先月28日に東京大学の研究グループが、「働き方とライフスタイルの変化に関する全国調査 2021」の分析結果を発表しました。
これは、2007年から15年間にわたって継続しておこなわれている調査で、健康や介護、雇用などについてアンケートを取っています。
それによると、家族の介護をしている女性はそうでない女性に比べて労働時間が短くなる傾向があり、精神的な健康に悪影響が出ていることがわかりました。
一方で家族の介護をしている男性は、していない男性と比べて大きな違いはなかったとのことです。
東京大学の研究グループが発表したのは、15年間にわたって継続してきた「働き方とライフスタイルの変化に関する全国調査」の分析結果です。
これは、若年世代(20~34歳)と壮年世代(35〜40歳)の男女にアンケートを取ったもの。雇用や介護、健康などについて調査しています。
「誰が介護をしているのか」については、主に壮年世代の女性が介護を担っていることがわかりました。
詳細はこちらの記事に記載しています。
https://e-nursingcare.com/guide/news/news-6502/
加えて、研究グループは介護と仕事・健康の関係を調査。仕事と健康のどちらについても、女性にのみ影響を与えていることがわかっています。
具体的には、家族の介護をおこなう女性はそうでない女性よりも就業率が平均5%低下。月の労働時間は5時間短くなっていました。
そしてメンタルヘルス(心の健康)は、介護をおこなっている女性の方が数値が悪い結果となりました。
今回のアンケートでは、介護の有無については調査しているものの、量や質については確認していません。そのため「(今回の調査ではわからなかったが、)男女で介護の量や質が異なる可能性がある」と研究グループは述べています。
2000年にできた介護保険制度から2017年の時点で、居宅サービスの利用者は約3.8倍、施設サービスの利用者は約1.8倍になっているそうです。
これによって、介護は「家族がするもの」から「社会全体で担っていくもの」という認識が広まりつつあります。
しかし今回の研究結果から、女性に介護の負担が偏り、健康や就業に悪影響が出ていることが伺えます。
ちなみに、2021年の女性(20~69歳)の就業率は約80%。この数字と合わせて今回の調査結果を考えると、介護と仕事の両面で女性の負担が増えている可能性もあります。
「介護離職」という言葉が注目されている昨今、この男女の介護負担の差を小さくしていく努力が必要なのかもしれません。
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