まずは、お父様の希望を確認しましょう。一人暮らしを続けたいのか、同居したいのか…。ご高齢ですから、介護が必要になったときのことも合わせて話し合えると良いですね。
ご高齢者の一人暮らしには、転倒による怪我や低栄養、認知症や火の不始末による火事といったリスクがあります。お父様が一人暮らしをする場合は、一人暮らしのリスクを念頭に置いたうえで対策をとっていきましょう。
母が半月ほど前に亡くなり、父が実家で一人暮らしを始めました。ですが、これまで父は家事を母に任せきりで何もできない人です。なので、今後一人暮らしができるのかどうか…とても心配です。
母の葬式が終わってから1週間は私が実家に残って父の世話をしていたのですが、父に「もう良いから帰れ」と言われてしまい、自宅に帰らされました。同居も考えたものの、夫や娘がいることもあって我が家で暮らすのはスペース的に難しいです。
でも、やはり父の一人暮らしが心配で。父も80歳を超えているので何があるかわかりませんし…。これから、どうやって父をサポートしていけば良いでしょうか?
ご高齢のお父様の一人暮らしは心配ですよね…。ですが、まずはお父様がどうしたいのかを確認しましょう。
一人暮らしをしたいのか、宮下さんご家族と同居したいのか…。ほかにも「こうしたい」という考えがあるかもしれませんよ。
なるほど。不安が大きくて父の気持ちを聞いていませんでした。
今すぐに問題が起こりそうでなければ、手を出しすぎずにお父様の一人暮らしを見守ってみてはどうでしょうか?案外、これから家事を学んでつつがなく一人暮らしができるようになるかもしれませんよ。
確かに。あせっているのは私だけで、父は一人暮らしをなんとも思っていなさそうでしたね。しばらく様子見も良いのかもしれません。
「一人暮らし」と「同居」だけでなく、「老人ホームに入る」という選択肢もあります。施設探しのご相談を受けていても、親御さんが一人暮らしになってお子さんのご自宅近くの老人ホームを探す、というのは珍しくないんです。
老人ホームですか…。全然考えたことなかったです。
でも、父はまだまだ元気ですし、老人ホームは早い気がするんですが…。
お元気な方向けの老人ホームがあるんです。例えば、サービス付き高齢者向け住宅や有料老人ホームなど、介護が必要のない方でも入居ができるところは数多くあります。
宮下さんのご自宅近くの老人ホームにお父様が入居すれば頻繁に会いに行きやすいですし、ご家族としても安心できるのではないでしょうか。
もしお父様が一人暮らしをすることを選択された場合、ご高齢者が一人暮らしをするリスクについて把握しておいた方が良いでしょう。
高齢者が一人暮らしをするとリスクはありますよね。具体的に教えてください。
ご高齢者の一人暮らしのリスクには、以下のようなものがあります。
今後、足腰が弱ってきた場合、転倒のリスクが上がります。さらに転倒して骨折し、入院した場合、気力や筋力の低下につながる可能性も。筋力が低下すると歩けなくなって、移動に車椅子が必要になり、一気に介護が必要な状態となってしまうことも少なくないんです。
それに、入院すると活動が制限されます。すると、外部の刺激がなくなって認知機能の低下のリスクも。入院がきっかけとなって認知症になるケースも珍しくないので、注意が必要です。
転倒から認知症になることもあるんですか!それは怖いですね…。
一人暮らしのご高齢者は、食事の準備が億劫になって簡単に済ませてしまう傾向があります。出来合いのお惣菜やパンばかり食べていると、栄養が偏って低栄養状態になってしまう危険性も。低栄養状態になると、筋力や体力が落ちて介護が必要になるリスクもあるんですよ。
栄養状態が悪くなるのは、私も心配なんです。父は料理もろくにできませんし、お弁当やお惣菜を買ってきて済ませてしまうと思います。それが、介護が必要になるきっかけになってしまうんですね…。
一人暮らしをすると認知症になってしまうんですか!?
一人暮らしをすると、必ず認知症になるわけではありません。ただ、一人暮らしになって外部との交流がなくなったり活動が減ると、脳に刺激がなくなって認知症になるリスクが高くなると言われています。
それに、一人暮らしだとご家族が認知症の初期症状を見逃しやすい傾向があります。認知症の初期症状とは以下のようなものです。以前と変わった様子がないか、ご家族が気をつけておきましょう。
火の不始末も、ご高齢者の一人暮らしで気をつけたい点です。ガスコンロやストーブの消し忘れ、たばこの火を消しきれていないといったことから火事が起こる危険性があります。
確かに!高齢者がガスコンロの火を消し忘れて火事になる、というのは聞いたことがあります。注意しないと…。
高齢者が一人暮らしするリスクについて聞いていたら、やっぱり父の一人暮らしが心配になってきました。家族でサポートできることって何かないんでしょうか?
一番のサポートは定期的な関わりを絶やさないことです。月に数回でも一緒に食事を摂ったり、電話をするのもおすすめです。
頻繁に会話をしていれば生活や心身の変化にも気が付きやすいですし、何か困りごとがあるときに気軽に頼ってもらえる関係を築きやすいと思いますよ。
月に数回でも良いんですね。実家までそんなに遠くないので、私の負担にもならなさそうです。
また、転倒対策としてトイレや廊下など、転びやすいと思うところに手すりをつけるのも良いでしょう。もし、まだそこまで足腰が衰えていない場合は、不用品の整理をしておくことも転倒対策になります。
不用品整理が転倒対策になるんですか?
はい。ご高齢者のお宅は物が多い傾向があります。あふれかえった物につまづいて転倒するケースが少なくないんです。それに一人暮らしだと物の管理も難しくなるでしょうし、物を減らした方が暮らしやすくなることもありますよ。
火事の対策としては、ガスコンロやストーブなどを安全装置付きのものに変えるのがおすすめ。もし、お父様が料理をするつもりがないのであれば、ガスコンロではなく電子レンジや電気ケトルだけを使うようにしても良いでしょう。
なるほど…。今後、父が料理をする気があるかを聞いておく必要がありそうですね。
なんにせよ、父がこれからどう生活していきたいかを確認してから、対策をとっていくのが大切ですね。
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