Q&A
半月ほど前に母が亡くなり、実家に父が1人で残されてしまいました。父は80歳を超えていますが、体は元気だし頭もハッキリしています。が、家事を全部母に任せっきりだったせいで、家のことは何もできません。 こんな状態の父は一人暮らしできるでしょうか。母の葬式が終わってから1週間ほどは私が実家に残って身の回りの世話をしていたのですが、父に「もう良いから帰れ」と言われてしまって帰ってきました。 同居も考えましたが、自宅の広さを考えると難しくて…。今後、どのようにサポートしていけば良いでしょうか? (宮下さん・会社員・57歳) まずは、お父様の希望を確認しましょう。一人暮らしを続けたいのか、同居したいのか…。ご高齢ですから、介護が必要になったときのことも合わせて話し合えると良いですね。ご高齢者の一人暮らしには、転倒による怪我や低栄養、認知症や火の不始末による火事といったリスクがあります。お父様が一人暮らしをする場合は、一人暮らしのリスクを念頭に置いたうえで対策をとっていきましょう。 親の一人暮らしは手を出しすぎない方が良い 母が半月ほど前に亡くなり、父が実家で一人暮らしを始めました。ですが、これまで父は家事を母に任せきりで何もできない人です。なので、今後一人暮らしができるのかどうか…とても心配です。母の葬式が終わってから1週間は私が実家に残って父の世話をしていたのですが、父に「もう良いから帰れ」と言われてしまい、自宅に帰らされました。同居も考えたものの、夫や娘がいることもあって我が家で暮らすのはスペース的に難しいです。でも、やはり父の一人暮らしが心配で。父も80歳を超えているので何があるかわかりませんし…。これから、どうやって父をサポートしていけば良いでしょうか? ご高齢のお父様の一人暮らしは心配ですよね…。ですが、まずはお父様がどうしたいのかを確認しましょう。一人暮らしをしたいのか、宮下さんご家族と同居したいのか…。ほかにも「こうしたい」という考えがあるかもしれませんよ。 なるほど。不安が大きくて父の気持ちを聞いていませんでした。 今すぐに問題が起こりそうでなければ、手を出しすぎずにお父様の一人暮らしを見守ってみてはどうでしょうか?案外、これから家事を学んでつつがなく一人暮らしができるようになるかもしれませんよ。 確かに。あせっているのは私だけで、父は一人暮らしをなんとも思っていなさそうでしたね。しばらく様子見も良いのかもしれません。 老人ホームに入るのもアリ 「一人暮らし」と「同居」だけでなく、「老人ホームに入る」という選択肢もあります。施設探しのご相談を受けていても、親御さんが一人暮らしになってお子さんのご自宅近くの老人ホームを探す、というのは珍しくないんです。 老人ホームですか…。全然考えたことなかったです。でも、父はまだまだ元気ですし、老人ホームは早い気がするんですが…。 お元気な方向けの老人ホームがあるんです。例えば、サービス付き高齢者向け住宅や有料老人ホームなど、介護が必要のない方でも入居ができるところは数多くあります。宮下さんのご自宅近くの老人ホームにお父様が入居すれば頻繁に会いに行きやすいですし、ご家族としても安心できるのではないでしょうか。 高齢の親が一人暮らしをするリスク もしお父様が一人暮らしをすることを選択された場合、ご高齢者が一人暮らしをするリスクについて把握しておいた方が良いでしょう。 高齢者が一人暮らしをするとリスクはありますよね。具体的に教えてください。 ご高齢者の一人暮らしのリスクには、以下のようなものがあります。 転倒による骨折 低栄養 認知症 火の不始末 転倒による骨折 今後、足腰が弱ってきた場合、転倒のリスクが上がります。さらに転倒して骨折し、入院した場合、気力や筋力の低下につながる可能性も。筋力が低下すると歩けなくなって、移動に車椅子が必要になり、一気に介護が必要な状態となってしまうことも少なくないんです。