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#最新研究 #認知症の薬 #認知症対策

認知症の脳を再現する「ミニ脳」とは。治療法の開発が大きく前進?

慶応義塾大学の岡野栄之教授と嶋田弘子特任講師らの研究チームは、認知症の一種であるアルツハイマー病患者の脳の状態を試験管内の細胞で再現する技術を開発しました。 患者のiPS細胞を培養して「ミニ脳」を作ると、病気との関連が指摘される異常たんぱく質の蓄積などを再現することができ、研究を進めることで認知症の仕組みの解明や治療薬開発に役立つとされています。 現在の治療方法 認知症を完全に治す治療法はまだありません。そのため、症状を軽くして進行の速度を遅らせることが現在の治療の目標となっています。ちなみに、現在の認知症の治療方法には薬物療法と非薬物療法があり、これらを組み合わせて治療をおこなっています。 研究と今後 研究チームはiPS細胞を培養する際に加えるたんぱく質の濃度を調節し、脳に似た立体構造のミニ脳を効率よく作る手法の開発に成功しました。この手法でアルツハイマー病患者のiPS細胞からミニ脳を作ると、患者の脳のように「アミロイドβ(ベータ)」という異常たんぱく質が集まった構造がみられました。 この結果は、「認知症はアミロイドβが蓄積されることで発症する」という仮説がもともとあったため、それを裏付けることになりそうです。 アミロイドβの蓄積を阻害する安全な薬が開発されれば、アルツハイマー型認知症はそれ以上の神経変性を起こさなくなると考えられています。そうなれば、認知症の進行が完全にストップする可能性もあります。 ただし、一度変性して消滅した神経細胞は再生しないため、進行した認知症では失われた機能を回復することは難しいという問題がまだ残ります。そのため、発症前の段階での治療を目指して薬の開発がおこなわれています。その意味でも、早期発見・早期治療は今後ますます重要になってくると考えられています。 研究チームは今後、人のミニ脳で病態を再現できる手法を活用し、アルツハイマー病患者のミニ脳でのアミロイドβの蓄積なども詳しく調べていく方針です。 まとめ 今回の研究で、短時間で認知症進行の様子を再現することができるようになったようです。これによりデータを集めやすくなり認知症解明に大きく近づくことができるでしょう。

2022/09/15

#最新研究

国内最大級の“木造”5階建て老人ホームが東京都足立区に誕生!

三井ホーム(株)は2022年8月30日、大規模木造建築物である特別養護老人ホーム「新田楽生苑(しんでんらくせいえん)」(東京都足立区)が完成したことを報道陣に発表しました。 今回は、施設の紹介と木造建築のメリットをお伝えします。 施設の紹介 当施設の運営主体は、社会福祉法人新生福祉会(広島県尾道市)。足立区が所有する中学校跡地に、三井ホーム(株)が特別養護老人ホームとして建築しました。 建物の構造は、木造・一部鉄筋コンクリート造地上5階建て。特別養護老人ホームのほか、短期入所生活介護施設、認知症対応型デイサービスセンターがあり、2階から5階の居室フロアは、中央に共同生活室を設けることで出入りがしやすい配置になっています。 地域の防災拠点としても機能させるための備蓄倉庫や、耐震性能を高めるために、2×6の耐力壁や高い強度を持つ金物の採用。同施設は、浸水想定区域に指定されていることから、2階以上を居住スペースとして計画しています。 1階の地域交流スペースには、新生福祉会の地元「瀬戸田レモン」カラーの壁紙が採用され、明るさを演出。開業後はカフェとして運営される予定です。  木造のメリット 事業主は、木の床は転倒リスクが軽減されるなどのメリットに着目。また、クッション性の高い木造の床には、足腰にかかる負担を軽減する効果があります。 この他に、木材は室内の温度を適度に保ち、紫外線や音を吸収する効果など日常生活を快適にする特性や、木々が発する「フィトンチッド」にはリラックス効果や消臭・除菌効果も期待できます。 さらに、脱炭素社会への貢献として、本施設の炭素貯蔵量(CO2換算)は、1774t-CO2となり、これはスギの木(35年生)換算で7116本相当です。 このように、木造の建物には入居者だけではなく施工者にもメリットがあることがわかります。開業予定は11月なので、一般的な鉄骨造りとの違いをぜひ体験してみたいですね。

2022/09/14

#介護予防 #最新研究 #認知症予防

握力5kg減で認知症リスクが最大1.2倍超!筋トレが予防策になる?

