看護師が常駐している施設であれば、インスリン注射の対応ができます。ただ、1日の注射回数が3回以上であれば、看護師が24時間常駐している施設でないと入居が難しいです。また、夜間の体調不良にも対応できるのかも事前に確認しましょう。
インスリン注射をしている父の老人ホームを探しています。インスリンを打っていても入れる老人ホームってありますか?
はい、ありますよ!お父様は1日に何回、注射を打っていますか?
たぶん、朝食前と夕食前の2回だと思います。自分で打っているので、はっきり把握していないのですが…。
自己注射されているんですね。施設に入居してからもご自分で注射する予定ですか?
いえ、高齢になって手元がおぼつかなかったり、注射忘れもたまにあるようなので、できれば施設の人に打っていただきたいです。
では、看護師さんが常駐している施設が良いですね。
看護師さんがいないとダメなんですか。看護師さんがいる施設ってあまり数がなさそうですが、介護職員さんはインスリン注射をしてくれないんですか?
インスリン注射は医療行為ですから、介護職員さんではできないんですよ。でも、看護師さんが日中常駐している施設はたくさんあるので、心配しなくても大丈夫ですよ。
ちなみに、入居後も自己注射を続ける場合であれば、看護師さんがいなくても大丈夫ですか?
うーん、大丈夫ではありますが、おすすめはしないですね…。
それはなぜ?
もしお父様が自己注射ができなくなったら、退去を求められるかもしれないからです。
しばらくは自己注射を続けられるということであれば別ですが、「もしかしたら自己注射ができなくなるかも」といった状態であれば、はじめから看護師さんが常駐している施設に入った方が転居の手間がなくて良いんじゃないでしょうか。
インスリン注射の対応ができる施設を探すときには、いくつかポイントがあります。
「看護師さんが常駐している」以外にもあるんですか?
はい。ただ、「看護師さんが常駐している」というのが一番のポイントですね。
まず気にしていただきたいのが、「注射の回数」と「看護師の勤務時間」なんです。
どういうことですか?
例えば、伊藤さんのお父様は朝食前と夕食前の1日2回のインスリン注射なので、日中だけ看護師さんが常駐している施設でも対応可能です。
「日中看護師常駐」としている施設では、基本的に午前9時から午後6時の間で看護師さんが勤務しています。なので、その時間だったらインスリン注射が打てるというわけです。
なるほど!では、注射の回数が多くなると入居できないということですね。
はい。就寝前に注射する必要がある場合は、看護師さんが24時間常駐している施設でないと対応は難しいです。
ただ、看護師さんが24時間常駐している施設は、日中だけ常駐している施設よりも少ないので、施設の選択肢が少なくなってしまう点は注意ですね。
そうなんですね。…他にも施設探しで注意するポイントはありますか?
あとは、「夜間の急変に対応できるか」ですね。
インスリンを投与している人は、空腹時や夜間に血糖値が下がりすぎてしまうことがありますから、看護師さんが日中だけ勤務している施設では看護師のオンコール体制があるか、医師との連携が取れるのかもチェックしておきましょう。
確かに、夜の急変は怖いですよね…。
あとは、「食事の調整ができるかどうか」も確認してください。
糖尿病の方は、カロリー制限や糖質制限などが必要なことが多いですから、そういった食事療法にも対応できる施設であることが大切です。
父も、糖質の量に気をつけるように病院から言われています。
医療サポートも食事療法も、糖尿病の人にとって重要なことですから、必ず事前に施設に確認してくださいね。
高齢の方の糖尿病治療で特に注意したいのは、低血糖ですね。
低血糖?血糖値が高いからインスリン注射を打っているんじゃないんですか?
実は、加齢によって薬が身体に溜まりやすくなるなどの理由で、高齢の方は若い方よりも薬が聞きすぎてしまう傾向があるんです。
しかも、高齢になると低血糖の症状が出ても感じにくくなります。なので、気が付いたときには重篤な状態になっていることも…。
そうなんですか!低血糖になると、どんな症状が出るんですか?
例えば、冷や汗や手足の震え、状態が悪化すると意識障害も起きます。
ただ、意識障害などの症状が認知機能の低下や認知症によるものと周りの人が勘違いしてしまうケースもあるので、やはり看護師さんが常駐している施設で健康管理をしてもらった方が良いでしょう。
今、父はひとり暮らしなので、体調管理がきちんとできているのか心配になってきました。
そうですよね。看護師さんのいる施設なら血糖値や体調管理もしてもらえるので、ご家族としても安心だと思いますよ。
インスリン注射だけでなく、毎日の健康管理もしてもらえる施設を探してくださいね。
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