近年、ネットショッピングや動画配信サービスだけでなく、行政サービスでも「デジタル化」が進んできました。
しかし、スマホやパソコンといったデジタル機器を持っていなかったり使いこなせていない高齢者が多く、「デジタル格差(デジタルデバイド)」が問題となっています。
内閣府の2020年の調査では、70歳以上の高齢者の5割近くが「スマホやタブレット端末を利用していない」と回答しており、行政サービスのデジタル化をしても高齢者が取り残される可能性があります。
そうしたことを受けて、各自治体ではスマホを一定期間貸し出しをしたり、スマホ講座を開催することで、こうした格差をなくそうとしています。
群馬県長野原町では、NTTドコモと協力して地域情報のデジタル化を推進していくことを発表しました。
これまで長野原町では、地域や災害時の情報は回覧板や防災無線で発信をしていました。しかし、それでは住民すべてに情報が伝わっているのかがわからないという問題があったそうです。
さらに、長野原町は別荘地でもあるため、滞在している観光客に情報が届いていない懸念もあったとのことです。
そこで、ドコモと協力して地域住民や観光客向けのアプリを配信し、情報を提供する体制を整備。さらに、地域の飲食店などで使えるクーポンもアプリで配信することで、観光業の活性化をはかる目的もあります。
また東京都渋谷区では、スマホを持っていない高齢者に2年間貸与する実証実験を開始しました。
同時にスマホ勉強会を開催したり専用コールセンターを設けることで、スマホの操作や機能でわからないことがあればすぐに対応できるようにしています。
さらに、「渋谷区防災アプリ」や「健康アプリ」「キャッシュレスアプリ」などを貸与スマホにあらかじめインストールしておくことで、各アプリを使用しやすくしています。
そしてこの実証実験で、利用者へアンケートやデータ解析を実施。高齢者のスマホ利用の課題を抽出するとのことです。
内閣府の調査では、高齢者がデジタル機器を利用していない理由について「自分の生活には必要ないと思っているから」が半数以上を占めました。
「これまでスマホがなくても不便を感じなかったから、今後も必要ない」ということでしょう。しかし、これからさらにデジタル化が進むにつれてスマホを持っていないと不便になっていくことが想定されます。
そこで、今までスマホを使っていなかった人にとっては「スマホ貸与」というきっかけがあると、スマホデビューをするハードルが下がるかもしれませんね。
デジタル庁が掲げている「誰一人取り残されない」デジタル社会について、各自治体の取り組みに注目していきたいですね。
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