有料老人ホームには、「介護付き」「住宅型」「健康型」の3種類あります。それぞれ、入居を想定されている身体状況や提供するサービスが異なり、入居する方の状態に応じて選ぶ必要があります。たくさんの種類がありますし施設ごとに特徴が異なりますので、どの施設にするか迷ったらぜひ「いい介護 入居相談室」に相談してくださいね。
数年前から同居している母の介護をしています。最近は認知症が悪化したり、足腰が弱くなってきたりでかなり介護の負担が増えて、仕事にも影響が出ているんです。
そろそろ老人ホームに入れることを考えるタイミングと思って調べているのですが…。いろいろあってよくわかりません。特に、有料老人ホームにはいくつか種類があるんですよね?
そうなんです。ちょっとややこしいんですが、有料老人ホームは「介護付き有料老人ホーム」「住宅型有料老人ホーム」「健康型有料老人ホーム」の3種類あるんです。
3種類?何が違うんですか?
主に介護度によって分けられています。3種類の中でも最も介護度が高い人が多く入居しているのが、介護付き有料老人ホームです。
というのも、”介護付き”と名乗れるのは、厚生労働省が定めた基準をクリアして、都道府県から「特定施設入居者生活介護」の指定を受けた施設のみ。介護スタッフさんや看護師さんの人員配置などいくつもの条件を満たしているので、充実した介護体制を持っていると言えます。
レクリエーションもしてくれるんだ。最近、母は家にこもりきりなので、そういった刺激があるのは嬉しいですね。
続いて、住宅型有料老人ホームも同様に身の回りの介助や生活の支援をおこないます。ただ、介護付きと異なるのは、それらのサービスが併設もしくは外部の介護サービス事業所によって提供される点。介護付きが介護サービスをどれだけ利用しても変わらない定額制であるのに対して、住宅型は利用した分だけ料金がかかります。
じゃあ、住宅型は介護サービス費がとてもかかるということですか?
そんな使い方もあるんですね!母が今通っているデイサービスを気に入っているので、住宅型に入るのもありかなぁ。
最後に健康型有料老人ホームですね。これは、とても数が少ないので探してもあまり見つからないかもしれません。全国で16件しかないという、かなりレアな老人ホームです。
16件だけ!何で数が少ないんですか?
というのも、実はあまり需要がないというのが正直なところなんです。健康型はその名の通り、健康なご高齢者向けの施設。介護が必要になったら退去しなければいけないですし、入居時に支払う入居一時金も他の有料老人ホームと比べて高額なんです。
多くのご高齢者が介護が必要になったことがきっかけで老人ホームに入居するので、健康型の入居希望者はあまり多くありませんね。
それはそうですよね。うちの母も、すでに介護が必要な状態なので入れないですし…。
そういえば、老人ホームについて調べていたら、「特別養護老人ホーム」という施設もありました。あれは、有料老人ホームと何が違うんですか?
特別養護老人ホーム…つまり特養は社会福祉法人や自治体などが運営する公的な介護施設です。料金が安いこともあってとても人気で、ほとんどの施設で長期間の空室待ちが発生しています。
また、入居時に要介護3以上であることが必須条件です。常に介護が必要な人を対象としている施設と言えますね。
母は要介護2なので入れないです。安いのは魅力的なんですが…。
有料老人ホームの違いはわかりましたが、まだイマイチ施設での生活のイメージがついていません…。
そうですね…。では、有料老人ホームではどんなサービスを提供しているのかをお話ししていきますね。有料老人ホームでは、主に「介護サービス」「食事」「医療サービス」「レクリエーション・イベント」などを提供しています。
まず、介護サービスでは入浴や排泄、食事といった介助をおこないます。基本的なケアはもちろん、入浴前後の血圧チェックや食事の際の飲み込みの状態なども確認しながら、支援をします。
そういうのは、なかなか自宅だとできないのでサポートしてもらえるのは良いですね。
あと気になるのは、食事でしょうか。ご老人向けの食事というと和食をイメージされるかもしれないですが、和洋中のバリエーション豊かなメニューが提供されています。詳しくは、以下のご質問にもお答えしているので、ご参照ください。
そういえば、有料老人ホームだと健康の管理はどうなるのでしょうか。母は持病を持っていて薬を飲んでいるので…。
介護付きの場合は看護師さんがいるので、看護師さんが日常の健康管理や薬のチェック、インスリン注射などの医療処置をしてくれます。
ただ、住宅型の場合は看護師さんの配置義務がないので、常駐していない場合は外部の訪問看護サービスなどを利用することになりますね。
住宅型だと看護師さんも外部のサービスになるんですね。お医者さんは有料老人ホームにはいないんですか?
はい。医師については介護付きも住宅型も配置義務がないので、常駐していないことが多いです。
でも、多くの有料老人ホームでは近隣の医療機関と提携して往診をおこなっています。定期的に医師の診察を受けられる体制があるのは安心ですよね。
あと、さっきリハビリもしてもらえると言っていましたよね?具体的には、どんな内容なんでしょうか。
立ち上がりや歩行など、日常生活に関わる身体機能の維持・向上を目的としたものが多いですね。また、集団での介護予防体操や、身体を動かすレクリエーションもあります。
本格的なリハビリをしたい場合は、理学療法士や作業療法士といったリハビリの専門家が常駐している施設か、外部の訪問リハビリサービスを利用するのも良いかもしれませんね。
”外部の”ということは、住宅型に入居して他の介護サービスと組み合わせるということですね。
そうです、そうです!
