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認知症の父親が立てる音が耐えられない!机を叩く音にイライラする!

同居している認知症の父が立てる音に悩まされています…。 父はほとんどの時間、リビングにいるのですが、机をバンバンと叩いたり指でコツコツと音を立てるんです。止めるように言っても聞かないですし、ほかの部屋にいても音が聞こえるので気が休まりません。 どうして父は机を叩き続けるんでしょうか?止めさせる方法も教えてください。 (齋藤さん・65歳) もしかしたら、何か伝えたいことがあるのに上手く伝えられないことでお父様がストレスを感じている可能性があります。認知症になると言葉が上手く出てこなくなったり、自分の状態が理解できなくなったりして、伝えたいことを伝えられなくなることがあります。対策としては、お父様のストレスの原因を突き止めて改善すること。コミュニケーションの機会を増やすことで原因がわかり、机を叩く頻度が減る可能性もありますよ。また、クッションを置いたりすることで音が軽減できるでしょう。音の問題は、ご家族にとって大きなストレスになりますよね。なので、耐えきれないと感じたときは在宅介護サービスを利用したり老人ホームに入居するなどして、物理的に距離を取るのもひとつの方法です。 認知症の人が音を立てる原因は? 認知症の父と同居しています。最近、机をバンバン叩いたり指でコツコツと音を立てたりするようになって、止めるように言っても言うことを聞きません。それにわざとかはわかりませんが、扉を勢いよく閉めるので父が部屋を出入りする度に大きな音を出すのも精神的に落ち着きません。そんな状況なので、家にいても気が休まらなくてイライラしっぱなしで…。父が音を立てるのを止めさせる方法はありませんか? お父様が音を立てるのを防ぐには、まずは音を出してしまう原因を考えてみることが大切です。どういった音を立てるのかによって原因が異なるので、まずは具体的な騒音とその原因についてお話ししましょう。 足音などの生活音 「音を立てる」と言っても音にはいくつか種類があります。まず、生活音について考えてみましょう。生活音というと、次のようなものです。 テレビの音 ドアを閉める音 足音 こうした生活音が大きくなってしまう原因は、耳が遠くなったことで周囲への配慮ができなくなったことだと考えられます。特に、耳が遠くなったご高齢者の多くがテレビの音が大きくなる傾向があります。耳が遠くなると音が大きくなっても気づきにくいですから、自然と生活音が大きくなってしまうんです。 確かに、父は耳が遠くなってきたような気がします。テレビの音も大きいし、ドアを開け閉めする音も気が付かなくなったのかな… 大声などの意図的な音 認知症の人が意図的に出す音に悩まされるケースは少なくありません。意図的に出す音とは次のようなものです。 机などの物を叩く 大声 ひとりごと 大声やひとりごとは今のところありませんが、机を叩くのは本当に止めてほしいですね。 意図的な音の原因としては、さびしさやストレスである可能性があります。 さびしさやストレスですか?父がそんなことを感じているように思えないのですが…。 認知症の影響で上手く会話ができなくなると、ご家族や周囲の人とコミュニケーションを取る機会がぐっと減りやすいです。特に言葉が出てこなくなると、同じ家にいるのに会話をしないという状況も増えてくるかもしれません。そうした状況にさびしさを感じて、机を叩いたりしてご家族の気を引こうとしている可能性があります。 北野室長が言う通り、父は認知症が進んであまり会話ができない状況です。言われてみれば、私も父が何を考えているのかわからなくなってコミュニケーションを取るのを避けていたかもしれません…。 会話ができなくなると、コミュニケーションが難しくなりますよね…。お父様は認知症の影響で言葉が出なくなっているかもしれません。加えて、認知症によって自分がどんなことを感じているのかがわからなくなることもあるので、さらに自分の思いを伝えられなくなる傾向があります。そうした、上手く伝えられないストレスから机を叩いている可能性もありますね。 認知症の人が立てる音の対策は? 父が音を立てる理由がわかった気がします。でも、どうしたら父の騒音を止めさせられるんでしょうか? それぞれの音の原因がわかったので、それに対応する策をとっていきましょう! 足音などの生活音への対策 例えば、テレビの音が大きい場合は、集音器や補聴器を身に着けたり、テレビ用スピーカーを使って周囲に音が漏れないようにしましょう。ドアを閉める音が大きいときは、ドアのふちにクッションをつけるのがおすすめ。テープ式でドアのふちに貼り付けるものや、ゴムでできた小さなクッションシールタイプもあります。クッションを貼るだけでもだいぶ音が小さくなると思いますよ。足音対策には防音マットが良いでしょう。今使っている絨毯やカーペットの下に敷くタイプのものや、防音マット自体が絨毯として使える物もあります。 ドアのクッションは良いですね。そんな便利なものがあるとは知りませんでした!さっそく購入してみます。 大声などの意図的な音への対策 机を叩くなど、認知症の人が意図的に出す音に関してはクッションをつけたりして防音対策するだけでは難しい部分があります。というのも、意図的な音は認知症の症状から来るものなので、その原因を解決する必要があるためです。 原因というと、さびしさやストレスということですよね? おっしゃる通りです。具体的な対策としては、コミュニケーションの機会を増やすこと。認知症の影響で言葉が出にくい状況であっても、お父様の反応をよく見て双方向のコミュニケーションを心がけましょう。すぐに上手くコミュニケーションが取れるようにならないかもしれませんが、徐々にお父様が感じていることや伝えたいことがわかるようになってくるはずです。「自分の話を聞いてくれている」とお父様が感じるようになると、机を叩く頻度も減ってくると思いますよ。 耐えきれないときは物理的に離れよう 音の問題はご家族のストレスになりやすいので、もしお父様が出す音が耐えきれないと思ったときは、物理的に距離を取るのもひとつの方法です。 「物理的に距離を取る」とはどういうことですか? 例えば、在宅介護サービスを利用したり老人ホームに入ることです。具体的にお話ししていきますね。 在宅介護サービスを使う 在宅介護サービスとは、ご自宅で介護を受けているご高齢者が利用できる介護サービスです。さまざまな種類のサービスがありますが、物理的に距離を取る場合に活用できるのは以下の3種類です。 デイサービス ショートステイ 小規模多機能型居宅介護 デイサービスとは、介護施設に通って入浴や食事、レクリエーションといったサービスを受けられるもの。デイサービスの利用時間が半日ほどあるので、その時間は介護から離れられます。また、ショートステイは介護施設に1日から宿泊できるサービス。宿泊している間は身の回りのことをすべて施設に任せられるので、ご家族のリフレッシュのためによく利用されるサービスです。 家族のリフレッシュのためのサービスがあるんですね!ぜひ利用したいな…。 小規模多機能型居宅介護はデイサービスとショートステイ、訪問介護の3つのサービスを組み合わせたものです。1つの施設ですべてのサービスを提供しているので、「デイサービスの後にショートステイ」といった使い方もできます。音の問題から離れられるだけでなく、お父様の状態が変化した場合でも柔軟なサービス利用ができるのが魅力です。 老人ホームに入る 父が出す音がうるさいからって、それだけで老人ホームに入れるなんて気が引けるんですが…。介護する側がストレスを感じているだけで老人ホームに入れることって、あまりないですよね? 老人ホームに入る人の中には、ご家族のストレスや負担が大きくなったことがきっかけになったケースも珍しくありません。在宅介護はご家族の心身の負担が大きいです。在宅介護のストレスでご家族が体調をくずしてしまっては元も子もないですから、負担を軽くするために老人ホームに入居することはけして悪いことではありませんよ! そうなんですね…。老人ホームってよくわからないんですが、どんなものがあるんでしょうか? 老人ホームにはいろんな施設があります。例えば、以下のようなものがありますよ。 有料老人ホーム サービス付き高齢者向け住宅 グループホーム 有料老人ホームには、「住宅型有料老人ホーム」と「介護付き有料老人ホーム」があります。どちらも介助が必要な人を受け入れていますが、介護付き有料老人ホームには介護スタッフが24時間常駐しているので、こちらの方が介護が充実している施設です。サービス付き高齢者向け住宅は、基本的には元気な人が入居する施設。介護が必要な場合は外部の介護サービス事業者と契約をしてサービスを受ける必要があります。グループホームは、認知症の人限定の施設。お体が元気な認知症のご入居者が助け合いながら生活している場所です。掃除や料理などの家事もご入居者が協力しておこなっているのが特徴です。認知症ケアが充実しているので、お体が元気であれば認知症の人におすすめの施設です。 本当にいろんな施設があるんですね…。北野室長の言う通り、父が出す物音や介護にストレスが溜まっていました。そろそろ老人ホームに入れることも考えた方が良いのかもしれませんね。 認知症の人が立てる音は、生活音と意図的な音がある 生活音は耳が遠くなったこと、意図的な音はストレスが隠れていることも 認知症の人の音に耐えきれないときは介護サービスを使って物理的に離れよう pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: ...

2024/04/17

認知症 介護疲れ

認知症の親を精神病院に入れるかどうか迷っています。症状が悪化して在宅介護しきれません!

同居している母の認知症が進行して手に負えないので、精神病院に入れようか迷っています。こんな理由で入院させて良いものなんでしょうか? 母は、体は元気なんですが、認知症のせいでトイレがわからなくなって廊下でおしっこしたり、夜中に大声で騒ぎながら家の中をうろうろするといった状況です。興奮すると手をあげることもあります。 特に私が仕事でいない時間は父と2人になるため、父の負担が大きいんです。高齢の父には手に負えないので精神病院に入院できないかと思っています。 (塚本さん・会社員・56歳) 「家族による介護が難しいから」という理由で精神病院に入院することはできます。在宅介護サービスを使っても症状に対応できない場合などに、認知症の治療のためにご家族の意思で精神病院に入院させるケースは少なくありません。認知症の治療には、「薬物療法」と「非薬物療法」がありますが、これは病院だけではなく、ご自宅でもできる治療です。そのため、まずはかかりつけ医にご自宅で症状の緩和をする治療ができないかを相談してから入院するかどうかを判断されることをおすすめします。 精神病院で認知症治療の入院が認められるケース 認知症の母の症状が悪化して、私たち家族では手に負えなくて…。トイレの場所がわからなくなって廊下でおしっこするし、夜中に大声で騒ぎながら家の中をうろうろするから眠れないし…。それに興奮すると私や父に手をあげることもあるんです。デイサービスやショートステイを利用しようと思ったのですが、こんな状態なので断られてしまって。どうしようもないので精神病院に入院させるしかないかな、と思っています。こんな理由で入院させて良いのでしょうか? はい。ご家族での介護が難しいことを理由に、お母様が精神病院に入院することは可能です。精神科では入院に関して制度が設けられており、ご本人の了承がなくても入院が可能になっています。具体的には、入院が必要な状況でご家族の同意がある「医療保護入院」や、自傷・他害のおそれがあって都道府県知事の権限が行使される「措置入院」などが当てはまります。例えば以下のような状況の場合、ご本人の同意がなくても入院が認められることがあります。 家族の介護が難しい場合 暴力を振るう可能性がある場合 そのほか医師が入院が必要と判断した場合 家族での介護が難しい場合 塚本さんのご家庭のように、認知症の症状が進行してご家族での介護が不可能になった場合、ご本人の承諾がなくても精神病院への入院が認められることがあります。特に認知症の方による深夜徘徊があると、介護施設でも受け入れを断られることがあります。そうなるとご家族だけで介護をしなければいけませんが、その負担がとても大きいですよね。そのため、入院による治療を目的に入院が認められる場合があります。 これは母に当てはまりそうです。母は、おそらく入院に了承しないでしょうから、家族が同意して入院する「医療保護入院」になりそうですね…。 暴力を振るう可能性がある場合 認知症の症状によって暴力を振るう場合も、入院が認められることがあります。ほかのご利用者やスタッフに暴力・暴言行為をする可能性のある方は、多くの介護施設で受け入れできません。一度、受け入れられたとしても、利用停止や退去を求められるケースも少なくありません。そうした場合には、治療によって症状を落ち着けるために入院治療を認められることが多いです。暴力・暴言行為があるとご家族の負担が大きいので、入院によって距離を置いたり、薬物療法によって症状を緩和するのも良いと思います。 母も興奮すると手をあげることがあるので、それを理由にデイサービスとショートステイを断られてしまいました。やっぱり、入院させた方が良いのかな…。 そのほか、医師が入院が必要と判断した場合 「家族での介護が難しい場合」「暴力を振るう可能性がある場合」以外にも、医師の判断によって入院が認められるケースもあります。具体的には、食事が摂れなくなったり拒否したりする摂食障害が起きている場合や、幻聴・幻覚によって生活に支障が出ている場合などです。 認知症のせいで食事を拒否したり幻覚などが出ることがあるんですね。今のところうちの母にはありませんが、そんな症状が出たら家族で対応するのは大変ですよね…。 病院での認知症の治療内容 もし、母が精神病院に入院するとしたら、どんな治療がおこなわれるんでしょうか? 認知症の治療方法は、「薬物療法」と「非薬物療法」に分けられます。詳しくお話ししますね。 薬物療法 認知症の薬は、主に4種類あります。効果としては、脳内の神経伝達を助けたり精神を落ち着けることで、認知症の進行を遅らせたり症状を抑えることを目的としています。認知症の薬ではあるのですが、認知症を完治させる薬はまだないのが実情なんです。 えっ、認知症を完治させる薬はないんですね!知らなかった…。 そのほかにも、ご本人の心身の状況を考慮して抗うつ薬などが処方されることもあります。 非薬物療法 非薬物療法って薬を使わない治療法ってことですよね。イメージができないのですが…。 非薬物療法は、リハビリテーションなどによる治療のことです。さまざまな治療法がありますが、主には以下のような治療をおこないます。 回想法 音楽療法 園芸療法 芸術療法 ペットセラピー 多くの治療法は、レクリエーションのように楽しみながらできるのが特徴。音楽や会話、園芸などを通して脳の活性化を図ります。また、レクリエーションによってご本人の精神が安定することで、「問題行動」と呼ばれる徘徊などの行為を軽減を目指します。 楽しみながらできるのか…。薬を使わない治療法も良いですね。 はい。ただ、入院しなくても薬物療法と非薬物療法のどちらもおこなえます。そのため、「介護が大変!入院させよう」とすぐに決めつけるのではなく、まずはかかりつけ医に在宅介護でも症状が軽減できる方法がないか相談してみてください。 そうなんですね。母のように認知症の症状がひどくなったら、精神科に入院するしかないと思っていました。とりあえず、かかりつけの先生に相談してみようと思います。 認知症の治療のために精神病院に入れることは可能 暴力を振るったり家族での介護が難しい場合に入院が認められることがある 入院での認知症治療は、薬物療法や非薬物療法などがある pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: scroll; line-height: 1.1; ...

