介護でストレスが溜まったときは、ご自分のための時間を作ってリフレッシュしましょう。美味しいものを食べたり運動をするなど、リフレッシュ方法を見つけておくと良いですよ。また、介護の負担を軽くすることも大切。介護サービスを活用して介護をプロに任せることも検討してください。
母の介護をしていて、どうしてもイライラしてしまいます。母は認知症なので、同じことを何度も聞いてくるし、機嫌が悪いと朝の着替えを嫌がるので支度に時間がかかるんです。
いけないのはわかっているんですが、イライラするとどうしても怒鳴ってしまうこともあって…。どうにかしたいと思っています。
それは大変ですね…。このままだと竹内さんが体調を崩したりする可能性もあるので、適度にリフレッシュする方法を見つけていきましょう。何か気分転換できる方法はありますか?
いやいや、リフレッシュする方法なんて、そんなすぐに思いつかないですよ。
大掛かりなものでなくても良いんです。ちょっとしたことでも、息抜きになったりリフレッシュするきっかけがあるとストレスも解消できると思います。
例えば、以下のような方法でリフレッシュしている人もいますよ。
こんな簡単なことで良いんですね。だったら、孫の写真を見るのでも良いかな。
良いですね!お孫さんと会うこともリフレッシュになりそうですね。
手軽にできるもので良いので、気分転換になる方法を見つけておくと介護の合間にリフレッシュしやすいです。介護をしていると、どうしても介護のことで頭がいっぱいになってしまいますから、意識して”自分のための時間”を作ると気持ちが少し楽になりますよ。
自分のための時間なんて、久しくありませんでした。ちょっと意識してみます。
それと、同じように認知症のご家族を介護している人との交流をしてみるのも良いかもしれません。「認知症の家族の会」や「認知症カフェ」など、認知症の介護で悩む人や認知症のご本人が集まる場がありますから、そこで同じ環境の人と話すと気持ちが楽になることもあるはずです。
それに、良い介護の方法などの情報交換もできますから、近くで集まりが開催されてないか探してみてくださいね。
認知症のご家族を介護する場合、毎日の介護の心がけや対応方法をちょっと変えるだけでだいぶ気持ちが楽になることがあります。
そこで、イライラを軽減するための「介護の心得」と「認知症介護の原則」をお伝えしますね。
まず、介護の心得から。認知症の人の介護に限らず、介護を続けていくうえでぜひ頭に入れていただきたい考え方です。
「自分も大切にする」…母の介護が始まってから、自分のことがおろそかになっていたかもしれません。
そういう人はとても多いんです。ご高齢者の身体機能や認知機能が衰えることは当然のことです。でも、それを介護をするご家族が「自分が上手く介護をできなかったからだ」とご自分を責めてしまうことがあります。
そうして必要以上にがんばってしまったことで共倒れになることも。そうならないために、ご自身の健康や時間も大切にしてくださいね。
そうですね。適度に息抜きする時間を作っていこうと思います。
「溜め込まない」という考え方も「自分も大切にする」に共通する部分があります。というのも、介護の負担を1人で溜め込んでしまった結果、介護する人が体調を崩してしまうこともありますから。
それに、介護をするなかでイライラだけでなく不満や悲しみを感じることもあるでしょう。そうした負の感情は、溜め込まないのが一番です。友人や他のご家族に相談したり愚痴を言ったりと発散することも大切ですよ。
愚痴かぁ…。あまり言ったことがなかったですね。
愚痴を言える人が身近にいると、かなり精神的な負担が軽くなりますよ。それに、それが「まわりにも頼る」という心得にもつながります。
介護は大変ですから、なかなか1人ですべておこなうのは難しいです。なので、ご家族や近所の人などに協力してもらったり、介護サービスを利用していくと上手く負担を軽減できると思いますよ。
次に「認知症介護の原則」です。認知症の人や介護する人が快適に過ごせる接し方についてですね。
主には以下のような内容です。
「“ゆっくり”を心がける」とは、ゆっくり話しかける、ということですか?
