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新たな研究で、コーヒーを1日に1杯多く飲むだけで、糖尿病の発症リスクが4~6%低下する可能性が示されました。 この研究はオランダのエラスムス・ロッテルダム大学医療センターなどの研究グループによっておこなわれ、その研究結果は「Clinical Nutrition」という学術誌に掲載されています。 コーヒーで糖尿病の発症リスクが低下 研究グループは、40~69歳の中高年を対象にしたイギリスの大規模研究「英国バイオバンク」に参加した14万5368人と、オランダで1990年代に始められた「ロッテルダム研究」に参加した7111人の医療データをそれぞれ解析しました。 その結果、コーヒーを飲む量を1日1杯増やすと、糖尿病の発症リスクが4~6%低下する可能性が示されたのです。 また、コーヒーをよく飲んでいる人には、以下のような反応が見られることも明らかになりました。 糖の代謝を促すホルモンであるインスリンの働きが活発になる 体の炎症度合いを示すCRPが低下する 食欲をコントロールするホルモンで、脂肪が増えるに従い放出量も増えるレプチンの値が減少する 抗炎症作用やインスリンの働きを高める作用があるアディポネクチンの値が上昇する 特に、コーヒー豆を挽いて入れるドリップコーヒーやエスプレッソには、強い抗炎症作用があることが示されました。 カフェインの過剰摂取に要注意 コーヒーにはさまざまな効能があると言われています。しかし、コーヒーにはカフェインが含まれていることを忘れてはなりません。 農林水産省によると、カフェインを摂りすぎると、興奮、不安、不眠、めまい、下痢、吐き気などの症状が引き起こされることがあるそうです。そのため、特にカフェインに弱い体質の人や妊婦の人などは、カフェインの摂取量に注意する必要があります。 農林水産省はカフェインの過剰摂取を防ぐために、カフェインの含有量を確認してカフェインが含まれる飲料を飲みすぎないようにしてほしいと注意を呼びかけています。 最近では、カフェインがほとんど入っていないカフェインレスコーヒーなども販売されています。カフェインが弱い人などはこういった商品を手に取ってみても良いかもしれませんね。 参考:「カフェインの過剰摂取について」(農林水産省)
2023/04/20
新たな研究で、聴力が低下した高齢者の孤独感が要介護状態を引き起こす可能性が示されました。 この研究は、国立長寿医療研究センターの研究グループによっておこなわれ、その研究結果は「JAMA Otolaryngology-Head & Neck Surgery」という学術誌に掲載されています。 およそ5000人の高齢者を対象に調査を実施 今回の研究は、国立長寿医療研究センターがおこなっている大規模研究「NCGG–SGS」に参加した、愛知県東海市在住で65歳以上の高齢者のうち、本研究の参加基準を満たした4739人を対象に実施。聴力低下の度合いによってグループ分けをし、孤独感と要介護状態の新規発生との関連を分析しました。 ちなみに、孤独感はカリフォルニア大学が考案した「孤独感尺度」を用いて「自分は周囲から孤立していると思うか」「周囲に人がいるけれど、自分とは一緒にいないと感じるか」などの質問で評価しました。 聴力低下と孤独感は要介護状態を招く 調査の結果、要介護状態の新規発生率が聴力低下のないグループでは4.5%だったのに対し、聴力低下のあるグループでは8.3%と、要介護状態になっている人の割合が大幅に高いことが明らかになりました。 また、最初の調査から2年後に、孤独感と要介護状態の新規発生との関連性を調べたところ、聴力低下のないグループでは孤独感と要介護状態の新規発生との関連性は見られなかったことが判明。一方で、聴力低下のあるグループでは、孤独感がある人はそうでない人に比べて、およそ1.7倍多く要介護状態の新規発生が見られたことがわかりました。 このように、孤独感が要介護状態につながることが示されました。では、どんな人が孤独を感じやすいのでしょうか? 研究グループが統計的に分析した結果、以下の要素を持っている人はより孤独を感じやすい傾向にあることが判明しました。 男性 教育年数が少ない 現在は仕事をしていない 一人暮らしである 運動習慣がない 難聴の重症度が高い うつ傾向である 別の研究では、聴力低下によってコミュニケーションが阻害されることで、高齢者に孤独感をもたらすことが示されています。このように聴力低下と孤独感は密接に関係しているため、補聴器をつけるなど聴力を補うことが孤独感を和らげるのに有効かもしれません。