2024/03/14

在宅介護 介護疲れ

親の介護が原因で家庭崩壊してしまうかも…。予防する方法はありますか?

3ヵ月ほど前には母が自宅で転倒し入院し、一人で歩くのが難しくなって介護が必要な状態になってしまいました。家の中を歩くのにも付き添いが必要なので、トイレもお風呂も私が介護しています。 車で1時間ほどのところに妹と弟が住んでいますが、介護を手伝う気はまったくなし。最近では、私が母の介護の話ばかりをするせいか、電話をしても妹や弟につながりにくくなってしまって。つながっても、母のことで口論となってしまって…。 母の介護が始まる前はここまで仲の悪いきょうだいではなかったのですが…。介護が始まって関係が悪くなってしまったような気がします。このままでは家庭崩壊してしまうかもしれません。どうしたら良いですか? (小笠原さん・パート・65歳) それは大変な状況ですね…。家庭崩壊をしてしまう前に、対策をとっておきましょう。それは「家族で役割分担をする」「介護サービスを活用する」といったものです。週1回でも手伝いに来てもらったり、ごきょうだいに直接的な介護の支援をしてもらえなさそうなら金銭面での援助を求めたりなどの役割分担が大切です。そうしないと、小笠原さんの負担が大きくなり、共倒れになってしまいます。また、介護サービスを活用するのも大切。すでに利用していても介護サービスの量を増やすことで、負担がかなり減ると思いますよ。 介護で家庭崩壊してしまう対策と原因 3ヵ月ほど前に母が自宅で転倒してから、介護が必要な状態になってしまいました。なんとか歩けるものの、手すりにつかまったり私が手を引いたりしないといけないですし、足元がおぼつかなくて危険です。なので、トイレに行くのもお風呂に入るのも、私が介助しています。こんな状況なのに、妹と弟は手伝う気が一切なし。「仕事が忙しい」「姉さんに任せた」と言って、私に丸投げなんです。車で1時間ほどのところに住んでいるので、来れない距離じゃないのに…。最近では、電話しても出てくれないことも増えたし、出たと思ってもすぐに口論になってしまって。母の介護が始まる前はそこまで仲の悪いきょうだいではなかったんです。このままでは関係が悪くなって家庭崩壊してしまうかも…。どうしたら良いでしょうか? それはおつらい状況ですね…。介護が原因の家庭崩壊を避けるためには介護体制を整えることが大切です。具体的には以下のような方法です。 家族で役割分担をする 介護サービスを活用する 費用の減免制度を活用する 家族で役割分担をする 介護によって家庭崩壊をしてしまう原因のひとつに、家族で話し合いができていないことがあります。小笠原さんのお母様の場合、急に介護が始まってしまったので介護の役割分担などの話し合いができなかったと考えられますが…どうでしょうか? はい、その通りです。でも、今の状態ではろくに話し合いもできない気が…。 ごきょうだいと話し合いができない理由のひとつに、介護に関わっていないほかのきょうだいが事態の重大さを把握していないことがあります。特に転倒などで急に介護が必要となったケースでは、お元気だったころの親御さんの姿のイメージしかないので、介護が大変なことを理解できていない可能性も。親御さんの状況を直接見ていない場合ならなおさらです。 妹も弟も転倒した直後に一度、母の入院先にお見舞いに来たきりです。家での様子は見てはいないですね。私がいつも電話で母の様子を伝えていますが、それでは足りないんでしょうか? 私が多くの方のご相談を受けた経験からお伝えすると、妹さんも弟さんもお母様はもっと軽い状況だと思っている可能性が高いですね。そのため、まずは妹さんと弟さんにお母様の今の状況を見てもらって、そのうえで顔を合わせた状態で話し合いをすることをおすすめします。介護の大変さが伝わると思いますよ。 そこまでしないといけないんだ…。 また、役割分担をする場合は、妹さんや弟さんにお願いしたい内容を具体的に伝えることが大切。例えば、「週に2回は手伝いに来てほしい」「通院の送り迎えをしてほしい」といった内容です。もしかしたら、仕事や家庭のことでどうしても直接的な手伝いができないケースもあるでしょう。その場合は、多めに介護費用を出してもらうといった方法もありますよ。 なるほど…。今まで「手伝って」としか言っていなかったかも。頼みたいことを具体的にしておきます。 介護サービスを活用する 介護の負担は中心となって介護をしている人に集中してしまいがちです。そのため、積極的に介護サービスを活用することをおすすめします。特におすすめなのは、ショートステイ。1日から介護施設に宿泊できるサービスで、最大30日連続で利用できます。ご家族が体調不良などで介護できないときはもちろん、息抜きのために利用している人も多いですよ。 息抜きのために利用できる介護サービスがあるんですね! そうなんです!在宅介護は負担が大きいものです。ご家族だけで介護をするのはかなり厳しいので、ショートステイを使って、適度に休憩をしていきましょう。また、お風呂の介助が必要ならデイサービスもおすすめ。これは、介護施設に通って9~16時の間を施設で過ごせるサービスで、入浴介助も受けられるんです。そのため、週に2~3回利用して、お風呂をデイサービスで済ませている方も少なくないんですよ。 へぇ!お風呂に入れてくれるのは助かります。うちのお風呂は狭いし、滑って危ないので…。 今、お話ししたものも含めて、在宅介護をしている方が利用できる主な介護サービスには以下のようなものがあります。 訪問介護 デイサービス ショートステイ 福祉用具の貸与 福祉用具の購入 費用の減免制度を活用する 介護は思った以上にお金がかかるものですよね。そのため、介護によって経済的に苦しい状況になってしまうこともありえます。そこで、介護費用の減免制度を活用していくことが大切です。 介護費用の減免制度なんてあるんですか! そうなんです。例えば、以下のようなものがあります。 高額介護サービス費 高額医療・高額介護合算療養費制度 医療費控除 特定入所者介護サービス費 社会福祉法人などの利用者負担軽減制度 これらの制度は、上限額を超えて介護サービス費や医療費を支払った場合に払い戻しや控除が受けられるものです。また、特定の施設に入居すると利用料が減額されるものもあります。上限額や減額は所得に応じてそれぞれ設定されています。詳細は以下の記事で詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。 家族内で家庭崩壊を解決できないときは… もし、妹や弟と話し合いができなくなってしまったらどうしたら良いでしょうか? そうですね…。最終手段としては、家庭裁判所で「扶養請求調停」を申し立てる方法があります。法律上、直系血族やきょうだいはお互いに扶養義務があるとされています。その義務を果たさなかったり、扶養義務がある人同士でお互いの支援について話し合いでまとまらない場合に、家庭裁判所が間に立って調停するものです。具体的には、家庭裁判所が小笠原さんや妹さん、弟さんなどの話を聞いたうえで、お母様への支援として「毎月何万円支払う」といった提案がなされます。もしそれでも合意されなかった場合は、家庭裁判所が法律的に妥当な方法を指定して審判がされます。つまり、家庭裁判所に強制的に介護の負担を決められてしまいます。 そんなことになってしまうんですね…。そうならないように、家族での話し合いが大切ということですね。 参考:「扶養請求調停」(裁判所) 介護で家庭崩壊するとどうなる? 考えたくはないことですが、妹や弟との関係がさらに悪くなって家庭崩壊してしまったらどうなるんでしょうか? 妹さんや弟さんと完全に縁が切れてしまって、小笠原さんが介護のすべてを担うことになるでしょう。今後、お母様の状態が進行したら、さらに介護の負担が大きくなることが考えられます。そのため、以下のような状態になってしまう危険性があります。 経済的に困窮する 親を虐待する 介護うつを発症する 経済的に困窮する ほかのごきょうだいからの支援がないとなると、経済的に困窮する可能性が考えられます。先ほどもお話しした通り、介護にはお金がかかります。そのうえ、ほかのご家族から直接の介助や経済的な援助という形でサポートがないと、介護をする人だけのお金と時間を使わないといけなくなります。お母様の蓄えが十分にある場合は問題ないと思います。が、そうでない場合は、介護の時間を作るために仕事を辞めて、収入が減ったから節約するために自分で介護をして…といった負の連鎖になってしまう可能性も考えられます。直接的な支援がごきょうだいから得られなくても、経済的支援があれば介護サービスを使って負担が減らせます。経済的支援があるかないかで介護の負担は大きく変わるんです。 親を虐待する 介護をしている親を子どもが虐待するというニュースは見たことありますが…。 はい。高齢者虐待はテレビなどでも取り上げられていますからご存知だと思います。こうした高齢者虐待の原因の多くは介護によるストレスなんです。特に一人で介護をしている場合の心身のストレスは莫大です。そうしたストレスが親御さんに向いて、虐待という結果になってしまったケースが少なくありません。 つまり、ニュースで見る高齢者虐待は親子仲が悪かったわけではないんですか? はい。必ずしも親子関係が悪いことが虐待の原因になっているわけではありません。むしろ「私がちゃんと最期まで介護をしないと」と、考えているお子さんに限って虐待をしてしまうとも言われています。そうした悲しい事態を避けるためにも、ご家族で分担して介護をおこなってくださいね。過去に親御さんに手をあげてしまった方のご相談も乗っています。参考にしてみてください。 介護うつを発症する 一人で頑張りすぎた結果、介護うつになってしまう危険性もあります。介護うつとは介護が原因で発症するうつ病のこと。心身のストレスや疲労が溜まった結果、発症してしまうものです。 私もこのところの介護で疲れていて。介護うつになってしまうんでしょうか…。 介護うつは早期発見が大切です。介護うつの症状をまとめましたので、思い当たるものがあったらまずは介護を休んで、心身をリフレッシュする時間を作りましょう。 食欲不振 睡眠障害 疲労感 焦燥感 思考障害 そういえば、最近、寝付きが悪いかも。それに疲労感は常にあるし…。母が転倒してからずっと介護のことばかりだったので、ちょっと休憩するタイミングなのかもしれませんね。 はい、定期的に”介護休み”を作って休憩しましょう!もしすぐにごきょうだいの支援がもらえなさそうであれば、ショートステイなどの介護サービスを活用して、”介護休み”を作るのもおすすめの方法ですよ。 家族で話し合いできていない、介護者の心身疲労、経済的困窮で家庭崩壊をしてしまうことも 家族間の話し合い、介護サービスの利用、費用の減免制度や家族からの経済的支援によって対策をしよう 家庭崩壊すると経済的困窮、親への虐待、介護うつなどに陥る危険性がある pre { margin: 40px 0; background: ...

