ニュース
2024年1月、和歌山県は県内における高齢者虐待の現況を公表。県の発表によると、2022年度中に県内で確認された家族らによる高齢者虐待の件数が187件で、過去最多を更新したことが明らかになりました。 高齢者のケアをするはずの介護者を虐待に向かわせてしまう要因のひとつに「介護者のストレス」が挙げられます。特に、周囲とのつながりが薄い人は介護のストレスが溜まりやすく、その結果高齢者に暴力を振るうなどの虐待に走ってしまうことも。長期間継続して介護を続けていくためにも、負担を感じたら福祉の専門家に早めに相談することが大切です。 3年連続、高齢者虐待数が増加 和歌山県の発表によると、2022年度中に県内で確認された、家族らによる高齢者虐待の件数が187件に上り、3年連続で過去最多を更新したことが明らかになりました。 県内で起きた高齢者虐待の種別は複数回答で、殴る・蹴るなどの「身体的虐待」が125件、高齢者に暴言を浴びせるなどの「心理的虐待」が76件、高齢者の預金を勝手に使い込んだり必要なお金を与えなかったりなどの「経済的虐待」が29件、必要な介護や世話をおこなわないなどの「ネグレクト(介護等放棄)」が23件でした。 和歌山県で起きた高齢者虐待の種類(2022年度) また、和歌山県が高齢者を虐待した人(虐待者)の年代も調査したところ、70代の虐待者が42人で最多であることが判明。また80代の虐待者も33人でした。 70代や80代といった高齢者世代の虐待者数を合計すると75人と、その子ども世代(50代40人、40代33人)の合計73人よりも、わずかながら多いことが明らかになったのです。 以上の結果について和歌山県は、高齢者が高齢者を介護する「老老介護」による介護負担の増大が虐待件数の増加につながったとみています。 今後、県は市町村の職員に対し、県が作成したマニュアルを周知したり虐待防止に関する研修をしたりしていくそうです。 夫・息子による虐待が多いワケは また、過去に和歌山県は虐待者の属性についても調査を実施しました。 2021年度に和歌山県で起きた高齢者虐待事件のデータを分析したところ、虐待を受けた高齢者の息子が虐待者だった割合が35.8%で最多であることが判明。続いて多かった虐待者の属性は、虐待を受けた高齢者の夫で、その割合は27.5%でした。 一方、虐待を受けた高齢者の娘や妻が虐待者になった割合はそれぞれ16.6%と10.4%だったことから、女性よりも男性の方が高齢者虐待の主体になりやすい傾向にあることがわかりました。 参考:「令和4年度における県内市町村の高齢者虐待への対応状況について」(和歌山県) これは和歌山県のみならず、全国でも同様の傾向にあることが調査により明らかになっています。 厚生労働省がおこなった調査によると、全国で起きた高齢者虐待事件のうち、38.9%が高齢者の息子によるものであることが判明。続いて多かったのが高齢者の夫による虐待で、その割合は22.8%でした。 参考:「高齢者虐待の実態把握等のための調査研究事業」(厚生労働省) 以上のことから、全国的に見ても娘や妻といった女性よりも息子や夫といった男性の方が虐待の主体になりやすいことがわかります。 女性よりも男性のほうが虐待者になりやすいのは、一般的に社会的なつながりが女性よりも男性のほうが少ないことが一因として考えられます。職場以外の人間関係を持たない男性も少なくないため、親の介護をひとりで抱えてしまって共倒れになるケースも見受けられます。 自分が虐待しそうになったら 高齢者虐待の要因のひとつに、介護をする側のストレスが挙げられます。特に認知症のある高齢者のケアは難しく、介護を強く拒否されたことによるストレス反応で虐待をしてしまったというケースも少なくありません。 介護によるストレスをうまく発散できず、「もしかしたら自分も虐待してしまうかもしれない」ということを自覚したら、共倒れになる前に外部の介護・福祉サービスの利用を検討してみましょう。訪問介護サービスやデイサービスなどを利用すれば、家にいながらでも自分にかかる介護の負担を減らせます。 