Q&A
認知症の父が夜中に何度もトイレに行くので、その度に起こされて寝不足です。 父は一晩で5~6回はトイレに行きます。認知症のせいで1人でトイレに行かせるとそこらじゅうを尿で汚してしまうので私が介助をしないといけないんです。 こんな生活がいつまで続くんでしょうか。もう体力的にきついです。良い解決方法はありませんか? (田島さん・パート・66歳) 夜間のトイレ介助は本当にしんどいですよね…。介護の負担を減らすために、まずはお父様が夜に起きる回数を減らす工夫をしてみたり、介護サービスを使って田島さんが介護しなくても良い環境を作りましょう。加齢に伴って頻尿になりやすいことに加えて、認知症の影響でトイレに行ったことを忘れているために何度もトイレに起きてしまっている可能性があります。また、介護する側が疲労することで介助時の転倒や怪我が起こりやすくなったり、お父様が睡眠不足でせん妄症状が出る可能性もあります。なので、お父様も田島さんもしっかり眠れるように対処していきましょう。 認知症の親に夜中に何度もトイレに起こされる 認知症の父が夜中にトイレに何度も起きるんです。認知症のせいか、手伝わないとそこらじゅうを尿で汚してしまうので、私もトイレ介助のために起きないといけません。そのせいで私は常に寝不足。昼間の仕事に支障が出ています。こんな生活していたら体がもちません!どうにかならないでしょうか? それは大変!夜間のトイレ介助はとても負担が大きいので、すぐにでも対策を打ちましょう。いくつか方法があるので、ひとつずつお話ししていきますね。 対策①起きる回数を減らす まずは、お父様が夜中に起きてしまう回数を減らす工夫をしていきましょう。次のような方法があります。 夕方以降の水分摂取を抑える 就寝前のコーヒーやお茶などを控える 寝る前にトイレに行く 生活リズムを整える 夕方以降の水分摂取を抑える 夜のトイレの回数を減らすために、夕方以降の水分摂取量を減らしてみましょう。ただ、ご高齢者は水分不足になりやすいです。1日の水分摂取量を1500mlは確保し、できるだけ日中に多く水分を摂るように調整してみてください。 コーヒーやお茶などを控える コーヒーや緑茶、紅茶などには利尿作用があります。そのため、トイレが近くなってしまうので、特に就寝前は避けるようにしましょう。 父は夕食後によく緑茶を飲んでいます。もしかしたら、それがトイレに起きる原因のひとつだったのかも…。 寝る前にトイレに行く すでに実践しているかもしれませんが、寝る前にトイレに行くことも大切です。お父様が「トイレに行きたい」と言わなくても、「寝る前にトイレ行っておこうよ」と声掛けをしましょう。 トイレに行くタイミングはあまり気にしていなかったです。寝る前に行かないときもあるので、これからは必ずトイレに行かせるようにします。 生活リズムを整える 生活リズムを整えることで夜にトイレで起きなくなるんですか? トイレに行きたいわけでなくても、「目が覚めたからとりあえずトイレに行く」というケースもありえます。そのため、昼間に活動したりして生活リズムを整え、夜はしっかり眠ってもらうことがトイレに起きる回数を減らすことにつながるんです。具体的には、次のようなことを続けると生活リズムが整うと思いますよ。 太陽の光を浴びる 毎日決まった時間に起きる 3食摂る 昼寝は1時間以内にする デイサービス・散歩などで活動する 父は、あまり外に出ない人なんですよね…。起きてくる時間もまちまちだし。生活リズムが崩れていたのかも。 対策②介護サービス・福祉用具を活用する 介護サービスや福祉用具を活用して、介護の負担を減らす方法もあります。 どうすれば良いんですか? 例えば、以下のように介護サービスや福祉用具を利用してみると、田島さんの負担が減ると思いますよ。 ポータブルトイレを設置する 夜間対応の訪問介護を利用する 定期巡回・随時対応型訪問介護看護を利用する ポータブルトイレを設置する 福祉用具のひとつに移動可能な簡易トイレ「ポータブルトイレ」があります。これは、主にベッドの横に置いて利用し、夜間でもすぐにトイレに座れるのが特徴です。便座の下にバケツを入れ、排泄が終わったら中身はトイレに流します。長距離の歩行は難しいという場合は、夜に足元が暗くて歩行が不安な場合などはかなり有効な対策だと思います。 認知症の父がうまく使えると良いんですけど…。新しい物に慣れるのにすごく時間がかかるので、結局、私が起きて介助するようになるかもしれません。もっと早くに利用しておけばよかったな。 なるほど…。でしたら、別の方法もご紹介します! 夜間対応の訪問介護を利用する 数は少ないですが、訪問介護の中には夜間帯の対応もしてくれるところがあります。そうした訪問介護事業所であれば、夜間のトイレ介助も依頼できますよ。 そうなんですね!一時期、利用していた訪問介護は昼間だけの対応でした。利用可能時間は事業所ごとに異なるんですね。 定期巡回・随時対応型訪問介護看護を利用する 「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」って何ですか?初めて聞きました。 定期巡回・随時対応型訪問介護看護とは、昼夜問わず訪問介護や訪問看護を提供するサービスです。ちなみに、定期巡回・随時対応型訪問介護看護は「定期巡回サービス」と「随時対応サービス」の2つのサービスに分かれています。定期巡回サービスは、1日のうち複数回決められた時間に訪問サービスを提供。