それに、入院すると活動が制限されます。すると、外部の刺激がなくなって認知機能の低下のリスクも。入院がきっかけとなって認知症になるケースも珍しくないので、注意が必要です。 転倒から認知症になることもあるんですか!それは怖いですね…。 低栄養 一人暮らしのご高齢者は、食事の準備が億劫になって簡単に済ませてしまう傾向があります。出来合いのお惣菜やパンばかり食べていると、栄養が偏って低栄養状態になってしまう危険性も。低栄養状態になると、筋力や体力が落ちて介護が必要になるリスクもあるんですよ。 栄養状態が悪くなるのは、私も心配なんです。父は料理もろくにできませんし、お弁当やお惣菜を買ってきて済ませてしまうと思います。それが、介護が必要になるきっかけになってしまうんですね…。 認知症 一人暮らしをすると認知症になってしまうんですか!? 一人暮らしをすると、必ず認知症になるわけではありません。ただ、一人暮らしになって外部との交流がなくなったり活動が減ると、脳に刺激がなくなって認知症になるリスクが高くなると言われています。それに、一人暮らしだとご家族が認知症の初期症状を見逃しやすい傾向があります。認知症の初期症状とは以下のようなものです。以前と変わった様子がないか、ご家族が気をつけておきましょう。 何度も同じことを話す・尋ねる よく探しものをする 料理や買い物に手間取る お金の管理ができない 周りの出来事に関心がない 意欲がない、趣味をやめた 怒りっぽい 疑い深い 火の不始末 火の不始末も、ご高齢者の一人暮らしで気をつけたい点です。ガスコンロやストーブの消し忘れ、たばこの火を消しきれていないといったことから火事が起こる危険性があります。 確かに!高齢者がガスコンロの火を消し忘れて火事になる、というのは聞いたことがあります。注意しないと…。 親の一人暮らしはどうサポートする? 高齢者が一人暮らしするリスクについて聞いていたら、やっぱり父の一人暮らしが心配になってきました。家族でサポートできることって何かないんでしょうか? 一番のサポートは定期的な関わりを絶やさないことです。月に数回でも一緒に食事を摂ったり、電話をするのもおすすめです。頻繁に会話をしていれば生活や心身の変化にも気が付きやすいですし、何か困りごとがあるときに気軽に頼ってもらえる関係を築きやすいと思いますよ。 月に数回でも良いんですね。実家までそんなに遠くないので、私の負担にもならなさそうです。 また、転倒対策としてトイレや廊下など、転びやすいと思うところに手すりをつけるのも良いでしょう。もし、まだそこまで足腰が衰えていない場合は、不用品の整理をしておくことも転倒対策になります。 不用品整理が転倒対策になるんですか? はい。ご高齢者のお宅は物が多い傾向があります。あふれかえった物につまづいて転倒するケースが少なくないんです。それに一人暮らしだと物の管理も難しくなるでしょうし、物を減らした方が暮らしやすくなることもありますよ。火事の対策としては、ガスコンロやストーブなどを安全装置付きのものに変えるのがおすすめ。もし、お父様が料理をするつもりがないのであれば、ガスコンロではなく電子レンジや電気ケトルだけを使うようにしても良いでしょう。 なるほど…。今後、父が料理をする気があるかを聞いておく必要がありそうですね。なんにせよ、父がこれからどう生活していきたいかを確認してから、対策をとっていくのが大切ですね。 親の一人暮らしには手を出しすぎない方が良い 高齢者の一人暮らしは、転倒、低栄養、認知症などのリスクがある 定期的な交流、不用品の片付け、手すりをつけるといった支援をしよう pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: ...