2024/02/09

認知症 介護疲れ

認知症の母親に手をあげてしまい、とても後悔しています。予防する方法はありますか?

先日、母に手を上げてしまって後悔しています。 私は数年前から認知症の母の介護をしており、このところ母が急に興奮してわけのわからないことを言いながら私に怒鳴ったり殴ったりすることが増えて。先日、理不尽な理由で私を怒鳴りながら何十分も殴り続けるので、私もだんだん怒りが込み上げてきて殴り返してしまいました…。 母の様子がおかしいのは認知症のせいなんだとわかっているのですが、自分でも抑えられなくなってしまったんです。それからずっと後悔と罪悪感でいっぱいで…。 今後、同じようなことがあったら、また母に手をあげてしまうかもしれません。防ぐ方法はありませんか? (浅井さん・会社員・57歳) 本当に大変な状況でしたね…。浅井さんが手をあげてしまったのは介護の疲れが溜まっていたせいですので、ご自分を責めないでくださいね。予防方法としては、まずは浅井さんの介護の負担を減らして疲れを溜まりにくくしましょう。ほかのご家族と分担したり介護サービスを活用することをおすすめします。なかには、「自分がしっかり介護をしないと」と常に気を張って介護をしていることもあるかもしれません。そうではなく、介護は楽をして良いもの。介護の負担を減らして作った時間を趣味の時間に使ったりと、リフレッシュタイムを確保してもっと「がんばらない介護」をしてみましょう。 認知症の親に手をあげそう…予防法は? 数年前から認知症の母の介護をしています。最近になって、母が異常に興奮してわけのわからないことを怒鳴り散らしたり、私を殴ることが増えました。先日も、母がものすごい勢いで私を怒鳴りつけながら殴ってきたんです。「いつものことだ」とはじめは流していたのですが、その日は止まらなくて…。何度も何度も殴られるうちに「どうして頑張って介護をしているのにこんな目にあわないといけないんだろう」と虚しさと怒りが込み上げてきて、思わず殴り返してしまったんです。どうして殴り返してしまったのか…認知症のせいだとわかっていたのに。たった1人の家族を殴ってしまって、ずっと後悔しています。それに、もし同じようなことがあったらまた殴ってしまいそうで怖いんです。何か予防する方法はないでしょうか? それはおつらかったですね。介護を続けていくうちに手をあげてしまう、もしくは手をあげてしまいそうになるケースは少なくありません。介護をしているご家族に手をあげてしまうかも、と悩んでいる人は浅井さんだけではないですから安心してください。介護をしている親御さんに手をあげてしまうケースの多くは、ストレスや疲れが溜まることがきっかけになっています。なので、まずは自分の介護の負担を減らしましょう。例えば、以下のような方法がありますよ。 他の家族と分担する 専門家に相談する 介護サービスを使う 他の家族と分担する 可能であれば、ご兄弟などのほかのご家族と介護を分担しましょう。浅井さんは、ご兄弟はいらっしゃいますか? 妹がいます。ただ、車で1時間以上かかるところに住んでいることもあって、あまり介護に関わってくれなくて…。 なるほど…。ちなみに、以下のような方法でも介護の協力をしてもらえなさそうでしょうか? 金銭的な援助をしてもらう 通院の送迎をしてもらう 週1回だけ介護を交代する 家が遠くて直接の介護を分担できない場合、金銭的な援助だけしてもらうのもアリです。介護には何かとお金がかかりますから、お金の援助をしてもらうだけでも精神的に楽になると思いますよ。それに、たまに通院の送迎をしてもらったり、週1回だけ手伝いに来てもらうだけでも浅井さんの負担は減るでしょう。あまり協力的でない人に介護の協力をしてもらうときには、「何をしてもらいたいのか」をはっきりさせてからお願いするとスムーズに協力してもらいやすいですよ。 うーん、妹は忙しくて定期的に直接介護してもらうのは難しそうです。でも、多少の金銭の援助ならしてもらえるかも。通院も月に1回程度なので、代わってもらえるかもしれません。 専門家に相談する 介護のことで困ったら、専門家にアドバイスをもらいましょう!具体的には以下のような専門家に相談をおすすめします。 地域包括支援センター ケアマネジャー かかりつけ医 地域包括支援センターって何ですか? 高齢者の暮らし全般をサポートしている総合窓口です。もし、まだ介護サービスを利用していないのであれば、まずは地域包括支援センターに相談することをおすすめします。もし、既に介護サービスを利用しているのであれば、担当のケアマネジャーさんに相談してくださいね。 介護サービスは利用したことがないですね。ということは、地域包括支援センターに相談するのか…。 また、かかりつけ医も介護の相談に乗ってくれます。特に認知症の場合は治療が必要になりますから、医療の専門家としてのアドバイスをしてくれるでしょう。 介護サービスを使う 介護のことはプロに任せるのがおすすめです!積極的に介護サービスを利用しましょう。 と言われても、介護サービスってよくわからなくて…。利用したこともないですし。 介護をご家族だけでおこなうのはとても難しいです。特に認知症介護の場合は負担が大きすぎて、ご家族が倒れてしまうこともありえるんですよ。 確かに、毎日毎日、母に振り回されて疲れました。いつも眠くて仕事に支障が出ています。 そんな大変な状況だったんですね…!でしたら、介護サービスをぜひ利用してください。介護サービスは、ご自宅で介護するときに利用する在宅介護サービスと介護施設に入居するサービスに分かれます。主なサービスには以下のようなものがあります。 在宅介護サービス 訪問介護 デイサービス ショートステイ 小規模多機能型居宅介護 自宅にヘルパーさんが来て介護してくれるのが訪問介護、介護施設に通って介護してくれるのがデイサービス、介護施設にお泊りするのがショートステイ。それら3つのサービスをまとめて1つの施設で提供してくれるのが小規模多機能型居宅介護です。お母様の性格や状況によって、介護サービスを使い分けましょう。 施設入居サービス 民間施設 介護付き有料老人ホーム 住宅型有料老人ホーム サービス付き高齢者向け住宅 グループホーム 公的施設 特別養護老人ホーム(特養) 介護老人保健施設(老健) 介護医療院 ケアハウス 養護老人ホーム 認知症の方であれば、グループホームか介護付き有料老人ホーム、もしくは特別養護老人ホームがおすすめです。これらの施設は、認知症ケアのノウハウや実績があるところが大半なので、お母様が穏やかに生活できると思いますよ。 介護疲れが虐待につながることも… テレビなどで「子どもが高齢の親を殴った」というニュースを見ることもあると思います。こうした虐待の多くは介護疲れが原因によるもの。「疲れて思わず殴ってしまった」というきっかけが多いんです。あまりに介護疲れやストレスが溜まると、ご高齢の親御さんを殴ることが日常化してしまうケースも珍しくありません。 そうか、私は母を虐待してしまったということなんですね。「思わず殴り返しただけ」と思っていましたが…。北野室長が言う通り、母に夜中に起こされたり理不尽に怒鳴られたりして、疲れやストレスが溜まっているんだと思います。母の認知症がひどくなってからなおさらです。だから、殴り返してしまったんだと思います。ニュースで見る事件も、介護疲れが溜まって追い詰められることで、殴るなどの虐待をしてしまってたんですね。 おっしゃる通りだと思います。特に虐待のなかでも身体的虐待が多いんです。身体的虐待とは、殴る・蹴るなどの暴力のほかにも、外出しないように行動を制限することも含まれます。認知症になると、外出して道がわからなくなってさまよう「徘徊」などの症状が出ることがありますが、それを予防するために部屋に閉じ込めたりすることも実は虐待にあたるんです。 えぇっ!?そうなんですね!母は1人では外に出ていかないので、部屋に閉じ込めたりはしていませんが…。徘徊するのであれば、部屋に鍵をかけて対策しようと思いますよね。 介護は楽をしても良い! ここまで、介護の負担を軽くするための方法や介護する親御さんに手をあげてしまう原因についてお話ししてきました。最後に、介護をするうえでの心の持ち方についてお伝えしますね。それは「介護は楽をしても良い」ということです。 楽をしても良い?介護は大変なものですよね? もちろん、介護をするのは体力的にも精神的にもきついことがあると思います。でも、介護をするご家族の心の持ち方で、介護を楽なものにできるんです。 つまり、気の持ちようで介護が楽になるということですか?よくわからないのですが…。 具体的にお話ししますね。楽な介護をするコツは、例えば次のような気持ちで介護をすることです。 がんばらない ほかの人と比べない 「終わりが来る」ものと考える がんばらない 楽な介護をするには「がんばらない」ことです。つまり、適度に手を抜くこと。多くの介護をする人は、「私がやらないと」と介護を抱え込みがちになります。介護には直接的に介護するだけではなく、もろもろの手続きや通院、買い出しなどやらないといけないことがたくさんありますよね。それのすべてを「私がやらないと」と抱え込むとパンクしてしまいます。なので、介護サービスやほかのご家族に任せられることは積極的に任せましょう。そして、誰かに任せてできた時間を、お友達と出かけたり旅行に行ったり、趣味の時間に使いましょう! 母の介護を他人に任せているのに、自分は遊ぶんですか!? 介護をしているご家族も人間ですから、息抜きの時間は必要です。なので、積極的に自分のために時間を使ってください。それでも誰かに介護を任せて自分が休むことに抵抗がある場合は、「介護を続けていくために自分のメンテナンスをする」と考えるのはどうでしょうか。介護は長期戦になることが多いですから、定期的にリフレッシュしてくださいね。 ほかの人と比べない 楽な介護をするために、ほかの人と比べないことが大切です。介護をしていると、ほかの介護をしているご家庭の話を耳にすることもあるでしょう。その話が効率的な介護の参考になれば良いのですが、ときには「〇〇さんは上手く介護をしているのに、どうして私はできないんだろう」「〇〇さんのお母さんの認知症は穏やかなのに、うちの母親は…」といった比較をしてしまうこともあるかもしれません。ですが、介護の方法や認知症の症状は千差万別。ご家庭の事情やその人の状況によってまったく異なり、ひとつとして同じ介護はありません。なので、得になりそうな情報は参考にしつつ、「うちはうち、よそはよそ」と割り切る気持ちも大切なんです。 愚痴を言う 楽な介護のために、積極的に愚痴を言いましょう! 愚痴ってあまり良くないイメージがあるんですが…。愚痴を聞く相手も嫌でしょうし…。 確かに、愚痴を言う相手は選ぶ必要はあります。が、介護のイライラやモヤモヤを溜めておくのは精神的に良くないですよね。お友達やほかのご家族に言えそうであれば、愚痴を聞いてもらうのもストレス発散におすすめです。もし、愚痴を誰かに言いにくいのであれば、紙に書くのも良いでしょう。誰かに見せるものではないので、言葉を選ばずに自由に書けますから。愚痴を書いた紙を取っておいて、記録代わりにするのも良いかもしれません。 なるほど、紙に書くのは良いですね! 「終わりが来る」ものと考える 毎日毎日、介護で忙しい日々が続いて「ずっとこんな生活が続くのかな」と暗い気持ちになることもあるかもしれません。でも、現在のしんどい状況には終わりが必ず来ます。もし、認知症による徘徊で夜も眠れない日々が続いていても、歩行が困難になればその症状はなくなります。認知症による暴力に悩んでいても、体力的に衰えると殴ることもなくなるでしょう。お母様の体がさらに衰えると悩まされていた認知症の症状がなくなり、もっと介護に余裕ができる可能性も。薄情な言い方かもしれませんが、「こんなつらい状況がずっと続くんだ」と鬱々とした気持ちで過ごすよりも、多少は気持ちが楽になって精神的に余裕が出てくると思いますよ。 確かに、母がいつまでも体が元気でいられるわけではないですもんね…。北野室長の話を聞いて、気持ちが少し楽になったような気がします。もっと気楽な気持ちで母の介護をしようと思います。 家族と介護を分担する、介護サービスを活用するなどで負担を軽減しよう 介護疲れが虐待につながることも。認知症介護は特に虐待が多い 介護は楽をしても良い!愚痴を言ったり自分を大切に pre { margin: ...