はい、そうです。認知症の人は脳の機能が低下しているため、こちらが普通に話しかけても速すぎて理解ができないことも。それでも、認知症の人も一生懸命に理解しようとがんばるので疲れてしまうことがあります。
なので、お母様に話しかけたり介助をするときも”ゆっくり”が基本です。「ちょっと遅いかな」と思うくらいが、穏やかに介助できるコツですよ。
そうなんですね!たまに母がこっちの話を理解しているかわからないときがあるんですが、あれは私の話が早かったからなんですね。
あと、その次の「感情を合わせる」とはどういうことですか?
感情に共感する、ということです。例えば、お母様が怒ったり悲しんだりしているときに、まずは共感してあげましょう。「辛かったね」など共感しながら穏やかに接することで、お母様もつられて気持ちが落ち着いてくることがあります。
なるほど。今度、母の気持ちが不安定になったら共感するようにしてみます。
接し方をちょっと工夫するだけでも介護の負担が軽くなることがありますから、無理のない範囲で取り入れてみてくださいね。
イライラのリフレッシュ方法や、ストレスを溜めない介護のコツについてお伝えしましたが、状況によってはこうした対策をしてもイライラが解消されないこともあると思います。
そういうときは、介護サービスに頼ってください。介護の専門家に任せた方が良いときもよくありますから。
すでに母は、週3回のデイサービスを使っていますが…。
デイサービスとは、施設に入居することなく、自宅から通所しリハビリテーションや介護サービスを受けることで、高齢者のQOL(クオリティ オブ ライフ)の向上を目指す施設です。
デイサービスを利用する場合は施設から車で自宅まで迎えにきてくれるので、歩行に自信がない方でも利用できます。
ただし、施設の送迎範囲が決まっているので、その範囲外の場合はその施設をその施設の利用はできません。基本的にデイサービスは地域住民のためのサービスという特徴があるからです。
デイサービスでは、介護職員や理学療法士、看護師などの専門スタッフがサービスを提供。決められた時間に高齢者の機能訓練や集団でのレクリエーションなどを担当します。
自宅にこもりがちになる高齢者にとっては、外部との交流が持てることも嬉しいポイントです。
もし、今のサービス量だと負担が大きいようでしたら、ケアマネジャーさんに相談して、デイサービスの回数を増やしたり、他のサービスを追加するのも手ですよ。
他のサービスってどんなものがあるんですか?これまでデイサービスしか利用したことがないのでよくわからなくて…。
在宅介護サービスには、デイサービス以外にもいろんなものがあります。主なサービスは、以下の通りです。
ああ、「訪問介護」は聞いたことがあります。ヘルパーさんがお世話をしてくれるサービスですよね。
あと…この「ショートステイ」って何でしたっけ?これも聞いたことがある気がするんですが…。
ショートステイは、短期間、介護施設に宿泊するサービスです。食事や入浴介助など、身の回りのお手伝いもやってもらえます。なので、冠婚葬祭などで家を空けなければいけないときなどに利用できます。
あと、多くの人が介護から離れてリフレッシュするために利用しています。ショートステイを利用している間に、ご家族で旅行に行く人もたくさんいるみたいですよ。
ショートステイは最短1日から最長30日間も利用できるので、使いやすく便利です。ショートステイを活用する場面は下記のようなケースです。
いずれにしても在宅介護を基本に、介護者の都合にあわせて利用されるケースが多いようです。定期的な介護疲れのリフレッシュにも、ショートステイは非常にありがたい存在です。
そんなサービスがあるんですね!知らなかった…。
在宅介護については、以下のご質問で詳しく回答しています。ぜひ参考にしてみてください。
今後、ご自宅での介護が難しくなったら、在宅介護サービスを利用するのと合わせて、介護施設への入居も検討した方が良いかもしれません。
施設ですか。まだまだ考えられないですけど…。
実は、そういう方が大半です。ただ、本当に自宅での生活ができなくなってからでは、施設探しもままならなくなりますから、余裕のあるうちに早め早めに検討しておいてください。
ちなみに、介護施設ってどんなものがあるんですか?