2024/01/31
先週、認知症の父が勝手に家を出て迷子になり、警察に保護されました。家に一人でいるときのことだったので、できるだけ父を一人にしたくないのですが、家族が仕事や学校でいなくなるためどうしても平日は一人になる時間があります。 なので、そろそろ介護施設に入居させた方が良いと思って、近くの介護施設をネットで検索したところ、自宅の近くに「サービス付き高齢者向け住宅」という施設があることがわかりました。 サービス付き高齢者向け住宅というのは、認知症の父でも入居できるのでしょうか? (田辺さん・会社員・57歳) サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の中でも、認知症の方を受け入れているかどうかは施設によって大きく異なります。というのも、サ高住のほとんどは外部の介護事業所と契約して介護サービスを利用する形式。常に介護職員さんの見守りがあるわけではないので、転倒などによって怪我をするリスクがあります。そのため、認知症の方が入居するなら「有料老人ホーム」や「グループホーム」などの認知症の方の受け入れ体制が整っている施設を探すことをおすすめします。 サービス付き高齢者向け住宅は認知症でも入居できる? 父の認知症が進行して、一人で外出すると自宅に帰って来れなくなってしまいました。先週、隣町の交番で保護されたばかりです。一人で家にいるときに出かけてしまったのですが、どうしても平日の日中は家族が家を空ける時間帯ができてしまって…。なので、そろそろ介護施設に入居させることを検討しています。ただ、ネットで調べてみると近所だけでもいろんな種類の介護施設があるみたいで迷っています。家のすぐ近くに「サービス付き高齢者向け住宅」という施設があるようなのですが、この介護施設は認知症の父でも入居できるのでしょうか? うーん…。正直、サ高住が認知症の方を受け入れるかどうかは施設によって大きく異なります。入居を希望する方の認知症の状況によっては受け入れているサ高住もありますし、認知症の方を全く受け入れていないところもあるんですよ。 えっ、そうなんですか!同じ種類の施設でも、受け入れるかどうかは異なるんですね…。 もし、入居できたとしても認知症の方がサ高住で生活するのはリスクがあります。順番にお話ししていきますね。 認知症の人がサ高住に入居するリスク まず、サ高住には2つのタイプがあります。それは、「一般型サービス付き高齢者向け住宅」と「介護型サービス付き高齢者向け住宅」です。介護型サービス付き高齢者向け住宅は、正式には「特定施設入居者生活介護」と呼ばれる介護サービスです。詳しくは後でお伝えしますが、一般型よりも介護体制が整っているタイプのサ高住ですね。対して、一般型のサ高住は介護サービスを提供していません。一般型に入居して介護サービスを利用するには、外部の介護サービス事業者と契約する必要があります。 介護施設なのに、入居しても介護サービスを提供してくれないんですか? そうなんです。というのも、サービス付き高齢者向け”住宅”という名前の通り、サ高住は介護を提供する施設というよりも、「ご高齢者が生活しやすいような環境を整えた住宅」という位置づけ。基本的には介助が必要がないご高齢者を想定した施設なんです。なので、介護サービスを利用したいときは外部の訪問介護サービスやデイサービスを使うことになります。在宅介護サービスを、自宅ではなくサ高住の部屋で利用するようなイメージですね。 つまり、介護サービスを利用できないわけではないんですよね。じゃあ、父は介護サービスを利用しながら生活したら良いってことですよね。 はい、そのように生活している方もいらっしゃいます。ただ、介護が頻繁に必要な方の場合、介護サービス費がかさんでしまう可能性があります。サ高住の場合、介護サービスの費用は都度払い。介護保険の自己負担額の上限を超えてしまった分は、全額負担なんです。そのため、「想定よりもずっとお金がかかってしまった…」なんてことも。介護が常に必要な方は、あまりサ高住はおすすめできません。 えっ、あまりお金がかかるのは困ります。うーん、父さんの場合はどれくらいかかるんだろう? そこは、実際の介護の量によるので施設に相談する必要があり、私からは何とも言えませんね…。