2023/04/12
2023年4月3日、筑波大学はアルツハイマー型認知症を早期に検出可能なモバイルアプリを開発したと発表。発話された音声から認知機能障がいの特徴を分析できるとしています。 この研究は筑波大学の医学医療系とIBM Reserch社の研究グループによっておこなわれ、その研究成果は「Computer Speech &Language」という学術誌に掲載されています。 認知機能障がいを判定するアプリを開発 今回、研究グループはアルツハイマー型認知症や、その前段階となる軽度認知障がいを判定できるモバイルアプリを開発しました。 このアプリでは、従来の認知機能検査をもとにした課題に音声で回答することで、アルツハイマー型認知症や軽度認知障がいを患っている人に見られる特徴的な音声を検出できるとしています。 アルツハイマー型認知症を90%の確率で判定可能 アプリを開発後、健常者43人、軽度認知障がいがある46人、アルツハイマー型認知症がある25人を集めて、音声データを収集。認知機能障がいがある人に見られる言語的特徴を自動的に推定できるかどうかを検証しました。 その結果、認知機能障がいがあると変化する語彙力や発話の情報量などの言語的特徴を、アプリが正確に推定できることが明らかになりました。 また、対象者の話し方の特徴も組み合わせても、軽度認知障がいを88%、アルツハイマー型認知症を91%と高い確率で検出可能なことがわかりました。 研究グループは「このようなツールは認知症などの認知機能障がい以外にも、うつ病や統合失調症などの言語的変化をともなうような精神疾患にも転用できる。また、疾患の進行度や治療の効果の測定にも役立つだろう」と述べました。 調べるべき項目が多数あるため認知症の診断は難しく、多くの時間を費やします。今回のアプリのように簡単に認知症の診断ができるようになれば、より速やかに適切な支援につなげられそうですね。
2023/04/07
新たな研究で、「うま味」を料理に有効活用すれば、成人の1日あたりの食塩摂取量を大幅に減らせる可能性が示されました。 この研究は、東京大学の研究グループによっておこなわれ、その研究結果は「BMC Public Health」という学術誌に掲載されています。 日本食と食塩 食塩の摂りすぎは高血圧などの慢性疾患を引き起こすと言われています。そのため、塩分過多な食事は控える必要があります。 ただ、日本人の塩分摂取量は世界的に見ても特に高いのが現状。日本政府による国民健康づくり運動「健康日本21」の目標塩分摂取量は1日8g、WHOの推奨値は1日5gとされていますが、日本人の平均塩分摂取量は1日10g以上と、目標値を大幅に上回っています。 そこで研究グループは、和食で用いられる「うま味」に着目。うま味を有効活用することで、塩分摂取量をどれだけ削減できるかを調べることにしたのです。 うま味の有効活用で食塩摂取量が減少 東京大学の研究グループは、おいしさを損なわない程度にうま味成分を塩分の代わりにした場合において、1日の塩分摂取量がどう変化するかを国民健康・栄養調査のデータを用いて検証しました。 その結果、成人の1日あたりの塩分摂取量が7.7~8.7gほどに抑えられる可能性が示されたのです。これは、現状と比較して12.8~22.3%の減塩に相当します。 研究グループは「うま味成分は、減塩食品の開発と普及のために必要な技術革新となりえる。食品科学者や政策立案者、一般消費者が協力して、食塩摂取量を減らしていく努力をする必要がある」としています。 和食には健康的なイメージがありますが、しょうゆや塩など塩味に頼った味付けが多いのも事実。毎日の健康を保つためにも、減塩食品を活用してみてはいかがでしょうか。
2023/03/31
