夜間のトイレ介助は本当にしんどいですよね…。介護の負担を減らすために、まずはお父様が夜に起きる回数を減らす工夫をしてみたり、介護サービスを使って田島さんが介護しなくても良い環境を作りましょう。
加齢に伴って頻尿になりやすいことに加えて、認知症の影響でトイレに行ったことを忘れているために何度もトイレに起きてしまっている可能性があります。
また、介護する側が疲労することで介助時の転倒や怪我が起こりやすくなったり、お父様が睡眠不足でせん妄症状が出る可能性もあります。なので、お父様も田島さんもしっかり眠れるように対処していきましょう。
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認知症の父が夜中にトイレに何度も起きるんです。認知症のせいか、手伝わないとそこらじゅうを尿で汚してしまうので、私もトイレ介助のために起きないといけません。
そのせいで私は常に寝不足。昼間の仕事に支障が出ています。こんな生活していたら体がもちません!どうにかならないでしょうか?
それは大変!夜間のトイレ介助はとても負担が大きいので、すぐにでも対策を打ちましょう。いくつか方法があるので、ひとつずつお話ししていきますね。
まずは、お父様が夜中に起きてしまう回数を減らす工夫をしていきましょう。次のような方法があります。
夜のトイレの回数を減らすために、夕方以降の水分摂取量を減らしてみましょう。
ただ、ご高齢者は水分不足になりやすいです。1日の水分摂取量を1500mlは確保し、できるだけ日中に多く水分を摂るように調整してみてください。
コーヒーや緑茶、紅茶などには利尿作用があります。そのため、トイレが近くなってしまうので、特に就寝前は避けるようにしましょう。
父は夕食後によく緑茶を飲んでいます。もしかしたら、それがトイレに起きる原因のひとつだったのかも…。
すでに実践しているかもしれませんが、寝る前にトイレに行くことも大切です。お父様が「トイレに行きたい」と言わなくても、「寝る前にトイレ行っておこうよ」と声掛けをしましょう。
トイレに行くタイミングはあまり気にしていなかったです。寝る前に行かないときもあるので、これからは必ずトイレに行かせるようにします。
生活リズムを整えることで夜にトイレで起きなくなるんですか?
トイレに行きたいわけでなくても、「目が覚めたからとりあえずトイレに行く」というケースもありえます。そのため、昼間に活動したりして生活リズムを整え、夜はしっかり眠ってもらうことがトイレに起きる回数を減らすことにつながるんです。
具体的には、次のようなことを続けると生活リズムが整うと思いますよ。
父は、あまり外に出ない人なんですよね…。起きてくる時間もまちまちだし。生活リズムが崩れていたのかも。
介護サービスや福祉用具を活用して、介護の負担を減らす方法もあります。
どうすれば良いんですか?
例えば、以下のように介護サービスや福祉用具を利用してみると、田島さんの負担が減ると思いますよ。
福祉用具のひとつに移動可能な簡易トイレ「ポータブルトイレ」があります。これは、主にベッドの横に置いて利用し、夜間でもすぐにトイレに座れるのが特徴です。便座の下にバケツを入れ、排泄が終わったら中身はトイレに流します。
長距離の歩行は難しいという場合は、夜に足元が暗くて歩行が不安な場合などはかなり有効な対策だと思います。
認知症の父がうまく使えると良いんですけど…。新しい物に慣れるのにすごく時間がかかるので、結局、私が起きて介助するようになるかもしれません。もっと早くに利用しておけばよかったな。
なるほど…。でしたら、別の方法もご紹介します!
数は少ないですが、訪問介護の中には夜間帯の対応もしてくれるところがあります。そうした訪問介護事業所であれば、夜間のトイレ介助も依頼できますよ。
そうなんですね!一時期、利用していた訪問介護は昼間だけの対応でした。利用可能時間は事業所ごとに異なるんですね。
「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」って何ですか?初めて聞きました。
定期巡回・随時対応型訪問介護看護とは、昼夜問わず訪問介護や訪問看護を提供するサービスです。
ちなみに、定期巡回・随時対応型訪問介護看護は「定期巡回サービス」と「随時対応サービス」の2つのサービスに分かれています。定期巡回サービスは、1日のうち複数回決められた時間に訪問サービスを提供。随時対応サービスは、「ケアコール」で呼び出すことで決められた時間以外のタイミングで訪問サービスを提供します。
つまり、夜中に何度もトイレの介助が必要な場合でも、何回でも訪問介護サービスを利用できるというわけです。
そんなありがたいサービスがあるんですね!でも、先ほどの夜間対応の訪問介護を利用する場合とは何が違うんでしょうか?