随時対応サービスは、「ケアコール」で呼び出すことで決められた時間以外のタイミングで訪問サービスを提供します。つまり、夜中に何度もトイレの介助が必要な場合でも、何回でも訪問介護サービスを利用できるというわけです。 そんなありがたいサービスがあるんですね!でも、先ほどの夜間対応の訪問介護を利用する場合とは何が違うんでしょうか? 夜間対応型も含めた一般的な訪問介護サービスは、利用した回数だけ利用料が追加されます。対して、定期巡回・随時対応型訪問介護看護は、利用料は要介護度に応じた定額制。何度利用しても料金は据え置きです。 それ、とても助かります!つまり、父のトイレ介助のために夜中に何度も利用しても、金額は増えないということですよね? おっしゃる通りです。訪問介護の利用回数が少ない場合は、一般的な訪問介護の方が費用が抑えられますが、何度も利用する場合は、定期巡回・随時対応型訪問介護看護の方がお得です。それに、定期巡回・随時対応型訪問介護看護は24時間対応しているので、昼間、お父様が1人になる時間帯の見守りなどにも利用できますよ。 認知症の親が夜に何度も起きてトイレに行く理由 北野室長に聞いた対策をすぐに試してみたいと思います。ただ、そもそも何で父は何度も夜に起きてトイレに行くんでしょうか? 夜に何度もトイレに行く理由は、「加齢のため」「認知症のため」の2つの理由があります。 加齢のため 「年を取るとトイレが近くなる」とよく言いますよね。 はい、おっしゃる通りです。年齢を重ねていくにつれて、膀胱の機能が低下してトイレが近くなる傾向があります。膀胱に溜めておける尿の量が減ってしまうんですね。 だから我慢できなくて何回もトイレに行くんですね。 認知症のため 認知症が夜間に何度もトイレに行く原因になっていることも考えられます。 それって、どういうことですか? 認知症の影響で、トイレに行ったことを忘れてしまい、何度もトイレに行ってしまうんです。「トイレに行かなくて漏らしてしまうかも…」と不安を感じていることもありえます。先ほどお話しした通り、ご高齢になるとトイレが近くなる傾向があります。そのため、多くの方が「漏らしてしまうかも」と心配しているため、トイレに行ったか覚えていない状況はとても不安になってしまうんですね。 そうなんですね。そう言えば、父もトイレに行ったことを覚えていない様子でした。「漏らしてはいけない」と思って何度もトイレに行っていたんですね。 認知症の親が夜中に何度も起きることのリスク お父様がトイレに何度も起きることで以下のようなリスクが考えられます。なので、まずはなるべくトイレで起きないような対策をとることをおすすめします。 介護者の疲労がたまる 本人が昼夜逆転する 介護者の疲労がたまる 田島さんが悩んでいらっしゃるように、介護が必要なお父様が夜中にトイレに起きることで介護をする人が睡眠不足になってしまいます。当然、睡眠不足が続くと疲労が溜まって、集中力が落ちてしまうでしょう。そうしたときに危険なのが介護中の事故。抱きかかえて介助をしているときに、手を離してしまって転倒する、などの事故が起こる危険性が高まります。 父はまだ抱きかかえて介護するということはないのですが…。このままだと、私もそんな事故を起こしてしまうかもしれないです。 それに、寝不足が続いて身体的にも精神的にもしんどい状況が続くと、介護を続けるのがつらくなってしまいます。追い込まれて「介護うつ」や「虐待」につながってしまうことも少なくありません。できるだけ田島さんの負担を減らした介護をしていきましょう。介護疲れについては、以下のご質問でも詳しくお話ししています。参考にしてください。 昼夜逆転する 夜中に何度も起きることで、お父様が昼夜逆転してしまう可能性があります。生活リズムが崩れてしまうんですね。 生活リズムは今も崩れていると思いますが…。昼夜逆転になると、どんなリスクがあるんでしょうか? 夜に眠れないので、昼間は眠気で日常生活に支障が出てしまう可能性があります。特に、食事中に覚醒していないと、食べ物を上手く飲み込めずに誤嚥性肺炎を引き起こす危険があります。それに、認知症の方は睡眠不足で脳の機能が低下することで、「せん妄」が起こる可能性が高まります。 「せん妄」って何ですか? 急に興奮して暴れ回ったり反対に不安で気持ちが落ち込んだり。それに、「虫が這っている」という幻覚や妄想の症状が出ることもあります。せん妄は一時的であることが多いので、規則正しい生活リズムに戻してきちんと睡眠を取れれば症状は収まるでしょう。昼夜逆転については、以下のご質問でも詳しくお話ししています。参考にしてください。 父の生活リズムが乱れていても特に気にしていなかったのですが、寝不足というだけでそんな症状が出る危険性があるんですね…。 そうなんです。それに認知症の症状を緩和するためにも、規則正しい生活をするのがおすすめ。まずは、昼夜逆転の生活を整えることから始めてみると良いかもしれません。それに、田島さんの睡眠時間を確保することが何より大切です。介護サービスを積極的に活用したりして、田島さんがしっかり眠れるような体制を作ってくださいね。 夜に起きる回数を減らす工夫、介護サービスを活用して負担を減らそう 加齢や認知症によって夜にトイレで起きてしまいやすくなる 夜に起きることで介助のミスで怪我をしたり、睡眠不足でせん妄が出る危険性がある pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; ...