新たな研究で、アルツハイマー型認知症による視覚障がいを抑制する、新たな脂肪酸が開発されたことが明らかになりました。 この研究は、イリノイ大学の研究グループによっておこなわれたものです。 認知症にともなう視覚障がいについて ミシシッピ州立大学に所属するケンドラ・ファロー氏によると、アルツハイマー型認知症にかかると、視力はまだ残っている状態でも周辺の視野が失われるなどの視覚障がいをともなうことが多いと言います。脳が侵されることで、視覚情報を処理できなくなるのだそうです。 また米国眼科学会によれば、アルツハイマー型認知症にともなう視覚障がいには以下の症状がよく現れると言います。 奥行きが知覚しにくくなる 文章が読みにくくなる 色の判別が難しくなる 新たな脂肪酸で視覚障がいの症状が軽減 研究グループは実験の中で、オメガ脂肪酸の一種であるドコサヘキサエン酸(DHA)の新しい型を発見したことを明かしました。 ところで、DHAというと魚やそれに由来するサプリメントに含まれるイメージがあるのではないでしょうか。ただ、それらに含まれている従来型のDHAでは、網膜まで届かないことがわかっています。 一方、今回研究グループが発見したDHAは網膜まで作用することが判明。研究グループがおこなったマウスを使った実験によると、マウスにこの脂肪酸を接種することで、網膜に存在する脂肪酸の量が増加し、視覚障がいの症状が軽減したことが明らかになったのです。 研究グループは今後、さらなる調査をおこなっていくとしています。 この研究がさらに発展し、人間にまで応用できればアルツハイマー型認知症にともなう視覚障がいの症状を緩和できるようになる可能性があります。今後の研究に注目ですね。
2023/03/30
新たな研究で、糖尿病の人が歯を失うと認知機能の低下速度が早まる可能性が示されました。 この研究はアメリカのニューヨーク大学によっておこなわれ、その研究結果は「Journal of Dental Research」という学術誌に掲載されています。 約1万人に上る高齢者の医療データを分析 研究グループは、ニューヨーク大学がおこなっている「就労や定年退職と健康に関する研究(HRS)」で蓄積された医療データを分析。対象となったのは、2006~2018年にHRSに登録された65歳以上の高齢者9948人です。 また研究グループは、研究開始時とそれから2年ごとに対象者の認知機能を評価。糖尿病の有無と歯の有無によって対象者をグループ分けして、認知機能の変化を追いました。 歯を失った糖尿病患者は認知機能の低下速度が早まる 研究の結果、糖尿病を患い歯も失った65~84歳の高齢者は、健康な同じ年齢層の高齢者に比べて、認知機能がより低下していたことが判明。また、糖尿病を患っていて歯が健康な高齢者と、糖尿病は患っていないが歯を失った高齢者についても、認知機能の急速な低下が見られたことが明らかになりました。 一方、85歳以上の高齢者は、糖尿病や歯を失った状態と認知機能の相関性は見られませんでした。この理由について研究グループは、糖尿病と歯を失った状態が併存している人はすでに死亡していたり、認知機能が大きく低下していたりする人が多いからではないかと推測しました。 なぜ、歯を失った状態にある人は認知機能がより低下しやすくなるのでしょうか? 研究グループによると、歯周病を起こす一部の細菌が認知機能に影響を及ぼす可能性があるとのこと。また、歯を失って十分な量の食事が取れなくなり、栄養状態が悪くなりやすいことも認知機能の低下を招く原因だと考えられるそうです。 今回の研究を主導したニューヨーク大学看護学部に所属するベイ・ウー氏は「米国糖尿病学会も糖尿病患者の歯科治療を推奨しているように、高齢者、特に糖尿病患者の歯科治療は非常に重要だ」と述べました。 もし、すでに多くの歯を失っている高齢者でも、入れ歯や口腔内を常に清潔に保つことで認知機能の低下を防げる可能性があります。入れ歯を洗ったりうがいを小まめにしたりして、健康な毎日を送りましょう。
2023/03/30