中年期に握力が低かった人ほど、その後の認知機能に問題が生じるリスクが高いことが、英国の中高年男女約20万人を対象とした研究で明らかになりました。 この調査によると、握力が5kg低下するごとに、認知症の発症リスクは男性で1.16倍、女性では1.14倍、アルツハイマー病のリスクは男性1.11倍、女性1.13倍、血管性認知症のリスクは男性1.23倍、女性1.20倍であったとしています。 今回のこの調査によって得られた結果は、中年期からの男女両方において、握力に代表される筋力が高い人の方が、その後に認知機能に問題が生じる危険性が低いことを示しました。中年期の筋トレは、将来の認知機能の維持に役立つ可能性が示されたといえます。 では、実際にどのように体を鍛えていけば良いのでしょうか? シニアにおすすめのトレーニング方法について紹介していきます。 シニアにおすすめの筋トレ ① 椅子スクワット 椅子に座って立ち上がる動作を繰り返すだけ! 膝への負担を小さくし、お尻や太もも、ふくらはぎなど下半身全体を鍛えることができます。さらに、胸を張った姿勢で行うことでお腹や背中の筋肉も鍛えられ、強い足腰を作ります。 ●やり方 肘掛けの無い椅子に座る。両足を開いて、足の裏はしっかりと床につけましょう。おへそを斜め上に引き上げるようなイメージで骨盤を起こす。そのまま骨盤を起こした状態で立ち上がる。ゆっくり座る。 ●ポイント ふらつきがある人は無理をせず、何かにつかまったり、誰かに手をつないでもらいながらおこなってくださいね。ふらつかずにできる人は両手を胸の前にクロスしておこないましょう。 ②バックエクステンション うつぶせになって手足をゆっくり交互に上げるだけ! 背中・お尻・太ももの筋肉を使うので、上半身と下半身を同時に鍛えられます。 ●やり方 うつぶせになって両手を前に伸ばす。両足もまっすぐ伸ばしてつま先を軽く床につく。左足でバランスを取りながら、左腕と右足を同時にゆっくり上げていく。上がるところまで上げたら1秒キープして下ろす。逆の手足を同じようにゆっくり上げ、1秒キープして下ろす。 ●ポイント 腕や足だけの動きにならないように腕は胸から、足は太ももから上げるようにできるだけ大きく動きましょう。動きになるべく左右で差が出ないように意識しながら行うことも大切です。 まとめ この研究で、筋力が認知症だけでなく様々な症状の予防につながることがわかりましたね。もし筋トレについて興味が出てきたら、自分で調べてみても良いかもしれません。

2022/09/13

#フレイル予防 #介護予防 #最新研究

運動で高齢者の死亡リスクが13%減!”座りすぎ”は遺伝子レベルで悪影響

人間は短命か長寿か遺伝子レベルで決まっているという話がありますが、それだけですべてが決まるわけではないようです。今日はその一例をご紹介します。 ウォーキングやテニスなどの運動を余暇時間におこなっている高齢者は、あらゆる原因による死亡のリスク、さらには心血管疾患やがんにより死亡のリスクが低いことが米国国立衛生研究所の大規模な調査で明らかになりました。 同研究所でがん疫学や遺伝子学を研究するエレノア ワッツ氏は「余暇時間に行う運動や身体活動は、どんな種類のものでも、高齢者の死亡リスクの減少と関連していることが示されました。特に高齢者にとって、楽しみながら続けられる余暇活動をみつけることは重要です」と述べています。 運動でリスク軽減 研究グループは、7種類の運動(ウォーキング・ランニング・サイクリング・水泳・その他の有酸素運動・テニスなどのラケットスポーツ・ゴルフ)とレクリエーション活動の影響について調査を実施。これらの身体活動を組み合わせておこない、推奨されている活動量を達成した高齢者は活動をしていない高齢者に比べ、死亡リスクが13%減少することが分かりました。 また、規定の活動量を満たしておらず、軽めのレクレーションしかおこなわなかった場合でも何もしてない人に比べ、死亡リスクが5%減少した結果となり、運動の習慣はその強弱に関わらず長生きに良い影響があると分かりました。 「運動不足」と「座りすぎ」は危険? カリフォルニア大学の研究では、米国の様々な疾患を持つ63歳以上の女性5446人に遺伝子検査を行った上で7日間、運動や座りっぱなしの時間などを測定する調査をおこないました。結果として、座ったままの時間を減らして運動や身体活動を行うことは、どのような遺伝的な体質の人でも長寿に繋がることが示されました。 今回の調査で、長寿の遺伝子を持っている人とそうでない人も運動によって同じ恩恵を得られること、運動不足で座っている時間が長いほど死亡リスクが高くなることが分かりますね。 運動がもたらす健康長寿 以前から運動の習慣化は健康に良いとされてきましたが、今回のように数字で見ることでより実感しますね。年齢を問わず自分のペースで運動を取り入れて健康長寿を目指したいですね。