夜間対応型も含めた一般的な訪問介護サービスは、利用した回数だけ利用料が追加されます。対して、定期巡回・随時対応型訪問介護看護は、利用料は要介護度に応じた定額制。何度利用しても料金は据え置きです。
それ、とても助かります!つまり、父のトイレ介助のために夜中に何度も利用しても、金額は増えないということですよね?
おっしゃる通りです。訪問介護の利用回数が少ない場合は、一般的な訪問介護の方が費用が抑えられますが、何度も利用する場合は、定期巡回・随時対応型訪問介護看護の方がお得です。
それに、定期巡回・随時対応型訪問介護看護は24時間対応しているので、昼間、お父様が1人になる時間帯の見守りなどにも利用できますよ。
北野室長に聞いた対策をすぐに試してみたいと思います。ただ、そもそも何で父は何度も夜に起きてトイレに行くんでしょうか?
夜に何度もトイレに行く理由は、「加齢のため」「認知症のため」の2つの理由があります。
「年を取るとトイレが近くなる」とよく言いますよね。
はい、おっしゃる通りです。年齢を重ねていくにつれて、膀胱の機能が低下してトイレが近くなる傾向があります。膀胱に溜めておける尿の量が減ってしまうんですね。
だから我慢できなくて何回もトイレに行くんですね。
認知症が夜間に何度もトイレに行く原因になっていることも考えられます。
それって、どういうことですか?
認知症の影響で、トイレに行ったことを忘れてしまい、何度もトイレに行ってしまうんです。「トイレに行かなくて漏らしてしまうかも…」と不安を感じていることもありえます。
先ほどお話しした通り、ご高齢になるとトイレが近くなる傾向があります。そのため、多くの方が「漏らしてしまうかも」と心配しているため、トイレに行ったか覚えていない状況はとても不安になってしまうんですね。
そうなんですね。そう言えば、父もトイレに行ったことを覚えていない様子でした。「漏らしてはいけない」と思って何度もトイレに行っていたんですね。
お父様がトイレに何度も起きることで以下のようなリスクが考えられます。なので、まずはなるべくトイレで起きないような対策をとることをおすすめします。
田島さんが悩んでいらっしゃるように、介護が必要なお父様が夜中にトイレに起きることで介護をする人が睡眠不足になってしまいます。当然、睡眠不足が続くと疲労が溜まって、集中力が落ちてしまうでしょう。
そうしたときに危険なのが介護中の事故。抱きかかえて介助をしているときに、手を離してしまって転倒する、などの事故が起こる危険性が高まります。
父はまだ抱きかかえて介護するということはないのですが…。このままだと、私もそんな事故を起こしてしまうかもしれないです。
それに、寝不足が続いて身体的にも精神的にもしんどい状況が続くと、介護を続けるのがつらくなってしまいます。
追い込まれて「介護うつ」や「虐待」につながってしまうことも少なくありません。できるだけ田島さんの負担を減らした介護をしていきましょう。
介護疲れについては、以下のご質問でも詳しくお話ししています。参考にしてください。
夜中に何度も起きることで、お父様が昼夜逆転してしまう可能性があります。生活リズムが崩れてしまうんですね。
生活リズムは今も崩れていると思いますが…。昼夜逆転になると、どんなリスクがあるんでしょうか?
夜に眠れないので、昼間は眠気で日常生活に支障が出てしまう可能性があります。特に、食事中に覚醒していないと、食べ物を上手く飲み込めずに誤嚥性肺炎を引き起こす危険があります。
それに、認知症の方は睡眠不足で脳の機能が低下することで、「せん妄」が起こる可能性が高まります。
「せん妄」って何ですか?
急に興奮して暴れ回ったり反対に不安で気持ちが落ち込んだり。それに、「虫が這っている」という幻覚や妄想の症状が出ることもあります。
せん妄は一時的であることが多いので、規則正しい生活リズムに戻してきちんと睡眠を取れれば症状は収まるでしょう。
昼夜逆転については、以下のご質問でも詳しくお話ししています。参考にしてください。
父の生活リズムが乱れていても特に気にしていなかったのですが、寝不足というだけでそんな症状が出る危険性があるんですね…。
そうなんです。それに認知症の症状を緩和するためにも、規則正しい生活をするのがおすすめ。まずは、昼夜逆転の生活を整えることから始めてみると良いかもしれません。
それに、田島さんの睡眠時間を確保することが何より大切です。介護サービスを積極的に活用したりして、田島さんがしっかり眠れるような体制を作ってくださいね。
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