2023/12/07
認知症の父親がおむつ交換を嫌がるので困っています。父が足腰が弱って自分でトイレに行けなくなったので、おむつをするようになりました。でも、「止めろ!触るな!」と抵抗され、殴られることも…。 そんな感じで、毎回、格闘しているので時間もかかるし本当に疲れます…。スムーズにおむつ交換ができる良い方法はないでしょうか? (今村さん・会社員・63歳) それは大変ですね…。おむつ交換はお父様の自尊心に大きく関わりますから、他の介助よりも配慮が必要です。声掛けやおむつ交換のタイミングも工夫する必要があるでしょう。認知症になっても、陰部を誰かに見られることの恥ずかしさは変わりません。対して、認知症の進行によっておむつ交換の必要性がわからなくなったり、尿意や便意を感じにくくなることもあります。認知症の症状やお父様の気持ちに配慮しつつ介助をすると、徐々におむつ交換への抵抗感が少なくなると思いますよ。 認知症の親がおむつ交換を拒否!どうすれば良い? 自宅で認知症の父の介護をしています。最近、父の足腰が弱ってトイレに行けなくなり、おむつになりました。ただ、おむつ交換のときの抵抗がすごくて…。「止めろ!触るな!」と怒鳴ったり、殴られることもあります。毎回、なんとかおむつの交換ができているのですが、ベッド上で暴れるのでおむつはズレるわ、力は使うわで本当に疲れます。スムーズにおむつ交換ができる良い方法はないでしょうか? おむつ交換は、ご高齢者の自尊心が大きく関係する難しい介助ですよね…。しかも、忙しいなかで1日に何度も介助しないといけないので、おむつ交換がスムーズに行くかどうかは介護全体の負担の大きさにとても影響します。とは言え、おむつ交換を拒否されても無理やりや力づくで介助することのないようにしましょう。 そんなこと言っても、力づくでやらないとおむつ交換できませんよ!いつまでも濡れたオムツでいさせられませんし…。力づく以外で父のおむつ交換ができる方法ってあるんですか? 例えば、次のような方法はどうでしょうか? 排泄タイミングに合わせておむつ交換する 優しい口調で声掛けする 時間を空けておむつ交換する 排泄タイミングに合わせておむつ交換する おむつ交換のタイミングで、排泄がされていないこともあるでしょう。誰しも必要もないのにおむつを開けられるのは嫌ですよね。それがおむつ交換の拒否につながっていることがあります。そのため、お父様の排泄のタイミングに合わせておむつ交換をするとスムーズにいくことがあります。なので、まずは排泄のタイミングを把握することから始めましょう。起床後、昼食後、夕食前、寝る前…など排泄がルーティン化されると、慣れてきてお父様もおむつ交換への抵抗感が薄くなるかもしれません。 排泄のタイミングなんて気にしたこともありませんでした。気づいたときにおむつ交換をしていたので、同じ時間帯で介助する方が良いんですね。 優しい口調で声掛けする 介護や家事、仕事で忙しいうえに介助を拒否されると、どうしても口調がきつくなってしまいがち。ですが、そこは気持ちを落ち着けて優しい言い方で声掛けするのが大切です。 そうなんですよね…。仕事をしながら介護をしているので、忙しいときに父におむつ交換を拒否されると頭に来てしまって。きつい言い方になってしまうことが多いです。 忙しいなか介護をするのは本当に大変だと思います。気が立ってしまうのはわかるんですが、スムーズに介助するためにも、一度、気持ちを落ち着けて声掛けをしていきましょう。特に、おむつ交換は介助を受ける人の羞恥心や自尊心が大きく関わります。声掛けがとても大切なんです。 声掛けが大切と言うと、どんな言葉を掛けるのが良いんでしょうか? 例えば、「汚いからおむつを換えるよ」と言うとお父様の自尊心を傷つけてしまうことがあります。なので、「汚い」「おむつ」という言葉を使わずに「下着を替えよう」と言い換えてみましょう。おむつの中に排泄することを「トイレを失敗している」と捉え、恥ずかしいことと思う人も多いです。そうした気持ちに配慮した声掛けをしてみるとスムーズにおむつ交換ができるようになるかもしれませんよ。 時間を空けておむつ交換する おむつ交換をしようとして激しく嫌がる場合、少し時間を空けて声をかけると意外とすんなり交換させてくれることがあります。 時間を空けるだけで良いんですか? はい。例えば、テレビを見ていたり何か別のことに気を取られているときに声を掛けられるのは誰でも嫌ですよね。それと同様に、声を掛けたときに”おむつ交換の気分ではない”だけなのかもしれません。同じ声掛けをしたとしても、少し時間を空けるだけでスムーズにおむつ交換ができることもありますよ。 そんなことがあるんですね。全然知らなかったです。 ここまでご紹介した方法は、一度では上手くいかないことも多いでしょう。何回も試してみて上手くいく方法を見つけてください。 認知症の親がおむつ交換を嫌がる理由は? そもそも、どうして父はおむつ交換を嫌がるんでしょうか?おしっこでおむつが濡れていたら気持ち悪いと思うんですが…。 そうですね…。認知症の人がおむつ交換を嫌がる理由には以下のようなものがあると考えられます。 陰部を見られることが恥ずかしい おむつ交換の必要性がわからない 尿意や便意が薄い 身体を触れられることが嫌 やっぱり、恥ずかしさは大きいんですね。 そうですね。息子さんとは言え、陰部を見られるわけですし…。それに、おむつ交換を誰かにお願いしないといけないことの情けなさもあるかもしれません。認知症になっても、恥ずかしさや情けなさは感じますから。 確かに。そうかもしれないですね。 一方で、認知症によっておむつ交換の必要性がわからなくなっていることも考えられます。おむつの中に排泄したことを忘れてしまったり、そもそもおむつが何なのかがわからなくなってしまったり…。そうなったと想像すると、服を脱がされたり裸にされる理由がわからないですよね。でも、裸を見られる恥ずかしさはあります。このように考えると、暴れておむつ交換を嫌がるのも納得できるんじゃないでしょうか。 なるほど…。そういう理由で父はおむつ交換の度に暴れるんですね。 おむつ交換は介護のプロでも頭を悩ませる介助。一人ひとり適切な介助方法は異なりますから、「上手くいかなくてもしょうがない」と肩の力を抜いて、じっくりお父様に合った方法を見つけてくださいね。 排泄タイミングを把握して優しく声掛けすると拒否が和らぐことも おむつ交換は、羞恥心や自尊心に配慮しておこなおう pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: scroll; line-height: 1.1; } ...