2024/01/23

認知症 介護疲れ

認知症の母親が文句ばかり。ちょっとしたことも文句をつけるので、ストレスでどうにかなりそうです

私は一生懸命に介護をしているのに、認知症の母に文句ばかり言われて参っています。 「料理の味が薄い」「棚の隅にほこりが残っている」と家事について少しでもミスがあれば大げさに文句を言ったり、長々と説教することも。それに「近所の𓏸𓏸さんが私のことを見張っている」とありもしないことを言うようになりました。 以前はこんなに文句を言ったり、誰かを貶めるようなことを言う人ではなかったのですが…。このままではどうにかなってしまいそうです。どうしたら良いでしょうか? (天野さん・パート・63歳) お母様が文句を言うようになったのは、もしかしたら認知症の影響かもしれません。認知症の症状の被害妄想や、記憶がないことによって不安が大きくなることでそれが文句という形で出ている可能性もあります。文句ばかり言うときには、その言葉を否定することは避けてください。お母様は孤独を感じていることも考えられますので、ご家族がお母様の言葉に耳を傾けて不安の原因を取り除くことで文句が減っていくかもしれませんよ。 文句ばかりなのは認知症のせいかも 最近、何をするにも母が文句ばかりでイライラしてしまいます。母は2年ほど前に認知症と診断されて以来、私が介護しています。「料理の味が薄い。私に食べさせる気がないのか」「棚にほこりが溜まっている。掃除もまともにできないのか」といちいち文句を言われます。それに最近は、「近所の𓏸𓏸さんが私のことを見張っている」と意味のわからないことを言うようになって。以前はこんな人じゃなかったのに…。 なるほど…。もしかしたら、認知症の影響かもしれません。 えっ、認知症のせいで文句を言うようになるんですか? 認知症の症状のなかに、「怒りっぽくなる」「被害妄想」というものがあります。これは、認知症によって脳の感情を抑制する機能が低下することで起こるもの。ちょっとした怒りや不安を抑えられず、文句という形で出ているのかもしれません。 そんなことがあるんですね…。 それに、認知症による物忘れなどの影響で不安を感じ、それが「近所の𓏸𓏸さんが私のことを見張っている」という被害妄想につながっていることも考えられます。認知症になると断片的に記憶がなくなったり、理解力が低下して物事が把握できなくなっていきます。もし、そんな状態になったら誰でも不安に思いますし、理解できない出来事を想像で補っても不思議ではありませんよね。つまり、認知症の症状の影響による不安感がお母様の文句や被害妄想の原因になっていると思われます。 文句ばかり言うときの対応方法 母が文句ばかり言うのは、認知症のせいで不安に思っているからだということはわかりました。認知症のせいということは、母の文句を止めさせる方法はないということでしょうか? 完全にゼロにすることはできなくても、ある程度減らすことはできると思います。例えば、以下のような方法です。 否定や責めたりしない 不安を減らす 専門家に相談する 否定や責めたりしない まずは、お母様の言葉を否定したり責めたりせずに耳を傾けてみましょう。言っていることを否定したり被害妄想を責めたりすることで、「私のことをわかってくれない」と余計に不安に感じさせてしまう可能性があるんです。言っている内容に矛盾があったり、嘘のように感じられることもあるかもしれませんが、できるだけ話を聞いてみましょう。忙しいと思いますが、話を聞くだけでも不安が和らいで、文句や被害妄想の回数が減るかもしれませんよ。 話を聞くだけでも良いんですね。母の文句や妄想にはうんざりしていたので、適当に聞き流したり、「忙しいから後で」と聞くこともしていませんでした。もう少し母の話を聞く時間を作ろうかな…。 認知症の方の作り話については、以下のご質問でも詳しくお話ししています。参考にしてください。 不安を減らす 文句や被害妄想には、お母様の不安や焦りが隠れている可能性があります。その原因を解決することで、文句が減るかもしれません。 母の不安の原因ですか。うーん、具体的にはどんなことでしょうか。 例えば、「料理の味が薄い」「棚の隅にほこりが残っている」ということには、以前はご自分で家事をしていたのにできなくなってしまった焦りがあるかもしれません。また、「今は家事もできなくなってしまった」と情けなく思っており、天野さんに当たっていることも考えられます。 私に当たっているというのは、心当たりがあります。最近の母は常に何かにイライラしているようで、私にそのイライラをぶつけている感じがしていたので…。 対策としては、普段から話を聞く時間を作ることに加えて、お母様にも役割を持ってもらうのが良いかもしれません。簡単な掃除や洗濯、料理自体は難しくても味見をお母様にお願いするのも良いでしょう。介護を受けるようになって、「何もできなくなってしまった」という情けなさや「役に立っていないから家族に見捨てられるかも」という不安を感じるご高齢者は多いんです。そのため、毎日の生活でお母様に役割を持ってもらうと、情けなさや不安が軽くなって文句や被害妄想が落ち着くことがありますよ。 認知症の方との関わり方については、以下のご質問でも詳しくお話ししています。参考にしてください。 専門家に相談する 文句や被害妄想があまりにも多かったり、天野さんが話を聞くのがしんどくなることもあると思います。そういうときは、専門家の力を借りましょう。 専門家というと? 例えば、ケアマネジャーさん。相談すれば介護サービスの組み合わせ方を変えたり、新しい介護サービスを使うことで天野さんの負担を減らすように取り計らってくれるでしょう。また、かかりつけ医に相談する方法もあります。認知症の症状によって文句や被害妄想が多くなっている場合は、薬で落ち着くことがあるからです。文句や被害妄想によって天野さんが「しんどい」と感じたら、積極的に専門家を頼りましょう。 急に母の性格が変わってしまったのかと思いましたが、認知症の影響で文句を言うようになったと知って安心しました。まずは母が何に不安を感じているのかを見つけようと思います。 文句ばかり言うのは認知症の初期症状のせいかも 文句を言われても否定や責めたりせずに、原因に対処しよう 文句を言われてしんどいときは無理せずに専門家に頼ろう pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: scroll; line-height: 1.1; } pre:before { ...

2023/12/18

認知症 在宅介護 介護疲れ

高齢の母親が失敗を認めないで言い訳ばかり。人のせいにすることもあってうんざりします

母が高齢になってきたせいか、物忘れなどの失敗が増えました。それはしょうがないと思うのですが、失敗を指摘すると言い訳したり人のせいにすることもあるんです。 先日は、母が家の鍵をなくして探していたので手伝ったら、食器棚の中にあるのを私が見つけました。なぜこんな変なところに入れたのか聞いたところ、「私は入れてない!」と怒り出す始末。しまいには私が隠したと言い出し、大喧嘩になりました。 年を取って頑固になってきたこともありますが、このところ人のせいにすることが急に増えて…。事実無根のことで責められるのにうんざりします。こんな母にどう対応したら良いですか? (村山さん・パート・59歳) ショッキングなことかもしれませんが…お母様が認知症になってしまった可能性があります。というのも、自分の失敗や物忘れなどを認めなかったり、事実と異なることを言うのが認知症の典型的な初期症状のひとつだからです。こうした発言は、周囲の人から「自分の失敗を認めない」「嘘をつく」と責められてしまいがちです。しかし、認知症の影響で上手く物事ができなくなったり、忘れてしまうことに気づかれないようにしている行動なので、失敗や嘘を責めずに受け流す気持ちが大切です。親御さんの「様子が変だな」と感じた場合は、歳のせいにせずに認知症検査を受けてみてください。親御さんが認知症と考えたくない気持ちもあると思いますが、きちんと対策をとるためには、認知症かどうかをはっきりさせることをおすすめします。 高齢の親が失敗を認めないのは認知症かも? 最近、母が自分の失敗を認めなかったり人のせいにすることが増えてうんざりしています。この間は、母が家の鍵をなくしたので一緒に探したら、なぜか食器棚の奥に入っていました。私は母の鍵は触らないので、母が自分で置いたとしか思えません。が、母は私が隠したと思い込んで責めるので大喧嘩になりました。それに、私が代わりに予約した美容院も忘れる始末。母に頼まれたことなのに「私はそんな予約を頼んでない」「予約したなんて聞いてない」と、自分が忘れてしまったことも認めません。年を取ると頑固になるとは言いますが、自分の失敗を私のせいにするのは本当に腹が立ちます。こんな母にどうやって対応したら良いんでしょうか。 お話を聞いている限りなので確実なことではありませんが…もしかしたら、お母様は認知症になっているのかもしれません。 えぇ!?認知症ですか?確かに物忘れは増えましたが、母も80歳を超えて年も年ですし…。高齢になれば、物忘れは増えるものなんじゃないですか? おっしゃる通り、ご高齢になると物忘れは増える傾向があります。ただ、できなかったことやわからないことをごまかしたり、失敗を認めないで他人のせいにするというのは、典型的な認知症の初期症状のひとつなんです。 そうなんですね。認知症の初期症状なんだ…。 認知症による物忘れの特徴として、「出来事そのものを忘れる」というものがあります。例えば、加齢による物忘れの場合は「夕食の献立を忘れてしまう」のに対して、認知症による物忘れは「夕食を食べたことを忘れてしまう」んです。お母様の場合は、鍵を食器棚に入れたこと自体を忘れてしまっている可能性があります。なので、「自分は鍵を食器棚に入れた記憶がないから誰かがやったんだろう」と考えて、身近にいる村山さんのせいにしてしまったのかもしれません。 でも、母の話し方はしっかりしていますし、とても認知症とは思えないんですが…。 認知症の初期段階では、話し方がしっかりしていたり、上手い切り返しができていたりと認知症とは思えないこともあります。ただ、村山さんが鍵を隠した、とお母様が言うように認知症の場合は話に矛盾や嘘が含まれていることが多いのが特徴です。 でも、嘘までついて自分の失敗を認めないのはなぜですか?忘れてしまったならそう言えば良いのに…。 認知症の初期段階では、自身の異変について自覚してることも多いです。今まで普通にできていたことができなくなったり、「何か変だな」と自分でも感じているんですね。しかし、誰しも今までできたことができなくなることはなかなか認められないものです。そのため、嘘をついてごまかすことで、取り繕おうとするんですね。このように、認知症の人が失敗をごまかしたりすることは「取り繕い反応」と呼ばれています。 失敗を責めるのはNG。良い対応は? 母の失敗が増えて、指摘するとその度に嘘をつかれたり、私のせいにされることにうんざりです。どうしたら良いのやら…。 実は…お母様が失敗したときに、その失敗を指摘したり責めたりするのはおすすめできません。 えっ?なぜですか? お母様のプライドが傷ついて、関係が悪くなってしまうことがあるからです。もし、お母様が認知症だった場合、認知症の影響で思考力や抑制力が弱まったせいで頑固になったりプライドが高くなっている可能性があります。また、思い通りにならないことにすぐに腹を立てるようになることもあります。こうした状態は、周りの人から見れば自己中心的なので責めたくもなります。が、認知症だった場合、責めることで関係性が悪くなり、介助が必要になったときに介助を拒否されてしまうおそれもあるんです。 そうか、もし認知症だった場合、母も介護が必要になるかもしれないんですね…。そのときのために、責めない方が良いんだ…。 失敗を一旦受け流してみよう お母様が今までできていたことができなくなると、指摘してできるようになってもらいたいと思うのは自然なことです。ただ、認知症になると、できないことが次第に増えて、失敗を指摘するのもそれに反論されるのも大きなストレスになるでしょう。 そうなんですよね…。いちいち母に「これできてないよ」「忘れてるよ」と言うのもストレスですし、指摘したせいで口論になるのも疲れますし…。 なので、指摘せずに失敗を受け流しましょう! 「失敗を受け流す」?どういうことですか? 年齢を重ねたり、認知症になったことの影響で、できないことは増えていくものです。だったら、「物忘れはするもの」「できないことは増えていくもの」と考え方を変えて、お母様の物忘れや失敗を受け流すんです。考え方を変えれば気持ちが楽になりますし、ストレスが減ると思いませんか? それはそうでしょうけど…。 もちろん、判断能力が低下して詐欺に遭ったり、ガスコンロの火を消し忘れて火事を起こしたり…認知症の影響で大きなトラブルに巻き込まれる可能性はあります。なので、お金の大変な損失や命の危険がある問題については予防が必要です。ただ、大きな損失や命の危険がない失敗や物忘れに関しては、割り切って受け流すと村山さんのストレスがかなり減ると思いますよ。 失敗への対策をしよう 「物忘れや失敗を受けながす」とお話ししましたが、それでも失敗や物忘れで生活がままならなくなることも考えられます。そういう場合は、失敗を減らす工夫をしてみましょう。 「失敗を減らす工夫」ですか…。具体的には? 例えば、こんな対策はどうでしょうか? 予定を忘れることへの対策 目立つところに予定を書いておく 予定の直前に再度伝える ガスコンロの火の消し忘れへの対策 IHコンロに変える 電子レンジ・電気ケトルを使う このくらいなら、すぐにでもできそうですね。 はい、簡単なことから始めていくのがおすすめです。失敗や物忘れへの対策を考えるときに重要なのは、「本人が自分でできる環境を作る」こと。ご家族が代わりに予定を管理したり、料理をすべてしてしまうとお母様の能力をうばってしまうことになりかねません。お母様ができることはなるべくやってもらい、「やりやすくする環境作り」をご家族がするのが理想の形です。 「やりやすくする環境作り」ですか…。私が代わりに予定を管理したり料理をする方が確実な気がしますが、それではダメなんですね。 おっしゃる通りです。加齢や認知症によって、今後もお母様ができないことは増えていくでしょう。そのときに、責めずにできるだけお母様自身でできるようにする考え方でサポートしてくださいね。 失敗を認めないのは認知症の「取り繕い」の可能性あり 大きな損失や命の危険がない失敗や物忘れは受け流すのも大切 家族が代わりにやるのではなく、本人が失敗しにくくなる工夫をしよう pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: scroll; line-height: 1.1; } pre:before ...

