に「特定施設」の略称で呼ばれています。 介護付き有料老人ホームの種類と入居基準 介護付き有料老人ホームには「介護専用型」「混合型」「健康型」の3種類があり、それぞれ入居条件が異なります。 介護度 ...

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グループホームとは|入居条件や費用、入居時に気をつけたいポイントを解説

認知症の方の介護は大変です。「そろそろ施設への入居を検討しよう」と思っても、認知症の症状があると、入居を断られてしまうのではと心配もあるでしょう。 グループホームは認知症高齢者のための介護施設です。住み慣れた地域で暮らし続けられる地域密着型サービスであり、正式な名称を「認知症対応型共同生活介護」といいます。 こちらの記事では、グループホームについて解説します。また、グループホームで受けられるサービスや費用、施設選びのポイントも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。 https://youtu.be/EofVO7MRRDM この記事を読めばこれがわかる! グループホームの詳細がわかる! グループホームを選ぶ際のポイントがわかる! グループホームへ入居する際の注意点がわかる! グループホームとは グループホームとは、認知症高齢者のための介護施設です。専門知識と技術をもったスタッフの援助を受けて、要支援以上の認知症高齢者が少人数で共同生活をおくります。 「ユニット」といわれる少人数のグループで生活し、入居者はそれぞれ家事などの役割分担をします。 調理や食事の支度、掃除や洗濯など入居者の能力に合った家事をして自分らしく共同生活を過ごすところが、ほかの介護施設や老人ホームとは異なるポイントです。 グループホームの目的は、認知症高齢者が安定した生活を現実化させること。そのために、ほかの利用者やスタッフと協力して生活に必要な家事を行うことで認知症症状の進行を防ぎ、できるだけ能力を維持するのです。 グループホームは少人数「ユニット」で生活 グループホームでは「ユニット」と呼ばれるグループごとに区切って共同生活を送るのが決まり。1ユニットにつき5人から9人、原則1施設につき原則2ユニットまでと制限されています。 少人数に制限する理由は、心穏やかに安定して過ごしやすい環境を整えるため。環境変化が少なく、同じグループメンバーで協力して共同生活することは、認知症の進行を防ぐことに繋がります。 認知症の方にとって新しく出会う人、新しく覚えることが難しいので、入居者やスタッフの入れ替わりが頻繁にある施設では認知症の高齢者は心が落ち着かず、ストレスを感じ生活しづらくなってしまいます。その結果、認知症症状を悪化させるだけでなく、共同生活を送る上でトラブルを起こすきっかけとなります。 慣れ親しんだ場所を離れて新しい生活をするのは認知症の方には特に心配が尽きないもの。その心配を軽減するため、より家庭にできるだけ近づけ、安心して暮らせるようにしています。 グループホームの入居条件 グループホームに入居できるのは医師から「認知症」と診断を受けている方で、一定の条件にあてはまる方に限ります。 原則65歳以上でかつ要支援2以上の認定を受けている方 医師から認知症の診断を受けている方 心身とも集団生活を送ることに支障のない方 グループホームと同一の市町村に住民票がある方 「心身とも集団生活を送ることに支障のない」という判断基準は施設によって異なります。入居を希望している施設がある場合には、施設のスタッフに相談しましょう。 また、生活保護を受けていてもグループホームに入ることは基本的には可能です。しかし、「生活保護法の指定を受けている施設に限られる」などの条件があるので、実際の入居に関しては、行政の生活支援担当窓口やケースワーカーに相談してみましょう。 グループホームから退去を迫られることもある!? グループホームを追い出される、つまり「強制退去」となることは可能性としてゼロではありません。一般的に、施設側は入居者がグループホームでの生活を続けられるように最大限の努力をします。それでも難しい場合は、本人やその家族へ退去を勧告します。「暴言や暴力などの迷惑行為が著しい場合」「継続的に医療が必要になった場合」「自傷行為が頻発する場合」etc。共同生活が難しくなった場合には追い出されてしまうこともあるのです グループホームで受けられるサービス グループホームで受けられるサービスは主に以下です。 生活支援 認知症ケア 医療体制 看取り それぞれ詳しく見てみましょう。 生活支援 グループホームでは以下の生活面でのサービスを受けられます。 食事提供 :◎ 生活相談 :◎ 食事介助 :◎ 排泄介助 :◎ 入浴介助 :◎ 掃除・洗濯:◯ リハビリ :△ レクリエーション:◎ 認知症を発症すると何もできなくなってしまうわけではなく、日常生活を送るだけなら問題がないことも多いです。 グループホームには認知症ケア専門スタッフが常駐しています。認知症進行を遅らせる目的で、入居者が専門スタッフの支援を受けながら入居者の能力(残存能力)に合った家事を役割分担して自分たち自身でおこないます。 食事の準備として買い出しから調理、配膳、後片付けまで、そして洗濯をして干すといった作業や掃除も、スタッフの介助を受けながら日常生活を送ります。 