あともうひとつ、認知症の方がサ高住に入居するときに注意しておいていただきたいのは、サ高住は出入口に施錠がされていないことが多い点です。有料老人ホームなどの認知症ケアに対応している施設では、認知症の方が一人で外出して迷子になるのを防ぐために、玄関を施錠していることがほとんど。しかし、サ高住の場合、認知症ではない方が自由に外出できるように、施錠していないことが多いんです。 そうなんですね…。となると、父がサ高住で暮らすのは難しいかもしれないですね。もし、一人で出かけてしまったら、迷子になってしまうかもしれませんから。 認知症の人を受け入れられる「特定施設」とは 正直なところ、お父様の状況だと、ほとんどのサ高住で対応が難しいかもしれません。ただ、数は少ないものの、有料老人ホーム並みに介護体制が整ったサ高住があるんです。そこであれば、お父様も安心して生活できるでしょう。 そうなんですか?そのサ高住は、他のサ高住と何が違うんでしょうか? その介護体制が整っているサ高住というのは、都道府県から「特定施設入居者生活介護」という認定を受けている施設です。「特定施設」とも呼ばれます。この特定施設の認定を受けるためには、介護士や看護師などの人員や設備などの細かい基準をクリアしないといけません。つまり、手厚い介護をおこなうための職員や設備を整えたサ高住だけがこの「特定施設」の認定を受けられます。以前の質問で、特定施設のサ高住について詳しくお答えしているので、そちらも参考にしてください。 へぇ!では、特定施設の認定を受けているサ高住であれば認知症の父でも入居できるんですね。 はい。特定施設であれば、認知症ケアの実績があるところも多いです。何より、看護師が常駐していたり、介護士が夜間も勤務しているので夜のトイレ誘導などにも対応してもらえるのが魅力です。 でも、介護体制が手厚いとなると、料金が高いんじゃないですか? それが介助が必要な量が多い場合、一般的なサ高住よりも特定施設の方が費用が抑えられることがあるんですよ。と言うのも、一般的なサ高住の介護サービス費がサービスを利用しただけの”都度払い”であるのに対して、特定施設の介護サービス費は”定額制”。つまり、介助を何度頼んでも費用は上がりません。 そうなんだ!まだ、トイレの介助が必要な状況ではないですが、今後のことを考えると特定施設の方が良いのかな。 認知症の人を受け入れている介護施設はサ高住以外にも これまでの話をまとめると、父のような認知症の人が入居できる施設は特定施設の認定を受けているサ高住ということで良いですか? サ高住にこだわるのであればそうなります。ただ、特定施設のサ高住はかなり少ないです。もしかしたら、希望の地域にはないかもしれません。なので、サ高住にこだわらずに他の種類の介護施設にも目を向けてみるのはどうでしょうか? そうか、サ高住しか頭にありませんでしたが、介護施設は他にもいろいろありますよね。父が入れそうな施設というと、どんなものがありますか? 例えば、以下のような介護施設であれば、認知症の方の受け入れをしています。 有料老人ホーム グループホーム 特別養護老人ホーム 有料老人ホームってさっきの話に出てきましたよね。どんな施設なんですか? 有料老人ホームは「住宅型有料老人ホーム」と「介護付き有料老人ホーム」の2種類あります。住宅型有料老人ホームは、サ高住と同じように外部の在宅介護サービスを利用しながら生活する老人ホーム。認知症ケアには対応していることが多いですが、介護が必要な量が増えた場合、サ高住と同様、介護費用が高くなってしまう可能性があります。一方で介護付き有料老人ホームは、有料老人ホームの中でも特定施設の認定を受けている施設。そのため、介護サービス費は定額ですし、職員の人員や設備の面で充実した介護体制が整っています。 へぇ、そうなんですね。有料老人ホームも良いかなぁ。その次のグループホームはどんな施設ですか? グループホームは、認知症の方だけが入居できる施設です。最大9名のユニットごとに生活しているのが特徴で、職員とご入居者の距離が近くてアットホームな雰囲気なのが特徴です。認知症の方しか入居していないこともあり、認知症ケアに特化しています。