2023/11/13
認知症の母が失禁して汚れた下着やズボンを隠すのを止めさせたいんです。どうしたら良いでしょうか? タンスの奥や畳と布団の間に隠すので、他の服や畳、布団までも汚れてしまいます。洗濯物は増えるし、家中においがするし…本当に困っています。 (渋谷さん・パート・66歳) 洗濯物が増えたりにおいがするのは困りますね…。まずは失禁対策をして失禁の回数を減らすことから始めてみましょう。あわせて、汚れた下着類を入れるためのカゴなどを用意して、ご自分で汚れた衣類を片付けられるようにすると、隠すことが減るかもしれません。認知症の人が汚れた下着を隠すのは、失禁をしたことが恥ずかしくて隠したいという気持ちがあることが多いです。そうした気持ちを尊重しながら、対策をとっていけると良いですね。 認知症の親が汚れた下着を隠す!どうしたら良い? 認知症の母親が失禁して汚れた下着やズボンなどを隠すんです。すぐに洗濯できないから、汚れが落ちないし、家の中ににおいがこもってしまって困っています。それに、タンスの奥や畳と布団の間に隠すので、他の衣類に汚れが付いたり、畳や布団がシミになってしまって…。 それは大変ですね!洗濯物が増えたり掃除しないといけないから、渋谷さんの負担も増えるのではないですか? そうなんです!何度も「おもらしして汚れた服は隠さないで」と叱っているんですが、認知症のせいですぐ忘れてしまうんです。 渋谷さん。お母様が汚れた衣類を隠したときに、叱ったり責めたりするのはNGな対応なんです。 えっ、そうなんですか!?なぜですか? 認知症の人が失禁して汚れた衣類を隠すのは、「失禁したことを隠したい」という気持ちからであることが多いんです。誰しも失禁することは恥ずかしいと感じますから。そのため、叱ってしまうとお母様の自尊心を傷つけてしまう可能性があるんです。 なるほど…。では、どう対応したら良いんでしょうか? 汚れた衣類を見つけても責めずに回収しましょう。出かけていたり別の部屋にいたりと、ご本人に見られていないタイミングだと自尊心を傷つけずに衣類を回収できるでしょう。また、お母様が汚れた下着やズボンを隠すことを減らすために、以下のような方法も有効かもしれません。 失禁予防をする 洗濯物入れを設置する 失禁予防をする そもそもの失禁の回数を減らすことも大切。そうすれば、洗濯物が増えなくて済みますし、お母様がおひとりでトイレに行けるなら渋谷さんの負担も少なくなりますよね。 確かにそうですね。母は1人でトイレに行ってはいるんですが、最近になって間に合わなくて失禁してしまっているようなんです。 そうだったんですね。失禁の予防策には以下のようなものがあります。いくつか試してみたら効果があるかもしれません。 トイレに行きたい合図を見つける トイレをわかりやすくする 着脱しやすい服にする トイレの使い方を確認する 紙パンツ・パッドを活用する 失禁を予防する方法については、については、以下のご質問でも詳しくお話ししています。参考にしてください。 洗濯物入れを設置する 下着やズボンが汚れたらすぐに入れられるように、「洗濯物入れ」を作るのはどうでしょうか。カゴでも箱でもかまいません。設置しておけばその中に汚れた衣類を入れてくれるかもしれません。 そんなに上手くいくかな…。 もちろん、設置してすぐに汚れた衣類を毎回入れてもらえるとは限りません。特に認知症の人は新しいことを覚えるのが苦手になっているので、何度も「汚れた服はこの中に入れて」と説明する必要があるでしょう。それと、洗濯物入れに「洗濯物はこの中に」などの貼り紙をしてわかりやすくしておくのも大切です。また、タンスや布団の下など、汚れた衣類を隠す場所が決まっているのであれば、その近くに洗濯物入れを置いておくと、よりお母様が入れやすくなるでしょう。 親が汚れた下着を隠す理由は? そもそも、母はなんで汚れた下着やズボンを隠すんでしょう?すぐに渡してくれれば、洗濯で汚れが落ちやすいのに…。 先ほどもお話ししたように、失禁したことを隠したいという気持ちがあるんでしょうね…。それも含めて、汚れた衣類を隠すのには以下のような理由があると考えられます。 失禁したことを隠したい あとで洗おうと思って忘れた 汚れた下着の処理の仕方がわからない 失禁は誰しも恥ずかしいと感じることでしょう。それは、認知症になってからも同じです。お母様は「恥ずかしい」「情けない」と感じていて、失禁したことを隠したいと考えて隠しているのかもしれません。 汚れた下着のことを聞くと、母は「おもらしなんてしていない!」と嘘をつくんです。それも失禁したことを隠したいからなんでしょうか? そうかもしれません。もしくは、認知症の影響で失禁したこと自体を忘れてしまっている可能性もあります。 確かに。最近、母の物忘れがさらにひどくなったような気がするので、失禁したのをすっかり忘れているのかも…。 それに、認知症による物忘れのせいで、「汚れた下着を洗おうとして置いておいたけど忘れてしまった」ということもあり得そうです。それに、認知症の影響で作業の手順などを忘れてしまうことがありますから、「汚れた下着を洗いたいけどどうしたら良いかわからない」という状況もあり得るでしょう。 なるほど…。汚れた下着を洗いたい気持ちはあるけど、認知症のせいでできなかった、というわけですね。 おっしゃる通りです。お母様は、汚れた衣類を隠したくて隠しているわけではありません。なので、お母様を責めず、衣類を隠さなくても良い環境を整えていきましょう。それに、今回お伝えした方法でお母様が汚れた衣類を隠すのを100%予防できるとは限りません。「汚れた衣類が隠されているのが減ったら良いな」というくらい、肩の力を抜いて対応してくださいね。 汚れた下着を隠すときは失禁の予防をしたり、汚れた衣類を入れる箱などを作って予防しよう 汚れた下着を隠すのは、失禁の恥ずかしさ、洗い方がわからないのが理由かも pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: scroll; line-height: ...