アメリカでおこなわれた大規模研究で、ジュースやエナジードリンク、加糖コーヒーなど、高カロリーの清涼飲料を飲みすぎると、糖尿病や肥満のリスクが高まることが示されました。 この研究は、アメリカのトロント大学とハーバード大学の研究グループによって実施され、その研究結果は「American Journal of Clinical Nutrition」という学術誌に掲載されています。 高カロリー飲料が体重増加を引き起こす 研究グループは、高カロリー飲料と体重増加の関連などを調べた85件の先行研究を分析。対象者は50万人以上に上りました。 先行研究を分析した結果、ジュースやエナジードリンクなどの高カロリー飲料を1日1回340g飲むだけで、体重が1年間で平均して0.83kg増加することが明らかになったのです。また、10年以上飲み続けると、体重は2.3kgほど増加することもわかりました。 一方、高カロリー飲料を飲まないようにすると、体重が年間0.49kg減少することも示されました。 以上の結果を受けて、トロント大学栄養学科に所属するヴァサンティ・マリク氏は「高カロリー飲料を飲むのをやめれば、加齢にともなう体重増加を防げる可能性がある。もちろん、大人だけでなく子どもにも高カロリー飲料を飲むことを制限すれば、より健康的な生活スタイルを実現できるだろう」と述べました。 運動不足が重なるとインスリンの働きも低下 アメリカのミズーリ大学がおこなった別の研究では、糖質の取りすぎに加え、運動不足が重なると糖の代謝を促すインスリンの働きも低下することが示されました。 研究グループは、36人の健康な男女を対象に10日にわたり調査を実施。1日の歩数を1万歩から5000歩に減らし、 糖質が多く含まれる高カロリー飲料を1日6缶飲む生活をしてもらいました。 その結果、特に男性で糖の代謝を促すインスリンの働きが悪くなり、糖尿病のリスクが高まる可能性が示されたのです。さらに、脚の血流量や心血管疾患の重要な指標である「アドロピン」と呼ばれるタンパク質の値も低下したことがわかりました。 高齢者は水分補給のために、スポーツ飲料を飲むことが少なくありません。しかし、スポーツ飲料も多くの糖質が含まれているため、飲みすぎると身体に悪影響を及ぼす可能性があります。 スポーツ飲料を飲む場合は、水で少し薄めてから飲むと良いかもしれませんね。
2023/03/27
新たな研究で、抹茶にはうつ病を軽減する効果がある可能性が示されました。 この研究は、熊本大学の研究グループによっておこなわれ、その研究結果は「Nutrients」という学術誌に掲載されています。 うつ病について 「うつ病」について、「心に元気がない状態」などの大まかなイメージは持っている人も多いと思います。 では、医学的にはどう定義されているのでしょうか? 国立長寿医療センターによると、うつ病には次のような症状が見られるといいます。 気分が落ち込む 興味がわかない、もしくは喜べない 著しい体重減少や増加、食欲がわかないもしくは食欲がありすぎる 眠れない、もしくは眠りすぎる じっとしていられない、もしくは動く気力がない 疲れやすい 自分には価値がないと思い込む 物事に集中できない 死について繰り返し考えてしまう 以上の症状のうち、5つ以上に当てはまれば「うつ病」の可能性が高いとしています。 高齢者のうつ病の特徴 うつ病は年齢に関わらず誰にでも起こりうる病気ですが、アメリカの研究で65歳以上の高齢者の10%には、何らかのうつ病に近い精神障がいが見られるというデータがあったほど、高齢者はうつ病のリスクが高いと言われています。 その理由は大きく2つ。まず1つ目の理由は、年を重ねるにつれて糖尿病や高血圧、肥満などの糖尿病のリスク因子となる生活習慣病にかかりやすくなることが挙げられます。 もう1つの理由は、加齢に伴い心身の機能が低下することです。心身の機能が低下すると人に会うのもおっくうになり、社会的な孤独につながってしまうことも。人とのつながりが少なくなると、その孤独感からうつ病を発症しやすくなります。 抹茶に抗うつ効果が認められる 今回の研究で、熊本大学のグループは強いうつ状態にあるマウスに抹茶を飲ませて分析しました。その結果、マウスのうつ状態が緩和されたことから、抹茶に抗うつ効果がある可能性が示されたのです。 この結果を受けて、研究グループは「今後、抹茶を活用したメンタル不調に対する健康増進プログラムが開発されることが期待される」と述べました。 うつ病のようにメンタルが弱ってくると、気力のほとんどを失ってしまって何もしたくないと思う人も少なくありません。ただ、抹茶だったら飲むだけでいいので、より気軽に薬に頼らないメンタル回復ができるかもしれませんね。
2023/03/14
