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厚生労働省は、行政の企画や立案に必要な資料を得ることを目的に、「国民生活基礎調査」を実施。2023年7月4日にその結果を公表しました。 全国の国民を対象に調査をしたところ、65歳以上の高齢者のみ、または65歳以上の高齢者と18歳未満の子どもで構成される「高齢者世帯」では、その約半数が年金のみで生活していることが明らかになりました。 高齢者世帯の平均所得は300万円台 調査によると、2021年時点での1世帯当たりの平均所得は546万円であることが判明。2020年の平均所得が564万円だったことを踏まえると、大きく低下していることがわかります。 また、高齢者世帯の2021年における1世帯当たりの平均所得は318万円と、全年代の平均所得より大幅に下回っていることが明らかになりました。 さらに、各種世帯の貯蓄額についても調査しました。すると、1世帯当たりの平均貯蓄額は1368万円であることが判明。高齢者世帯では、平均して1604万円を貯蓄していることがわかりました。 一方、高齢者世帯のうち「ほとんど貯蓄がない」と回答した世帯は11.3%。「貯蓄がある」としたものの、その貯蓄額が50万円以下の世帯も3.4%存在することが明らかになりました。 年金のみで生活している高齢者世帯が約半数 続いて、高齢者世帯が得ている所得の種類について調べてみると、「公的年金」が62.8%で最多に。それから「稼働所得」が 25.2%、「財産所得」が5.4%と続きました。 また、年金を受給している高齢者世帯のうち、44%が所得のすべてを年金から得ていることもわかりました。 国民年金の月額平均は約5万6000円、厚生年金では約14万4000円と言われていて、余裕をもって生活するのに十分な額とは言えないのが現状です。 特に、国民年金を払っている方は、もらう額を上げていけるように付加年金も入ったり、iDeCoで少しずつ積み立てたりといった対策をすると良いかもしれませんね。
2023/07/26
今年9月に公表された厚生労働省の調査によると、年金を受給する高齢者世帯で「公的年金・恩給の総所得に占める割合が100%の世帯」は24.9%であることがわかりました。 2019年の調査では年金が総所得に占める割合が100%の世帯は48.4%なので、たった2年間で年金だけで生活する高齢者はおよそ2世帯に1世帯から、4世帯に1世帯へと半減しています。 本日はこちらのデータを詳しく見ていきましょう。 国民生活基礎調査の概況 2021年の調査では、年金を受給する高齢者世帯の総所得のうち年金を占める割合で最も多いのが「80~100%未満の世帯」で3割強。一方で、約4割の世帯で年金が占める割合が80%未満となっています。 一方、2019年の調査では、年金だけで生活する世帯は約半数でした。比較をしてみると大きく変化したのは「100%の世帯」と「80~100%未満の世帯」です。 「100%の世帯」が23.5ポイント減り、「80~100%未満の世帯」が20.8ポイント増加していることが大きな変化になっています。 今回の調査から高齢者世帯の総所得における年金の割合は、大きく変化しつつあるということがわかりました。 高齢者世帯の所得はどのくらい? さて、高齢者世帯の所得は調査によるといくらになっているでしょうか。 2020年の高齢者世帯の所得は332万9000円。2018年は312万6000円だったので、以前よりも増加していることがわかります。 高齢者世帯の所得の内訳を見ると、年金が207万4000円、雇用者所得が58万7000円、財産所得が22万9000円、仕送り・企業年金・個人年金・その他の所得が28万8000円などとなっています。 年金以外にも、高齢者の収入源は多様であるというわけです。 何歳まで働くのか、いつから年金を受給するのかなど等さまざまな選択肢がある中で、高齢者の生き方は、今まさに変化のただ中にあるということがよくわかりますね。
2022/09/21
