介護にかかる費用が高くて悩んでいます。最近、母が病院から退院してきたので、介護サービスを使いながら介護をしているのですが、思ったよりもお金がかかって…。
自分たちの老後のことも考えると少しでも出費を抑えたいのですが、費用を安くする方法はありますか?
そうですね…。例えば、世帯分離をするのはどうでしょうか?
「世帯分離」ですか?初めて聞きました。
世帯分離というのは、同じ家に住みながら住民票の世帯を2つに分けることです。今は、お母様と同一世帯になっていますよね?
はい。夫が世帯主で、私と母も同一世帯です。
でしたら、世帯を分けてお母様を世帯主にすることが世帯分離です。1つの家に世帯主が2人いるイメージですね。
そんなことができるんですね!でも、世帯分離をすると何で介護の費用が安くなるんですか?
それは、世帯分離をすることでお母様の世帯の所得が減り、住民税が軽減されるからです。となると、介護保険の自己負担額だけでなく、国民健康保険料の軽減もできることがあります。
ただ、そうしたメリットだけでなくデメリットもあります。よく理解してから世帯分離をするか検討していただきたいので、順にお話していきますね。
世帯分離をするメリットは、主に以下の4つが挙げられます。
介護サービスを利用するためにお金を支払っていますよね。それが介護保険の自己負担額です。実は、この金額はサービス費の全額ではありません。ご本人や世帯の収入に応じて自己負担割合が決められており、その割合をもとに支払い額が決まります。
そのため、世帯所得が多いと自己負担割合が増えてしまうんです。現役世代並みの収入があると3割負担となり、介護サービス費だけでもかなりの金額になってしまいます。
そうなんですね!急に母の介護が始まったもので、介護保険についてちゃんと理解できていませんでした…。
また、介護施設に入るときにも世帯の所得が関係します。というのも、特別養護老人ホームなどの公的施設の場合、居住費や食費が世帯の年収や預貯金額によって決まるんです。
そのため、世帯分離をしてお母様の世帯所得を減らしておくことで、公的施設の入居費用を軽減できます。
へー!介護施設に入居させることは特に考えていませんでしたが、世帯分離をしておいて備えることも必要そうですね。
また、世帯分離をすると介護費用だけでなく国民健康や後期高齢者医療制度の保険料も軽減できる場合があります。
やはり、国民健康や後期高齢者医療制度の保険料も世帯の所得をもとに算出されています。なので、世帯当たりの所得を減らしておくことで、保険料も下げられるんですね。
世帯分離って良いですね、いろんな費用が安くなりそう!…でも、デメリットもあるんですよね?
そうなんです。世帯分離のデメリットは、主に「国民健康保険料が高くなる可能性がある」「扶養手当や家族手当が受け取れなくなる」という2点があります。
あれ?さっきは、世帯分離をすると「国民健康保険料が安くなる」って言ってませんでしたっけ?
はい、そうお伝えしました。国民健康保険料が高くなるか安くなるかは、そのご家庭によるのでケースバイケースなんです。というのも、国民健康保険料は世帯主それぞれが納めるもの。なので、世帯分離をして世帯主が2人になると、2世帯分の保険料を支払わなければいけません。
つまり、2世帯の金額を合計すると、世帯分離前よりも高くなってしまう可能性があります。世帯分離をする前後で金額がどう変わるのか、事前に確認しておくことが大切ですね。
うーん、そうなんですね。保険料をきちんと確認しておかないと…。
そして、扶養手当・家族手当は扶養に入っている同一世帯の人がいる場合に支給されるケースが多いですよね。なので、世帯分離をして扶養から外れてしまうと、扶養手当や家族手当が受け取れなくなる可能性があります。
そういうこともあるんですね!今は夫の扶養に入っている状況なので、扶養から外れたらどうなるのか確認しておきます。
世帯分離のメリットとデメリットについてはわかりました。もし、世帯分離をするとしたら、どんな手続きをすれば良いんでしょうか?
世帯分離をするには、必要書類を揃えて市区町村の窓口に提出する必要があります。手続きの際に必要な書類は以下の通りです。
もし、書類に不備があったときには印鑑を押すこともあるので、念のため持っていくとスムーズに手続きが進められますよ。
介護が始まると、何かとお金が必要になります。経済的な不安があると、介護に対する精神的な負担が大きくなってしまうので、少しでもお金の負担を減らせるように世帯分離を活用してみてくださいね。
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