グループホームでは、入居者の能力(残存能力)に合った家事を役割分担して自分たち自身でおこなうことになります。 例えば、食事の準備として買い出しから調理、配膳、後片付けまで。また、そして洗濯をして、干すまで…など。そのために必要な支援を、認知症ケアに長けた専門スタッフから受けられるのが、グループホームの大きな特徴です。 グループホームは日中の時間帯は要介護入居者3人に対して1人以上のスタッフを配置する「3:1」基準が設けられています。施設規模によっては、付き添いやリハビリなどの個別対応が難しいので、入居を検討する際は施設に確認しましょう。 認知症ケア 施設内レクリエーションやリハビリのほかに、地域の方との交流を図るための活動の一環として地域のお祭りに参加や協力をしたり、地域の人と一緒に公園掃除などの活動を行う施設も増えてきました。 グループホームとして積み上げてきた認知症ケアの経験という強みを活かし、地域に向けた情報発信などのさまざまな活動が広がっています。 地域の方と交流する「認知症サロン」などを開催して施設外に居場所を作ったり、啓発活動として認知症サポーター養成講座を開いたりするなど、地域の人々との交流に重きを置くところが増えています。 顔の見える関係づくりをすることで地域の人に認知症について理解を深めてもらったり、在宅介護の認知症高齢者への相談支援につなげたり。 こうした活動は認知症ケアの拠点であるグループホームの社会的な価値の向上や、人とのつながりを通じて入所者の暮らしを豊かにする効果が期待できます。 医療体制 グループホームの入居条件として「身体症状が安定し集団生活を送ることに支障のない方」と定義しているように、施設に認知症高齢者専門スタッフは常駐していますが、看護師が常駐していたり、医療体制が整っているところはまだまだ少ないです。 しかし近年、高齢化が進む社会の中で、グループホームの入居者の状況も変わってきています。 現在は看護師の配置が義務付けられていないので、医療ケアが必要な人は入居が厳しい可能性があります。訪問看護ステーションと密に連携したり、提携した医療機関が施設が増えたりもしているので、医療体制について気になることがあれば、施設に直接問い合わせてみましょう。 看取り 超高齢社会でグループホームの入所者も高齢化が進み、「看取りサービス」の需要が増えてきました。 すべてのグループホームで看取りサービス対応しているわけではないので、体制が整っていないグループホームの多くは、医療ケアが必要な場合、提携医療施設や介護施設へ移ってもらう方針を採っています。 介護・医療体制の充実度は施設によってさまざまです。介護保険法の改正が2009年に行われ、看取りサービスに対応できるグループホームには「看取り介護加算」として介護サービスの追加料金を受け取れるようになりました。 看取りサービスに対応しているグループホームは昨今の状況を受け増加傾向にあります。パンフレットに「看取り介護加算」の金額が表記されているかがひとつの手がかりになります。 グループホームの設備 グループホームは一見、普通の民家のようで、家庭に近い雰囲気が特徴ですが、立地にも施設基準が設けられています。 施設内設備としては、ユニットごとに食堂、キッチン、共同リビング、トイレ、洗面設備、浴室、スプリンクラーなどの消防設備など入居者に必要な設備があり、異なるユニットとの共有は認められていません。 入居者の方がリラックスして生活できるように、一居室あたりの最低面積基準も設けられています。このようにグループホーム設立にあたっては一定の基準をクリアする必要があります。 立地 病院や入居型施設の敷地外に位置している利用者の家族や地域住民と交流ができる場所にある 定員 定員は5人以上9人以下1つの事業所に2つの共同生活住居を設けることもできる(ユニットは2つまで) 居室 1居室の定員は原則1人面積は収納設備等を除いて7.43㎡(約4.5帖)以上 共有設備 居室に近接して相互交流ができるリビングや食堂などの設備を設けること台所、トイレ、洗面、浴室は9名を上限とする生活単位(ユニット)毎に区分して配置 グループホームの費用 グループホーム入居を検討する際に必要なのが初期費用と月額費用です。 ここからは、グループホームの入居に必要な費用と、「初期費用」「月額費用」それぞれの内容について詳しく解説していきます。 ...

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【動画でわかる】有料老人ホームとは?費用やサービス内容、特養との違いは

介護施設を探している中で「老人ホームにはいろいろな種類があるんだ。何が違うんだろう?」と疑問を感じることがあるかもしれません。 そこで今回は、名前に「老人ホーム」とつく施設の中でも、「有料老人ホーム」を中心に紹介。よく似ている「特別養護老人ホーム」との違いも見ていきます。 「老人ホームの種類が多すぎて訳がわからない」と思ったら、ぜひ参考にしてみてくださいね。 https://youtu.be/eMgjSeJPT8c 有料老人ホームの種類 有料老人ホームには、以下の3種類があります。 介護付き有料老人ホーム 住宅型有料老人ホーム 健康型有料老人ホーム この3種類の違いを以下にまとめています。 種類 介護付き有料老人ホーム ...

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