韓国の統計庁が、2020年の韓国の高齢者貧困率が38.9%だったことを発表しました。30%台に下がったのは初めてのことで、前年の2019年よりも2.5ポイント低下したそうです。 しかし、経済協力開発機構(OECD)加盟国の平均の約3倍にあたることから、韓国の高齢者の経済状況が悪いことに変わりはないようです。 貧困率が前年よりも減少するも… 韓国の日刊紙「中央日報」が「統計庁が2020年の韓国の高齢者貧困率を公表した」と報じました。 それによると、韓国の65歳以上の高齢者の相対的貧困率(その国の生活や文化を基準にした貧困率)は、38.9%。2019年よりも2.4%減少しており、30%台になったのは調査開始した2011年以降初めてのことです。 韓国の高齢者貧困率は、2011年の46.5%からは低下傾向にある様子。2016年には43.6%となり、2018年は42%まで減少しています。 とはいえ、先進国から見るとかなり高いと言わざるを得ません。 2019年のOECD加盟国の高齢者貧困率は平均13.5%なので、3倍近い数字であることがわかります。 ちなみに、日本の高齢者貧困率は20%。韓国ほどではないにしても、日本も平均よりも高いですね。 このように韓国や日本の高齢者貧困率が高い理由は、高齢化が進んでいることにあります。 2020年時点の高齢化率は、日本で28.4%、韓国で15.79%。当然、韓国の方が高齢者の割合は低いのですが、韓国はこの10年で毎年平均4.2%高齢者の人口が増えているそうです。日本は2.1%の増加率なので、日本の2倍の早さで高齢化が進んでいます。 さらに、韓国が年金制度を導入したのが他の先進国に比べて遅かったこともあり、制度の拡充が高齢化のペースに追いついていないのが現状のようです。 韓国と日本の年金については、こちらの記事でも紹介しています。 https://e-nursingcare.com/guide/news/news-3989/ 経済成長と社会保障の板挟み 韓国の高齢者貧困率の高さは「経済成長を急いだ反動」とも言われています。 というのも、韓国で年金制度の施行が遅れた理由は、経済成長を優先させたから。社会保障を充実させると企業の負担が増えるため、経済成長の足かせになると考えたようです。 しかし経済成長を優先した結果、セーフティネットの整備が遅れて高齢者の貧困率が高くなってしまいました。 そうした現状を見て、国の将来を支える若者が希望を持てなくなってしまっています。 ”今”の経済も重要ですが、”将来”の自分である高齢者が安心して暮らせる政策を実行してもらいたいですよね。
2022/03/10
今年4月から年金制度が改正され、65歳以上で働いている人の年金が増額されます。 それを受けて、日本マーケティングリサーチ機構がアンケートを実施。「年金制度が改正されて、65歳以上の労働者の年金が増えることを知らなかった」という回答が7割近くにのぼることがわかりました。 約7割は年金制度の改正を知らない! 今年4月から年金制度が改正されます。 それについて、多数の調査を手掛けてきた「日本マーケティングリサーチ機構」がアンケートを実施しました。 この調査は、全国の10~70代の男女にインターネット上でおこなわれたもの。1257人の回答を得ています。 まず、「年金制度が改正されて、65歳以上の労働者の年金が増えることを知っていたか」という質問には、知らなかった人が約66%、知っていた人は約34%という結果でした。 つぎに「年金制度の改正が決まる前から65歳以降も働こうと思っていたか」には、働こうと思っていた人は約30%、思っていなかった人が約30%、どちらでもない人が約40%でした。 最後に「年金制度が改正される事で65歳以降も働こうと思うか」に対しては、「元々働こうと思っていた」という回答が約30%、「改正するから働こうと思った」が約10%、「働こうと思わない」が約20%、「どちらでもない」が約40%でした。 少しでも労働力を確保するために 4月の年金制度の改正では、「在職定時改定」という制度が開始されます。 これは、「65歳以上の年金を受給しながら働く人の年金額を年1回再計算する」という制度。