他にも、お正月やひな祭りといった季節の行事や、カラオケや脳トレなどのレクリエーションもおこなっているので、余暇も楽しく過ごせると思いますよ。
有料老人ホームって、いろんなサービスをしてくれるんですね。でも、こんなに良くしてくれるなら、かなりお金がかかるんじゃないですか?
そうですね…。有料老人ホームの費用については、正直、幅がありすぎてなんとも言えません。入居金がゼロ円の施設もあれば、何千万円や億超えのところもありますから…。
億超え!?そんなに支払えないです!
もちろん、そういった”超”高級老人ホーム以外にもありますから安心してください(笑)。
あくまで目安ではありますが、有料老人ホームの費用感をまとめてみました。
介護付き 有料老人ホーム | 住宅型 有料老人ホーム | 健康型 有料老人ホーム | |
---|---|---|---|
初期費用 | 0~数千万円 | 0~数千万円 | 0~数千万円 |
月額費用 | 15~30万円 | 15~30万円 | 15~40万円 |
この「初期費用」とはなんですか?
初期費用は、「入居金」や「入居一時金」「保証金」などの入居時に支払うまとまったお金のことです。多くの施設では、”前払い家賃”としてあらかじめ家賃を支払うパターンが多いですね。
対して、「月額費用」は毎月支払うお金です。この中には、家賃や食費なども含まれています。月額費用の主な内容については、以下の通りです。
管理費って、普通の賃貸アパートとかでもありますよね?それと同じですか?
少し重なるところがありますね。管理費の中に何が含まれているのかは施設によって異なりますが、主に「設備のメンテナンス費用」「共有部の水光熱費」などです。それに加えて居室の水光熱費も含まれるのかは、施設によってさまざまです。事前に施設に確認してくださいね。
なるほど…。あと、介護保険の自己負担額はいくらくらいかかりますか?今、在宅介護サービスを利用していますが、それと同じでしょうか?
介護保険の自己負担額は、介護付きか住宅型かで大きく異なります。先ほどもお話しした通り、介護付きは自己負担額が定額制ですので、介護度が変わらなければ一定です。一方で、住宅型は利用した分だけの支払いですから、利用する介護サービスが変われば金額も異なります。
次の表で、介護付きと住宅型の介護保険の自己負担額をまとめましたので、参考にしてみてください。
1割負担額 | 2割負担額 | 3割負担額 | |
---|---|---|---|
要支援1 | 5,460円 | 10,920円 | 16,380円 |
要支援2 | 9,330円 | 18,660円 | 27,990円 |
要介護1 | 16,140円 | 32,280円 | 48,420円 |
要介護2 | 18,120円 | 36,260円 | 54,360円 |
要介護3 | 20,220円 | 40,440円 | 60,660円 |
要介護4 | 22,140円 | 44,280円 | 66,420円 |
要介護5 | 24,210円 | 48,240円 | 72,360円 |
出典:「介護報酬の算定構造」(厚生労働省)
住宅型有料老人ホーム1割負担上限額 | 2割負担上限額 | 3割負担上限額 | |
---|---|---|---|
要支援1 | 5,032円 | 10,064円 | 15,096円 |
要支援2 | 10,531円 | 21,062円 | 31,593円 |
要介護1 | 16,765円 | 33,530円 | 50,295円 |
要介護2 | 19,705円 | 39,410円 | 59,115円 |
要介護3 | 27,048円 | 54,096円 | 81,144円 |
要介護4 | 30,938円 | 61,876円 | 92,814円 |
要介護5 | 36,217円 | 72,434円 | 108,651円 |
出典:「介護報酬の算定構造」(厚生労働省)
今回、話を聞いてみて具体的に有料老人ホームを検討してみようと思うのですが、入居するにはどうしたら良いんでしょうか?
参考になったのであればよかったです!有料老人ホームに入居するまでの流れは以下のようになります。施設探しを始めてから入居までは1ヵ月はかかるので、余裕を持って探してくださいね。
老人ホームに入る前に見学をするんですね。知らなかったです。
そうおっしゃる方が多いんですが、見学は必ずしてください!見学をしないと、その施設のスタッフさんやご入居者の雰囲気はわかりませんし、料金やサービスの細かいところはパンフレットではわからないことも多いんです。
何より、実際に施設の人と「どういったケアができるのか」「どこまで対応してもらえるか」を相談するのが大切なんですよ。
確かに、母がお世話になる施設の方と話すのは大切ですね。
そうなんです!それに、できれば体験入居もしていただきたいですね。実際に施設で過ごしてみないとわからないことも多いですから、体験入居でギャップをなくしてから入居を決めてください。
もし、「どの施設に見学すれば良いのかしぼりきれない」ということがあれば、ぜひいい介護にご相談ください。経験豊富な入居相談員がお母様にぴったりな施設をお探ししますよ。
介護施設への入居について、地域に特化した専門相談員が電話・WEB・対面などさまざまな方法でアドバイス。東証プライム上場の鎌倉新書の100%子会社である株式会社エイジプラスが運営する信頼のサービスです。