父親が家事がまったくできないので、週2回、片道2時間かけて実家に帰っています。母が生きていたころは、母に家のことを任せっぱなしだったせいで、掃除、洗濯、食事の支度もろくにできず、すべて私がやっているんです。
私はフルタイムで働いていますし、自分の家のこともやらないといけません。まともに自分の時間も取れなくて、もう疲れました…。
この状況を変える方法はありませんか?
お父様のお世話とご自宅の家事とお仕事…。本当にお忙しいと思います。
小西さんの負担を少しでも減らすために、介護サービスを活用するのはどうでしょうか?
介護サービスですか?でも、父は介護は必要ありませんよ。確かに最近、足元がふらついてきたり、自宅で転倒したことはありますが…。
実は、介護サービスは、直接体に触れる介助以外にも利用できるんです!例えば、以下の2つのサービスがお父様におすすめです。
訪問介護では、「生活支援」と「身体介護」の2つのサービスを提供しています。そのうち、お父様におすすめなのは生活支援サービスです。
具体的にはどんなサービスなんですか?
生活支援サービスは、掃除や洗濯、料理などをおこないます。買い物の代行もやってくれますし、小西さんが帰省される回数を減らせるのではないでしょうか?
それは助かります!
特に料理と買い物がネックになっていて、食事をレンジで温めるだけにしておいてくれると父も食べられると思いますし…。
帰省する回数が、週2回から週1回になるだけでもだいぶ負担が減りますね。
デイサービスの利用もおすすめです。デイサービスは、日中に介護施設に通ってサービスを受けるもの。食事や入浴、レクリエーションなどを提供してくれます。
なかには介護度が高い人が多いデイサービスもありますが、運動やリハビリに力を入れている施設であれば、お元気な方も多いです。他のご利用者と交流する機会も作れますよ。
良いですね!父は実家にこもりきりでろくに外出もしないので、良い気分転換になりそうです。
おっしゃる通りです!お一人暮らしのご高齢者は運動不足やうつになりやすい傾向があります。デイサービスを活用して、出かける機会を作るのがおすすめです。
それに、デイサービスの日の分の食事を準備しなくて良いですし、転倒の危険性のある入浴が介護職員の見守りがあるところでできるのが安心ですよね。
介護サービスを使うことをまったく考えていなかったので、盲点でした。介護サービスの知識がほとんどないのですが、どうやって利用すれば良いんでしょうか?
まずは役所ですね。わかりやすい場所で良かった。
申請をしたら、以下の流れで調査と判定がおこなわれます。
ここでポイントとなるのが、「訪問調査」。ケアマネジャーなどの認定調査員がご実家を訪問してお父様の心身の状態を調査します。できれば、この訪問調査には小西さんも同席してください。
都合がつけば同席しますが…。なぜ同席した方が良いんですか?
お父様お一人で訪問調査を受けた場合、実際にはできなくて困っていることも「できます」と答えてしまって、要介護度がつかない可能性があるんです。
要介護度がつかないと介護サービスは利用できませんから、介護サービスを使って小西さんの負担を減らすことができなくなってしまいます。
それは同席しないと!父のことなので、見栄を張って何でも「できる」と言ってしまいそうですし。
でも、私が同席しても、何をすれば良いんでしょう?