もし、お父様が大人数よりも少人数での生活が向いているようであれば、グループホームが合っていると思いますよ。 なるほど。父は、そもそも他人と生活したことがない人ですから、もしかしたら少人数のところの方が良いのかもしれません。 最後の特別養護老人ホームというのは、「要介護3」以上の介護認定を受けた人が入れる老人ホームです。そのため、認知症はもちろん、寝たきりの状態になってもケアができる体制が整っています。また、公的な介護施設ということもあり、料金が安いのが魅力です。ただ、料金が安いためにとても人気。入居の順番待ちが発生していることが多く、申し込みから1年以上待つこともあるんですよ。 1年以上!父の状態を考えると、そんなに待っていられません。料金が安いのはうれしいですが…。 となると、比較的に入居待ちの少ない、有料老人ホームやグループホームなどの民間施設の方が良いかもしれません。まとめると、以下の介護施設であれば認知症のお父様も安心して生活できるでしょう。 特定施設のサービス付き高齢者向け住宅 有料老人ホーム グループホーム 特別養護老人ホーム 後悔しない施設探しのためにも、じっくり検討してみてくださいね。 サ高住の中には認知症の人が入居できる施設と入居できない施設がある 「特定施設」なら介護体制が整っているので認知症の人も安心 有料老人ホーム、グループホームなど、他にも認知症の人が入れる介護施設はたくさんある pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: scroll; line-height: 1.1; ...
2023/03/24
認知症の父を自宅で介護することが難しくなってきました。なので、施設探しを始めたところ、ネットで「特定施設」と記載のあるサービス付き高齢者向け住宅を見つけました。「特定施設」の記載のないサービス付き高齢者向け住宅もあるようですが、何が違うんでしょうか? (堀さん・会社員・62歳) 特定施設ではない一般型のサ高住では、介護サービスを提供していません。なので、介護サービスを利用したいときは別途、外部の介護事業者との契約が必要です。対して特定施設のサ高住は、施設が介護サービスを提供します。しかも、介護サービス費は介護度に応じた定額制になっています。つまり、 サ高住の中でも介護体制が充実しているのが特定施設と言えます。 サービス付き高齢者向け住宅の「特定施設」とは? つい先日、父が自宅で転倒してから脚が痛むのか歩くのを嫌がるようになりました。すると、どんどん身体が衰えて介護の負担がとても大きくなってしまって。私も仕事があるので自宅で介護するのは限界です。なので、介護施設を探し始めたところ、サービス付き高齢者向け住宅に「特定施設」と記載があるものとないものがあると知りました。この「特定施設」の記載の有無は何が違うんですか? 「特定施設」という表記のないサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)、いわゆる”「一般型」のサ高住”と”特定施設のサ高住”には、いくつか違いがあります。順番にお話ししていきますね。 サ高住の「特定施設」とは まず、「特定施設」は正式には「特定施設入居者生活介護」と呼ばれ、介護職員の人員基準などの複数の条件を満たした施設だけが都道府県の指定を受けられます。つまり、特定施設の指定を受けている施設はそうでない施設に比べて充実した介護体制が整っているというわけですね。 なるほど。一般型のサ高住は、介護体制は整っていないんですか? 施設によって異なりますが…。基本的には重度の介護度の方にはサ高住はおすすめできません。というのも、一般型のサ高住に入居して介護サービスを利用するときには、別途、外部の介護事業者と契約が必要。施設の介護職員が介護サービスを提供してくれる訳ではないんですね。さらに、特定施設の介護サービス費が介護度に応じた定額制であるのに対して、一般型は利用した分だけ発生します。つまり、常に介護が必要な人は、介護サービス費が高額になってしまうことがあるんです。 えっ!そうなんですか!費用が高いのは困ります。 