訪問介護やデイサービスなどをこれまでまったく利用したことがない場合は、まず近くの地域包括支援センターに相談してみましょう。「対象者が生活するために介護サービスが必要だ」と認定されれば、訪問介護をはじめとしたさまざまな介護サービスを利用できるようになります。 また、すでに介護サービスを利用しているもののそれが不十分で、自身の介護負担が大きいと感じた場合には、担当のケアマネジャーと相談して介護サービスの利用量を増やせるか検討してみると良いでしょう。 介護の”同志”とつながるのもアリ 長期にわたって家族の介護を続けていくためには、自分と同じように家族の介護をしている人とつながるのもひとつの手。同じ境遇の人だからこそ共感できることもあり、場合によっては有益な情報を得られるかもしれません。 例えば、認知症の高齢者を介護している人は「認知症の人と家族の会」という介護者のつどいがおすすめ。参加すると、認知症介護に関する勉強会に参加したり悩みを相談したりすることができるそうです。 ほかにも、各自治体でさまざまな介護者のつどいが開催されています。気になった人はチェックしてみると良さそうですね。
2024/01/26
朝日新聞社が運営するサイト「なかまぁる」のサブブランド「project50s」は、花王株式会社と共同で介護に関するアンケート調査を実施。その結果、食事の準備や洗濯がストレスに感じている人が多い傾向にあることがわかりました。 家族の介護をしている人を対象にアンケートを実施 今回、朝日新聞社は花王とともに家族の介護をしている人を対象に、介護生活に関するアンケートを実施しました。その概要は以下のとおりです。 調査期間:2023年7月7日~8月20日 対象:家族の介護や生活のサポートをしている配偶者や子世代 回答者数:627人 調査方法:ウェブ上でのアンケート また、アンケート回答者のうち、要介護1~5の人の家族は344人、要支援1~2または要介護認定を受けていない人の家族は283人だったといいます。 洗濯や食事の準備がストレスである人多数 2023年11月6日、朝日新聞社はアンケートの結果を公表しました。 アンケートの中で、「親や親族の生活サポート・介護をする際にストレスを感じていることは何か」と尋ねたところ、「食事の準備」と回答した人が最多であることが判明。また、「洗濯」や「通院の付き添い」といった回答も多数を占めました。 次に、「介護の洗濯」に限定して感じているストレスについて尋ねると、「洗濯物のにおい」や「洗濯前の汚れの処理」がストレスに感じている人が、特に多いことが明らかになりました。 最近では、さまざまな企業や自治体が配食サービスを展開しています。毎日頑張って食事づくりをしても、介護をしている人自身が体を壊してしまっては元も子もありません。無理のない範囲で介護を続けていくためにも、食事の準備が負担に感じている人は、一度利用を考えてみても良いかもしれませんね。
2023/11/17
高齢化が進むなか、介護を理由に仕事を辞める「介護離職」が増加傾向にあります。そこで厚生労働省は、介護離職防止のための新しい支援策について、10月12日の審議会で議論を開始しました。 介護と仕事の両立ができないために離職する「介護離職」。実は、介護離職をすると介護者の負担が減るどころか増えることが調査でわかっています。 現在の「育児・介護休業法」では、介護休業や短時間勤務などの支援制度の設置が企業に義務付けられています。しかし、職場の理解が進んでおらず、利用率は低いのが実情なのです。 「介護をしながら仕事をするのが当たり前」の社会になるのは目前です。自分の家族が介護が必要になったときに、「職場の理解が得られない」という状況にならないために、今から介護と仕事の両立について理解しておきましょう。 介護離職防止に新制度か 10月12日、厚生労働省は介護離職を防ぐための新しい支援制度について、議論を開始しました。 介護離職とは、介護を理由に仕事を退職すること。介護を必要とする人の家族が、仕事と在宅介護の両立が難しくなり、本業を退職してしまうのが主なパターンです。 