2022/09/08

#心疾患 #最新研究 #糖尿病予防

糖尿病で心不全リスクが56%上昇!?5年間の死亡リスクは73%もアップ

糖尿病の人が心筋梗塞や狭心症などの発作を起こすと、糖尿病のない人に比べ、心不全とその後の死亡のリスクが高くなるという調査結果が、欧州心臓病学会(ESC)学術集会で発表されました。 心臓発作とは 心臓発作は、心臓の筋肉に血液をおくっている冠動脈に異常が起こり、血流が途絶えたことで十分な酸素を供給できなくなり引き起こされます。心臓発作は生命に重大な危険をおよぼす状態であり、高齢者に多いですが若年層でも起こることがあります。 心臓発作の原因は、心臓の筋肉の機能は完全には低下していないが、心臓への血のめぐりが悪くなることで起こる狭心症、冠動脈がさらに完全につまったり細くなったりして、心臓の筋肉細胞が死んでしまい機能が低下する心筋梗塞、さらには不整脈による心停止などがあります。 フランスのパリ-ジョルジュ ポンピドゥー欧州病院のニコラ ダンチン教授は、健康的な食事により肥満や過体重を避け、運動を生活の中に取り入れることでより良い生活スタイルに変えていくことが重要としています。 糖尿病による心臓発作の危険性 「心臓発作を起こした患者で糖尿病が多いことは、ほとんどの心臓専門医の共通認識であり、今回の調査でも一致していた」とダンチン教授は言います。 今回の調査で、心筋梗塞で入院したときに糖尿病の人の32%が心不全を発症したのに対し、糖尿病ではない人では17%となり、糖尿病の人は心不全を発症するリスクが56%高いことが判明しました。 また、心臓発作を経験し生き延びた人では、糖尿病の人の5.1%が翌年に非致死性の心不全で入院したのに対し、糖尿病でない人で入院したのは1.8%にとどまり、糖尿病の人は心不全の危険性が高いことが示されました。 さらに、心臓発作を経験した1年後に心不全で入院した患者の56%がその後の4年間に死亡したのに対して、心不全のない患者で死亡したのは21%でした。 心不全により5年間での死亡の危険性は73%上昇。危険性の増加は、特に薬による治療を必要としている糖尿病患者でとくに顕著であることも分かりました。 まとめ このように、糖尿病は心臓発作を起こしやすくするだけでなく心臓病の症状も悪化させることがわかりました。生活習慣を改善していくことで病気の危険性を抑えることができますので検討してみてはいかがでしょうか。