新たな研究で、早歩きなどの中強度の運動を1日15分間おこなうだけでも心臓病やがんなどの生活習慣病の予防や改善につながることが示されました。 この研究はイギリスのケンブリッジ大学によっておこなわれ、その研究結果は「British Journal of Sports Medicine」という学術誌に掲載されています。 1日15分の運動習慣が生活習慣病を予防 研究グループは94件の大規模研究を対象とした196件の論文を分析。対象となった研究参加者の人数は3000万人以上に上りました。 分析の結果、早歩きなどの中強度の運動を1日15分間おこなうだけで、心筋梗塞などの心血管疾患の発症リスクが17%、がんの発症リスクが7%低下することが明らかになったのです。 がんの部位別にみると、肺がんや肝臓がん、乳がんなどのリスクは3~11%、血液のがんである白血病などのがんのリスクは14~26%それぞれ低下したこともわかりました。 ケンブリッジ大学医学研究評議会に所属するジェームズ・ウッドコック氏は「運動は1日10分しかできない人であっても、毎日10分しっかり運動する習慣を続けていれば、その分、生活習慣病のリスクは減らせる」としています。 どんな運動が効果的か では、どんな運動が効果的なのでしょうか? ケンブリッジ大学医学研究評議会のソーレン・ブラージ氏によると、心拍数が上がり息も切れるが会話はできるくらいの強度が目安だと言います。具体的には、ダンスやサイクリング、ハイキングなどです。もし運動にウォーキングを取り入れるのであれば、なるべくきびきびと早歩きくらいの速さで歩くと良いそうです。 さらに「運動に慣れてきたら、少しずつ運動の時間と強度を上げていくとより効果が高められる」としています。 ブラージ氏は「何もしないより、少ない運動量であっても何か運動したほうがずっと良い」と言います。健康のためにも、自分にもできそうな運動を見つけて、それを長く続けていきたいですね。
2023/03/13
新たな研究で、糖尿病由来の認知症に特徴的な物質が発見されました。 この研究は、東京都健康長寿医療センターの研究グループによっておこなわれ、その研究結果は「Biochimica et Biophysica Acta -General Subjects-」という科学誌に掲載されています。 今回の研究に至った背景 糖尿病がある人は認知症を発症するリスクが高まることが知られています。それを防ぐためには、認知症の前段階に見られる症状、具体的には認知機能の低下を早期に発見する必要があります。 患者が、認知症の前段階の状態にあるかどうかを調べるのに役立つのが「バイオマーカー」。これは疾患の有無や病状の変化などを調べる際の目印となる物質で、主に血液から採取されていました。しかし、これまでのバイオマーカーを採取する方法では個人間のばらつきが大きいなどの課題がありました。 そこで研究グループは、個人差を減らすために新たな指標となる物質の研究を開始。東京都健康長寿医療センターと大阪大学が長期でおこなっている大規模調査「SONIC」と連携しました。 このSONICは、兵庫県と東京都の7市町村に住んでいる70歳、80歳、90歳、100歳を対象に、2010年から3年ごとの調査を実施している研究です。 今回の研究では、そのSONICの参加者から血糖値と認知機能検査のスコアをもとに研究対象者を選定しました。 糖尿病性認知症がある人に見られる物質を発見 研究対象者の血液サンプルを分析した結果、糖尿病由来の認知症を患っている人には、「シアル酸」(卵などに含まれる糖の一種)を物質構造内に含む特定の「糖ペプチド」(糖とアミノ酸が結合した物質の一種)が見られることが判明したのです。 この結果を受けて、研究グループは「この研究をさらに深めていけば、糖尿病が原因で起こる認知症を早期に発見し、糖尿病とその家族に光明をもたらせる」としました。 認知症はいかに早期に発見できるかで、認知症になった人の今後が大きく変わってきます。今回の研究がさらに発展していけば、認知症がより早期に発見でき、適切なケアにつなげていけそうですね。
2023/03/13
介護施設への入居について、地域に特化した専門相談員が電話・WEB・対面などさまざまな方法でアドバイス。東証プライム上場の鎌倉新書の100%子会社である株式会社エイジプラスが運営する信頼のサービスです。