そうした介護離職を防ぐために、「育児・介護休業法」の改正を厚生労働省が審議会で協議。参加した有識者からは、「介護休業の取得は上司の理解が必要なので、中間管理職向けの研修が必要」といった意見が出ました。 厚生労働省は、介護離職を防ぐための支援制度について議論を続け、来年の通常国会に改正案の提出を目指しています。 介護離職者数、再び増加傾向に 総務省の「就業構造基本調査」によると、介護離職をする人は増加傾向にあります。 参考:「令和4年就業構造基本調査 結果の要約」(総務省) 2007年に、14.5万人だった介護離職者数は、2021年で10.1万人、2017年で9.9万人と減少したものの、昨年の調査では10.6万人に増加しているのです。 介護離職者数が増えたのは、2007年以降、介護サービスの認知度が上がって利用する人が増えたものの、ここ数年でそもそも家族に介護が必要になる人が増加したことが理由と考えられます。 さらに、新型コロナウイルスの拡大で在宅介護サービス事業所の休業が相次いだことで介護サービスが利用できず、「介護を続けるには仕事を辞めるしかない」と追い込まれてしまった人が増えたことも原因と言えるでしょう。 実は介護離職をしても楽にならない 「介護と仕事の両立は、体力的にも精神的にも厳しい」そう考えて、多くの人は退職を決意します。 しかし、介護離職しても介護者の負担が減らないことが調査でわかっています。 参考:「仕事と介護の両立に関する労働者アンケート調査」(三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社) 調査結果によると、介護離職をすると、離職をする前よりも精神面と経済面の負担が増加。こうした結果になったのは、介護離職によって生活が”介護一色”になってしまうことが考えられます。 特に精神面の負担については、それまでは職場の同僚などと関わる時間がありますが、離職するとそうした社会的なつながりが大きく減ることが負担増加の要因でしょう。退職しなければ、職場である意味”気分転換”ができたはずが、介護離職してしまうと、そうした気分転換の場を確保するのが一気に難しくなるためです。 ずっと介護のことを考えて気持ちを張り詰め続けた結果、介護が原因のうつ病「介護うつ」になってしまうかもしれません。 また当然ながら、離職すると収入が減少するため、経済面の負担も大きくなります。 こうしたことから、介護離職をしても必ず負担が減るとは言えません。そのため、介護休業などの支援制度を使いながら仕事を続けることを、政府としても推奨しているのです。 介護休業・支援制度の利用拡大を 働きながら介護をする人の支援のひとつに、「介護休業」があります。介護休業は、労働者の家族が介護が必要となったときに、介護と仕事の両立できる体制を整えるために、仕事を休める制度です。 しかし、この制度の利用率は低いのが実情。総務省の2022年の調査によると、介護休業や介護休暇などを利用した人は、11.5%にとどまっています。 このような結果になってしまったのは、職場の支援制度への理解不足が原因と考えられます。 参考:「平成24(2012)年度仕事と介護の両立に関する実態把握のための調査研究事業報告書」(三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社) この調査によると、介護と両立するための調整が難しい職場だったために離職せざるを得なかったということがわかります。 逆に言えば、支援制度についての理解があり、仕事の調整ができる職場であれば離職をしなくて済んだ、ということが言えます。 では、介護をしながら働く人への支援制度にはどんなものがあるのでしょうか。 介護と仕事の両立支援制度 「育児・介護休業法」では、次の6つの介護と仕事を両立するための支援制度が定められています。 介護休業 介護休暇 短時間勤務などの措置 所定外労働の制限 時間外労働の制限 深夜業の制限 なかでも介護休業はまとまった休業を取れるため、ぜひ利用したい制度。