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兵庫県神戸市で、89歳の男が86歳の妻に暴行を加えて死亡させるという事件が起きました。 警察は男を逮捕。事件の解明を進めています。 認知症の妻を暴行し死亡させる 兵庫県警の調べによれば、2023年1月末から2月1日ごろの間、男は自宅で何回も頭や身体を殴るなどして妻を死亡させた疑いが持たれています。「妻が声をかけても返事しない」という理由で激高したそうです。 その後、2月1日の夕方、男が親族を通じて「妻が動かない」と119番に通報。調べによると、妻はダイニングテーブルの下で横たわって亡くなっていたそうです。また、顔や全身にあざがあり、肋骨は骨折しているとのこと。死因は、全身の内出血による出血性ショックと見られています。 また、妻は約2年前から認知症の症状が見られるようになったことも明らかになっています。男は介護サービスを利用せず、自身で妻の食事や入浴の介助をしていたそうです。 虐待の相談は受けていないものの、古いあざもあったことから、警察は日常的に暴行がなかったか調べるとしています。 男の長男は取材に対し「週に1回、両親宅を訪問していたが、怪我にはまったく気が付かなかった」と話しています。 虐待を早期発見するために 今回のような事件を防ぐためには、虐待を早期に発見し、福祉や行政の支援につなげることが重要です。 東京都福祉保健局は、高齢者や高齢者の家族の異変に気づいたら、市区町村か地域包括支援センターの高齢者虐待対応相談窓口に連絡してほしいと呼びかけています。 具体的には、以下のような高齢者や高齢者の家族を見かけたら虐待の可能性があるとしています。 あざや傷があるのに、理由を聞いてもはっきりしない 家族が介護でとても疲れていたり、高齢者の悪口を言っている 介護について相談する人がいないようだ 家の周囲にゴミが放置されている 家から怒鳴り声や鳴き声、大きな物音などが聞こえる 虐待の相談窓口は、「介護負担が重い」と感じている人への相談や助言も受け付けています。現在、家族の介護がつらいと思っている人は、一度相談窓口に相談してみると良いですね。 出典:「高齢者虐待への具体的な対応」(東京都福祉保健局)
2023/02/13
北海道旭川市にある住宅型有料老人ホームで高齢者虐待があったとして、市は有料老人ホームを運営している事業者に対して業務改善命令を出したことを明らかにしました。 旭川市の有料老人ホームで虐待発生 2021年5~9月、旭川市の有料老人ホームで、複数回にわたって、職員を呼び出すナースコールを夜間帯に鳴らない設定にしていたことがわかりました。 これを受けて、旭川市は「介護の放棄(ネグレクト)」による虐待だとして、施設の事業者に業務改善命令を出しました。 施設の職員は「何もないのにナースコールで呼ばれて困っていた」と話しているそうです。 今回の業務改善を受けて、施設の代表は「指摘を謹んで受けて、これから虐待防止に努めていきたい」と話しています。 なお、この施設では、以前にもドアの外側にテーブルをおいて、利用者が部屋から出られないようにする身体拘束をおこなっていたことが明らかになっています。 高齢者虐待の区分 一言で「高齢者の虐待」といっても、いくつか種類があります。まず真っ先に思い浮かぶのは、高齢者に対して暴力をふるって身体に痛みを与えたり身体拘束をしたりするなどの「身体的虐待」ではないでしょうか。具体的には、以下のような行為が身体的虐待に当たります。 殴ったり蹴ったりする やむを得ない場合以外に身体を拘束する 無理やり食事を口に入れる 一方、今回旭川市の施設でおこなわれた「ナースコールを鳴らない設定にする」のは、必要とされる介護を怠る「介護の放棄(ネグレクト)」という虐待に当たります。その他の具体例は以下のとおりです。 悪臭がするほど入浴させない 室内のゴミを放置する 医療が必要な状態なのに受診させない そのほか、高齢者虐待には、強い言葉で高齢者を威圧する「心理的虐待」、本人の合意なしにその人の金銭を使用する「経済的虐待」、合意なしに性的な行為に及ぶ「性的虐待」があります。 悪意を持っておこなった行為でなくても、結果的に高齢者を傷つけてしまうような行為は虐待だと見なされます。介護職員には普段から自覚を持って、介護業務に当たってほしいですね。
2023/02/10
