もちろん!介護する人のストレスを軽減するために、老人ホームを利用するのはまったく問題ありません!むしろ、土屋さんの心身の健康のためにも利用するのをおすすめします。
もし、在宅介護を続けるか迷っている場合は、高次脳機能障害の症状への有効な対処法を実践しつつ在宅介護サービスの量を増やしてみてください。それでも在宅介護が難しいと感じたら、介護施設への入居を考えてみても良いと思いますよ。
高次脳機能障害の母の介護をしています。介助が必要な場面はそんなに多くはないのですが、高次脳機能障害の症状のせいなのか、同じことを何度も聞かれてイライラしてしまうんです。私がもっと時間があればゆっくり対応してあげられるんですが、仕事があるのでなかなか難しくて…。
イライラしているせいで、私と夫のケンカが増えているのを感じます。家庭内の雰囲気が悪くなっているので、母には老人ホームに入ってもらった方が良いのかも、と考えています。が、身体的な介護がほとんどない状態で老人ホームに入っても良いのか悩んでいます。
もちろん、介護施設に入居するのに特別な理由は要りません!介護をしている土屋さんの精神的負担が大きいと介護は継続するのは難しいですし、ストレスを我慢していると土屋さんの心身の健康にも影響する可能性があります。
「在宅介護の負担が大きい」と感じているのであれば、介護の必要量に関係なく介護施設の入居をおすすめしますよ。
うーん、そうなんですね。でも、高次脳機能障害というだけで入れてくれる介護施設はあるんでしょうか?
そうですね…。ちなみに、お母様は介護認定は受けていらっしゃいますか?
介護認定ですか?今は要介護1です。
介護認定を受けていらっしゃるのであれば、受け入れる介護施設は比較的多いですよ。安心してください!
もし、介護施設に入居するか在宅介護を続けるかで迷っているようでしたら、在宅介護サービスを増やしたりしながらご自宅での介護を継続していくのもひとつの手です。
うーん…。まだ、施設に入れるか在宅介護で様子を見るのか迷っています。
ちなみに、どんな介護サービスを使えば、在宅介護を続けられるでしょうか?
デイサービスとショートステイですか…。今は手すりのレンタルしか介護サービスを使っていないので、それ以外のサービスはよくわからないんですよね。
まず、デイサービスとは日帰りでレクリエーションや食事、入浴、リハビリサービスなどを受けられるものです。デイサービスという介護施設に利用者さんが通うので「通所介護」とも呼ばれます。
施設によっても異なりますが、9~17時でサービスを提供していることが多いです。また、3~4時間でリハビリに特化しているデイサービスもあったり、内容にも特色がありますよ。
へぇ、いろんなことをやってくれるんですね。母は自宅にいてもテレビを見ているばかりで身体を動かすこともないので、デイサービスに通うのも良いかも。
もう1つのショートステイは、1日から最大30日まで連続で宿泊できるサービスです。デイサービスと同様に、レクリエーションや食事、入浴などのサービスを提供しています。
また、ショートステイは介護するご家族のリフレッシュのために利用されることが多いのが特徴。「介護をするようになってから旅行を我慢していた」という人も、ショートステイを利用すればご家族が安心して旅行に行けるんです。
リフレッシュのために介護サービスを使っても良いんですね。そんなことを思いつきもしませんでした。
それに、今後、老人ホームに入居する可能性があるのなら、介護施設や多くの人との共同生活に慣れておくに越したことはないでしょう。
他の人との共同生活に抵抗感のある人も中にはいますから、デイサービスやショートステイで慣れておくことで、介護施設にスムーズに入居しやすくなると思います。
デイサービスやショートステイを活用して「介護から離れる時間」を確保すると、土屋さんの精神的なストレスが軽減できるかもしれませんよ。
北野室長の話を聞いていたら、介護サービスを利用しながらもう少し在宅介護を続けてみようかな、と思えるようになりました。
ただ、母にイライラしてしまうのは変わらないと思うので、どこまで続けられるかわかりませんが…。
でしたら、改めて高次脳機能障害の症状とその対策についてお伝えします。土屋さんもご存知のこともあると思いますが、今後の介護のストレスが多少は減らせるかもしれません。
確かにそうですね。最近は、母の言動が高次脳機能障害の症状なのか、母のもともとの性格によるものなのかがわからなくなってきました。なので、「高次脳機能障害のせい」と割り切れなくなって、余計にイライラしているんだと思います。
割り切れないとストレスが大きくなってしまいますよね。
以下に高次脳機能障害の主な症状をリストアップしました。お母様に当てはまるものはありますか?
そうですね…。最初にある「注意障害」とは何ですか?