介護休業は、介護が必要な家族1人につき合計93日、最大3回に分けて取得できます。 パートやアルバイトなど、雇用期間の定めがあっても介護休業は取得可能。契約期間などの条件があるため、パート・アルバイトで介護休業を利用したい場合は、厚生労働省のホームページで詳細を確認しておきましょう。 また、以下の4つについては、いずれか1つ以上の制度を設置することが企業に義務付けられています。 短時間勤務制度 フレックスタイム制度 時差出勤制度 介護費用の助成措置 「家族の介護が始まりそう」と感じたら、こうした制度も活用できるか、会社に確認をしましょう。 介護と仕事の両立が進むには、支援制度の理解と認知度の向上が急務。職場全体での理解も必要であるため、政府によるさらなる啓蒙活動に加えて、企業内でのPRも重要です。 高齢化が進む日本において、「働きながら介護をするのが当たり前」という時代はそう遠いものではありません。一人ひとりが介護と仕事の両立に理解を示すことで、介護する人もしていない人も働きやすい職場になるのではないでしょうか。
2023/10/27
2023年6月、オーダーメイドの介護サービスを運営するイチロウ株式会社が、仕事をしながら介護もしている男女を対象に「介護と仕事の両立に関する意識調査」を実施しました。 調査の結果、すべての年代の過半数が週に2~3日以上、介護をしていることが明らかになったのです。 仕事と介護を両方している男女を対象に調査を実施 今回の調査は、以下の要領でおこなわれました。 調査期間:2023年6月8日~6月9日 対象者:仕事をしながら介護もしている35~69歳の男女 調査方法:ウェブ上でのアンケート調査 有効回答数:400 この調査は、都市を形成している11都道府県(北海道、宮城県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、愛知県、京都府、大阪府、兵庫県、福岡県)で実施されたそうです。 週2~3日以上介護をしている人が過半数 アンケートでは、まず「週に何回程度、介護をしているか」と尋ねました。すると、30~60代のすべての年代で「週に2~3日以上介護をしている」と回答した人が過半数を占めていることが判明。特に、60代では34%の人が「毎日介護をしている」と回答していたことがわかりました。 次に、「介護と仕事の両立が難しいと感じたことがあるか」と尋ねたところ、全体の44.8%の人が「とても難しいと感じる」と回答していたことが判明。「やや難しいと感じる」と回答した人も41.3%に上りました。 特に、30代では、「仕事と介護の両立が(とても・やや)難しい」と回答した人が合わせて90%以上になりました。 さらに、仕事と介護の両立が難しいと感じる理由について尋ねると、どの年代でも「介護によって身体への負担を感じる」と身体面への影響を挙げた人が多数を占めました。また、50~60代では、「常に介護のことが頭にあり、ストレスが蓄積される」とメンタル面への影響を挙げる人が多い傾向にあることが判明しました。 家族の介護は長期間にわたるため、ひとりで抱えていると共倒れのリスクが高まります。近くの地域包括支援センターなどに相談して、自分への負担を軽くしながら介護に向き合っていくと良いですね。 参考:「仕事上の制約を設けたことがある人は30代で6割を超える結果に都市圏在住30〜60代に聞いた「介護と仕事の両立に関する意識調査(前編)」」(イチロウ公式HP)
2023/07/13
歌舞伎俳優の市川猿之助さんが、両親とともに自宅で倒れている姿が発見されました。その後、3人は病院に運ばれたものの、両親の死亡が確認されています。 その件について調べを進めていると、猿之助さんが老老介護に悩んでいた可能性が新たに浮上しました。 騒動の経緯 そもそも今回の騒動の発端は、5月18日10時15分ごろ、マネージャーが自宅で倒れている猿之助さんとその両親を発見したことでした。警察の調べなどによると、両親は2階のリビングに並んで倒れており、布団がかけられていたそうです。 また、猿之助さんは半地下のクローゼット内で発見されたと言います。