有料老人ホームでは、歩行や立ち上がりなどの基本動作の訓練や、手芸や木工などの作業をするリハビリがおこなわれています。ただ、リハビリの内容は施設に常駐しているリハビリ専門職によって異なるので事前に確認をしましょう。
また、有料老人ホームでのリハビリは病院とは異なり、機能維持を目的としていることがほとんど。残念ながらリハビリの頻度が減ることが多いので、病院のように機能回復が見込めないと考えておいてください。
先日、父が肺炎で入院しました。入院期間が長かったせいか、以前のようには歩けなくなってしまって…。その後、リハビリ病院に転院してリハビリをしているおかげで、歩行器を使えば多少は歩けるようになりました。
歩行器なしでも歩けるようになるため、継続してリハビリをさせたいのですが、リハビリ病院ももうすぐ退院しないといけません。なので、有料老人ホームに入居して、リハビリを受けさせたいと思っています。
有料老人ホームのリハビリは、どんな内容なのでしょうか?
入院したことで途端に歩けなくなるのは、ご高齢者にとても多いケースですね。
ご質問は、有料老人ホームのリハビリの内容についてでしたね。実は、リハビリの内容は老人ホームに常駐しているリハビリ専門職の職種によって異なるんです。
具体的にお話ししますね。
有料老人ホームに常駐するリハビリ専門職は、主に以下の職種の人たちです。
職種によって対応できるリハビリ内容が異なります。どんなリハビリがしたいのかをはっきりさせたうえで、対応できるリハビリ専門職のいる有料老人ホームを探しましょう。
理学療法士がおこなうリハビリは、「座る」「立つ」「歩く」といった基本的な動作の機能に関わるもの。椅子から立ったり座ったり、歩行器などを使って歩く訓練をします。
そのほかに、マッサージによって体の動きを良くしたり、痛みの緩和などもおこないます。
父に歩く訓練をしてほしいので、理学療法士がいる施設が良いかもしれないですね。
作業療法士は、食事や着替えなどの日常的な動作に関わるリハビリをおこないます。理学療法士によるリハビリよりも複雑な動作の訓練をします。
リハビリとして、手芸や木工といったレクリエーションをおこなうことも。理学療法士によるリハビリよりも細かな作業の訓練が多いのが特徴です。
言語聴覚士によるリハビリは、言葉や食べることに関わるものです。例えば、言語障害で話すのが難しい方に会話の訓練をしたり、飲み込む力が低下した方に飲み込みの訓練をします。
特に加齢によって、噛んだり飲み込む力が低下するため、有料老人ホームなどの介護施設では飲み込む力を維持するリハビリを主におこなっています。
有料老人ホームでは、リハビリ専門職によるリハビリのほかにも日常的におこなっているリハビリがあります。それが生活リハビリです。
「生活リハビリ」?どんなものですか?
生活リハビリでは、生活するうえですべての動作をリハビリと捉え、できるだけご本人の力で生活することを目的としています。
具体的には、ベッドから体を起こしたり椅子から立ち上がったり、掃除などの家事もリハビリと考えるんです。
そんな簡単なことがリハビリになるんですか?
もちろんです!若いうちは、立ち上がったり歩いたり、家事をすることは、何気ない動作かもしれません。が、介護が必要なご高齢者にとっては一つひとつの動作が大変なことなんです。
だからといって、周囲が必要以上に介助してしまうと機能が低下して今までできたことができなくなりかねません。
つまり、「できることはなるべく自分の力でやる」「介護スタッフが介助をしすぎない」というのが生活リハビリ。リハビリ専門職によるものではありませんが、毎日おこなうので身体機能の維持に効果があるんですよ。
有料老人ホームでも、病院と同じようにリハビリをしてもらえそうで安心しました。これなら、父も前みたいに歩けるようになるかもしれませんね。
言いにくいことなのですが…実は、病院と有料老人ホームでのリハビリは少し異なるんです。有料老人ホームでリハビリを続けたとしても、お父様が以前のように歩けるようになるとは限らないのが実情です。
えっ!そうなんですか!?
病院と有料老人ホームのリハビリって、何が違うんですか?
では、それぞれのリハビリについて、お話ししていきますね。
病院でのリハビリの目的は、怪我や病気などで身体機能が低下した方の機能の改善・向上です。お父様のように、入院中に身体機能が低下した方や事故などで体が動かなくなった方が再び自立して生活できるように機能を回復することを目指してリハビリがおこなわれます。
また、医師の指示のもとで理学療法士や作業療法士などのリハビリ専門職がリハビリをおこないます。
そういえば、リハビリ病院でも理学療法士さんが父のリハビリを担当してくれていたような気がします。
有料老人ホームなどの介護施設でのリハビリは、日常生活動作や生活機能の維持、「生活の質」の向上が目的です。
つまり、有料老人ホームでのリハビリは、今の身体機能を維持するのがメインの目的。どうしても病院よりもリハビリの頻度や量が減ることが多く、身体機能の回復までは目指していない施設が大半です。
えぇ!?そうなんですね!じゃあ、父はもうこれ以上歩けないのかな…。
ただ、中には「車椅子で移動していたのに歩けるようになった」「口から食事を摂れなかったのに食べれるようになった」など、ご入居者が機能回復をするほどリハビリに力を入れている施設もあります。
特に有料老人ホームは、施設によってサービスやスタッフの体制が千差万別。リハビリに特化している施設は、リハビリ専門職が複数名常駐していたりと個性があります。
じゃあ、施設探しのときにリハビリに力を入れている有料老人ホームを選べば良い、ということですね!
有料老人ホームであれば、リハビリを受けられることが多いですが、その他の種類の介護施設でもリハビリを受けられます。施設の種類によって特色があるので、施設探しの参考にしてみてください。
有料老人ホームも含めて、リハビリが受けられるのは主に以下の施設です。
特養は聞いたことがあります。近所のおばあちゃんが、この間、入所したので。
要介護3以上でないと入れないんですね。じゃあ、父は要介護2なので入れないなぁ。
でしたら、老健はどうでしょうか?老健は公的施設のなかでもリハビリに特化しているのが特徴ですよ。
リハビリに特化した施設があるんですね!老健も良いかもしれないな。
老健は、リハビリで身体機能を回復して在宅復帰をするのが目的の施設。なので、しっかりリハビリを受けられますが、入所期間が3~6ヵ月と限定的です。
期間を決めてしっかりリハビリをして、ご自宅に戻りたい方にはおすすめです。が、長期的な入居ができない場合が多いので、終身利用には向きません。
もし、長期的に施設で生活したいのであれば、リハビリに特化した有料老人ホームがおすすめですよ。
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