2023/11/08
最近、高齢の母がトイレに間に合わず粗相をするようになりました。母が使った後のトイレの床が尿で濡れているので、間に合っていないのだと思います。 毎回、トイレの掃除をするのも大変ですし、何より臭いがこもるようになりました。母が粗相をしないような対策はありますか? (福井さん・自営業・57歳) 例えば、排泄のタイミングを把握して、トイレの声掛けをしてみましょう。「食事の前」「寝る前」など、トイレに行くタイミングで「トイレに行っておこうよ」と声をかけるだけでも、粗相の回数が減るかもしれません。ただ、トイレはとてもデリケートな話題ですから、声掛けやトイレの介助を嫌がる可能性が十分あります。そのため、嫌がられたら無理をせずに見守ることも大切ですよ。 高齢者がトイレに間に合わないときの対策は? 最近、高齢の母がトイレに間に合わないことが増えたようで、母がトイレを使うと、床が尿で濡れているんです。尿で汚れた床を掃除するのも嫌ですし、何より臭いがこもるようになってしまって…。床だけでなく、ズボンも濡らしているようで、服も臭うんです。母が粗相しないような対策ってありますか? 尿で汚れると臭いますから、本当に大変ですよね。粗相を予防するには、以下のような方法があります。 トイレの声掛けをする 着脱しやすい下着に変える ポータブルトイレを設置する オムツを使う トイレの環境を整える トイレの声掛けをする まずやっていただきたいのが、トイレの声掛けです。お母様の毎日の排泄のタイミングを把握して、タイミングに合わせて少し早めに声をかけるんです。 なるほど…。例えば、どんな風に声掛けをすれば良いんですか? 「ご飯の前にトイレに行っておいたら?」「出かけるからトイレに行っておこうよ。私も後で行くから」など、気軽な言い方がおすすめです。「トイレに行っておかないと、また漏らしちゃうよ」といった、自尊心を傷つけるような言い方は控えてくださいね。 着脱しやすい服に変える ズボンや下着などを着脱しやすいものに変えるのもおすすめです。高齢になると、指先の動きが鈍くなってズボンや下着の脱ぎ着が難しくなることが多いです。そのため、チャックとホックやボタンのズボンの場合はウエストがゴムのものを、締めつけの強いガードルのような下着の場合は普通の布パンツに変えましょう。 ポータブルトイレを設置する お母様のお部屋にポータブルトイレを置くのはどうでしょうか? ポータブルトイレって何ですか? ポータブルトイレは、任意の場所に設置できる簡易トイレです。歩行が不安定などの理由でトイレまで行くのに時間がかかる方におすすめです。特に、夜にトイレに行く場合、足元が暗かったり、寝ぼけて歩行がより不安定になることが多いので、夜間に使うために設置している方も多いですよ。 オムツを使う オムツですか?まだ母には早い気がします。オムツ交換するのも大変そうだし…。 実は、パンツタイプの紙おむつがあるんです。普通の布パンツを使うのと同じ感覚で使用できます。また、尿漏れ用のパッドよりも大きな尿とりパッドも売られています。毎回、紙パンツを取り替えるのは経済的な負担が大きいので、中にパッドを入れている人が多いですね。1~2回分の尿なら吸収できますから、トイレを汚してしまう心配がかなり減ると思いますよ。 へー!そんな便利な物があるんですね。買ってみようかな。でも、母は「オムツ」と言うととても嫌がって使わない気がします…。 はじめは紙パンツを使うのに抵抗があると思います。そういうときは、普段使っている布パンツの中に尿とりパッドを入れて使うのも手。これなら紙パンツを使うよりも抵抗が少ないと思います。おむつ外しについては、以下のご質問でも詳しくお話ししています。参考にしてください。 トイレの環境を整える スムーズに排泄ができるように、トイレの中の環境を整えることも大切です。もし、トイレのマットを尿で濡らしてしまうのであれば、防水タイプに変えるのも良いでしょう。 それは良いですね!トイレマットに防水タイプがあるなんて知りませんでした。 それと、足元に物を置かないようにするのも、スムーズにトイレに座れるようになるポイント。トイレットペーパーのストックや掃除用具を室内に置いておくことが多いと思いますが、それが歩行の妨げになっている可能性があります。なので、足元に物を置かないようにしましょう。今回、紹介した方法も含めて、トイレの室内の環境を整える方法がいくつかあるので、以下を参考にしてみてくださいね。 防水のトイレマットに変える 足元に物を置かない 消臭剤を使う 手すりをつける トイレ介助するときのポイント 母がトイレに間に合わないことが増えたので、そろそろ私が介助した方が良いのかな、と思っているのですが、北野室長はどう思いますか? うーん、そうですね。おひとりでトイレに行けるようにさまざまな工夫をした結果、それでもトイレに間に合わないようだったら、福井さんがお手伝いしても良いかもしれないですね。ただ、トイレの問題はかなりデリケート。うまく進めないと介助を拒否される可能性が高いです。 そうか…そうですよね。 トイレの介助をされることが「恥ずかしい」「情けない」と感じる方は多いです。特に排泄中は見られたくないと思っている方がほとんどでしょう。ですので、まずはトイレの声掛けから始めてみてくださいね。 トイレ介助を拒否されたら もし、トイレ介助を母に嫌がられたらどうしたら良いですか? 無理に介助をしようとしないことが大切です。介助に入れそうなところだけをお手伝いしてみてください。例えば、部屋からトイレまでの移動が大変そうであれば、手を引いたりして歩行の介助だけをします。無理にトイレ介助をしようとすると、「トイレ」という言葉だけで嫌がるようになってしまう可能性もあるので、慎重に進めると良いでしょう。 トイレの介助の前に、歩きの介助をするんですね。 トイレの中での介助ができるのであれば、ズボンや下着を下ろして排泄している間はトイレの外で扉を閉めて待つ、という対応が良いでしょう。まどろっこしいように思いますが、完全にトイレ介助を拒否されてしまうと、今後の介助が大変になってしまいます。段階を踏んで進めていきましょう。 トイレに間に合わなかったときは? ご高齢者に対しては、トイレに間に合わなかったときの対応も重要です。 汚れた床を掃除したり、濡れた服を洗濯するだけではないんですか? それも大切なのですが、粗相をしてしまったご家族への対応も大切です。トイレに間に合わなかったときは、粗相したことを責めるのは避けてください。毎回、「また間に合わなかったの?」といった、責める言葉を掛けたり嫌な顔をしてしまうと、粗相をしないように摂取する水分量を減らしてしまうことがあります。摂取する水分量が減ると、脱水症状になるリスクが高まります。トイレのことを気にして体調を崩しては元も子もありませんから、お母様が粗相をしても落ち着いて片付けをするように気をつけてみてください。については、以下のご質問でも詳しくお話ししています。参考にしてください。 高齢者がトイレに間に合わない原因は? そもそも、どうして母は粗相をしてしまうようになったのでしょうか?ここ最近まで、そんなことはなかったのですが…。 お母様が粗相をするようになったのは、つい最近のことなんですね。もしかしたら、以下のような理由でトイレに間に合わないようになってしまったのかもしれません。 移動に時間がかかる 蓄尿機能が衰えている 筋力が低下している トイレの場所が分からない 年齢を重ねることで、誰しも身体機能が衰えてきます。例えば、以前よりも歩くのに時間がかかるようになって、トイレに行くまでの間で我慢の限界が来てしまうのかもしれません。また、尿を溜めておく膀胱の機能が衰えたり尿道周辺の筋力が低下することで、気づかぬうちに尿もれをしていることもあるでしょう。 言われてみれば、このところ母の歩き方がぎこちないかもしれません。トイレに行く道中も壁を伝ってなんとか歩いているような感じですし…。これまで尿もれの話はなかったのですが、私に言わないだけで尿もれがあったのかもしれません。 お母様には当てはまらないかもしれませんが、場所がわからなくなって、トイレにたどり着けないために粗相をしてしまうことも。こうしたケースは、認知症の方に多いですね。 認知症ですか…。まだ認知症のような様子はないと思います。うちの母の場合は「トイレの場所が分からない」は当てはまらなさそうですね。 トイレの問題はとてもデリケートな問題ですから、その方の粗相の原因を突き止めて適切な対応をしていきましょう。けして無理にトイレ介助をしようとはしないでくださいね。 トイレの声掛けやポータブルトイレの設置をしてみよう トイレ介助はとてもデリケート。拒否されても無理強いしないで 加齢や認知症の影響でトイレに間に合わなくなることがある pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; ...