2022/09/07

#コロナ対策 #最新研究 #糖尿病予防

定期的な運動でコロナ重症化リスクが44%減!?糖尿病でも効果あり

新型コロナの脅威が収まらない中、もし感染してしまった際に不安なのが重症化してしまうことではないでしょうか。 この重症化リスクについて、スペインのバレンシア大学やナバーラ州立大学の研究によると、ウォーキングなど適度な運動をおこなっている人は、新型コロナに感染しても重症化しにくいことが明らかになりました。 適度な運動をする習慣は免疫を強くする 運動を習慣としておこなっている人は、新型コロナに感染し発症しても入院や死亡を含む重症化のリスクが低いという調査結果が発表されました。 ウォーキングなどの運動を週に合計150分間、あるいは筋トレなども取り入れた運動を75分間おこなうと、新型コロナから保護される効果が得られるそうです。 これまでの研究でも、適度な運動や身体活動は免疫を強くし、呼吸器への感染と重症化の両方のリスクを軽減できることが示されています。 運動をしている人は新型コロナの重症化リスクが44%低い 今回の調査を解析した結果、運動を習慣としておこなっている人は、新型コロナに感染するリスクが11%低いことがわかりました。 そのうえ、運動をしている人は運動不足の人に比べ、新型コロナに感染した場合の入院リスクは36%低く、重症化リスクも44%低いことが判明。さらに、新型コロナにより死亡するリスクは43%低下したとのことです。 運動をする習慣が新型コロナからの保護効果をもたらす背景には、生物学的な理由があるそう。研究者は「中程度や強度の運動をおこなうことで、体の抗炎症反応、心肺機能、筋力を高められます。これら全てが、新型コロナの重症化を防ぐ有益な効果をもたらしている可能性があります」「2型糖尿病や肥満などのある人は、新型コロナが重症化しやすいという報告がありますが、運動を習慣としておこなうことはそうした人でも新型コロナのリスクを減らし、さらに多くの健康への利益をもたらしてくれます」とコメントしています。 運動を習慣化することは簡単ではありませんよね。それでも自分の健康のため、まずは1日10分からでも運動を始めてみてはいかがでしょう。慣れてきたら時間を増やして、健康的な日常を送れる足がかりになるといいですね。

2022/09/07

#介護予防 #最新研究

余暇の運動で短い寿命も長くなる!? 運動と長寿の関係やいかに

私たちの目には見えない「寿命」は、いったい何によって決まるのでしょうか? 寿命には、食事や運動、ストレスなどの生活スタイルによる環境的な要因と、体質による遺伝的な要因が大きく関わっていると考えられています。 そこで今回は、運動と寿命の関係についてアメリカの研究をご紹介します。  余暇時間の運動で高齢者の死亡リスク減 米国国立衛生研究所(NIH)の国立がん研究所(NCI)の研究によると、ウォーキングやテニスなどの運動を余暇時間におこなっている高齢者は、あらゆる原因による死亡リスクが低いということが明らかになりました。 特に、ラケットを使った運動やランニングが死亡リスクの減少に効果があるとのことです。 また、運動の強度が軽めのレクリエーション活動についても、何も活動していない人に比べて死亡リスクが5%減少したという結果に。どのような種類の運動でも、死亡リスクを減少させる効果があるということですね。  運動が寿命を延ばすことが明らかに また別に、カリフォルニア大学の研究グループは、アメリカ在住の63歳以上の女性5,446人に遺伝子検査を受けてもらい、2012年から2020年までの間、大規模な追跡調査をおこなっています。 参加者は、糖尿病、心血管疾患、脳血管疾患、がん、認知障害、うつ病などをもつ人も含まれていました。最大7日間、彼らに活動量計を装着してもらい、運動や身体活動の頻度や強度、座りっぱなしの時間などの測定をおこないました。 その結果、運動や身体活動を活発におこなうことが、どのような遺伝的素因をもつ人にも共通して死亡リスクの低下と関連しているということが判明。また、座ったままの時間が長いほど、死亡リスクが高くなるということも明らかになりました。 この研究は、短命の遺伝子を持っている方でも、運動をすることによって寿命が延ばせるということを伝えています。  寿命はあらかじめ決まっているものではなく、身近な運動を通して変化させることができるということは驚きですね。日頃、重たく感じてしまう腰を上げる良いきっかけになりそうです。