お父様が日常生活でできなくなっていることや、小西さんがお父様のお世話で大変な思いをしていることを率直に伝えましょう。
お父様がいる前だと言いにくいと思うので、お父様がいないところで認定調査員に伝えると良いと思いますよ。
なるほど!そうすれば良いんですね。
訪問調査の後は、調査の結果をもとに一次判定がおこなわれ、二次判定が専門家によって実施されます。その後に認定結果が出るので、申請から結果が出るまではおおよそ1ヵ月程度かかります。
介護サービスを利用したいですが、介護認定の手続きがあったり利用するまでもいろいろと大変なんですね。
大変とはいえ、すぐに介護サービスを使わないといけない状態ではないので、しばらく様子見かな…。
無理をしていませんか?無理が続くと、小西さんの方が倒れてしまって小西さんの将来の生活にも影響しかねないので、無理はしないでくださいね。
疲れたままご家族のお世話を続けていると、以下のような危険があるので心配なんです…。
ご家族の介護をする方のなかには、仕事を辞めてしまう人がいます。「介護に集中するため」というのは良いことですが、私は介護離職をおすすめしていません。
なぜですか?私は、今はフルタイムで働けていますが、父が本格的に介護が必要になったら、仕事の量を減らすか、仕事を辞めることも考えていました。
介護離職をおすすめしない理由はいくつかあります。まずは収入が減ること。介護に集中することで介護サービスを使う量が減り、介護の費用を減らせると思いますが、それ以上に収入が減ります。経済的な負担が大きくなるでしょう。
また、いったん仕事を辞めてしまうと、介護が終わった後の再就職が難しくなる可能性があります。介護のために仕事のブランクが10年あった場合、年齢によっては再就職が難しくなるかもしれません。キャリアアップも難しくなることも考えられます。
そうか…。もし、今、退職して10年介護をしたら私は70歳近くになります。そうなると、再就職は難しいかもしれませんね…。
それに、仕事を辞めて介護に集中すると、精神的な負担も増えることがわかっています。次のグラフを見てください。
経済的負担が増えるのはわかります。が、精神的な負担も増えていますね。仕事との両立をしなくて良い分、精神的な負担が減りそうに思えますが…。
実は、仕事を辞めると生活が”介護一色”になります。常に介護のことを考えていたり、介護の対象である親御さんなどと一緒の時間が増えて、ストレスに感じることが多くなるようです。
仕事を辞めると、時間に余裕ができても息抜きができなくなってしまうのかもしれません。
確かに…。もし、仕事を辞めて父と一緒にいる時間が増えたら、時間ができても息が詰まるかもしれません。
介護放棄とは、介護をすべて投げ出してしまうことです。「ネグレクト」とも呼ばれます。親御さんなどが介護が必要な状態と知りながら放置することを指します。
この介護放棄は、罪に問われる可能性もあります。というのも、子どもやきょうだい、配偶者などの家族には、扶養義務があると民法で定められています。ちなみに、以下の人に扶養義務があります。
つまり、この範囲の人が介護を放棄したら、罪に問われるかもしれないということですね。
おっしゃる通りです。ただ、扶養義務とは必ずしも直接的に介護をしないといけないものではありません。忙しかったり、身体的な理由から直接の介護ができない場合は、経済的な支援だけでも良いとされています。
お父様の生活を支援するのは、何も家事を代わりにすることだけではありません。お金の援助をしたり、介護サービスの手続きをすることも支援につながりますから、小西さんご自身の負担が少なくて済む方法を選んでくださいね。
介護うつは、介護が原因でうつになってしまうことです。在宅介護というのは、介護をするご家族の心と体の負担が大きくなりがちです。大きすぎる負担が続いた結果、何も手につかない無気力状態になってしまうこともあるんです。
最近、ニュースでも介護が大変で追い詰められて虐待してしまう話を聞きますよね…。
はい。介護は一時的なものではなく、長期に渡ることが多いです。負担がかかり続けてしまうと、心を壊してしまうんですね。
加えて、介護のせいで介護をする人が体を壊してしまうことも…。「親御さんを優先してご自分の体調を後回しにした結果、病気に気が付かずに倒れてしまう」ということも珍しくありません。
確かに。介護が本格的に始まったら、病院に行く時間もなさそうですし…。
介護をする人が倒れてしまったら、介護が必要な親御さんは生活ができなくなってしまいます。親御さんの暮らしが立ち行かなくなり、最悪の場合、亡くなってしまうケースも…。
まだお父様は、本格的な介護が必要な状況ではないとは思います。ですが、今のうちから介護サービスを積極的に活用して「楽な介護」をしていきましょう!
介護施設への入居について、地域に特化した専門相談員が電話・WEB・対面などさまざまな方法でアドバイス。東証プライム上場の鎌倉新書の100%子会社である株式会社エイジプラスが運営する信頼のサービスです。