2023/12/15

施設入居 在宅介護 介護疲れ

母親の介護に追われて自分の生活もままならない…。終わりが見えない介護に限界を感じています

半年ほど前に母が脱水症状を起こして倒れました。しばらく食事が摂れなくて点滴をしていたのですが、少しは食べられるようになったので退院に。しかし、入院中に筋力が衰えたようで長い時間、立ったり歩いたりができなくなり、家事ができなくなってしまいました。 そのため、私が実家に戻って家事と母の介護を始めたのですが…。仕事から帰ってきたら家事や介護、寝て起きたらすぐに仕事…と常にやらないといけないことに追われています。 こんな生活はいつまで続くのでしょうか?母の介護に追われて自分の生活もままならず、母と自分の将来が不安です。 (佐久間さん・会社員・57歳) 介護に仕事に…本当にお疲れ様です。在宅介護だと忙しくて日々のやるべきことに忙殺され、介護や将来が不安になってしまいますよね。もしかしたら、「時間」「精神面」「お金」の3つの点で不安を感じているのかもしれません。時間の不安は介護休業制度や介護サービスを利用することで解決できるかもしれません。精神面の不安は愚痴を聞いてくれる相談先を見つけたり、介護保険外サービスを活用することで気持ちに余裕ができるかもしれません。お金の不安は介護費用の助成制度や安価な介護施設に入居することで出費を減らせるかもしれません。自分の生活を後回しにしてしまうと、追い詰められて「介護うつ」や「虐待」、「介護離職」の可能性もあります。ご自分の生活を第一に考えてくださいね。 親の介護に追われて自分の生活がままならないときは? 半年ほど前に母が脱水で倒れて入院して以来、自宅で母の介護をしています。しかし、入院が長引いたせいで筋力が低下したらしく、長時間歩いたり立ったりするのが難しくなってしまいました。そのため、家事全般の手伝いはもちろん、トイレや入浴の介助も必要な状態に。私はフルタイムで働いており、仕事から帰ってきたら家事や介護、寝て起きたらすぐに仕事…常にやらないといけないことに追われています。自分のために時間は使えないし、余裕がなくて母にあたってしまって毎日のように後悔しています。こんな生活、いつまで続くのでしょうか。母と私の将来が心配で、どうにかしたいけどどうすれば良いかわかりません。 急に始まった介護と仕事が重なって、本当に大変ですよね…。介護と家事と仕事に追われて、余裕がなくなってしまってしまうのがよくわかります。やらなければいけないことがたくさんあって、不安と焦りで混乱している部分もあると思います。そういうときは、状況を整理してみましょう。介護の不安は、主に次の3点であることが多いです。 時間 精神面 お金 考えたくはないことですが、余裕がなくて追い詰められてしまうと、「介護うつ」や「虐待」、「介護離職」につながる可能性も。早めに手を打ちましょう! 親の介護の不安①時間 介護の不安のひとつに時間の面があると思います。私がたくさんのご相談を受けるなかで、「介護に時間を取られて自分の時間が取れない」「いつ介護が終わるのかがわからない」といった不安の声をよく聞きます。内閣府の調査によって、要介護3になると介護に費やす時間が「半日程度」「ほとんど終日」という回答が半数以上であることがわかっています。この割合は要介護度が上がるにつれて増えていき、要介護5の場合は約70%の介護者が「半日程度」「ほとんど終日」を介護に時間を使っているそうです。 要介護度が上がれば上がるほど、介護にかかる時間が増えるというわけですね。まだ母は要介護2ですが、今後、もっと増えていくんですね…。 また、介護期間については生命保険文化センターが調査をおこなっています。それによると、平均介護期間は5年1ヵ月。ただ、次のグラフを見てわかるとおり、「4~10年未満」「10年以上」と回答した人が約半数います。この期間は直接介護をした期間だけではなく、病院や介護施設に入っている期間も含んでいますが、それなりの期間は介護が続くと想定した方が良いでしょう。 5年以上もこんな大変な思いをしないといけないんですか!私、やっていけるかな…。 不安にさせることばかりお伝えしてしまってすいません。介護は長期戦になることを想定して、長く介護を続けられるような対策もお話ししますね! 「親の介護の不安①時間」への対策 長期的に介護を続けるためには、上手く時間のやりくりをして自分の時間を確保することが大切です。そのために、以下のような対策をとっていきましょう! 介護休業制度を利用する 会社特有の制度を利用する 介護サービスを利用する 介護休業制度を利用する 介護休業制度とは、家族の介護をするために仕事を休める制度です。介護が必要な家族1人につき合計93日の休業を最大3回に分けて取得できます。この期間は給与の67%が介護休業給付金として支給されます。 全額でなくてもお金がもらえるのは助かりますが…休めるのが93日間だけでは介護をするには全然足りないですよね。介護は何年もしないといけないわけですし…。 実は、介護休業は直接介護をするための期間というよりは、介護体制を整えるための期間なんです。 「介護体制を整えるための期間」?どういうことですか? 例えば、役所の手続きやケアマネジャーとの調整などは平日におこなうことが多いので仕事を休まないといけないですよね。それに、もしお母様に認知症の予兆があって病院に行く場合、1日がかりで検査をしないといけなくなるかもしれません。介護が始まったばかりのころや状態が変化して介護の体制を見直さないといけないタイミングでは、役所やケアマネジャー、介護施設などの関係各所との連携に時間がかかります。介護休業は、そういった関係各所との調整が必要な時期に利用する目的で作られました。 そうか、自分が直接介護することばかり考えていましたが、病院や役所とのやり取りにも時間がかかりますもんね。 会社の介護支援制度を利用する 介護休業以外にも、企業には以下のいずれか1つ以上の制度を設けることが義務付けられています。 短時間勤務制度 フレックスタイム制度 時差出勤制度 介護費用の助成措置 それ以外にも、会社によってはテレワークを認めるなどの独自の支援制度を設けている場合もあります。介護に関する支援制度がないか、会社に確認してみましょう。 会社で介護の支援制度を設けているなんて知りませんでした!すぐ確認してみます。 介護サービスを利用する 自分の時間を確保するためには、介護サービスを利用することがかなり有効です。特に、以下の介護サービスは自分の時間を確保する際におすすめです。 デイサービス ショートステイ 介護施設 デイサービスは、日中に介護施設に通ってサービスを受けるもの。食事や入浴、レクリエーションなどを提供しています。もちろん、デイサービス利用中のトイレなどの介助もプロにお任せできるから安心ですよ。また、ショートステイは介護施設に1日から宿泊できるサービス。連続で最大30日の宿泊ができますから、ご家族の都合で介護ができない場合やご家族のリフレッシュなどに利用されることが多いです。デイサービスやショートステイを利用している間は、介護から離れられますから自分の時間の確保がしやすくなるでしょう。 自分の時間を確保するために介護サービスを利用する、という考え方は今までありませんでした。私が介護できるうちは誰かのお世話になるのはいけないと思っていたので…。そんなに気軽に利用してよかったんですね。 もちろんです!それに、物理的に介護ができない場合だけでなく、自分の時間を作るためにご家族を介護施設に入居してもらうケースもあります。介護サービスや介護施設を利用することは、もっと気軽に考えても大丈夫ですよ。 親の介護の不安②精神面 介護をしていると、次のような問題が起こって精神的に不安になることがあるでしょう。 介護のことばかり考えてリフレッシュできない 上手く介護ができない罪悪感がある 家族・親族と気まずくなった 認知症の症状に振り回されて疲れた そうなんです。仕事中も母の介護のことばかり考えて集中できないし、でも家に帰ればイライラして母にあたって後悔するし…。 気持ちを少しでも軽くする方法についてもお話ししますね。 「親の介護の不安②精神面」への対策 精神的な不安を解決するためには、次のような方法がおすすめです。 相談できる人をみつける 介護保険外サービスを利用する 相談できる人をみつける どんな悩みでも、誰かに相談することで気持ちが楽になることは多いでしょう。介護についても同様です。介護の場合、主治医やケアマネジャーなどの専門家や、友人や「介護者の会」の参加者などの介護経験者などが良い相談先と言えます。専門家なら具体的な解決策を教えてくれるでしょうし、介護経験者の話を聞いて参考になることがあるかもしれません。また、介護を経験していなくても友人や親族などに愚痴を聞いてもらうだけでも気持ちが楽になることもあるでしょう。 確かに、仕事の悩みや愚痴も聞いてもらうだけで気が楽になります。それと同じように、介護のことも誰かに聞いてもらって良いんですね。 在宅介護に限界を感じたときについては、以下のご質問でも詳しくお話ししています。参考にしてください。 介護保険外サービスを利用する 介護保険は適用されませんが、介護の助けとなるサービスに「介護保険外サービス」があります。これは、介護保険の制約を受けないためにかなり多様なサービスがあります。例えば、以下のような介護保険外サービスを利用すると、精神面で助けになると思いますよ。 家事・生活支援サービス 配食サービス リハビリサービス 見守りサービス 母がやわらかいものしか食べられなくなってしまったので、食事の支度に手間がかかるんです。配食サービスでは、やわらかい食事も提供してくれるんでしょうか? はい。ご高齢者向けの配食サービスなら、「やわらか食」や「ソフト食」などの噛む力・飲み込む力が低下した方が食べやすい食事も提供しています。介護食をご自宅で作るのはかなり大変ですから、ぜひ活用してみてください。 親の介護の不安③お金 お金の不安もかなりあります。母の介護が始まって半年、いろんなものにお金がかかってしまって…。介護にはお金がかかると聞きます。今後、どれくらいのお金がかかるんでしょうか? 要介護度や、在宅介護か介護施設に入居しているかで大きく異なります。次の表は生命保険文化センターの調査をまとめたものです。 要介護度金額要支援14.1万円要支援27.2万円要介護15.3万円要介護26.6万円要介護39.2万円要介護49.7万円要介護510.6万円 参考:「2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査」(生命保険文化センター) 母は今、要介護2だから…月額6万6000円が平均なんだ。もし、要介護5になったら月に10万円以上もかかることになるんですね…。 また、在宅介護か介護施設に入居するかでも費用は大きく異なります。生命保険文化センターの同じ調査によると、在宅介護の場合は月額4万8000円、施設介護の場合は月額12万2000円が平均でかかることがわかっています。 介護施設に入ると12万円以上もかかるんですか!お金も不安だな…。 お金の不安を解決する方法についても、お伝えしますね。 「親の介護の不安③お金」への対策 介護のお金についての不安には、以下のような対策があります。 介護費用の助成制度を使う 安い介護施設に入る 介護費用の助成制度を使う 介護費用に関する助成制度がいくつかありますから、これを活用して少しでも負担を減らしましょう。助成制度には次のようなものがあります。 高額介護サービス費 高額介護合算療養費制度 医療費控除 介護休業給付 家族介護慰労金 福祉用具購入費 居宅介護住宅改修費 なかでも、「高額介護サービス費」は介護サービス費が高額になったときにとても助かる制度です。 どんな制度なんですか? 高額介護サービス費は、1ヵ月間に支払った介護サービス費が限度額を超えた場合に払い戻しされる制度です。限度額は世帯や介護サービスを利用する本人の所得に応じて定められています。例えば、世帯の自己負担上限額が4万4000円の世帯で、1ヵ月の介護サービス費が6万円だった場合は1万6000円が払い戻されます。限度額や世帯所得は以下のように決められています。 区分負担の上限(月額)課税所得690万円(年収約1160万円以上)140,100円(世帯)課税所得380万円(年収約770万円)~課税所得690万円(年収約1160万円)未満93,000円(世帯)市町村民税課税~課税所得380万円(年収約770万円)未満44,000円(世帯)世帯の全員が市町村民税非課税26,400円(世帯)前年の公的年金等収入金額+その他の合計所得金額の合計が80万円以下の方等24,600円(世帯)15,000円(個人)生活保護を受給している方等15,000円(世帯) 出典:厚生労働省 安い介護施設に入る ご本人の身体状態やご家庭の事情で介護ができない場合、介護施設に入居することも選択肢のひとつです。しかし先ほどもお話しした通り、介護施設に入居すると在宅介護よりもお金がかかります。そうしたときには、安価な介護施設を検討してみましょう。安価な介護施設には以下のような特徴があります。 公的な介護施設 地方や駅から遠い ...