2022/09/05

#最新研究 #認知症予防

認知症やうつ病の予防に?牛乳由来「βラクトペプチド」が精神的活力を向上

キリンホールディングス株式会社のキリン中央研究所は、乳由来の「βラクトペプチドの1つであるGTWYペプチド(以下、βラクトペプチド)」を用いた臨床試験を行いました。その結果、βラクトペプチドが日常的にストレスを感じている人のメンタルヘルスや精神的活力を改善する働きを持つことが明らかになったと発表しました。 ペプチドとは? ペプチドとは、タンパク質が消化酵素で分解されて、アミノ酸が2個から50個程度結合したもののこと。タンパク質に比べて体内への吸収がスムーズに進むという利点があり、免疫力を上げたり血糖値を下げたりするペプチドも確認されています。 これまでの研究から、乳製品を定期的に摂取する人は、高齢になっても認知機能が高い状態で維持されていることがわかっています。それに注目し、乳製品に含まれている脳の健康に貢献する成分を研究し、キリン中央研究所が発見したものがβラクトペプチドです。 βラクトペプチドは「牛乳」を原料とし、キリンの発酵技術によって生み出されたペプチド。食品成分として摂取すると脳に運ばれ、脳細胞を活性化します。その結果、「認知症予防」や「記憶力の改善」、「注意力の改善」といったさまざまな効果があることがこれまでのキリンの研究によって明らかにされてきました。 臨床試験の詳細 今回、キリン中央研究所は「日常的にいらいらを感じている」など気分状態に問題を感じている45〜64歳の中高年60名を対象に臨床試験を実施。βラクトペプチドを含むサプリメントの摂取が、気分状態や精神的活力に及ぼす効果を検証しました。 その結果、βラクトペプチドを摂取したグループの日常の不安感、ストレス知覚度および精神的活力のスコアが、偽薬を摂取したグループよりも改善していたことが認められました。また、ストレス状態においてもβラクトペプチドを摂取したグループでは同じように改善が見られました。 この結果から、βラクトペプチドは「日常的にいらいらを感じている」などの気分状態を改善し、精神的活力を向上させる機能があることが明らかになりました。 まとめ 牛乳由来のβラクトペプチドが脳と心の健康に良い影響を与えてくれることが期待されます。認知症になるリスクを下げるだけでなく、ストレスをやわらげうつ病の予防にもつながるβラクトペプチドは、高齢化社会において重要な役割を果たすことになるかもしれません。

2022/09/02

#最新研究 #認知症予防

超加工食品の摂取量が10%増えるごとに認知症リスクが25%上昇

菓子パンやポテトチップス、清涼飲料などの食品はとてもおいしい一方で、生活習慣病の原因となったりと健康には悪影響があることはよく知られています。 加えて、認知症のリスクも上げることを米国神経学会が発表。それによると、菓子パンや清涼飲料などの超加工食品の摂取量が10%増加するごとに、認知症リスクが25%高まることがわかったそうです。 超加工食品が認知症リスクを高める 米国神経学会は、超加工食品と認知症リスクに関する研究結果を発表しました。 超加工食品とは、例えばポテトチップスなどのスナック菓子、カップ麺、アイスクリームなどの食品のこと。多くは高カロリーで脂肪と塩分が多いうえに、タンパク質や食物繊維が少ないため、食べ過ぎると高血圧や肥満、糖尿病などのリスクが上昇することが知られています。 研究グループは、イギリスに住む約7万2000人もの健康データを分析。研究開始時には認知症を発症していませんでしたが、平均10年間の追跡期間で518人が認知症と診断されました。 このデータを分析した結果、超加工食品を最も多く食べていたグループは、最も少ないグループよりも認知症の発症率が25%も高いことが判明。ちなみに、アルツハイマー型認知症では14%、血管性認知症では28%も発症率が高かったそうです。 さらに、超加工食品の毎日の摂取量が10%増えるごとに認知症リスクが25%も上昇することも明らかになりました。 加えて、この超加工食品の10%を、未加工や最小限の加工をしている野菜や果物、肉などに置き換えた場合、認知症のリスクが19%低下することもわかりました。 50gだけ我慢を 今回の研究で、ポテトチップスや菓子パンといった超加工食品が身体だけでなく脳の健康にも悪いことがわかりました。しかし、だからといっておいしいスナック菓子や菓子パンを食べない、というのは酷ですよね。 ただ、研究グループによると、超加工食品の10%を健康的な食品に置き換えるには、「健康的な食品を50g増加」して「超加工食品を50g減少」させると良いそうです。 「50g置き換えるだけ」と言われると、少しハードルが下がるような気がしますよね。こうしたちょっとした食生活の改善が、健康な脳の維持につながるのかもしれません。

2022/08/31

#最新研究 #認知症予防

野菜を多く食べると認知症リスクが31%低下!1日270g以上を目指すと良い?