発見時には意識がもうろうとしていたものの、命に別条はありませんでした。 その後、倒れていた両親の死亡が確認。司法解剖の結果、死因は向精神薬による中毒死と見られています。また、猿之助さんも発見時に口周りの変色などがあったことから、両親と同じくなんらかの薬を服用した可能性があるそうです。 また捜査関係者が、状態が回復した猿之助さんに話を聞いていくと、「死んで生まれ変わろうと家族で話し合って、両親が睡眠薬を飲んだ」と話していたことも明らかになりました。 老老介護に苦慮した可能性も 今回の騒動に至った背景について、捜査関係者が調べを進めていると猿之助さんが、母が父を介護する「老々介護」の現状に苦慮していた可能性が示唆されました。 父の段四郎さんは、2013年12月に体調不良で舞台を降板してからはまったく舞台に立っていません。関係者によると、段四郎さんは体調が悪くほとんど寝たきり状態だったと言います。また、近年は思考能力も大きく低下していたそうです。 さらに、猿之助さんは舞台の仕事で多忙だったため、父の世話はほとんど高齢の母がおこなっていたとのこと。調べを進めていくと、高齢の父を高齢の母が介護する「老老介護」の状態に、猿之助さんが苦悩していた可能性が浮上したのです。 警視庁は一家心中を図った可能性を視野に、さらなる捜査を進めていく方針です。 老老介護の状態が長く続くと、介護をする方・される方ともに大きな負担がかかってしまいます。共倒れの状態になる前に、近くの地域包括支援センターなどに相談することが大切です。
2023/05/23
介護職員が高齢者に対して殴る蹴るなどの虐待をして、逮捕されるという事件が相次いで発生しました。 警察はいずれの事件でも、詳しい動機や経緯などを調べる方針です。 兵庫県神戸市の高齢者虐待事件 2023年3月8日、兵庫県神戸市内の福祉施設で認知症の女性を殴って怪我を負わせたとして、30歳の元職員の男を逮捕しました。 警察の調べによると、2022年12月、容疑者は自分が働いていた福祉施設で、認知症を患っている80代女性の顔を殴り、軽いけがを負わせた疑いが持たれています。 女性の顔にあざがあるのを別の職員が見つけたことから今回の虐待が発覚。容疑者は「女性が夕食を手で払い落としたことに腹が立った」と容疑を認めているそうです。 また、容疑者は「ほかの入所者にも暴力をふるったことがある」と供述しているそうで、警察は余罪についても捜査を進める方針です。 岐阜県土岐市の高齢者虐待事件 岐阜県土岐市にあるグループホームでも、入所者の顔を殴るなどの虐待が発生。警察は、2023年3月6日に元施設長の容疑者を逮捕しました。 警察の調べによると、容疑者は2022年11月8~25日にかけて、入所している高齢女性3人の顔を殴ったり臀部を膝蹴りしたりする暴行を加えた疑いが持たれています。施設職員が入所者のあざを発見したことで発覚しました。 また取材などから、元施設長の容疑者は施設長に就任した当時から入所者に対して、厳しい口調で叱ったり命令したりするなどの行動や高圧的な態度が問題視されていたことも明らかになっています。 岐阜県の高齢福祉課によると、施設職員による入所者に対する虐待は増えていると言います。岐阜県高齢者権利擁護センターの担当者は、「閉鎖的な状況で虐待が発生している。虐待を通報する体制を早急に確立しなければならない」と話しました。 介護職員同士の連携が乏しく、一人の介護士が個別にケアをおこなうような施設では、どうしても情報共有が遅れて虐待も発見しにくくなります。介護職員には、常日頃から職員同士でコミュニケーションをする機会をつくって、虐待をさせない雰囲気づくりに取り組んでもらいたいですね。
2023/03/14