2023/12/14

認知症 排泄 介護疲れ

認知症の父親がおむつ交換を拒否するのはどうしたら良いですか?毎回、抵抗されるのでとても疲れます

認知症の父親がおむつ交換を嫌がるので困っています。父が足腰が弱って自分でトイレに行けなくなったので、おむつをするようになりました。でも、「止めろ!触るな!」と抵抗され、殴られることも…。 そんな感じで、毎回、格闘しているので時間もかかるし本当に疲れます…。スムーズにおむつ交換ができる良い方法はないでしょうか? (今村さん・会社員・63歳) それは大変ですね…。おむつ交換はお父様の自尊心に大きく関わりますから、他の介助よりも配慮が必要です。声掛けやおむつ交換のタイミングも工夫する必要があるでしょう。認知症になっても、陰部を誰かに見られることの恥ずかしさは変わりません。対して、認知症の進行によっておむつ交換の必要性がわからなくなったり、尿意や便意を感じにくくなることもあります。認知症の症状やお父様の気持ちに配慮しつつ介助をすると、徐々におむつ交換への抵抗感が少なくなると思いますよ。 認知症の親がおむつ交換を拒否!どうすれば良い? 自宅で認知症の父の介護をしています。最近、父の足腰が弱ってトイレに行けなくなり、おむつになりました。ただ、おむつ交換のときの抵抗がすごくて…。「止めろ!触るな!」と怒鳴ったり、殴られることもあります。毎回、なんとかおむつの交換ができているのですが、ベッド上で暴れるのでおむつはズレるわ、力は使うわで本当に疲れます。スムーズにおむつ交換ができる良い方法はないでしょうか? おむつ交換は、ご高齢者の自尊心が大きく関係する難しい介助ですよね…。しかも、忙しいなかで1日に何度も介助しないといけないので、おむつ交換がスムーズに行くかどうかは介護全体の負担の大きさにとても影響します。とは言え、おむつ交換を拒否されても無理やりや力づくで介助することのないようにしましょう。 そんなこと言っても、力づくでやらないとおむつ交換できませんよ!いつまでも濡れたオムツでいさせられませんし…。力づく以外で父のおむつ交換ができる方法ってあるんですか? 例えば、次のような方法はどうでしょうか? 排泄タイミングに合わせておむつ交換する 優しい口調で声掛けする 時間を空けておむつ交換する 排泄タイミングに合わせておむつ交換する おむつ交換のタイミングで、排泄がされていないこともあるでしょう。誰しも必要もないのにおむつを開けられるのは嫌ですよね。それがおむつ交換の拒否につながっていることがあります。そのため、お父様の排泄のタイミングに合わせておむつ交換をするとスムーズにいくことがあります。なので、まずは排泄のタイミングを把握することから始めましょう。起床後、昼食後、夕食前、寝る前…など排泄がルーティン化されると、慣れてきてお父様もおむつ交換への抵抗感が薄くなるかもしれません。 排泄のタイミングなんて気にしたこともありませんでした。気づいたときにおむつ交換をしていたので、同じ時間帯で介助する方が良いんですね。 優しい口調で声掛けする 介護や家事、仕事で忙しいうえに介助を拒否されると、どうしても口調がきつくなってしまいがち。ですが、そこは気持ちを落ち着けて優しい言い方で声掛けするのが大切です。 そうなんですよね…。仕事をしながら介護をしているので、忙しいときに父におむつ交換を拒否されると頭に来てしまって。きつい言い方になってしまうことが多いです。 忙しいなか介護をするのは本当に大変だと思います。気が立ってしまうのはわかるんですが、スムーズに介助するためにも、一度、気持ちを落ち着けて声掛けをしていきましょう。特に、おむつ交換は介助を受ける人の羞恥心や自尊心が大きく関わります。声掛けがとても大切なんです。 声掛けが大切と言うと、どんな言葉を掛けるのが良いんでしょうか? 例えば、「汚いからおむつを換えるよ」と言うとお父様の自尊心を傷つけてしまうことがあります。なので、「汚い」「おむつ」という言葉を使わずに「下着を替えよう」と言い換えてみましょう。おむつの中に排泄することを「トイレを失敗している」と捉え、恥ずかしいことと思う人も多いです。そうした気持ちに配慮した声掛けをしてみるとスムーズにおむつ交換ができるようになるかもしれませんよ。 時間を空けておむつ交換する おむつ交換をしようとして激しく嫌がる場合、少し時間を空けて声をかけると意外とすんなり交換させてくれることがあります。 時間を空けるだけで良いんですか? はい。例えば、テレビを見ていたり何か別のことに気を取られているときに声を掛けられるのは誰でも嫌ですよね。それと同様に、声を掛けたときに”おむつ交換の気分ではない”だけなのかもしれません。同じ声掛けをしたとしても、少し時間を空けるだけでスムーズにおむつ交換ができることもありますよ。 そんなことがあるんですね。全然知らなかったです。 ここまでご紹介した方法は、一度では上手くいかないことも多いでしょう。何回も試してみて上手くいく方法を見つけてください。 認知症の親がおむつ交換を嫌がる理由は? そもそも、どうして父はおむつ交換を嫌がるんでしょうか?おしっこでおむつが濡れていたら気持ち悪いと思うんですが…。 そうですね…。認知症の人がおむつ交換を嫌がる理由には以下のようなものがあると考えられます。 陰部を見られることが恥ずかしい おむつ交換の必要性がわからない 尿意や便意が薄い 身体を触れられることが嫌 やっぱり、恥ずかしさは大きいんですね。 そうですね。息子さんとは言え、陰部を見られるわけですし…。それに、おむつ交換を誰かにお願いしないといけないことの情けなさもあるかもしれません。認知症になっても、恥ずかしさや情けなさは感じますから。 確かに。そうかもしれないですね。 一方で、認知症によっておむつ交換の必要性がわからなくなっていることも考えられます。おむつの中に排泄したことを忘れてしまったり、そもそもおむつが何なのかがわからなくなってしまったり…。そうなったと想像すると、服を脱がされたり裸にされる理由がわからないですよね。でも、裸を見られる恥ずかしさはあります。このように考えると、暴れておむつ交換を嫌がるのも納得できるんじゃないでしょうか。 なるほど…。そういう理由で父はおむつ交換の度に暴れるんですね。 おむつ交換は介護のプロでも頭を悩ませる介助。一人ひとり適切な介助方法は異なりますから、「上手くいかなくてもしょうがない」と肩の力を抜いて、じっくりお父様に合った方法を見つけてくださいね。 排泄タイミングを把握して優しく声掛けすると拒否が和らぐことも おむつ交換は、羞恥心や自尊心に配慮しておこなおう pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: scroll; line-height: 1.1; } ...