「健康的な食事」といえば、野菜たっぷりのメニューを想像する人が多いかもしれませんね。ダイエットや生活習慣病の予防のために野菜を多く食べている人もいるのではないでしょうか。 しかし今回、九州大学などの研究によって野菜をたくさん食べることが認知症予防につながることが判明。それによると、1日の野菜の摂取量が270gを超えている人は認知症のリスクが下がっていたそうです。 野菜をたくさん食べると認知症リスクが低下 九州大学などの研究グループが、野菜や果物の摂取量と認知症の発症リスクの関係性についての調査結果を発表しました。 この研究は、福岡県糟屋郡久山町に暮らす認知症ではない60歳以上の住民。住民の心身の健康状態を1~2年ごとに調査し、1988年~2012年の24年間にわたって研究しています。 調査では、病歴や学歴、飲酒の習慣などについて対象者にアンケート。さらに野菜や果物、栄養素といった食事内容についてもヒアリングをおこなっています。 その結果、追跡期間中に464人が認知症を発症。そのうち、286人がアルツハイマー型認知症で、144人が血管性認知症だったそうです。 詳細に分析してみると、野菜を多く食べていた人は摂取量が少ない人よりもアルツハイマー型認知症のリスクは31%も低いことがわかりました。一方で、血管性認知症のリスクには関係がなかったそうです。ただ、1日の野菜の摂取量が270gを超えるとあらゆる認知症のリスクが低下していました。 身体と脳のためにも野菜をたっぷり 野菜をたくさん食べることは、生活習慣病の予防にもつながることがわかっています。特に、野菜のなかに多く含まれている食物繊維は脂質や糖などを身体の外に排出する働きがあるため、肥満や脂質異常症、糖尿病、高血圧などを予防するとされています。 そのため、野菜を多く食べることで生活習慣病が原因となって発症する認知症のリスクを下げた可能性もあります。 身体の健康だけではなく、脳の健康のためにも食事に野菜をたくさん取り入れていきたいものですね。

2022/08/25

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介護付き有料老人ホームとは│提供されるサービス・費用・入居条件などを解説

介護付き有料老人ホームは、介護スタッフが24時間常駐している介護施設。介護サービスや身の回りの世話を受けられます。 この記事では、介護付き有料老人ホームの種類及び入居のための条件や必要な費用、サービス内容などを詳しく説明しています。 https://youtu.be/oK_me_rA0MY 介護付き有料老人ホームの特徴 介護付き有料老人ホームとは、有料老人ホームのうち、都道府県または市町村から「特定施設入居者生活介護」の指定を受けた施設です。24時間介護スタッフが常駐し、介護や生活支援などは施設の職員により提供されます。 主に民間企業が運営しているため、サービスの内容や料金は施設ごとに異なります。また、入居基準も施設により異なり、自立している方から介護が必要な方まで幅広く受け入れている施設も。選択肢が幅広いため、自分に合った施設を選ぶことができます。 看取りまで対応している施設も多数あり、「終の棲家(ついのすみか)」を選ぶうえでも選択肢のひとつとなります。 全体の概要をまとめるとこのようになります。 費用相場 入居時費用 0~数千万円 月額利用料 15~30万円 入居条件 要介護度 自立~要介護5※1 認知症 対応可 看取り 対応可 入居のしやすさ ◯ ※施設の種類によって異なります。 特定施設入居者生活介護とは 特定施設入居者生活介護は、厚生労働省の定めた基準を満たす施設で受けられる介護保険サービスです。ケアマネジャーが作成したケアプランに基づき提供される食事や入浴・排泄など介助のほか、生活支援、機能回復のためのリハビリなどもおこなわれます。指定を受けてこのサービスを提供する施設は、一般的に「特定施設」の略称で呼ばれています。 介護付き有料老人ホームの種類と入居基準 介護付き有料老人ホームには「介護専用型」「混合型」「健康型」の3種類があり、それぞれ入居条件が異なります。 介護度 ...

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グループホームとは|入居条件や費用、入居時に気をつけたいポイントを解説

