老人ホームの看取りとはどれくらいの期間ですか?施設に「看取り」と言われたので覚悟をしておきたいです

老人ホームの看取りとはどれくらいの期間ですか?施設に「看取り」と言われたので覚悟をしておきたいです

更新日 2024/06/28
父が入居している老人ホームから、「そろそろお看取りかもしれません」と言われました。「看取り」と言われて亡くなるまではどれくらいの期間があるものでしょうか?大まかでも良いので父の残りの時間を知って覚悟しておきたいです。
(谷さん・61歳)

お看取りの期間はかなり個人差が大きいためなんとも言えないのが正直なところです。施設側で看取りケアを始めてから1ヵ月ほどで亡くなる方もいれば、数年後に亡くなる方もいます。

ただ、最期のときが近づくにつれてだんだんお父様の状態が変化していくので、経過を把握しておくことで大まかな時期がわかるでしょう。特に亡くなる直前は眠っている時間が長くなって反応がなくなり、のどがゴロゴロと鳴ることがあります。

老人ホームでの看取りの期間はどれくらい?

父が入居している老人ホームから「そろそろお看取りかもしれません」と言われています。施設から「看取り」と言われて亡くなるまでの期間はどれくらいのものなのでしょうか?

父は87歳と高齢なので想定はしていたことですが、いつ亡くなるのかを知って覚悟をしておきたいです。

うーん…。申し訳ないのですが、正直なところお看取りの期間は個人差が大きく、なんとも言えないのが正直なところなんです。老人ホームで看取りケアを開始してから1ヵ月以内で亡くなることもあれば、数年後に亡くなることもあります。

1ヵ月以内から数年…。確かにわからないですね。

ただ、最期のときが近づくにつれてお父様の状態は変化していきます。その変化で大まかな最期のタイミングがわかると思いますよ。

看取りのはじめ

看取りケアが始まってしばらくは以下のような状態が見られます。

  • 体重が減少する
  • 食欲が低下する
  • 尿量が減少する
  • せん妄が起こる

最期のときが近づくと、食欲が低下して食事量や体重、尿量が減っていきます。噛んだり飲み込んだりする機能が低下するため、施設ではやわらかい食事やペースト状の食事を提供。食事が摂れない場合も無理をせずに、好きなものや、アイスクリーム、高栄養ゼリーなどの食べやすいものを食べてもらうようにします。

また、体力が低下して誤嚥性肺炎などの感染症にかかりやすくなっているので、老人ホームでは口腔ケアを徹底し、口の中の清潔に努めます。

父は今は食事は摂れているようなので、まだ大丈夫かな。父の好きなアイスクリームがあるので、差し入れに持っていこうと思います。

その次の「せん妄」とはなんですか?

せん妄とは、意識障害のことです。時間や場所がわからなくなって混乱したり、つじつまの合わないことを言ったり、急に興奮することがあります。また、逆にぼーっとしたり、ウトウトと居眠りをすることもあります。

老人ホームでは、つじつまの合わない話をしていても否定せずに傾聴したり、興奮している場合は落ち着けるような声掛けをするなどの対応をします。普段と違う様子があっても、なるべくいつも通りに過ごせるように配慮しているんですね。

自宅で介護していて急に興奮し始めたら戸惑ってしまいそうですが、プロがそばにいるなら安心ですね。

亡くなる直前

亡くなる直前になると、以下のような状態になります。このような状態になると、施設側から最期が近い旨を伝えられるかもしれません。

  • 食べ物や飲み物がほとんど取れなくなる
  • のどがゴロゴロ鳴る
  • 眠っている時間が長くなる
  • 反応がなくなる

亡くなる直前は、水分を口に運んでも飲めなくなります。口の中が乾燥しているためたんをうまく出せず、のどからゴロゴロとした音がすることがあります。このようなときはぬらしたガーゼやスポンジで口内のたんを取り除き、湿らせる対応をします。

また、眠っているような状態で話しかけてもほとんど反応がなくなります。しかし、反応がなくても最後まで耳は聞こえていると言われているので、老人ホームではこまめに声掛けをしたりご本人が好きな音楽をかけたりして、孤独を感じないような配慮をしています。

そんな状態になるんですね…。老人ホームでは、寝たきりになって話もできなくなったら寝かせきりになってしまうのかと思っていましたが、いろいろと配慮してくれると聞いて安心しました。

ターミナルケア、緩和ケアとの違い 北野
看取りケアによく似ているものに「ターミナルケア」「緩和ケア」というものがあります。混同しやすいので、看取りケアとの違いを簡単にまとめました。
  • ターミナルケア:「終末医療」とも呼ばれる。点滴や酸素吸入などの医療ケアを中心とした対応
  • 緩和ケア:痛みを緩和するためのケア。がんの疼痛コントロールなど、投薬などによる治療をおこなう
  • 看取りケア:医療的ケアをおこなわず、日常生活のケアを中心におこなう

老人ホームでの看取りケアの内容

老人ホームでの看取りケアは、以下のように大まかに3種類に分かれます。どんなケアをしてもらえるのか、事前に把握しておくと安心できるんじゃないでしょうか。

  • 身体的なケア
  • 精神的なケア
  • 家族へのケア

身体的なケア

身体的なケアとは、以下のような対応をすることです。

  • 清潔の保持(口腔ケア、入浴、ベッドのシーツ交換など)
  • 身体的苦痛の緩和(床ずれ防止など)
  • 栄養や水分補給
  • 排せつ
  • バイタルサインのチェック

老人ホームは医療機関ではないので、延命のための医療行為は基本的にできません。そのため、入浴や清潔保持、排泄、食事といったいつも通りのケアに加えて、寝たきりになった際に床ずれ防止などの苦痛の防止・緩和をおこないます。

看取りケアを始めるといっても、通常のケアの延長線上にあるものなので特別なことはしません。いつも通りのケアを手厚くおこなって、できるだけ苦痛のないように配慮するのが老人ホームでの看取りケアです。

なるほど…。看取りケアだからといって特別なことはないんですね。5年以上も今の老人ホームにお世話になっていますし、顔見知りの職員さんにいつも通り接してもらうのが父にとっても良いのかもしれませんね。

精神的なケア

精神面では以下のようなケアをおこないます。

  • こまめに訪問する
  • 声掛けをする
  • スキンシップをする
  • 室内環境の整備

先ほどお話しした通り、最期のときが近づくと会話ができなくなることがほとんどです。だからといってコミュニケーションを取らないのではなく、こまめに声掛けをしたり、手を握るなどのスキンシップをして孤独感を和らげます。

家族へのケア

家族に対してもケアがあるんですか?

そうなんです。大切な人が亡くなる前後はご家族にとっても不安ですから、精神的なサポートをおこないます。具体的には以下のようなことです。

  • 入居者の状態をわかりやすく伝える
  • ケアの内容を丁寧に説明する
  • 家族の希望をケアに反映する
  • 家族が気持ちを打ち明けやすい雰囲気をつくる
  • 家族の気持ちに寄り添う

こういうことをしてもらえるんですね。安心しました。家族のサポートをしてもらえるなら、施設のスタッフさんにいろいろ相談してみようと思います。

  • 老人ホームでの看取り期間は数ヵ月~数年と個人差が大きい
  • 看取りのはじめは食欲低下やせん妄などが起き、亡くなる直前には眠っている時間が長くなる
  • 老人ホームの看取りケアは、身体的なケア、精神的なケア、家族へのケアをおこなう

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