2023/09/05
認知症の母親が、自分の便をいじって服だけでなくふとんや壁に触って汚すようになって大変なんです。何度、注意しても治りませんし、認知症のせいで注意したことも覚えていないようです。 仕事から帰って疲れていたときに、部屋中を汚されたときは本当に参りました。最近、そんなことが増えてきたので家に帰ってきても気が抜けません。良い解決策はありませんか? (片山さん・61歳・会社員) それは、本当に大変でしたね…。便をいじることは、認知症の症状のひとつで「弄便(ろうべん)」と言います。下着やおむつの中に便があることに違和感を覚えて素手で触ってしまい、その汚れた手をいろんな場所になすりつけてしまうんです。なので、できるだけ下着やおむつの中に便が入っている時間を短くすることが大切。おむつの中にではなく、トイレで排泄できるようにすること、寝たきりの人の場合は定期的におむつ交換をすることが便いじりを減らすことにつながるでしょう。 弄便(ろうべん)とは? 認知症の母が、便をいじって汚れた手をふとんや壁になすりつけるんです。便を触っているというだけでもショックなのに、部屋中を汚されて片付けも大変だし…。この間なんて、私が仕事から帰って母の部屋に入ると部屋中が汚れていて…。とても疲れていたのに、服やふとんを洗濯して、壁も拭いて…と、本当に参りました。 それはとても大変でしたね…。お仕事も介護もお疲れ様です。お話を聞く限り、お母様は認知症の周辺症状(BPSD)のひとつである「弄便」の症状が現れているように思います。 弄便(ろうべん)とは 便器の中に手を入れたり、トイレ以外の場所で失禁してしまうのは“不潔行為”と呼ばれるBPSD。その中でも、自分の排泄物を手で触ったり、衣服や壁にすりつけてしまう弄便は、介護者への負担が大きい症状です。 弄便の多くは、排泄物をしたことによる違和感やオムツの不快感が原因と考えられています。 オムツが不快だから中の排泄物を取りのぞこうとして手に便がついてしまう、手についた便をどうしたら良いかわからなくて服や壁にすりつける。本人にその気はなくても結果として弄便になってしまうことが多いようです。 ろうべん、ですか? 弄便は便を触って自分の身体やふとん、壁などにこすりつけること。中には便を汚いものと認識できずに、自分の顔に塗りつけたり、食べてしまうケースもあります。 食べてしまう!?信じられない! おっしゃるとおり、私たちにとっては信じられないことなんですが、認知症の影響で認知機能や理解力が低下していることで便が何だかわからなくなってしまうんですね。ただ、悪意があって便をいじったり、部屋を汚しているわけではないことは理解しておいてください。 弄便の原因は? 他の認知症の周辺症状も同様ですが、弄便にも原因があります。その原因を取り除くことで、症状が軽くなったりなくなったりするんです。 その原因というのは? 例えば、以下のようなことがあります。 おむつの中が不快で気になる 失禁を隠そうとする 便を正確に認識できない おむつの中が不快で気になる 下着やおむつの中で排便すると、肌に便が触れますよね。その感覚が不快で気になって便をいじってしまうことがあります。認知症の影響で排便をしたことを忘れてしまっている場合、「知らないうちに何かが下着の中に入っていて不快だから取り除こう」と思って便を触っていることも考えられます。 なるほど。確かに排泄したことを忘れてしまっているなら、不快でしょうがないですよね。 もしくは、お尻周りの皮膚がかぶれてかゆみがあるのかもしれません。かゆみがあれば誰でも気になるもの。かゆみのある部分を触ろうとして意識せずに便にも触ってしまっている可能性もあります。 失禁を隠そうとしている 失禁を隠そうとしている場合、汚れた服や下着をタンスや物陰に隠してしまうこともあります。また、失禁をしたことの羞恥心から、誰にも知られないように自分で片付けようとしたものの、どうしたら良いのかわからず、周囲を汚してしまってパニックになるケースもあるんです。 便を正確に認識できない 「正確に認識できない」というのは、さっきの「便を食べてしまう」ケースということですか? おっしゃるとおりです。私たちは排泄物は汚いものだと社会的な慣習に基づいて覚えますよね。それが認知症の影響で忘れてしまうんです。なので、便を何かわからず手でこねたり、美容クリームと思い込んで顔に塗るといった行為をすることもあります。 便をいじったときの対応方法は? 便をいじってしまう原因について、なんとなく理解しました。では、母が便いじりしたときはどう対応したら良いんでしょうか? それでは、便いじりが起きたときの対応方法についてお話ししていきましょう。 こんな対応はNG! 最近、便いじりの頻度が上がっているような気がして。何度叱っても繰り返すし…。 実は、便いじりをしたときにお母様のことを叱るのは逆効果になることがあります。 えぇ!?そうなんですか? さっきお伝えしたように、便いじりをすることに対してご本人には悪意はありません。なので、なぜ叱られているのかわからないんです。それに、認知症の影響で叱られた内容を忘れてしまう可能性もあります。ただ、叱られたことによる「嫌な気持ち」は残ります。それで不安感が増して、便いじりの回数が増えてしまうことも考えられるんです。 じゃあ、どうしたら良いんですか? 冷静に対応することが大切です。大声を出さず、お母様を責めず、穏やかに対応することで、お母様も安心するんじゃないでしょうか。 まずは手を、それからシャワーできれいに 便いじりによって汚れてしまったら、まずはお母様の手を洗いましょう。身体も汚れている場合、「早くきれいにしないと」とあせって急いで浴室に向かいたくなるかもしれません。ですが、手をきれいにしていないと浴室に行く途中の壁や手すりが汚れてしまう可能性もあります。