2022年12月19日、厚生労働省は要介護1と2の訪問介護と通所介護を介護保険給付から外し、地方自治体が運営する事業に移管する案を、次回の介護保険制度の改正では見送る方針を固めました。
この議論については賛否両論あり、議論を深めるのが難しかったと見られています。
以前から議論になっていた論点のひとつに、要介護1と2の人が受ける訪問・通所介護を、市区町村が運営する「介護予防・日常生活支援総合事業(通称:総合事業)」に移管するという案がありました。
総合事業とは、「一部支援を必要とするが日常生活はほぼ問題ない人」を対象とし、その人らが要介護状態にならないようにサポートするというものです。
また、介護福祉士など専門的な資格が必要な介護事業と違って、総合事業は資格のないボランティアスタッフが担い手の中心になります。
総合事業は、報酬金額が一律に決まっていて予算に制限のない介護給付と違って、各自治体が独自に報酬を決めることができ、予算に制限もあります。そのため、介護保険給付で介護サービスの費用を賄うより安く済むため、国は要介護1や2の人の一部サービスを総合事業に移管しようとしていたのです。
介護サービスの一部を総合事業に移管する案について賛成している委員からは「より重度な要介護度3以上の人に対象を絞ることで、より効率的に専門的な介護サービスを提供できる」「保険給付の増加を抑制できる」などの意見がありました。
その一方で、「要介護1や2に指定されている人は認知症の人が多く、専門職の関わりが不可欠だ」など反対意見も多数挙がっていました。
淑徳大学で介護保障論を研究している結城康博教授は、「長い目で見ると、要介護度1や2の人に重点的に専門的なサービスを受けてもらい、要介護度3以上の人を増やさないほうが介護費用を抑えられる」と発想の転換を呼びかけています。
介護施設への入居について、地域に特化した専門相談員が電話・WEB・対面などさまざまな方法でアドバイス。東証プライム上場の鎌倉新書の100%子会社である株式会社エイジプラスが運営する信頼のサービスです。