注意障害は、集中ができなかったり、反対に集中しすぎてしまう症状です。例えば、「テレビが気になって食事ができない」や、「別のことに気を取られて話を聞いていない」などがあります。
日中、テレビを見ているときに私の呼びかけに気が付かないことはあります。あれが注意障害だったのかな。
…その次の「記憶障害」は、記憶を忘れてしまうことですよね?この症状はよくあります。数十分前に言ったことを忘れていたり…。なので、同じことを何度も聞かれてイライラしてしまうんです。
それは大きなストレスになりますよね。
そういうときは、メモなどを残しておくと良いでしょう。特に通院などの用事や、お母様が何度も質問するような”気にしていること”について、目につくところにメモを貼っておくと、質問されるストレスが減るかもしれません。
その方法は良いですね!家に帰ったらやってみます。
3番目の遂行機能障害は、作業の段取りや柔軟な行動ができなくなることです。計画的に進められないので、作業を手当たり次第に進めてしまったり時間がかかったりします。
あぁ!それはあります。母は家事が上手くできなくなりました。母は料理が大好きな人だったんですが、高次脳機能障害になってからは料理の手順がわからないようで、途中で手が止まってしまうんですよね。
時間がかかるし危ないので、「家事はしなくて良い」と言っているんですが、それも忘れてしまうようで。毎日のように注意するのも疲れました…。
なるほど、なるほど。忙しいと、家事ができなくて戸惑っているお母様の様子にもいらだってしまいますよね。
ただ、ゆっくりとでも作業をすることがリハビリになります。時間があるときには作業の手順を簡潔に書いたメモを用意するなど、お母様のペースに合わせられると良いですね。
そうか、家事をすることがリハビリになるんですね。知らなかった…。
また、その次の失語とは、言葉を上手く話せなかったり相手の話を理解しにくくなる症状です。
もし、話を理解できていない様子があったら、ゆっくり、はっきりと話すと伝わりやすいでしょう。また、難しい単語などを避けて会話することも効果的です。
「ゆっくり、はっきりと話す」ですか。仕事や介護で忙しくて、早口で話してしまっていました…。
最後に、社会的行動障害というのは、ぼーっとして意欲が低下したり、反対に怒りを抑えられずに怒鳴ったりすること。感情のコントロールができないうえに、気持ちの波が大きいので周囲の人を振り回して人間関係が上手くいかなくなることもあります。
うーん。いくつも母に当てはまるものがあります。改めて高次脳機能障害について学んで、母の性格のせいではなく障害のせいなんだとよくわかりました。
ここまで、在宅介護の上手い活用法や高次脳機能障害の症状と対応法についてお話ししてきました。
でも、いろいろ試してみても「やっぱり在宅介護では難しい」と感じることもあるかもしれません。そうしたときには介護施設に入居することを本格的に検討してみてください。
そうですね。もしかしたら、意外と早く施設に入居させることになるかもしれないので、今のうちに探しておきたいと思っています。
高次脳機能障害でも入れる介護施設というと、どんなものがあるんでしょうか?
そうですね。受け入れ体制は施設ごとに大きく異なりますが、主に以下の介護施設では受け入れが可能です。
特養や老健は、社会福祉法人などが運営している公的な施設です。そのため、費用が安いのが魅力ですが、人気なので入居待ちが必要になることもあります。
特に特養は、終身まで入れる施設のためとても人気。待機期間が1年以上になることもあります。ただ、要介護3以上でないと入居できないという制約があります。
また、老健は要介護1以上が入居条件。さらに、入居できる期間が3~6ヵ月ほどなので、長期入居を検討している場合には向きません。
なるほど…。安い施設と言われると魅力的に感じますが、すぐには入れなかったり入居期間が限定されていたり…。100%条件に合うものはないんですね。
おっしゃる通り、なかなか難しいんですよね。一方で、民間の介護施設であれば比較的に入居しやすいです。やはり公的施設よりも費用がかかる傾向はあります。
でも、民間施設の中でも「住宅型有料老人ホーム」「サービス付き高齢者向け住宅」であれば、利用する介護サービスを自由に組み合わせられます。必要な分だけサービスを利用できるので、まだご自分でできることの多いお母様も入居しやすいと思いますよ。
「介護施設」とか「老人ホーム」って、介護職員さんがすべて世話してくれるイメージでしたがそうではないんですね。むしろ、母は今のところあまり介助は必要ないので、その方が良いのかも。
はい。やはりできることはできるだけご自分でやってもらった方が良いですからね。
ただ、これから介護度が進行して介助が必要な場面が増えてくると、介護費用がかさんでしまったり、施設の受け入れができなくなる可能性も。こうした将来のことも含めて考えると、施設探しが複雑になってわからなくなることもあるかもしれません。そんなときは「いい介護 入居相談室」にぜひご相談ください。将来のことも考えてお母様にぴったりの施設をご案内しますよ。
介護施設への入居について、地域に特化した専門相談員が電話・WEB・対面などさまざまな方法でアドバイス。東証プライム上場の鎌倉新書の100%子会社である株式会社エイジプラスが運営する信頼のサービスです。