まずは、他のご兄弟の「できること」「できないこと」を整理しましょう。そのうえで、「平日は誰が対応」「休日は別の誰かが対応」といったように、曜日で介護の分担をすると良いかもしれません。
遠方で直接の介護が難しいご兄弟がいる場合は、介護費用を多めに負担してもらったりと、トータルとして負担が均一になるようにするとご兄弟間の不公平感が少なくなるでしょう。
病院から帰ってきた義母の状態が思ったよりも悪く、介護をしなければいけなくなりました。とりあえず、私が義母宅に通って介護をしているのですが、仕事や自宅の家事もあるので体力的にもきつくて…。でも他の兄弟は「長男の嫁だから」と、それが当たり前といった様子なんです。
老人ホームに入れたくてもそんなお金はないし、介護サービスはすでに上限まで利用しています。義兄弟たちが少しでも介護に参加してくれたら、多少は楽になると思うんです。どうしたら介護を分担できるのでしょうか?
なるほど…。古川さんに介護の負担が集中している状況なんですね。おそらくご兄弟に「介護を手伝って」と言うだけではなかなか動いてくれないと思います。
なので、まずはご兄弟の「何ができるか」「何ができないのか」を整理することで、介護を分担しやすくしましょう。
「何ができるか」「何ができないのか」というと、具体的にはどんなことですか?
例えば、「休日なら介護ができる」「◯曜日であれば、毎週通える」といったことです。曜日ごとに介護を分担することで、かなり負担が軽減できると思います。
なるほど!今は毎日、私が義母の家に通っているので、それが少しでも減ればとても楽になります。
また、ご兄弟の中には遠方に住んでいるといった理由で、直接的な介護ができない人もいるかもしれません。そのときは介護ができない分、介護費用を多めに出してもらうなど、トータルで見て負担が均一になるように分担しましょう。
そういう方法もあるんですね!三男が遠くに住んでいて直接的な介護は頼めなさそうなので、多めにお金を出してもらえるか聞いてみます。
あとは、「主介護者」「キーパーソン」を決めることも忘れないでください。主介護者というのは、中心となって実際の介護をする人のこと。キーパーソンは、介護をするうえでの意思決定の中心となる人のことです。
主介護者とキーパーソンは、同じ人でも構いません。ただ、これをはっきりさせておかないと、後々、兄弟トラブルにつながる可能性があります。
トラブルですか?
例えば、お義母さまの状態が進行して、老人ホームなどに入居することになったときに、「どの兄弟の近くの施設にするのか」「施設選びの軸は何か」といった選択にブレが生じるかもしれません。ときには、施設探しが原因でご兄弟が仲違いしてしまうケースも…。
主介護者とキーパーソンを事前に決めておけば、その人が中心となって施設探しができますよね。
なるほど!実際に介護するだけでなくて、介護に関するいろんな選択に責任を持つ人が必要なんですね。
ちなみに、トラブルといえばお金にまつわることも多いので注意が必要です。介護費用がお義母さまの年金や貯金で賄えるのか、不足分は誰がどのくらい出すのか、といったことも早い段階で決めておきましょう。
また、介護費用は介護度が進行することで増えていきますから、定期的な見直しも必要です。
よくわからないまま急に義母の介護が始まってしまい、対策のしようがありませんでしたが、何か事前に対策できることはあったんでしょうか?
実の両親も高齢で介護が始まるかもしれないので、事前に知っておきたくて。
そうですね…。まずは、普段の会話の中で介護について聞いてみるのが良いですね。
ただ、「介護が必要になったらどうする?」とは聞きづらいと思います。なので、テレビ番組などで介護の特集をしているときに自然に聞いてみたり、介護に関係する話題が出たときに質問してみると自然に聞けると思います。
両親の介護についてなんてまったく考えたこともなかったので、テレビの特集を気に留めていませんでした。
多くの人がそうだと思います。でも、急に介護が始まると誰もが戸惑ってしまうので、きちんとご両親に意向を聞くのは大切です。
それに、突然、脳梗塞や認知症などで意思の疎通ができなくなる可能性もあります。介護が必要になったら、「介護サービスを利用しながら自宅で暮らしたいか」「介護施設に入りたいか」などをご両親がお元気なうちに確認しておきましょう。そして、それをご兄弟で共有しておいてくださいね。
自宅で暮らしたいって言うだろうなぁ…。
また、これも聞きにくいことだとは思いますが、ご両親の経済状況を聞いておくことも大切です。いざ介護が必要となったときに、費用はどこから出すのかは大きな問題になりますから。
年金などの収入や預貯金額、通帳や印鑑、権利証などの重要書類がしまってある場所についても確認しておきましょう。
え!そんなことも聞くんですか!?
…あ、でも、今回の義母の介護でもお金の負担が大きいので、両親のお金周りのことを予め知っておくことは重要なのは痛感しました。義母の通帳がどこにあるのかわからなくて、家中探し回りましたから…。
そうなんですよね…。聞きにくいとは思いますが、ご両親が元気なうちに聞いておいてください。
…ちなみに、スムーズに介護の負担をご兄弟で分担するために、ちょっとしたコツがあるんです。
コツ?どんなことですか?
本格的な介護が始まる前の「ちょっとした手伝い」を、ご兄弟で分担しておくんです。
実は、日常的な買い物や掃除などを負担に感じているご高齢者はとても多いです。なので、定期的な買い物の手伝いをする人、掃除の手伝いをする人、料理を作りに行く人など、ご兄弟で役割分担しておくことをおすすめします。
普段から各兄弟が生活の支援をしていると、いざというときも介護に参加しやすいですよね。
確かにそうですね!今は実家の近くに住んでいる姉が主に手伝いに行っているので、他の兄弟とも分担できるように相談してみます。
介護が始まる前からご兄弟が分担して手伝いをすることで、お互いを頼りやすくなります。さらに、普段のご両親の様子の把握もできますよね。
介護は1人抱え込むととても負担が大きいものですから、兄弟で気軽に頼り合える状況にしておくことが大切です。
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