新たな研究で、コロナ禍での外出制限によって高齢者が虐待を受けるリスクが高まったことが明らかになりました。 この研究は千葉大学の研究グループによっておこなわれたものです。 虐待を調査するため3つの質問を設定 今回の研究では、全国11の市町村に住む65歳以上の高齢者1万8236人にアンケートを実施。そのうち78.3%から回答を得ました。 また、調査対象とした期間は、最も厳しい外出制限が敷かれた2020年4~5月に設定。この期間に「どのような行動が制限されたか」また「虐待を受けたか。受けた人はどんな虐待を受けたか」などを調査しました。 虐待があったかどうかを調査するために設定した質問は次の3つです。 殴られたり部屋に閉じ込められたりの身体的虐待を受けたか 暴言を吐かれたり無視されたりなどの自尊心を傷つける家族の行動を経験したか 家族の誰かが、勝手にあなたの貯蓄や年金を使うことがあったか 研究グループは、以上の質問のうちひとつでもチェックがあったら、対象者が虐待を受けたと見なしました。 行動制限が高齢者虐待を引き起こした 調査の結果、全体の約1.6%にあたる288人が「虐待を受けた」と回答したことがわかりました。 また、高齢者が虐待を受けるリスクを、行動を制限した場合としなかった場合で比べました。すると、行動を強く制限すればするほど虐待を受けるリスクが高まることが判明。具体的には、「食料や日用品の買い出し」を制限した人が1.36倍、「近隣住民との交流」を制限した人は1.56倍虐待を受けるリスクが上昇しました。 この結果を受けて、研究グループは「社会的なつながりが希薄になるほど虐待のリスクが高まることがわかった。これを防ぐためには、将来別のパンデミックが起きたとしても、適切な感染対策を施した上で社会的なつながりを維持する必要がある」としています。 過去の研究でも、社会的なつながりで虐待を防げる可能性が示されています。近隣に住む高齢者を街中で見かけたら、ちょっと声をかけてみるだけでも虐待を防止できると良いかもしれませんね。
2023/02/09
群馬県が2021年度における高齢者施設で起きた虐待件数を調査。その結果、相談・通報件数が48件、実際に虐待と認められた件数が10件で、いずれも過去最多となったことがわかりました。 施設内での高齢者虐待件数が過去最多 2021年度、高齢者施設で起きた10件の虐待の内容を種類別(複数回答)にすると、高齢者を殴ったり手足を拘束したりするなどの身体的虐待が8件、高齢者に罵声を浴びせたり言葉で行動を制限したりするなどの心理的虐待が3件だったことがわかりました。 さらに群馬県は、虐待が発生した要因も調査。その結果、以下のような要因で施設内で虐待が起こったことが明らかになりました。 虐待防止や身体拘束廃止に向けた取り組みがあまりできていなかった 職員がストレスや感情をうまくコントロールできなかった 呼び出しが多すぎるなど、手のかかる利用者だった 群馬県渋川市では、職員が利用者の身体を拭かないなど不衛生な状態にしていたなどの複数の身体的・心理的虐待がありました。2022年12月には、その虐待があった施設を運営していた事業者に対して、群馬県は業務改善命令を出しています。 群馬県桐生市の事例 2023年1月10日にも、群馬県桐生市の特別養護老人ホームで利用者に熱湯をかけるなど虐待をしたとして、施設で働いていた介護士が逮捕されるという事件もありました。 警察の調べによれば、2022年9月1日の午前10時ごろ、逮捕された介護士は利用者の入浴介助をしていたとのこと。このとき、入浴していた女性利用者にシャワーで熱湯をかけて頭や胸などに重症を負わせた疑いが持たれています。 介護士は容疑を認めていて、警察はさらに詳しく調査を進めていく方針です。 高齢者施設内で虐待が起こってしまう理由のひとつに、職員間のコミュニケーション不足が挙げられます。お互いがどう利用者と接しているのかがわからないからこそ、裏で利用者に対して強く当たってしまうのです。 逆に、コミュニケーションが円滑におこなわれていれば、虐待の前段階で注意を促したり担当を変えたりするなどの対策を打てます。綿密に職員間でコミュニケーションを重ねて、虐待を未然に防いでいってほしいですね。
2023/02/03
