特定施設ではない一般型のサ高住では、介護サービスを提供していません。なので、介護サービスを利用したいときは別途、外部の介護事業者との契約が必要です。対して特定施設のサ高住は、施設が介護サービスを提供します。しかも、介護サービス費は介護度に応じた定額制になっています。
つまり、 サ高住の中でも介護体制が充実しているのが特定施設と言えます。
つい先日、父が自宅で転倒してから脚が痛むのか歩くのを嫌がるようになりました。すると、どんどん身体が衰えて介護の負担がとても大きくなってしまって。私も仕事があるので自宅で介護するのは限界です。
なので、介護施設を探し始めたところ、サービス付き高齢者向け住宅に「特定施設」と記載があるものとないものがあると知りました。この「特定施設」の記載の有無は何が違うんですか?
「特定施設」という表記のないサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)、いわゆる”「一般型」のサ高住”と”特定施設のサ高住”には、いくつか違いがあります。
順番にお話ししていきますね。
まず、「特定施設」は正式には「特定施設入居者生活介護」と呼ばれ、介護職員の人員基準などの複数の条件を満たした施設だけが都道府県の指定を受けられます。
つまり、特定施設の指定を受けている施設はそうでない施設に比べて充実した介護体制が整っているというわけですね。
なるほど。一般型のサ高住は、介護体制は整っていないんですか?
施設によって異なりますが…。基本的には重度の介護度の方にはサ高住はおすすめできません。というのも、一般型のサ高住に入居して介護サービスを利用するときには、別途、外部の介護事業者と契約が必要。施設の介護職員が介護サービスを提供してくれる訳ではないんですね。
さらに、特定施設の介護サービス費が介護度に応じた定額制であるのに対して、一般型は利用した分だけ発生します。つまり、常に介護が必要な人は、介護サービス費が高額になってしまうことがあるんです。
えっ!そうなんですか!費用が高いのは困ります。
また、一般型のサ高住の中には夜間に職員がいなくなるところもあります。万が一のときに知らせられるように緊急ボタンを居室に設置している施設もありますが…。このボタンを押すと介護職員さんではなく、警備員さんが駆けつけます。
介護のためではなく緊急時対応のためのボタンですので、一般型のサ高住は「トイレに行きたいから手伝って」と気軽に頼める環境ではないことはイメージできるかと思います。
そういう状況なんですね…。父はトイレに付き添いが必要な状態ですから、一般型では難しそうです。
頻繁に介助が必要な状況でしたら、やはり特定施設の方が合っているかもしれません。
というのも、サ高住でも特定施設であればケアマネージャーさんが常駐しており、一人ひとりに合わせたケアプランを作成してくれます。それに基づいて食事や排泄などの介助をおこないますので、頻繁に介助が必要な場合でも安心なんです。
ちなみに、「特定施設」の指定を受けられる介護施設はサ高住だけではありません。
サ高住も含めて、以下の4種類の介護施設が条件を満たせば、特定施設の指定を受けられます。
へぇ、特定施設ってサ高住だけの話ではないんですね。そういえば、特定施設の指定を受けるための条件ってどんなものなんですか?
厳しい条件がたくさんあるので、全てはお伝えできませんが…。例えば、職員さんの人員配置についてであれば、以下のような条件があります。
こうした人員配置基準など、たくさんの条件を満たしていないと特定施設にはなれません。つまり、特定施設はそれだけ介護や看護の体制が整っていると言えますね。
やはり、特定施設の方が介護体制が整っていますし、特定施設を選ぶのが良いですよね?
うーん、一概にそうとも言えません。それぞれに特徴がありますからね。一般型と特定施設を比較して選んでみることも大切です。
なので、一般型のサ高住と特定施設のサ高住を比べるために、それぞれの特徴をまとめてみました。「介護体制が充実しているから」と、特定施設だけに限定してしまうのではなく、どちらがお父様に合うのかに注目して比較してみてください。
一番上にある一般型のサ高住の「生活の自由度が高い」とはどういう意味ですか?
もともと、サ高住というのは自立して生活できるご高齢者向けの住宅なんです。”「安否確認」「生活相談」といった見守りサービスが付いた賃貸住宅”という位置付けなんですね。なので、一般型のサ高住では外出が自由にできますし、外食や自炊することにも制限がないことがほとんどです。
対して、特定施設のサ高住は介護が手厚い反面、行動に制限がかかることがあります。認知症の人も入居しているので、安全のために建物の玄関に施錠がされている場合もありますし、居室にお風呂がないことが多いので自分の好きなタイミングで入浴するのは難しいでしょう。
そうなんですね!確かに、認知症の人が一人で外出してしまって帰れなくなったら危険ですもんね…。
つまり、介護の必要がなかったり介護が必要な量が少ない場合は、一般型のサ高住の方が自由な生活ができるのでおすすめです。
もし、定期的に介護が必要な状況、例えば「トイレに見守りや介助が必要」といった場合は、特定施設の指定を受けたサ高住の方が安心した生活を送れるでしょう。
なるほど…。となると、父はトイレに付き添いや介助が必要なので、特定施設の方が安心かもしれません。
一般型、特定施設のどちらのサ高住もメリットとデメリットがあります。入居する方の身体状況や希望する生活スタイルに合わせて選択してくださいね。
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