また、一般型のサ高住の中には夜間に職員がいなくなるところもあります。万が一のときに知らせられるように緊急ボタンを居室に設置している施設もありますが…。このボタンを押すと介護職員さんではなく、警備員さんが駆けつけます。介護のためではなく緊急時対応のためのボタンですので、一般型のサ高住は「トイレに行きたいから手伝って」と気軽に頼める環境ではないことはイメージできるかと思います。 そういう状況なんですね…。父はトイレに付き添いが必要な状態ですから、一般型では難しそうです。 頻繁に介助が必要な状況でしたら、やはり特定施設の方が合っているかもしれません。というのも、サ高住でも特定施設であればケアマネージャーさんが常駐しており、一人ひとりに合わせたケアプランを作成してくれます。それに基づいて食事や排泄などの介助をおこないますので、頻繁に介助が必要な場合でも安心なんです。 サ高住以外にも特定施設はある! ちなみに、「特定施設」の指定を受けられる介護施設はサ高住だけではありません。サ高住も含めて、以下の4種類の介護施設が条件を満たせば、特定施設の指定を受けられます。 有料老人ホーム サービス付き高齢者向け住宅 ケアハウス(軽費老人ホーム) 養護老人ホーム へぇ、特定施設ってサ高住だけの話ではないんですね。そういえば、特定施設の指定を受けるための条件ってどんなものなんですか? 厳しい条件がたくさんあるので、全てはお伝えできませんが…。例えば、職員さんの人員配置についてであれば、以下のような条件があります。 入居者:介護・看護職員 =3:1 看護師1名以上 ケアマネジャー1名以上 こうした人員配置基準など、たくさんの条件を満たしていないと特定施設にはなれません。つまり、特定施設はそれだけ介護や看護の体制が整っていると言えますね。 一般型と特定施設のどちらを選ぶ? やはり、特定施設の方が介護体制が整っていますし、特定施設を選ぶのが良いですよね? うーん、一概にそうとも言えません。それぞれに特徴がありますからね。一般型と特定施設を比較して選んでみることも大切です。なので、一般型のサ高住と特定施設のサ高住を比べるために、それぞれの特徴をまとめてみました。「介護体制が充実しているから」と、特定施設だけに限定してしまうのではなく、どちらがお父様に合うのかに注目して比較してみてください。 一般型のサ高住 生活の自由度が高い 居室にキッチン、浴室がついていることも 共用施設が充実している 特定施設のサ高住 職員体制が手厚い 介護サービス費は定額制 認知症、重介護度の人も対応可能 一番上にある一般型のサ高住の「生活の自由度が高い」とはどういう意味ですか? もともと、サ高住というのは自立して生活できるご高齢者向けの住宅なんです。”「安否確認」「生活相談」といった見守りサービスが付いた賃貸住宅”という位置付けなんですね。なので、一般型のサ高住では外出が自由にできますし、外食や自炊することにも制限がないことがほとんどです。対して、特定施設のサ高住は介護が手厚い反面、行動に制限がかかることがあります。認知症の人も入居しているので、安全のために建物の玄関に施錠がされている場合もありますし、居室にお風呂がないことが多いので自分の好きなタイミングで入浴するのは難しいでしょう。 そうなんですね!確かに、認知症の人が一人で外出してしまって帰れなくなったら危険ですもんね…。 つまり、介護の必要がなかったり介護が必要な量が少ない場合は、一般型のサ高住の方が自由な生活ができるのでおすすめです。もし、定期的に介護が必要な状況、例えば「トイレに見守りや介助が必要」といった場合は、特定施設の指定を受けたサ高住の方が安心した生活を送れるでしょう。 なるほど…。となると、父はトイレに付き添いや介助が必要なので、特定施設の方が安心かもしれません。 一般型、特定施設のどちらのサ高住もメリットとデメリットがあります。入居する方の身体状況や希望する生活スタイルに合わせて選択してくださいね。 サ高住の特定施設には、常に介護できる体制が整っている 介護量が少ないなら一般型、介護量が多いなら特定施設のサ高住がおすすめ pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; ...