認知症の方の介護は大変です。「そろそろ施設への入居を検討しよう」と思っても、認知症の症状があると、入居を断られてしまうのではと心配もあるでしょう。 グループホームは認知症高齢者のための介護施設です。住み慣れた地域で暮らし続けられる地域密着型サービスであり、正式な名称を「認知症対応型共同生活介護」といいます。 こちらの記事では、グループホームについて解説します。また、グループホームで受けられるサービスや費用、施設選びのポイントも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。 https://youtu.be/EofVO7MRRDM この記事を読めばこれがわかる! グループホームの詳細がわかる! グループホームを選ぶ際のポイントがわかる! グループホームへ入居する際の注意点がわかる! グループホームとは グループホームとは、認知症高齢者のための介護施設です。専門知識と技術をもったスタッフの援助を受けて、要支援以上の認知症高齢者が少人数で共同生活をおくります。 「ユニット」といわれる少人数のグループで生活し、入居者はそれぞれ家事などの役割分担をします。 調理や食事の支度、掃除や洗濯など入居者の能力に合った家事をして自分らしく共同生活を過ごすところが、ほかの介護施設や老人ホームとは異なるポイントです。 グループホームの目的は、認知症高齢者が安定した生活を現実化させること。そのために、ほかの利用者やスタッフと協力して生活に必要な家事を行うことで認知症症状の進行を防ぎ、できるだけ能力を維持するのです。 グループホームは少人数「ユニット」で生活 グループホームでは「ユニット」と呼ばれるグループごとに区切って共同生活を送るのが決まり。1ユニットにつき5人から9人、原則1施設につき原則2ユニットまでと制限されています。 少人数に制限する理由は、心穏やかに安定して過ごしやすい環境を整えるため。環境変化が少なく、同じグループメンバーで協力して共同生活することは、認知症の進行を防ぐことに繋がります。 認知症の方にとって新しく出会う人、新しく覚えることが難しいので、入居者やスタッフの入れ替わりが頻繁にある施設では認知症の高齢者は心が落ち着かず、ストレスを感じ生活しづらくなってしまいます。その結果、認知症症状を悪化させるだけでなく、共同生活を送る上でトラブルを起こすきっかけとなります。 慣れ親しんだ場所を離れて新しい生活をするのは認知症の方には特に心配が尽きないもの。その心配を軽減するため、より家庭にできるだけ近づけ、安心して暮らせるようにしています。 グループホームの入居条件 グループホームに入居できるのは医師から「認知症」と診断を受けている方で、一定の条件にあてはまる方に限ります。 原則65歳以上でかつ要支援2以上の認定を受けている方 医師から認知症の診断を受けている方 心身とも集団生活を送ることに支障のない方 グループホームと同一の市町村に住民票がある方 「心身とも集団生活を送ることに支障のない」という判断基準は施設によって異なります。入居を希望している施設がある場合には、施設のスタッフに相談しましょう。 また、生活保護を受けていてもグループホームに入ることは基本的には可能です。しかし、「生活保護法の指定を受けている施設に限られる」などの条件があるので、実際の入居に関しては、行政の生活支援担当窓口やケースワーカーに相談してみましょう。 グループホームから退去を迫られることもある!? グループホームを追い出される、つまり「強制退去」となることは可能性としてゼロではありません。一般的に、施設側は入居者がグループホームでの生活を続けられるように最大限の努力をします。それでも難しい場合は、本人やその家族へ退去を勧告します。「暴言や暴力などの迷惑行為が著しい場合」「継続的に医療が必要になった場合」「自傷行為が頻発する場合」etc。共同生活が難しくなった場合には追い出されてしまうこともあるのです グループホームで受けられるサービス グループホームで受けられるサービスは主に以下です。 生活支援 認知症ケア 医療体制 看取り それぞれ詳しく見てみましょう。 生活支援 グループホームでは以下の生活面でのサービスを受けられます。 食事提供 :◎ 生活相談 :◎ 食事介助 :◎ 排泄介助 :◎ 入浴介助 :◎ 掃除・洗濯:◯ リハビリ :△ レクリエーション:◎ 認知症を発症すると何もできなくなってしまうわけではなく、日常生活を送るだけなら問題がないことも多いです。 グループホームには認知症ケア専門スタッフが常駐しています。認知症進行を遅らせる目的で、入居者が専門スタッフの支援を受けながら入居者の能力(残存能力)に合った家事を役割分担して自分たち自身でおこないます。 食事の準備として買い出しから調理、配膳、後片付けまで、そして洗濯をして干すといった作業や掃除も、スタッフの介助を受けながら日常生活を送ります。 グループホームでは、入居者の能力(残存能力)に合った家事を役割分担して自分たち自身でおこなうことになります。 例えば、食事の準備として買い出しから調理、配膳、後片付けまで。また、そして洗濯をして、干すまで…など。