なので、まずは手をきれいにしてから浴室で身体を洗ってくださいね。 便いじりの予防方法はある? 便でふとんや壁まで汚されると、掃除するのが本当に大変で…。どうにか便いじりを止めさせる方法はないでしょうか? 残念ながら、すぐに便いじりがなくなる方法というのは残念ながら思いつかないです…。ただ、便いじりの頻度を減らす方法はいくつかあります。以下のようなことを続けていくと、頻度が減っていくと思いますよ。 トイレで排泄する習慣をつける 汚れをとりやすいような工夫をする 皮膚を保護する トイレで排泄する習慣をつける トイレが間に合わず、下着やおむつの中で失禁してしまっている場合、できるだけトイレで排泄できるように習慣づけをしましょう。下着やおむつの中に便がある時間を短くするのが便いじりを減らす第一歩です。認知症になると、尿意・便意があってもトイレに行くことがわからなくなることがあります。なので、もじもじしていたり、力んでいるなど、いつもと違う様子があればご家族が声掛けをしてトイレに誘導してみてください。 なるほど。母はリハビリパンツを使っているのですが、気がついたらパンツの中で排泄してしまっていることが増えました。あれは、トイレに行くことがわからなくなったからだったんだ…。 もし、トイレに行くのが大変そうな様子があったら、お母様のお部屋にポータブルトイレを設置するのも良いでしょう。肌に便が触れている時間を減らすことで、肌のかぶれも減りますから、かゆみが原因の便いじりも減ると思いますよ。 皮膚を保護する 合わせて、肌のかぶれが原因の便いじりを減らすために、肛門やお尻の周りにクリームを塗っておくのも効果があるでしょう。ワセリンなどのクリームを塗っておけば皮膚を保護してくれるので、肌のかゆみやかぶれを防げます。 汚れをとりやすいような工夫をする これは、便いじりを減らす方法ではないのですが、便いじりが起きてしまったときに汚れを取りやすくするために、便が付きやすい場所の壁にビニールの保護シートを貼るのもおすすめです。またシーツの上から敷く防水シートも売っていますので、それを使えば寝具への汚れも減らせるでしょう。加えて、畳の部屋の場合は畳の上に敷くだけのフローリングカーペットがあります。畳の目に汚れが残りやすいですから、カーペットを敷くだけでも掃除が楽になると思いますよ。 おむつや下着の中の不快感から便をいじってしまうことも 便で汚れていても怒鳴ったり叱ったりするのはNG! 予防するにはトイレで排泄する習慣をつける、おむつをこまめに交換すること pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: scroll; line-height: 1.1; } ...
2023/05/31
同居する認知症の母を介護しています。私の知らないうちに尿パッドをリハビリパンツから抜いており、服を汚してしまいます。夜はおむつをしているのですが、おむつのテープを外してしまって服とシーツを汚すんです。 常にパッドを抜いていないか気を張っていないといけませんし、毎日のように汚れたシーツや衣類の洗濯をするのにも疲れました。どうにかならないでしょうか? (広瀬さん・パート・63歳) もしかしたら、濡れたパッドが肌に触れるのが嫌でおむつやパッドを外してしまうのかもしれません。そういうときは、お母様の排泄のパターンを把握してそれに合わせてトイレの誘導やおむつ交換をしましょう。濡れたおむつやパッドが肌に触れる時間を減らすことで外す回数も減るかもしれません。 認知症の人がおむつを外す原因は? 認知症の母が尿パッドやおむつを外してしまって困っています。母は、昼はリハビリパンツに尿パッドを付けて使っています。ただ、しばらくすると自分で尿パッドを抜いてしまい、汚れたパッドが床に落ちていることもあります。リハビリパンツだけでは足りないのでズボンも汚してしまい、1日に何度も着替えさせないといけません。それだけじゃなくて、夜もおむつを自分で外してしまうので来ている服もシーツも洗濯しないといけないんです。常にパッドやおむつを外していないか、気を張っていないといけない状況に疲れました。何か良い方法はないでしょうか? おむつやパッドを外してしまうことの対応方法はいくつかあります。でも、どうしてお母様がおむつやパッドを外してしまうのかをきちんと理解していないと、対策をとっても効果がないかもしれません。それどころか逆効果になってしまうこともあります。なので、まずは原因を見極めましょう。それに合わせた対策をとっていくのが大切ですよ。 おむつやパッドを外してしまう原因と言っても、すぐに思いつきません…。どうして母はきちんとおむつやパッドを着けていてくれないんでしょうか? ご高齢者がおむつやパッドを外してしまう原因はいくつか考えられます。具体的には、次のようなことです。 おむつやパッドが恥ずかしい なぜおむつをしているのかわからない 着けているのが気になる 濡れているのが不快 肌がかぶれていてかゆい おむつやパッドが恥ずかしい ご高齢者の中には、おむつやパッドをすることを恥ずかしいと感じる人もいます。これまで当たり前のようにできていた「トイレに行って用を足す」ということができなくなったのを受け止められないんですね。それにおむつやパッドを使う人の多くは、排泄時に介助が必要です。介助を受けることを「情けない」と考え、目を背けたい気持ちから外してしまうのかもしれません。 なぜおむつをしているのかわからない 「なぜおむつをしているのかわからない」ってどういうことですか?私は母に「普通のパンツだと漏らしてしまうかもしれないから」と何度も説明していますから、おむつやパッドを着けている理由がわからないことはないと思うのですが…。 うーん、これが認知症の人を介護することの難しさなのですが、認知症になると新しいことを覚えるのが苦手になるのはご存知だと思います。