まずは、お母様のお金から介護費用を捻出できるように考えましょう。もし、足りない場合にお子さんが分担して負担する方が、継続的に介護できるでしょう。
そのためには、まずはお母様の資産状況を把握しておくことが大切。貯金や年金などのお金、生命保険の契約状況などを把握して、いくらまでだったらお母様の財産から支払えるのかを見積もっておくんです。
また、介護が始まる前に介護の方針やメインの介護者について考えておいてください。他に御きょうだいがいる場合、事前に話し合っておくと介護が始まったときもスムーズに進められるでしょう。
82歳の母が実家で一人暮らしをしています。母はまだ元気ですし、介護が必要ではありませんが、年齢を考えると介護が始まるのも時間の問題だと思っています。
介護についてはいろいろと不安が多いのですが、一番気がかりなのがお金の問題。親の介護をしている友人から毎月かなり費用がかかっている、と聞きました。こういう介護のお金って子供が負担するものなんですか?
いえいえ、基本的にはお母様のお金から支払うのが良いでしょう。介護の費用と言えど、お母様の生活費用だからです。
ただ、お母様の貯金や年金だけでは足りない可能性があります。その場合は、お子さんが分担して支払うのが良いでしょう。
なるほど、足りない分だけ費用を出すので良いんですね!
介護ってどれくらい費用がかかるんでしょうか?母のお金から出すにしても、出費の目安を知りたくて。
そうですね…。介護費用は一人ひとり大きく異なる、というのが回答になってしまいます。要介護度や利用するサービスによってもかかるお金がかなり変わるからです。
とはいえ、参考になりそうな調査があります。「生命保険文化センター」が2021年におこなった調査では、介護にかかった費用の平均は8.3万円。在宅介護だと平均月4.8万円、施設入居だと平均月12.2万円と、在宅介護か施設介護かで大きく金額が異なります。
このグラフによると、月1~2万円で収まる場合もあれば、15万円以上かかる場合もあるんですね…。
介護にはいろいろと不安なこともあるでしょう。そうした不安も少しでも小さくするために、介護が本格的に始まる前に準備をしておきましょう。
準備ですか。どんなことをすれば良いんですか?
具体的には、以下のようなことです。詳しくお話ししていきますね。
介護費用をどうやって捻出するのか考えるために、まずは、お母様の資産状況を把握しましょう。
母の資産ですか…。といっても、年金くらいなものでしょうか。
いえいえ、以下のようなものについて把握しておくのと良いでしょう。
こんなに確認しておかないといけないことがあるんですね!
そうなんです。事前に確認しておけば、いざというときに安心ですから。お母様にノートなどにまとめて書き出しておいてもらうと良いでしょう。
お母様や他のご家族と介護の方針について、事前に話し合っておいてください。
介護の方針って、具体的にはどんなことを話し合えば良いんですか?
例えば、次の内容です。
特に、自宅で暮らし続けたいかや介護施設に入居したいか、といった点は介護をするうえで大きく影響します。急に介護が必要になり、ご本人やご家族の意思がはっきりしないままに介護が始まってしまうケースも少なくありません。
ご本人やご家族が後悔しない介護をするために、事前に介護の方針を話し合っておいてくださいね。
「主介護者」って何ですか?
介護を中心となっておこなう人のことです。他のご家族や御きょうだいがいる場合、中心となって介護をする人を1人決めておくことをおすすめします。
主介護者は、かかりつけ医やケアマネジャーさんと連携を取ったり、介護サービスの利用日や通院などのスケジュールを管理する役目。この役割を別の御きょうだいと分けて担当していると、連携を取るのに手間がかかるかもしれないんです。
「中心となって介護をする」と聞くと、たくさん介護をしないといけない気がしますが、そういうわけではないんですね。
そうですね。確かに、主介護者が実際に介護する割合が多い傾向にありますが、必ずしもそうしないといけないわけではありません。どちらかというと、医療機関や介護事業所が「この家族に連絡しておけば大丈夫」という人が主介護者と言えます。
もちろん、主介護者となる人は介護を受けている人の状況を把握しておく必要がありますから、お母様の近くに住むご家族がなるのが自然でしょう。
なるほど。となると、私になりますね。他のきょうだいは県外や遠方に住んでいるので、実家に通いやすい私が主介護者になった方が介護がしやすいと思います。
そういったご状況なら、寺田さんが主介護者になるのが良いでしょう。
ただ、主介護者といっても介護をすべて負担する必要はありません。他の御きょうだいにも「週末は介護してもらう」「介護ができないから多く費用を負担する」といった形で、分担してもらってくださいね。
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