年金は加入している年数が長いほど受給額が増えますが、これまでは「年金の保険料の支払いをやめたとき」か「70歳になったとき」でないと受給額は増えませんでした。 これが在職定時改定によって受給額が年1回見直されることで、毎年受給額が増えるようになります。 つまり、働き続ける高齢者の経済的な支えが増えるということですね。 今回の調査では、年金制度の改正があまり知られていないことがわかりましたが、この結果については調査対象に偏りがあるかもしれません。 というのも、インターネット上でアンケートを取っているので、回答者が若い世代に集中して年金の関心の高い中高年の回答が少ない可能性があるからです。 そのため、「年金制度の改正の認知度が低い」という結果になったことも考えられます。 ただ、認知度の低さには年金制度の複雑さも関係しているでしょう。「年金を受給しながら働いたら、受給額が多くなる」ことの認知度を上げて、少しでも労働力の確保につなげることも必要なのかもしれませんね。
2022/03/03
今月2日、厚生労働省が生活保護についての調査結果を公表しました。これは、毎月発表しているもので、今回は2021年11月の生活保護の受給世帯数や申請人数を公開しています。 それによると、昨年11月の生活保護の受給世帯数・申請数はどちらも2020年の11月よりも増加していることがわかりました。 特に高齢者世帯の増加が目立つ 厚生省が2020年11月の「生活保護の被保護者調査」の結果を公表しました。 その結果、生活保護の申請数は2万193件で前年の11月に比べると2021件(10.6%)増加。生活保護の受給を開始した世帯数は18447世帯で、前年11月よりも1542件(9.1%)増加していることがわかりました。 ちなみに、前年の同じ月よりも増加しているのは、7ヵ月連続です。 また、生活保護を受けている世帯の半分以上を占めているのが、単身高齢者世帯です。昨年11月は83万6937世帯が生活保護を受給しており、2020年11月よりも7890世帯も増加しています。 前年同月と比べた増加数で最も多いのが、この単身高齢者世帯。高齢者以外の世帯の増加数は1263世帯のため、高齢者の貧困が進んでいることがわかります。 やっぱり年金だけでは生活できない! 今回の調査で、生活保護の申請数と受給世帯数が増加傾向であることがわかりました。これについて厚生省は、「2020年11月は新型コロナの感染者数が落ち着いた時期だったが、雇用情勢悪化の影響が長引いていたとみられる」と見解を述べています。 生活保護を受けている世帯でも高齢者の貧困が依然として課題となっており、生活保護を受給している世帯の半分以上が単身高齢者世帯です。 なぜ、一人暮らしの高齢者が貧困になりやすいのかというと、年金だけでは暮らしていけないためです。 例えば2019年の厚生年金の受給額の平均は、男性が月17万1305円、女性は月10万8813円。総務省の調査では、単身高齢者の生活費は月15万1,800円とのことなので、男性の平均年金額であればなんとか生活できる金額ですが、女性の一人暮らしでは、貯金や収入がなければ生活すらできないのが現状のようです。 しかし、高齢になるほど身体的にも働くのは難しくなります。それに病気や怪我も多くなり、通院や入院で想定外の出費が増えることもあるでしょう。 こうした状況は、誰にでも起こり得ることです。そのため早いうちから貯金はもちろん、健康管理も必要と言えそうです。
2022/02/04