78歳の妻が認知症を患っていた81歳の夫を殺害したという事件の裁判が始まりました。 検察は「身勝手な動機で、情状酌量には当たらない」として懲役5年を求刑しています。 妻が認知症の夫の首を絞めて殺害 2022年5月、広島県竹原市の自宅で、78歳の妻が81歳の夫の首を絞めて殺害するという事件がありました。起訴状などによると、自宅のベッドで寝ていた夫の首を4本つなぎ合わせたネクタイで絞めて窒息させたそうです。 2023年3月10日におこなわれた裁判の中で、検察側は妻の犯行の動機について「被告が自分の体調悪化に不安を感じて自殺しようと思ったものの、重度の認知症があり介護が必要な被害者を残すと、子どもたちに迷惑がかかると思ったから」と指摘しました。 それから、「家族やケアマネジャーに相談する機会はあったのに、夫がこのまま生き続けるのは辛いだろうと勝手に決めつけ犯行に及んだ。以上のように、犯行の経緯や動機は身勝手なものだ」として懲役5年を求刑したのです。 一方、弁護側は「被告も高齢で緑内障やひざ関節痛を患いながらも、重度の認知症がある夫を献身的に介護していた」と主張して、執行猶予のついた判決を求めています。 老老介護の現状 高齢者が高齢者を介護する「老老介護」は、高齢化社会の進行とともに増加傾向にあると言われています。 内閣府は高齢化社会対策の一環として、介護や高齢者の生活に関する調査を実施。その中で、要介護者と同居している介護者の年齢を調べたところ、介護者のうち約70%が60歳以上(うち約30%は70歳以上)の高齢者であることが明らかになったのです。 高齢で体力も衰えていく中での介護は大変です。もし家族の介護で疲れたと感じている人がいたら、早めに近くの地域包括支援センターなどで相談してみることをおすすめします。 参考:「第1章 高齢化の状況(第2節 2)」(内閣府)
2023/03/14
12月12日の午前7時頃、京都府福知山市の住宅で80代の夫婦が死亡しているのが見つかりました。 室内には荒らされたり争ったりしたような痕跡がなかったことから、警察は夫が無理心中を図った可能性も視野に捜査を進めています。 妻の介護に悩んで… 12月12日の午前7時頃、京都府福知山市に住む50代の男性から「同居している両親が心肺停止状態になっている」という通報がありました。 消防と警察が駆けつけたところ、89歳の夫は住宅裏で首を吊っていて、85歳の妻も寝室の布団で仰向けになったまま倒れているのを発見。2人はその場で死亡が確認されたそうです。 警察によると、通報した50代の男性は「朝、両親の姿が見えないから探したところ倒れていた」と話していたそうです。 89歳の夫は認知症の妻の介護に悩んでいると話していたことから、警察は無理心中を図った可能性も視野に入れています。 今後は司法解剖などをおこない、さらに詳細な調査を進めていくとしています。 介護のことで悩んだら 介護は長丁場になるため、1人で抱え込むとしんどくなってしまいます。もし介護のことで悩むことがあったら、近くの「地域包括支援センター」に相談しましょう。 地域包括支援センターは、高齢者が地域で安心して暮らせるサポートをする施設で、全国に5000ヵ所以上あります。 地域包括支援センターにはケアマネジャーや社会福祉士、保健士など介護や医療の専門家が集まっていて、介護に関する相談ができるのです。また外部機関と連携しているため、必要であれば適切な介護サービスにもつなげてくれます。 自分の力だけでなく、さまざまな人の力を借りることが、長く介護をしていくためには必要かもしれませんね。
2022/12/15
「介護虐待」や「介護うつ」など”介護疲れ”が溜まることで起こる問題は、今や社会問題として取り上げられることが多くなり深刻化しています。 そんななか、介護疲れを原因とする悲しい事件が、また起こってしまいました。 先月29日、東京都江戸川区で75歳の母の首を絞めて殺害した長男が逮捕。動機について長男は、「介護に疲れた」と話しているそうです。 また、先月5日には千葉県緑区で妻を殺害したとして夫が逮捕されています。 「介護に疲れた」母親を殺害 先月29日、江戸川区小松川のマンションでこの部屋に住む75歳の女性が倒れているのを家族が発見。その後死亡が確認されました。 警視庁は翌日、タオルで首を絞めて母を殺害したとして長男を逮捕。長男は「介護に疲れた」と供述しています。死亡した母親は十数年前から病気を患っていたそうです。 