なので、おむつやパッドの必要性を説明されても、しばらく経つと忘れてしまっている可能性が高いです。そのうえ、おむつやパッド、リハビリパンツはほとんどの人にとってなじみの薄いもの。そのため、お母様は「なんでこんなものを履いているの?」と、おむつやパッドに違和感を抱いて外してしまっているのかもしれません。 あれだけ言っても必要性を理解してくれていなかったんですね…。 認知症の人が新しいことを覚えるのには時間がかかります。根気強くいきましょう。 濡れているのが不快 もし、お母様が外しているおむつやパッドが尿で汚れているのであれば、濡れているものを着けているのが嫌で外していることも考えられます。特に、リハビリパンツの中に尿パッドを入れて使っている状態は、簡単にパッドを外しやすいですから、「濡れていて気持ち悪いから取ろう」とパッドをパンツから抜いているのかもしれません。 そういえば、母が抜いてしまったパッドはいつも濡れています。もしかしたら、濡れているのが嫌だったのかもしれません。 おむつが濡れていて不快な状態が続くと、おむつの中を触ってしまって「弄便(ろうべん)」につながることがあります。便で汚れた手を服やふとんになすりつけたりして周囲を汚してしまうことも多いんです。弄便については、以下のご相談でもお答えしているので、ぜひ参考にしてみてください。 肌がかぶれていてかゆい 在宅介護で意外と気が付きにくいのが、肌のかぶれです。おむつやパッドを使っていると蒸れやすいので肌トラブルが起きやすい状態ですが、家事や介護に忙しくて肌の状態にまで目が向かないのが実情ではないでしょうか。そして、肌のかぶれをそのままにしたままでおむつやパッドをしているので、肌がかゆくて外してしまうんですね。 認知症の人がおむつを外すときの対策は? 母がおむつやパッドを外してしまう原因に、いくつか思い当たるものがありました。どう対策していけば良いんでしょうか? 外してしまう原因と同じように対策もいくつかありますから、お母様の状況に応じていろいろ試してみると良いでしょう。具体的には、以下のような対策があります。 「おむつ」という言葉を使わない 排泄パターンを把握する 布パンツに変える 「おむつ」という言葉を使わない なんで「おむつ」と言ってはいけないんですか? おむつやパッドを使うのが恥ずかしいと感じている人に「おむつ」と言うと、いかにも「介護を受けている」と感じて情けない気持ちになることもあるからです。それが理由でおむつを使うことを嫌がったり、外してしまうこともあるんですよ。なので、「おむつ」という表現を避けて、「紙パンツ」「使い捨て下着」のような言い方に変えてみるのもひとつの手。ちょっとした言い方を変えるだけでお母様の気持ちが変わって、おむつ外しがなくなるかもしれませんよ。 排泄パターンを把握する 「排泄パターン」って何ですか? 多くの人は、1日の中で排泄するタイミングがおおよそ決まっています。例えば、起きてすぐの7時ごろ、朝食が落ち着いた9時ごろ、昼食が終わった13時ごろ、お茶をする15時ごろ…といった具合です。 トイレへ誘導するコツ トイレに誘導するタイミングを誤ると「さっきも行ったのに!」「しつこい!」などと思わせてしまい、トイレ拒否へとつながることも。そうならないためには、トイレに行く時間を日々記録し、把握しておくことをおすすめします。同じ時間にトイレ誘導することで、本人のリズムで排泄でき、トイレ拒否改善にもつながります。 また声をかける際は、「トイレの時間だから行くよ!」といった強制感のある言葉ではなく、「トイレは大丈夫?」など、本人の気持ちに寄り添った声かけをしましょう。 排泄パターンに合わせてトイレに誘導してパッドを取り替えたり、夜におむつ交換をしたりすれば、濡れたパッドが肌に触れている時間が減っておむつやパッドを外してしまうことも減るでしょう。 布パンツに変える もし、お母様がおむつやリハビリパンツを履いていること自体に違和感があって外しているのだとしたら、布パンツに変えることで失禁が改善する可能性があります。 むしろ、布のパンツに変えたらもっと失禁が増えちゃいませんか? いえ、なじみのないおむつやリハビリパンツから慣れている布パンツにすれば、気になってパッドやおむつをいじることが減るかもしれません。もちろん、布パンツの中にパッドを入れて失禁対策はしますよ。かぶれが起きにくくなりますから、肌の状態も良くなるでしょう。 おむつを使うメリット・デメリット 一見、メリットが大きいように見えるおむつですが、一方でデメリットも存在します。 おむつを使用するメリット 失禁の不安がなくなり、安心して外出できる夜間に使用することで、高齢者自身と介護する人の身体的負担を軽減できるトイレに移動する際の転倒リスクを減らせる おむつを使用するデメリット 自尊心が傷つくトイレに行くことが少なくなり、残存機能の低下を招く尿意や便意を感じにくくなる皮膚トラブルが多くなる費用面での負担が増える おむつの使用は最終手段として考え、トイレでの排泄が基本であることを忘れないようにしましょう。 おむつやパッドをしている理由を忘れてしまったり、濡れているものが肌に触れる不快感から外してしまうことがある 排泄パターンを把握して排泄介助をしたり、布パンツにパッドを入れることで状況が良くなることも pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: scroll; line-height: 1.1; ...
2023/04/25
介護施設への入居について、地域に特化した専門相談員が電話・WEB・対面などさまざまな方法でアドバイス。東証プライム上場の鎌倉新書の100%子会社である株式会社エイジプラスが運営する信頼のサービスです。