2023/11/13

在宅介護 介護疲れ

両親の介護と孫の世話で疲れた!離婚して戻ってきた娘と孫の世話が増えて体力的にきつい…

実家の両親の介護に加えて孫の世話まで増えてしまって体力的にきついです。負担を減らす何か良い方法はないでしょうか? 以前から認知症の母の介護と家事をするために週に2回ほど帰省しています。それに加えて、最近、娘が離婚して孫を連れて戻ってきました。娘はフルタイムで働いていますが、保育園に落ちたので昼間の孫の世話も私がしないといけません。 孫は3歳ということもあってやんちゃざかり。家の中を駆けまわったりいたずらしたり…もう、体力がもちません…。 (小野寺さん・主婦・65歳) ご両親の介護に加えて、お孫さんの世話まで…。本当に大変ですね。もし、まだ介護サービスを利用していないようでしたら、積極的に利用しましょう。また、介護やお孫さんの世話が重なって、そのせいで小野寺さんが体調を崩してしまう可能性もあります。そのため、まずはもう少し負担が少なくなるように娘さんに相談しましょう。また、誰かに話を聞いてもらったりストレス発散方法を見つけたり、介護疲れやお孫さんの世話疲れで小野寺さんが倒れてしまう前に手を打ちましょう! 介護の負担が減る方法を知ろう 父と認知症の母が車で30分ほどの実家で二人暮らしをしており、週に2回ほど通って母の介護と家事をしています。つい最近、娘が離婚して孫を連れて戻ってきました。娘はフルタイムで働いているものの、孫を保育園に入れられず、私が孫の面倒も見ることになったのは良いのですが…。3歳のやんちゃざかりの孫は、家の中を走り回ったり私の目の届かないところでいたずらをしたり…。私も年ですし、体力がもちません。負担を減らせる良い方法はないでしょうか? それは大変な状況ですね…。私がお話しできるのは介護についてなので、ご両親の介護が軽くなる方法をお伝えします。介護の負担を軽減するサービスには、主に「介護保険サービス」「介護保険外サービス」の2つがあります。 介護保険サービス 介護保険サービスは、要介護認定で要支援・要介護と判定された方が対象のサービス。介護保険が適用されるため、所得に応じて1~3割の費用負担で済むのが特徴です。介護保険サービスのなかでも、サービスを受ける場所によって「在宅介護サービス」「介護施設」の2つの選択肢があります。 在宅介護サービス 在宅介護サービスって、家にヘルパーさんが来てくれるサービスのことですよね?それは聞いたことがあります。 そうです。ご自宅にヘルパーさんが来てくれて介護サービスを提供してくれるのは、「訪問介護」というサービスです。訪問介護も含めて、在宅介護サービスには以下のようなものがあります。 訪問介護 訪問入浴 デイサービス ショートステイ 父も母も介護保険サービスを利用していなかったので、どんなサービスがあるのか全く知りませんでした。 例えば、訪問介護を使えば、お母様の分の家事はヘルパーさんにお願いできます。ちなみに、訪問介護でお願いできるのは要介護認定を受けている人の分だけ。お父様も要介護認定を取っているのであれば、お父様の分もお願いできますよ。 母は要介護2なのですが、父は要介護認定を受けていないんですよね。でも、母の分だけでも家事をしてもらえるなら助かります。 老人ホーム 老人ホームに入居することも、介護の負担を減らすひとつの方法です。主な老人ホームには以下のようなものがあります。 有料老人ホーム サービス付き高齢者向け住宅 グループホーム 特別養護老人ホーム 介護老人保健施設 老人ホームか…。まだなんとか2人で暮らしていますし、全然考えたことがなかったです。 そうですよね。本格的に介護が必要になってから、施設入居を検討するケースが大半だと思います。ただ、費用が安くて終身利用ができるので人気のある特別養護老人ホームは、入居の申し込みをしてから入居するまで数年待つこともあります。「すぐに施設に入りたい」と思っても、すぐには入れないのが実情なんです。 えぇ!?何年も待たないといけないんですか! なので、早め早めに施設探しをするのが大切。特に介護とお孫さんの世話を並行している小野寺さんの場合、ご両親の介護が本格化してからでは忙しくて施設探しをする余裕がなくなるかもしれません。 言われてみればそうですね…。もし、母の介護が本格的に始まったら、孫の面倒を見ながら施設探しなんてできそうにないです。 なので、今すぐには入居しないとしても老人ホームの情報集めだけでも始めることをおすすめします。 介護保険外サービス 「介護保険外サービス」って何ですか?聞いたことがないです。 介護保険外サービスは、その名の通り、介護保険が適用されないサービスです。例えば、介護保険サービスの訪問介護が要介護認定を受けている人の分しか家事ができなかったのに対して、介護保険外サービスの訪問介護は、要介護認定を受けていない人の分や長時間の家事も依頼できます。つまり介護保険サービスでは、お父様とお母様の2人分の家事は依頼できませんが、介護保険外サービスなら依頼できるんです。 それは便利ですね!実家に帰るときは、母の介護というより家事を片付けるのがメインなので、家事をやってもらえるだけでも助かります。でも、長時間の家事をお願いするとなると、かなりお金がかかるんじゃないですか? おっしゃる通りです。介護保険外サービスは介護保険が適用されないため、全額自己負担。介護保険サービスの訪問介護で家事を依頼するよりも、かなり費用がかかるので要注意です。 介護疲れ・孫の世話疲れで限界になる前に 私も65歳ですし、両親の介護に加えて孫の世話も重なって、体力的にも精神的にもかなりしんどいです。北野室長に教えてもらった方法で負担が少なくなれば良いんですが…。 そうですよね。介護疲れとお孫さんの世話疲れで小野寺さんが体調を崩さないように、以下のような方法をとっておくことをおすすめします。 話を聞いてもらう ストレス発散方法を見つける 話を聞いてもらう しんどいときに誰かに話を聞いてもらうだけでも気持ちが楽になりますよね。なので、周囲に話せる人がいれば、話を聞いてもらいましょう。 と言われても、なかなか相談できる相手がいないんですよね…。 でしたら、以下のような相談先はどうでしょうか? 家族の会 ケアマネジャー かかりつけ医 役所、地域包括支援センター 「家族の会」とは、主に認知症のご本人やそのご家族による団体です。介護の愚痴や悩みを聞いてもらえますし、長年、介護をしている人や専門家からアドバイスをもらえることもありますよ。また、ケアマネジャーさんやかかりつけ医、役所や地域包括支援センターに相談すれば、各専門家から適切なアドバイスがもらえるでしょう。悩みの解決に具体的に動いてもらうこともできますよ。 ストレス発散方法を見つける ストレスが溜まっているときは、自分なりの発散方法を見つけることも大切。介護や家事で忙しいと時間に追われてしまいますが、自分の時間を確保して、趣味の時間を作るんです。 うーん…。忙しくて自分の時間なんて作れませんよ。 そうですよね…。そういうときは、介護サービスを積極的に活用して小野寺さんの負担を減らしましょう!小野寺さんが自分の時間を確保するために、介護サービスを利用するんです。できた時間で、趣味の活動をしたり体を動かしたり…。小野寺さんのストレス発散にも時間を使っていきましょう! 子供と話をしっかりしよう ここまで、主に介護の負担を減らす方法についてお話ししてきました。ですが、やはりお孫さんの世話の負担も大きい以上、娘さんときちんとコミュニケーションを取ることも大切です。 そうですよね…。娘が仕事から帰ってくるのが遅かったり、私がバタバタしていたりして娘と話す時間が取れていなかったです。 お子さんというのは、親御さんがいつまでも元気でいると思っているもの。若い頃と同じように頼ってくることも多いでしょう。親御さんとしても頼られるのが嬉しい反面、体力的にすべてに応えるのが難しい場面が増えてくると思います。なので、素直に今の状況を娘さんに伝えましょう。娘さんの方でもお孫さんのお世話の負担が減るように取り計らってくれるかもしれません。ご両親の介護もお孫さんのお世話も、どちらも小野寺さんが倒れてしまっては成り立ちません。まずは、小野寺さんの負担を減らせるように対策をとっていきましょう。 負担を減らすために、介護サービスなどを上手く活用しよう 友人や知人に話したり、家族の会などで話を聞いてもらうだけでも気持ちが楽になるかも 孫の世話について、自分の素直な気持ちを素直に話そう pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: ...

2023/11/07

在宅介護 介護疲れ

自分自身も高齢になって両親の介護がしんどい…。毎日の介護で心も体も疲れました

90歳を超える両親の介護をしています。私も歳を取り、介護をするのがしんどくなってきました…。 父はまだほとんど介護は必要ないものの、変なこだわりが強くなって、少しでも気に食わないことがあると怒鳴り散らします。母は認知症が悪化して夜中のトイレの手伝いが必要になったので、介助のせいでよく眠れないし…。 私ももうすぐ70歳です。介護をするのがきつくて、両親が長生きすることを素直に喜べず、「早く死んでほしい」と心のどこかで思っています。もう、どうしたら良いのかわかりません。 (青山さん・主婦・69歳) ご自分も年齢を重ねてくると、ご両親の介護の負担がもっときつく感じますよね…。介護を完璧にする必要はまったくありません。もっと楽な介護をしましょう!例えば、在宅介護サービスや配食サービスなどのサービスを活用しましょう。上手く活用できれば、負担をかなり軽くできると思いますよ。また、老人ホームに入居することも検討してください。ご両親を同時に介護することは大変です。ご自分が体調を崩す前に早めに施設探しをすることをおすすめします。 介護は楽をして良い! 90歳を超える両親の介護をしています。私自身ももうすぐ70歳を迎え、体力的にも精神的にも両親の介護がきつくなってきました。特に認知症の母は、夜中のトイレ介助が必要です。そのせいでろくに眠れないのもしんどくて。父は父で、妙なこだわりが強くなって、食べ物が硬かったり少しでも気に食わないことがあると怒鳴りつけます。母の介護をしながら怒鳴り散らす父の相手もして、他の家事もしないといけなくて…。もうどうしたら良いのか…。 ご自分も年齢を重ねると、心身の負担がより大きく感じますよね…。ご両親の介護は本当に大変なことだと思います。なので、もっと在宅介護を楽しましょう! え?介護を楽するってどういうことですか? もっといろんなサービスを活用して、「楽に在宅介護をできる環境」を整えるんです。具体的にお話ししますね。 在宅介護を楽する方法 在宅介護を楽する方法のうち、以下の2つについてお話ししますね。 在宅介護サービスを利用する方法 その他の方法 在宅介護サービスを利用する方法 ご両親は在宅介護サービスを利用していますか? 父は使っていませんが、母は週に3回、デイサービスを利用しています。 それは良いですね。デイサービスの他に、主な在宅介護サービスには以下のものがあります。 訪問介護 訪問看護 通所リハビリ(デイケア) ショートステイ もし、お母様のデイサービス週3回だけでは足りないようでしたら回数を増やしたり、お父様もデイサービスを利用するのも良いかもしれません。また、定期的にショートステイを利用できれば、夜間のトイレ介助の負担が減るでしょう。ケアマネジャーさんに相談してみてくださいね。 その他の方法 在宅介護サービス以外にも、介護の負担を軽減するサービスがあります。例えば、配食サービスやレトルトの介護食を利用することです。毎回の食事の支度って、かなり負担ですよね。特にご高齢者の場合は、具材のやわらかさにも気を使わないといけなかったり、病気の関係で制限しているものもあるでしょう。そこで、配食サービスやレトルト介護食を活用すれば、料理の負担が減らせると思いますよ。 うーん。父が総入れ歯なので、硬いものを嫌がるんですよね…。「介護食」と言うくらいだから、レトルト介護食はやわらかいでしょうけど、配食サービスってやわらかい食事に対応してもらえるんですか? 最近は、ご高齢者向けの配食サービスがかなり増えています。噛む力や飲み込む力が低下したご高齢者向けにやわらかい食事を提供しているんです。介護食は、「やわらか食」「ムース食」といったやわらかさに配慮したものや、「塩分制限食」「タンパク質制限食」といった病気の影響で食事制限がある人向けの食事も提供しています。ご自宅で介護食を作るのはかなり大変ですので、配食サービスやレトルト介護食をぜひ活用してくださいね。 老人ホーム入居も検討して 介護をしている方も高齢になると、どうしても体力的に在宅介護が難しくなってくると思います。そのため、ぜひ老人ホームに入居することも検討してください。 えっ、老人ホームですか?うーん…まだ私が介護できているし、まだ早いんじゃないですかね。 もちろん、在宅介護を続けたいのであれば、無理にとは言いません。ただ、「親の介護は子どもがするもの」と思って、老人ホームに入居することを選択肢から外してほしくないんです。主な老人ホームには以下のようなものがありますから、入居が必要になったときのために頭の片隅に入れておいてください。 特別養護老人ホーム 介護老人保健施設 有料老人ホーム サービス付き高齢者向け住宅 グループホーム へぇ、老人ホームって、こんなにいろんな種類があるんですね。 そうなんです。お元気な人がたくさん暮らしている施設もあれば、認知症だったり寝たきりだったりと、介護が必要な人が入居している施設もありますよ。 公的施設は安いが数年待つことも もし、両親を老人ホームに入れるとしても、そこまでお金を出せません。父と母、2人分なんて…。 でしたら、特別養護老人ホームなどの公的な老人ホームはどうでしょうか?要介護度や収入にもよりますが、おひとりあたり月9万~13万円程度で利用できますよ。 そうなんですね。そのくらいなら、両親の年金でどうにかなるかな…。 ただ、特別養護老人ホームの場合、要介護3以上でないと入居できないことに加えて、費用が安いためとても人気ですぐには入居できないのがネック。特別養護老人ホームの中には、数百人も入居待ちの人がいて、申し込みから数年待つケースもあるほどなんです。 数年待ちですか!? そうなんです。なので、「もう心身共に疲れて在宅介護を続けられない」というようなギリギリの状態までがんばるのではなく、まだ余裕がある段階で施設探しをすることをおすすめします。もちろん、特別養護老人ホーム以外にも老人ホームはたくさんあり、どの施設が良いのか迷われると思います。もし施設探しをすることになったら、ぜひ「いい介護 入居相談室」にご相談くださいね。 配食や在宅介護サービスを使って、介護を楽しよう! 老人ホームへの入居することも検討しよう 安価な老人ホームは数年待つことも。早めに施設探しを pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: scroll; ...