2023/02/20
私の自宅の近くに呼び寄せようと思い、父が入れる介護施設を探しています。ネットで調べていて、私の自宅近くに「サービス付き高齢者向け住宅」という介護施設を見つけ、興味を持っています。 サービス付き高齢者向け住宅には「安否確認」というサービスがあるとネットに記載されていたのですが、これはどんなサービスですか?他の介護施設では、安否確認サービスはないのでしょうか? (尾崎さん・会社員・58歳) サービス付き高齢者向け住宅の安否確認サービスは、ご入居者に異変がないかを毎日確認するものです。具体的には、1日1回、居室を訪問したり室内センサーなどのシステムを使って、状況を確認します。有料老人ホームなどの他の介護施設のほとんどは、身体介助などの介護サービスを提供しているので、安否確認の必要がないんです。対して、サービス付き高齢者向け住宅は、介護の必要のない人を対象としており、ご入居者の状態を把握する機会がないので、安全のために安否確認サービスを提供しています。 サービス付き高齢者向け住宅ではどんな方法で安否確認をする? 私の自宅の近くに呼び寄せるために、父が入る介護施設を探しています。その中で、ネットで私の自宅近くに「サービス付き高齢者向け住宅」という施設を見つけました。サービス付き高齢者向け住宅では、「安否確認サービス」を提供していると記述があったのですが、このサービスはどんなものなんでしょうか?「安否確認」と言われても、いまいちピンと来なくて。 サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)で提供している「安否確認」とは、ご入居者に異変がないかを毎日確認するサービスです。ご高齢になると、室内で転倒したり急な体調不良で救急車が必要になる可能性が高くなりますから、そういった異変がないかを確認するわけですね。 そういうことなんですね。どうやって安否確認をするんですか? 安否確認には、主にシステムを利用したものと、施設スタッフによるものの2種類あります。システムを使った安否確認の場合、ご入居者の居室内に人の動きを察知するセンサーが設置されており、そのセンサーが一定時間、反応していないときに警報などで異常を知らせます。センサーは居室内の廊下などに設置されていることが多いです。つまり、長時間にわたってセンサーの前を通っていないとなると、室内で倒れているなどの異常が起きている可能性があるというわけですね。 なるほど。センサーの前を通るだけで安否確認ができるんですね。 また、電気やガスなどの使用状況で安否確認する方法もあります。通常よりも極端に電気やガスの使用が少ないときに、異常を知らせるんです。こうしたシステムを使った安否確認の方法は、いつもどおり生活しているだけで良いのでご入居者にとって負担や手間がないのがメリットですね。 あと、施設のスタッフさんによる安否確認もあるんでしたっけ。 はい。施設スタッフが決められた時間にご入居者の居室を訪問して安否確認をする方法があります。サ高住で食事を提供している場合は、食事の際に安否確認をしている施設もありますね。施設スタッフによる安否確認の場合、スタッフが確認を取らないといけないという負担はあります。が、ご入居者と直接コミュニケーションが取れるので、日々のご入居者の状況を把握できるというメリットもあるんです。このように安否確認の方法は、サ高住によってさまざまです。安否確認は安心した生活のために重要なことですから、入居前に良く確認するのが大切ですよ。 サ高住では介護サービスは利用できない!? ネットの情報には、サ高住では安否確認サービスと生活相談サービスを提供していると書いてありました。安否確認サービスと生活相談サービスというのは、介護サービスとは別のものですよね?介護サービスは提供していないんでしょうか? そうなんです。サ高住では介護サービスは提供していません。というのも、サ高住は安否確認・生活相談サービスというご高齢者の安心をサポートするサービスがついた賃貸住宅という立ち位置のため。介護が必要な人を想定した住まいではないんです。 