静岡県の調査で、県内における高齢者に対する虐待の件数が3年ぶりに前年度より減少したことが明らかになりました。 すべての都道府県は、毎年、各自治体で発生した高齢者虐待の件数を記録しています。今回は静岡県がその内容を公表した形です。 調査の概要 静岡県は、2021年度中に静岡県内で起きた高齢者に対する虐待の件数を各市町村にアンケート調査。その結果、2021年度に起きた高齢者虐待の件数は428件だったことが判明しました。 これは、前年度より22件下回っている数字です。虐待件数が減少に転じたのは、2018年度以来3年ぶりとなります。 調査の詳細 静岡県内で起きた高齢者虐待の総数428件のうち、大半の409件が家族からの虐待が占めています。介護施設の職員などによる虐待は19件でした。 虐待を種類別に分類してみると、高齢者を殴ったり身体の自由を制限したりするなどの「身体的虐待」が65.2%で最多。高齢者を侮辱したり言葉で脅したりするなどの「心理的虐待」が35%、食事を与えないなどの「介護や世話の放棄(ネグレクト)」が30%でした。 前年度と比較すると全体的には件数が減っていますが、ネグレクトの件数は前年度より増えていることも明らかになりました。 今回の調査により、家族などから虐待を受けた高齢者を、虐待した人から離した事例が32.8%あったことも明らかに。虐待した家族などから離された高齢者への対応は、介護保険を利用して高齢者施設に送ったケースが半数を占めました。 虐待が発覚しても虐待した家族と高齢者が一緒に住み続ける場合は、家族に対して助言をしたりケアプランを見直したりといった対応策が取られたこともわかりました。 静岡県の福祉長寿政策課は、虐待の背景には介護疲れや孤立感があることが多いと指摘しています。 介護に悩んだら、まずは近隣の地域包括支援センターに相談するのが大切ですね。
2023/01/10
群馬県は、渋川市にある有料老人ホームの運営会社に対して、適切な事業運営がなされていないとして業務改善命令を出しました。 ニュースの内容 市の調査で、この老人ホームにおいて利用者に対する複数の不当な行為が発覚しました。 具体的な内容は以下のとおりです。 入居者をばかにするような発言をした 入居者の世話を怠った 運営に必要な資金を入居者から借りた 介護記録を適切に取っていなかった たんの吸引をするにあたって必要な看護職や資格を持った介護職を配置していなかった 業務に必要十分な職員がいなかった 入居者をばかにするような発言は「心理的虐待」、入居者の介護を怠るのは「介護放棄(ネグレクト)」、資金を入居者から借りる行為は「経済的虐待」にそれぞれ該当し、介護職が絶対におこなってはならない行為だとされています。 また、たんの吸引は医療行為に当たるため、看護師か資格を持った介護士にしか認められていません。 さらに業務に必要な人員も足りなかったそうで、日々の業務に追われ適切なケアができなかったと推測されます。 この老人ホームでは、以前から不当な行為が見受けられていて、市から勧告が出されていました。しかし、改善が見られなかったため、今回渋川市はより強制力のある「業務改善命令」を出したのです。 この老人ホームの運営会社が経営する別の施設は、職員の出席簿を捏造したとして介護指定の取り消し処分を受けています。 業務改善命令・介護指定の取り消し処分とは 今回、渋川市の老人ホームが受けた業務改善命令とはどのようなものなのでしょうか? 業務改善命令とは、施設側に不当な行為があり、自治体が勧告をしても改善が見られなかったときに出されます。改善命令は勧告よりも強制力があり、改善命令を受けた事業者は公表しなければなりません。 それでも改善がなければ、業務が一時的に停止されます。その後再開したときでも、不当な行為があったら「介護指定の取り消し」に。指定が取り消された場合、介護報酬を国から受けることができないため、介護事業を続けることは事実上、不可能になります。 大半の介護事業所が懸命にサービスを提供している一方で、こうした悪意のある事業者がいることも事実。大切な家族を預ける事業者はしっかり選ばないといけませんね。
2023/01/04