2023/10/31

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介護付き有料老人ホームとは│提供されるサービス・費用・入居条件などを解説

介護付き有料老人ホームは、介護スタッフが24時間常駐している介護施設。介護サービスや身の回りの世話を受けられます。 この記事では、介護付き有料老人ホームの種類及び入居のための条件や必要な費用、サービス内容などを詳しく説明しています。 https://youtu.be/oK_me_rA0MY 介護付き有料老人ホームの特徴 介護付き有料老人ホームとは、有料老人ホームのうち、都道府県または市町村から「特定施設入居者生活介護」の指定を受けた施設です。24時間介護スタッフが常駐し、介護や生活支援などは施設の職員により提供されます。 主に民間企業が運営しているため、サービスの内容や料金は施設ごとに異なります。また、入居基準も施設により異なり、自立している方から介護が必要な方まで幅広く受け入れている施設も。選択肢が幅広いため、自分に合った施設を選ぶことができます。 看取りまで対応している施設も多数あり、「終の棲家(ついのすみか)」を選ぶうえでも選択肢のひとつとなります。 全体の概要をまとめるとこのようになります。 費用相場 入居時費用 0~数千万円 月額利用料 15~30万円 入居条件 要介護度 自立~要介護5※1 認知症 対応可 看取り 対応可 入居のしやすさ ◯ ※施設の種類によって異なります。 特定施設入居者生活介護とは 特定施設入居者生活介護は、厚生労働省の定めた基準を満たす施設で受けられる介護保険サービスです。ケアマネジャーが作成したケアプランに基づき提供される食事や入浴・排泄など介助のほか、生活支援、機能回復のためのリハビリなどもおこなわれます。指定を受けてこのサービスを提供する施設は、一般的に「特定施設」の略称で呼ばれています。 介護付き有料老人ホームの種類と入居基準 介護付き有料老人ホームには「介護専用型」「混合型」「健康型」の3種類があり、それぞれ入居条件が異なります。 介護度 ...

2021/11/10

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グループホームとは|入居条件や費用、入居時に気をつけたいポイントを解説

認知症の方の介護は大変です。「そろそろ施設への入居を検討しよう」と思っても、認知症の症状があると、入居を断られてしまうのではと心配もあるでしょう。 グループホームは認知症高齢者のための介護施設です。住み慣れた地域で暮らし続けられる地域密着型サービスであり、正式な名称を「認知症対応型共同生活介護」といいます。 こちらの記事では、グループホームについて解説します。また、グループホームで受けられるサービスや費用、施設選びのポイントも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。 https://youtu.be/EofVO7MRRDM この記事を読めばこれがわかる! グループホームの詳細がわかる! グループホームを選ぶ際のポイントがわかる! グループホームへ入居する際の注意点がわかる! グループホームとは グループホームとは、認知症高齢者のための介護施設です。専門知識と技術をもったスタッフの援助を受けて、要支援以上の認知症高齢者が少人数で共同生活をおくります。 「ユニット」といわれる少人数のグループで生活し、入居者はそれぞれ家事などの役割分担をします。 調理や食事の支度、掃除や洗濯など入居者の能力に合った家事をして自分らしく共同生活を過ごすところが、ほかの介護施設や老人ホームとは異なるポイントです。 グループホームの目的は、認知症高齢者が安定した生活を現実化させること。そのために、ほかの利用者やスタッフと協力して生活に必要な家事を行うことで認知症症状の進行を防ぎ、できるだけ能力を維持するのです。 グループホームは少人数「ユニット」で生活 グループホームでは「ユニット」と呼ばれるグループごとに区切って共同生活を送るのが決まり。1ユニットにつき5人から9人、原則1施設につき原則2ユニットまでと制限されています。 少人数に制限する理由は、心穏やかに安定して過ごしやすい環境を整えるため。環境変化が少なく、同じグループメンバーで協力して共同生活することは、認知症の進行を防ぐことに繋がります。 認知症の方にとって新しく出会う人、新しく覚えることが難しいので、入居者やスタッフの入れ替わりが頻繁にある施設では認知症の高齢者は心が落ち着かず、ストレスを感じ生活しづらくなってしまいます。その結果、認知症症状を悪化させるだけでなく、共同生活を送る上でトラブルを起こすきっかけとなります。 慣れ親しんだ場所を離れて新しい生活をするのは認知症の方には特に心配が尽きないもの。その心配を軽減するため、より家庭にできるだけ近づけ、安心して暮らせるようにしています。 グループホームの入居条件 グループホームに入居できるのは医師から「認知症」と診断を受けている方で、一定の条件にあてはまる方に限ります。 原則65歳以上でかつ要支援2以上の認定を受けている方 医師から認知症の診断を受けている方 心身とも集団生活を送ることに支障のない方 グループホームと同一の市町村に住民票がある方 「心身とも集団生活を送ることに支障のない」という判断基準は施設によって異なります。入居を希望している施設がある場合には、施設のスタッフに相談しましょう。 また、生活保護を受けていてもグループホームに入ることは基本的には可能です。しかし、「生活保護法の指定を受けている施設に限られる」などの条件があるので、実際の入居に関しては、行政の生活支援担当窓口やケースワーカーに相談してみましょう。 グループホームから退去を迫られることもある!? グループホームを追い出される、つまり「強制退去」となることは可能性としてゼロではありません。一般的に、施設側は入居者がグループホームでの生活を続けられるように最大限の努力をします。それでも難しい場合は、本人やその家族へ退去を勧告します。「暴言や暴力などの迷惑行為が著しい場合」「継続的に医療が必要になった場合」「自傷行為が頻発する場合」etc。共同生活が難しくなった場合には追い出されてしまうこともあるのです グループホームで受けられるサービス グループホームで受けられるサービスは主に以下です。 生活支援 認知症ケア 医療体制 看取り それぞれ詳しく見てみましょう。 生活支援 グループホームでは以下の生活面でのサービスを受けられます。 食事提供 :◎ 生活相談 :◎ 食事介助 :◎ 排泄介助 :◎ 入浴介助 :◎ 掃除・洗濯:◯ リハビリ :△ レクリエーション:◎ 認知症を発症すると何もできなくなってしまうわけではなく、日常生活を送るだけなら問題がないことも多いです。 グループホームには認知症ケア専門スタッフが常駐しています。認知症進行を遅らせる目的で、入居者が専門スタッフの支援を受けながら入居者の能力(残存能力)に合った家事を役割分担して自分たち自身でおこないます。 食事の準備として買い出しから調理、配膳、後片付けまで、そして洗濯をして干すといった作業や掃除も、スタッフの介助を受けながら日常生活を送ります。 グループホームでは、入居者の能力(残存能力)に合った家事を役割分担して自分たち自身でおこなうことになります。 例えば、食事の準備として買い出しから調理、配膳、後片付けまで。また、そして洗濯をして、干すまで…など。そのために必要な支援を、認知症ケアに長けた専門スタッフから受けられるのが、グループホームの大きな特徴です。 グループホームは日中の時間帯は要介護入居者3人に対して1人以上のスタッフを配置する「3:1」基準が設けられています。施設規模によっては、付き添いやリハビリなどの個別対応が難しいので、入居を検討する際は施設に確認しましょう。 認知症ケア 施設内レクリエーションやリハビリのほかに、地域の方との交流を図るための活動の一環として地域のお祭りに参加や協力をしたり、地域の人と一緒に公園掃除などの活動を行う施設も増えてきました。 グループホームとして積み上げてきた認知症ケアの経験という強みを活かし、地域に向けた情報発信などのさまざまな活動が広がっています。 地域の方と交流する「認知症サロン」などを開催して施設外に居場所を作ったり、啓発活動として認知症サポーター養成講座を開いたりするなど、地域の人々との交流に重きを置くところが増えています。 顔の見える関係づくりをすることで地域の人に認知症について理解を深めてもらったり、在宅介護の認知症高齢者への相談支援につなげたり。 こうした活動は認知症ケアの拠点であるグループホームの社会的な価値の向上や、人とのつながりを通じて入所者の暮らしを豊かにする効果が期待できます。 医療体制 グループホームの入居条件として「身体症状が安定し集団生活を送ることに支障のない方」と定義しているように、施設に認知症高齢者専門スタッフは常駐していますが、看護師が常駐していたり、医療体制が整っているところはまだまだ少ないです。 しかし近年、高齢化が進む社会の中で、グループホームの入居者の状況も変わってきています。 現在は看護師の配置が義務付けられていないので、医療ケアが必要な人は入居が厳しい可能性があります。訪問看護ステーションと密に連携したり、提携した医療機関が施設が増えたりもしているので、医療体制について気になることがあれば、施設に直接問い合わせてみましょう。 看取り 超高齢社会でグループホームの入所者も高齢化が進み、「看取りサービス」の需要が増えてきました。 すべてのグループホームで看取りサービス対応しているわけではないので、体制が整っていないグループホームの多くは、医療ケアが必要な場合、提携医療施設や介護施設へ移ってもらう方針を採っています。 介護・医療体制の充実度は施設によってさまざまです。介護保険法の改正が2009年に行われ、看取りサービスに対応できるグループホームには「看取り介護加算」として介護サービスの追加料金を受け取れるようになりました。 看取りサービスに対応しているグループホームは昨今の状況を受け増加傾向にあります。パンフレットに「看取り介護加算」の金額が表記されているかがひとつの手がかりになります。 グループホームの設備 グループホームは一見、普通の民家のようで、家庭に近い雰囲気が特徴ですが、立地にも施設基準が設けられています。 施設内設備としては、ユニットごとに食堂、キッチン、共同リビング、トイレ、洗面設備、浴室、スプリンクラーなどの消防設備など入居者に必要な設備があり、異なるユニットとの共有は認められていません。 入居者の方がリラックスして生活できるように、一居室あたりの最低面積基準も設けられています。このようにグループホーム設立にあたっては一定の基準をクリアする必要があります。 立地 病院や入居型施設の敷地外に位置している利用者の家族や地域住民と交流ができる場所にある 定員 定員は5人以上9人以下1つの事業所に2つの共同生活住居を設けることもできる(ユニットは2つまで) 居室 1居室の定員は原則1人面積は収納設備等を除いて7.43㎡(約4.5帖)以上 共有設備 居室に近接して相互交流ができるリビングや食堂などの設備を設けること台所、トイレ、洗面、浴室は9名を上限とする生活単位(ユニット)毎に区分して配置 グループホームの費用 グループホーム入居を検討する際に必要なのが初期費用と月額費用です。 ここからは、グループホームの入居に必要な費用と、「初期費用」「月額費用」それぞれの内容について詳しく解説していきます。 ...

2021/11/15

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【動画でわかる】有料老人ホームとは?費用やサービス内容、特養との違いは

介護施設を探している中で「老人ホームにはいろいろな種類があるんだ。何が違うんだろう?」と疑問を感じることがあるかもしれません。 そこで今回は、名前に「老人ホーム」とつく施設の中でも、「有料老人ホーム」を中心に紹介。よく似ている「特別養護老人ホーム」との違いも見ていきます。 「老人ホームの種類が多すぎて訳がわからない」と思ったら、ぜひ参考にしてみてくださいね。 https://youtu.be/eMgjSeJPT8c 有料老人ホームの種類 有料老人ホームには、以下の3種類があります。 介護付き有料老人ホーム 住宅型有料老人ホーム 健康型有料老人ホーム この3種類の違いを以下にまとめています。 種類 介護付き有料老人ホーム ...

2021/10/28

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