えぇ!そうだったんですね!父は今のところ介護の必要はありませんが、高齢なのでいつ介護が必要になるかわかりません。将来のことを考えると、介護サービスを受けられる施設の方が良いんでしょうか? サ高住でも介護サービスを利用する方法はあります。例えば、外部の訪問介護サービスやデイサービスを利用することで、在宅介護サービスを利用できるんです。中には訪問介護事業所を併設しているサ高住もあります。もし、近い将来、訪問介護サービスを利用する予定がある場合は、訪問介護事業所を併設しているサ高住に住み替えるのも良いかもしれません。 サービス付き高齢者向け住宅と他の介護施設は何が違う? 私の自宅の近くにサ高住があったのでサ高住について調べていますが、介護施設って他にもいろいろとありますよね。サ高住は他の介護施設と何が違うんでしょうか? そうですね。介護施設にもさまざまな種類があります。では、主な介護施設の特徴をご紹介しながら、サ高住との違いをお話ししますね。 種類 サービス付き高齢者向け住宅 介護付き有料老人ホーム 住宅型有料老人ホーム 入居対象者 自立 ◯ △(施設により異なる) ◯ 要支援 ◯ ◯ ◯ 要介護 △(施設により異なる) ◯ ◯ 付帯サービス 食事 オプション ◯ ◯ 緊急時の対応 フロントサービスが対応 ◯ ◯ 介護サービス ◯(外部を利用) ◯ ◯(外部を利用) 終身での生活可否 △(施設により異なる) ◯ ◯ まずサ高住は、先ほどのお話にあったとおり、安否確認と生活相談サービスを提供しています。生活相談サービスとは、電球の交換や重い荷物を運ぶなどのちょっとした生活のお困りごとに対応するもの。さらに、緊急時にご家族への連絡にも対応しています。その他、そのサ高住独自のサービスを提供していることもありますが、基本的には介護サービスは提供していません。 サ高住で介護サービスを利用するには、外部の介護サービスと契約する必要があるんでしたね。 おっしゃるとおりです。対して、有料老人ホームは介護が必要な人を前提とした施設ということもあり、比較的、介護体制が整っています。具体的には、「介護付き有料老人ホーム」では介護サービスがすべて施設の職員さんによって提供されます。そのため、介護サービスを利用するために別途、契約する必要はありません。 へー、つまり、介護施設にすべて任せられるというわけですね。 ただ、同じ有料老人ホームでも「住宅型有料老人ホーム」はサービス付き高齢者向け住宅と同じように外部の介護サービスを利用する必要があります。ただ、サービス付き高齢者向け住宅とは異なるのは、食事の提供や健康管理などのサービスを施設側が提供していることです。つまり、サ高住は他の介護施設よりも介護を必要とする量が少ない人や、まったく必要のない人に向いている施設と言えます。 うーん。父は今のところ介護は必要ないですし、サ高住が良いのかな…。 ただ、サービス内容も施設ごとに大きく異なるので、 それぞれの種類の施設の特徴を頭に入れておきつつ、個々の施設のサービス内容を確認した方が良いでしょう。介護施設は、施設ごとにサービスがまったく異なります。ですので、いろんな施設があって迷ってしまうかもしれません。そういうときは、ぜひ「いい介護 入居相談室」にご相談ください。介護施設を熟知した入居相談員が、お父様に合う施設をお探ししますよ! サ高住の安否確認は、入居者の異変がないか確認するサービス 安否確認にはセンサーなどのシステムによるもの、スタッフの訪問などの方法がある サ高住では介護サービスの提供はないため、自立~軽介護度の人に向いている pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: scroll; line-height: 1.1; } pre:before { content: ...
2023/01/17
介護施設への入居について、地域に特化した専門相談員が電話・WEB・対面などさまざまな方法でアドバイス。東証プライム上場の鎌倉新書の100%子会社である株式会社エイジプラスが運営する信頼のサービスです。