12月23日、埼玉県が2021年度の県内における高齢者に対する虐待の状況を公表しました。 すると、介護施設の職員による虐待の件数が調査が始まって以来、最も多かったことが判明したのです。 埼玉県における高齢者虐待の状況 埼玉県が高齢者への虐待の状況を調査。その結果、介護施設の職員による高齢者虐待の件数が89件で過去最多となりました。 虐待を種類ごとに見てみると、殴る蹴るなどの暴力や身体拘束といった身体的虐待が58件、高齢者に暴言を吐いたりなどの心理的虐待が44件、介護放棄が41件でした。これらの件数はいずれも重複ありの件数です。 さらに県は、高齢者の家族による虐待の件数も調査。その総数は541件であることがわかりました。 性別に分けると虐待を受けたのは約76%が女性であることも判明。反対に、高齢者を虐待した人物は41%が息子、23%が夫、17%が娘でした。 この結果を受けて県の担当者は「高齢者虐待に関する社会的関心が高まり、通報の件数が増えたことも影響している可能性がある」と指摘しました。 虐待の種類 「虐待」と聞くと、殴ったり蹴ったりなどの暴行を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか? しかし、実際には「虐待を意図していないこと」でも、利用者の行動を制限するような行為は虐待に含まれます。 例えば、「転倒を防ぐために」と思って四方が柵で囲まれたベッドを使用することは拘束にあたり、「身体的虐待」と見なされることがあります。 また、忙しくて手が離せないときに高齢者から呼ばれて「ちょっと待ってて」と言うのも場合によっては心理的な虐待に該当します。 「ちょっと待ってて」と高齢者に言うことで、高齢者が介護者に声をかけにくくなり、意思表示する気持ちを抑制してしまうことにつながるのです。 ほかにも、以下のような行為は虐待に該当することがあります。 転倒防止のために、トイレを使わせずにおむつの中で用を足してもらう 危険なものを掴まないように、指の動きを制限するグローブをはめてもらう 高齢者のためにと思っても、高齢者の権利を侵害する行為は虐待にあたります。介護に携わる人は、常に自分の行動を振り返っていきたいですね。
2022/12/28
介護職による高齢者虐待の件数が、統計を取り始めてから過去最多になったことが明らかになりました。 2021年度、厚生労働省が介護職による虐待の件数を調査。すると、虐待件数が739件で前年度より144件増加し過去で最も多いことが判明したのです。 介護施設内で虐待が起きた要因 厚生労働省はアンケートの中で、虐待が起きた要因を介護施設に尋ねました。 すると、「教育・知識・介護技術などに関する問題が原因で虐待が起きた」と答えた施設の割合が最も多く56%に。その他「職員が抱えるストレスや感情コントロールの問題」という回答や「組織の風土や人間関係の悪さ、管理体制などの問題」という回答も一定数見られました。 厚生労働省は「高齢者虐待を見かけたら、積極的に相談や通報をしてほしい」と呼びかけています。 また虐待を防止するために、介護職員に対する高齢者虐待に関する研修や対策会議の実施を2024年の4月から義務づける方針です。 虐待を防ぐために 厚生労働省は、高齢者虐待を防止するためのガイドラインを発表しています。 そのガイドラインでは、虐待を防止するために以下の事項について留意すべきだとしています。 虐待に対する当事者の「自覚」は問わない 高齢者の安全確保が最優先 迅速な対応を心がける 必ず組織的に対応する 関連機関と連携する 虐待を受けている高齢者が認知症などにより認知機能が低下している場合、高齢者自身が「虐待を受けている」と認識していないこともあります。しかし、その場合でも「客観的に高齢者の権利が侵害されている」と確認されれば「虐待」だと見なされます。 また、虐待を発見してから対策を打つまでの間隔があればあるほど、虐待はますます深刻になっていきます。そうなる前に、高齢者虐待の防止や早期発見を目的に設立された「高齢者虐待防止ネットワーク」などの関連機関と連携して、高齢者の安全を迅速に確保しましょう。 さらに、客観性を担保するため、高齢者の虐待を見かけたら必ず複数の職員で対応に当たることが大切です。 「虐待」とは殴る蹴るなどの身体的な暴行だけでなく、高齢者に対し暴言を吐いたり、高齢者の介護を拒否するなども該当します。介護に関わるすべての人が、「虐待を知らず知らずのうちにしていないか」自分のおこないを振り返る必要があるかもしれません。
2022/12/27