そのために必要な支援を、認知症ケアに長けた専門スタッフから受けられるのが、グループホームの大きな特徴です。 グループホームは日中の時間帯は要介護入居者3人に対して1人以上のスタッフを配置する「3:1」基準が設けられています。施設規模によっては、付き添いやリハビリなどの個別対応が難しいので、入居を検討する際は施設に確認しましょう。 認知症ケア 施設内レクリエーションやリハビリのほかに、地域の方との交流を図るための活動の一環として地域のお祭りに参加や協力をしたり、地域の人と一緒に公園掃除などの活動を行う施設も増えてきました。 グループホームとして積み上げてきた認知症ケアの経験という強みを活かし、地域に向けた情報発信などのさまざまな活動が広がっています。 地域の方と交流する「認知症サロン」などを開催して施設外に居場所を作ったり、啓発活動として認知症サポーター養成講座を開いたりするなど、地域の人々との交流に重きを置くところが増えています。 顔の見える関係づくりをすることで地域の人に認知症について理解を深めてもらったり、在宅介護の認知症高齢者への相談支援につなげたり。 こうした活動は認知症ケアの拠点であるグループホームの社会的な価値の向上や、人とのつながりを通じて入所者の暮らしを豊かにする効果が期待できます。 医療体制 グループホームの入居条件として「身体症状が安定し集団生活を送ることに支障のない方」と定義しているように、施設に認知症高齢者専門スタッフは常駐していますが、看護師が常駐していたり、医療体制が整っているところはまだまだ少ないです。 しかし近年、高齢化が進む社会の中で、グループホームの入居者の状況も変わってきています。 現在は看護師の配置が義務付けられていないので、医療ケアが必要な人は入居が厳しい可能性があります。訪問看護ステーションと密に連携したり、提携した医療機関が施設が増えたりもしているので、医療体制について気になることがあれば、施設に直接問い合わせてみましょう。 看取り 超高齢社会でグループホームの入所者も高齢化が進み、「看取りサービス」の需要が増えてきました。 すべてのグループホームで看取りサービス対応しているわけではないので、体制が整っていないグループホームの多くは、医療ケアが必要な場合、提携医療施設や介護施設へ移ってもらう方針を採っています。 介護・医療体制の充実度は施設によってさまざまです。介護保険法の改正が2009年に行われ、看取りサービスに対応できるグループホームには「看取り介護加算」として介護サービスの追加料金を受け取れるようになりました。 看取りサービスに対応しているグループホームは昨今の状況を受け増加傾向にあります。パンフレットに「看取り介護加算」の金額が表記されているかがひとつの手がかりになります。 グループホームの設備 グループホームは一見、普通の民家のようで、家庭に近い雰囲気が特徴ですが、立地にも施設基準が設けられています。 施設内設備としては、ユニットごとに食堂、キッチン、共同リビング、トイレ、洗面設備、浴室、スプリンクラーなどの消防設備など入居者に必要な設備があり、異なるユニットとの共有は認められていません。 入居者の方がリラックスして生活できるように、一居室あたりの最低面積基準も設けられています。このようにグループホーム設立にあたっては一定の基準をクリアする必要があります。 立地 病院や入居型施設の敷地外に位置している利用者の家族や地域住民と交流ができる場所にある 定員 定員は5人以上9人以下1つの事業所に2つの共同生活住居を設けることもできる(ユニットは2つまで) 居室 1居室の定員は原則1人面積は収納設備等を除いて7.43㎡(約4.5帖)以上 共有設備 居室に近接して相互交流ができるリビングや食堂などの設備を設けること台所、トイレ、洗面、浴室は9名を上限とする生活単位(ユニット)毎に区分して配置 グループホームの費用 グループホーム入居を検討する際に必要なのが初期費用と月額費用です。 ここからは、グループホームの入居に必要な費用と、「初期費用」「月額費用」それぞれの内容について詳しく解説していきます。 ...

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【動画でわかる】有料老人ホームとは?費用やサービス内容、特養との違いは

介護施設を探している中で「老人ホームにはいろいろな種類があるんだ。何が違うんだろう?」と疑問を感じることがあるかもしれません。 そこで今回は、名前に「老人ホーム」とつく施設の中でも、「有料老人ホーム」を中心に紹介。よく似ている「特別養護老人ホーム」との違いも見ていきます。 「老人ホームの種類が多すぎて訳がわからない」と思ったら、ぜひ参考にしてみてくださいね。 https://youtu.be/eMgjSeJPT8c 有料老人ホームの種類 有料老人ホームには、以下の3種類があります。 介護付き有料老人ホーム 住宅型有料老人ホーム 健康型有料老人ホーム この3種類の違いを以下にまとめています。 種類 介護付き有料老人ホーム ...

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