また、千葉県緑区でも同様の事件が発生しています。 先月5日、緑区の民家から「妻を殺した」と110番通報がありました。駆けつけた署員が倒れている住人の85歳の女性を発見。女性の首には外傷があり、その後死亡が確認されました。 警察はその場にいた夫を逮捕。夫は寝たきりだった妻の介護と家事を全部1人で担っており、事件前には周囲へ「疲れた」と漏らしていたそうです。 「介護疲れ」は誰もが避けて通れない問題 介護をする上で”介護疲れ”は誰もが避けて通れない問題です。特に家族を介護する場合、「身体的負担」や「精神的負担」などの介護疲れが深刻な問題に発展することもあります。 そんな介護疲れを軽減するには、次のような方法を知っておくと良いと言われています。 身体的負担を軽減する方法 介護保険サービスを利用する介護保険外サービスも活用する行政のサービスを理解しておく介護のスキルを身につける 精神的負担を軽減する方法 介護について話を聞いてもらう少しでも自分の時間を持つストレス発散に運動を取り入れる介護家族の会に参加する介護施設への入居を検討する 家族の介護はいつまで続くのか誰にもわかりません。そのため、介護者は1人で抱え込まず、周りを頼りながら無理をせず介護を続けていくことが大切と言えるでしょう。
2022/08/09
2000年には218万人だった要介護・要支援認定者数は、2022年2月末現在で689万人に達し、2000年からの22年間で約3倍に増えています。 今後も高齢者人口の増加に伴い要介護認定者数も増加することが予想されることから、子や子の配偶者が介護を担うケースが多くなり介護の負担が増すことが予想されます。 その対策として、家族の負担を軽減して安心した介護生活を送るためには介護の知識や技術、介護生活で起こりうるトラブルなどを把握しておく必要があります。 そこで、各自治体では、高齢者を介護している家族が介護に関する知識や技術、介護者の健康管理等について学ぶための「家族介護教室」を開催しています。 例えば、東京都世田谷区では区民を対象に負担の少ない介護方法を学べる家族介護教室を開催しています。 また、静岡県三島市では初めての介護を体験している人を対象にした家族介護教室を開く予定です。 プロの介護職員が講師 東京都世田谷区では、区民を対象とした家族介護教室が、今年度中に6回開催される予定とです。特別養護老人ホームの職員などが講師を務め、実演を交えながら介護のコツをわかりやすく指導。テーマは毎回異なっていて「在宅での排泄ケアとオムツの選び方」や「頑張らない移動・移乗の介護」、「介護保険制度・区の制度」などの中から、参加者が興味ある回を選んで参加できるそうです。 世田谷区は「介護の経験がない方も、経験がある方もぜひご参加ください。」と呼びかけています。 また静岡県三島市では、三島北地区地域包括支援センターが初めての介護を体験している家族を対象にした家族介護教室を開催するそうです。 全2回の講義には、「認知症の人と家族の会」の熊井亮子氏を講師に迎えるそうです。 講義は第1回のテーマが「認知症の捉え方、コミュニケーション、会話のコツなど」、第2回は「認知症予防について、家族としての心構えなど」を予定し、参加者を募集しています。 リラクゼーションや悩みへのアドバイスもある 家族介護教室は全国の自治体で開かれており、色々なテーマに合わせながら講義や実習などが行われているようです。 例えば、介護の知識や技術の習得以外にも、アロマを用いたリラクゼーションで参加者の日頃の疲れをいたわったり、参加者の抱える介護の不安や悩みを講師がアドバイスをしたりする内容もあります。 ちなみに、家族介護教室に関する情報は、お住まいの市区町村のホームページなどで知ることができます。 家族介護教室が、介護者にとって心の余裕を持てる場所になると良いですね。
2022/07/13
介護施設への入居について、地域に特化した専門相談員が電話・WEB・対面などさまざまな方法でアドバイス。東証プライム上場の鎌倉新書の100%子会社である株式会社エイジプラスが運営する信頼のサービスです。