大阪市の介護施設で、入所者を殴ったり服の中に手を入れたりするといった虐待がありました。 11月14日、大阪市は、虐待があったとされる大阪市の介護老人保健施設「幸成園(こうせいえん)」に対し、来年3月1日から半年間の運営停止を命じたと発表しました。 事件の概要 2022年の5月、施設職員や入居者家族から「入所者への虐待の疑いがある」と通報があり、調査を実施。すると、同年から働き始めたひとりの男性の介護職員が80代以上の女性入所者6人に対し、殴ったり服の中に手を入れたりといった行為が見られたという証言がありました。 さらに調査中の7月にも、同じ職員が入所者が拒否しているにも関わらず強引に入れ歯を外そうとしていたことも判明しました。 またこの施設では、男性が入職する以前の2020~2021年にも別の職員による入所者への身体拘束や暴言があり、市は計3回の虐待を認定しています。 2021年11月に改善勧告を通知していますが、市は今回の虐待で運営側に改善の意思がないと判断。施設に運営停止を言い渡したのです。 なお、虐待の疑いがあった職員はすでに退職しています。 虐待を防ぐために 「虐待」とは殴る蹴るなどの身体的虐待だけでなく、暴言を吐いて入所者を脅すなどの心理的虐待、コールを無視するなどの介護の放棄(ネグレクト)、胸を触るなどの性的虐待なども含まれます。 こうした虐待を防ぐためには、高齢者の主体性を施設全体が尊重する姿勢が重要になってきます。施設全体で「虐待させない空気」をつくるのです。 ほとんどの施設で虐待に関する研修は毎年何度も実施され、虐待防止に努めていますが、一部の施設では、今回のような痛ましい虐待事件が後を絶ちません。 介護職とは、高齢者の自らが下した選択を尊重し、それに基づいて充実した生活を送れるように支援する存在であることを自覚しておきたいですね。 また万が一、虐待を見かけたら、介護職員には虐待を通報する義務があります(高齢者虐待防止法第7条3項)。関連機関と連携し事態の悪化を防ぎましょう。
2022/11/18
「未届け老人ホーム」という言葉を聞いたことがありますか。 これは、有料老人ホームに義務付けされている都道府県への届出をしておらず、無許可で営業している老人ホームのことです。 この未届け老人ホームについて、厚生労働省が昨年度の調査結果を公表。その結果、2021年は656件で2020年よりも増加したことがわかりました。 件数は減っているものの… 厚生省が未届け老人ホームについての2021年の調査結果を公表しました。 未届け老人ホームは、義務である都道府県などへの届出を出さずに運営されている老人ホームのこと。高齢者が生活しており、食事やケアを提供しているなどの老人ホームとしての運営実態があるのにも関わらず運営しているため、法令違反にあたります。 今回の調査結果によると、2021年6月末時点では未届け老人ホームは656件で老人ホーム全体のなかの4.1%でした。対して2020年6月末時点の未届け老人ホームは641件、全体の4.2%となり、件数は前年よりも増加しているものの割合は減少していることがわかりました。 この結果を受けて厚生省は、各都道府県などに未届け老人ホームの実態把握や指導など運営状況の改善を引き続き監督するように求めました。 こうした未届け老人ホームが減らないのには「未届けでも入居者が集まる」「基準を満たすための費用がない」という理由があります。 ひとつめの理由は、未届け老人ホームは費用が安い傾向があるため低価格の施設を探している人の受け皿になっているということ。特養に入居できないため仕方なく入居していたり、未届け老人ホームの価格でないと経済的に入居できない人がいるのです。 ふたつめの理由に当てはまる施設の多くが、現在のような規制がない時代から運営されている施設。スプリンクラーや廊下の広さなどの基準を満たしていないものの、改修工事の費用がないためにやむを得ず届出を出していない施設もあるそうです。 ”未届け老人ホーム”の怖さ 未届け老人ホームは行政指導の対象にならないため、なかには劣悪な環境で入居者が暮らしていることも。例えば、ベッドに入居者をしばりつけたり入居者の財産を勝手に施設側が管理するなどの虐待行為があっても、行政が気が付きにくいという問題があります。 未届け老人ホームにはこうした問題がある一方で、未届け老人ホームのように安い施設でないと経済的に入居できない人がいることも事実。そのため、費用負担が少なくても入れる介護施設を増やすことが求められています。
2022/04/11
介護施設への入居について、地域に特化した専門相談員が電話・WEB・対面などさまざまな方法でアドバイス。東証プライム上場の鎌倉新書の100%子会社である株式会社エイジプラスが運営する信頼のサービスです。