厚生労働省が、今年度より年金支給額を0.4%引き下げることを発表しました。6月に支給される4月分から適用されるとのことです。 具体的には、保険料を40年間納付している場合、国民年金は6万4816円と昨年より259円のマイナス、厚生年金は夫婦2人の場合は21万9593円と昨年より903円のマイナスとなります。 2年連続の引き下げに… 今月21日、厚生労働省は2022年度の年金支給額を引き下げることを発表しました。2022年度は、2021年度から0.4%の引き下げとなります。 この年金支給額は、過去1年間の物価変動率と過去3年間の賃金変動率に応じて、毎年改定されています。そのため今回の改定は、21日に総務省が公表した昨年度の「全国消費者物価指数」を受けての改定となります。 具体的な金額は、40年納付している場合、国民年金は昨年より259円、厚生年金は夫婦2人の場合は昨年より903円の減額です。つまり、年間では国民年金は3108円、厚生年金は1万836円のマイナスされることになります。 また、年金支給額の引き下げがおこなわれるのは2年連続。2020年度から2021年度の引き下げよりも大きく減額です。2020年と比べると2022年度は、国民年金は月325円、年3900円のマイナス。厚生年金は月1131円、年1万3572円も減額することになります。 ”値上げラッシュ”中の年金減額 今回の年金支給額の引き下げは、昨年度の現役世代の賃金や物価の変動を受けての改定です。 しかし、昨年末から今年にかけて、小麦粉や冷凍食品などの多くの食料メーカーが値上げを発表しています。さらに大手電力・ガス会社ですでに値上げを実施しています。今の段階でも、家計のやりくりに頭を抱えている人もいるのではないでしょうか。 こうした支出が増えることがわかり切っている状況で、今回の年金支給額の減額。多くの家計に大きなダメージを与えることになるかもしれません。
2022/01/24
厚生労働省が『令和2年度厚生年金保険・国民年金事業の概況』を発表しました。そこでは最新の公的年金被保険者数や、年金受給額も明らかにされています。 特に厚生年金は都道府県ごとの受給額に違いがあり、最も受給額が高い神奈川県と最も低い青森県では年間50万円以上の差があります。いずれにしても老後に必要な生活費と比べると、心もとない金額であることは確か。安心して生活できるように、早めの資産形成をしておきましょう。 受給額は都道府県ごとに大きな差が まずは都道府県ごとの年金受給額を見ていきましょう。厚生年金の受給額が最も多いのは神奈川県で16万6270円。以下、千葉県と東京都が続いています。対して最も受給額は少ないのは青森県の12万2189円。続いて、秋田県と宮崎県がワースト2位と3位でした。 最も受給額が多い神奈川県と最も少ない青森県では、月に4万円以上、年間で考えると50万円以上も違いがあることに…。厚生年金の受給額は会社員時代の収入額によって変わるため、厚生年金の受給額のランキングは、給与ランキングと近い結果となっています。 続いて国民年金の受給額についても見てみましょう。 1位は富山県の5万9,949円。2位は福井県、3位は島根県という結果です。一方のワースト1位は沖縄県の5万2,206円。ワースト2位は青森県、ワースト3位は大阪府でした。 最も受給額が多い富山県と、最も少ない沖縄県では月7,743円の違いがあり、年間では9万2916円の差額。国民年金の保険料は一律のため、納付率などで差額が出ていると考えられます。 年金はゆとりある生活には足りない金額 全国平均を見てみると、厚生年金は月14万6,145円、国民年金は月5万6,358円という結果。実際のところ、この年金額は老後に安心して暮らせる金額なのでしょうか。 総務省が発表している『家計調査年報(家計収支編)2019年(令和元年)結果の概要』によると、老後の夫婦2人世帯の生活費は平均27万929円、単身世帯では平均15万1,800円。この金額と平均受給額を比べると、心もとないと言わざるを得ません。 豊かな老後のために、早めの準備を もちろん、物価や生活スタイルの違いなどもあるので一概には言えませんが、現実的には年金だけで生活していくのは難しいでしょう。 定年後に「時間にゆとりができたから旅行にでも行こうか」と考えていても、お金に余裕がなければ実現はできません。豊かな老後のために資産形成は早めにしておかないとですね。
2022/01/11
介護施設への入居について、地域に特化した専門相談員が電話・WEB・対面などさまざまな方法でアドバイス。東証プライム上場の鎌倉新書の100%子会社である株式会社エイジプラスが運営する信頼のサービスです。