主な介護施設には、以下のようなものがあります。
このなかで、特養と老健は公的施設です。特養は要介護3以上でないと入居できませんし、老健は3~6ヵ月での退去を前提としているので、長期的な入居はできないという特徴があります。
公的施設だと、いろいろと制約が多いんですね。
対して、それ以外の施設は基本的に民間企業が運営している施設です。
施設ごとに特徴が大きく異なるので、一概には言えないんですが…認知症の人に向いている施設は「介護付き有料老人ホーム」「グループホーム」ですね。
その2つはどんな施設なんですか?
介護付き有料老人ホームは、その名の通り介護サービスがまとめて受けられる施設です。サービスを提供するための介護スタッフさんや看護師さんが常駐しているのが特徴で、常に介助が必要な方に向いている施設なんです。
介護付き有料老人ホームとは、有料老人ホームのうち、都道府県または市町村から「特定施設入居者生活介護」の指定を受けた施設です。24時間介護スタッフが常駐し、介護や生活支援などは施設の職員により提供されます。
主に民間企業が運営しているため、サービスの内容や料金は施設ごとに異なります。また、入居基準も施設により異なり、自立している方から介護が必要な方まで幅広く受け入れている施設も。選択肢が幅広いため、自分に合った施設を選ぶことができます。
看取りまで対応している施設も多数あり、「終の棲家(ついのすみか)」を選ぶうえでも選択肢のひとつとなります。
へー、それは安心ですね。もうひとつのグループホームというのは?
グループホームは、認知症の人が共同生活している施設です。ここでは、入居者さん一人ひとりが自分のできることを生かしながら協力して暮らしています。
介護付き有料老人ホームでは、掃除や料理などの家事はすべてスタッフさんがやってくれることが多いんですが、グループホームではご入居者さん自身ができる範囲で家事をおこなっているんですよ。なので、認知症でも身体がお元気な人が多く入居しています。
グループホームとは、認知症高齢者のための介護施設です。専門知識と技術をもったスタッフの援助を受けて、要支援以上の認知症高齢者が少人数で共同生活をおくります。
「ユニット」といわれる少人数のグループで生活し、入居者はそれぞれ家事などの役割分担をします。
調理や食事の支度、掃除や洗濯など入居者の能力に合った家事をして自分らしく共同生活を過ごすところが、ほかの介護施設や老人ホームとは異なるポイントです。
グループホームの目的は、認知症高齢者が安定した生活を現実化させること。そのために、ほかの利用者やスタッフと協力して生活に必要な家事を行うことで認知症症状の進行を防ぎ、できるだけ能力を維持するのです。
介護のイライラの原因となるものはいろいろとあります。ただ、それを放置しておくと「介護うつ」になってしまうこともあるので、理由を把握して対策をとっていきましょう。
イライラの理由、ですか。改めて考えたこともありませんでした。
イライラにつながる原因は、状況やその人によって異なります。しかし、主に以下の負担がイライラにつながります。
確かに、こういった負担が重なってストレスやイライラになっている気がします。
一般的に、大きいのは身体的な負担でしょうか。ベッドや布団での寝起きや、トイレ・入浴などの介助をするときに、やはり身体への負担が大きいです。介護を続けることで、介護をする人が腰やひざなどを痛めてしまうケースが多いんです。
加えて、夜にトイレ介助が必要な場合だと、介護するご家族も起きて介助をしなければいけません。それで、睡眠不足になってしまうこともあります。
うちの母の場合、夜中に起き出して外に出かけようとしたことがあったので、私が落ち着いて眠れなくなりました。なので、睡眠不足のことが多いですね。
そうなんですね…。そうした睡眠不足は、精神的な負担にもつながります。そのうえ、認知症の影響で「何度も同じことを話す」「探しものがないと言い張る」といったことに対応する必要がありますよね。
さまざまな要因が重なって負担が大きくなると、介護うつになってしまって介護する人の健康に影響が出ることもあります。そうなる前に、適度にリフレッシュしたり介護サービスを活用して負担を軽減したりと、”楽”な介護をするために対策をしてくださいね。
介護による身体的負担・精神的負担が発展することで、“介護うつ”につながることがあります。
「在宅での介護にこだわって全て自分でやろうとする」「介護による悩みや愚痴を相談できない」「身体的負担や精神的負担を我慢する」など、全て自分でやろうとしてしまうと、知らないうちに精神的限界を迎えて、介護うつになってしまうケースが多々あります。
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