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施設入居 医療体制 看取り

介護施設での看取りはどんな流れですか?老人ホームの看取りの内容も教えてください

老人ホームに入居している母が入退院を繰り返していて、この半年ほどで急に状態が悪化…。母はもう89歳で年齢も年齢なので、そろそろ看取りをすることも覚悟しないと、と思っています。 入居している施設には「看取りケアができる」と言われているのですが、どんなことをするのかよくわからず、不安です。看取りケアとは具体的にどんなことをするのでしょうか? (森本さん・パート・63歳) 看取りケアとは、主に最期を迎えるまでの身の回りのケアを指します。具体的には、清拭や入浴、口腔ケアなどで身体の清潔さを維持したり、ご入居者をお一人にしないように職員さんの訪室回数を増やしたりと、穏やかに最期を迎えられるようにケアを実施します。ただ、老人ホームには医師が常駐しておらず、看護師さんが夜間帯に勤務していない施設が多いです。そのため、急変時にも治療はできず、病院のようにすぐに看護師さんが駆けつけられない可能性があることは理解しておいてくださいね。 老人ホームの看取りの内容は? この半年ほどで老人ホームに入居している母の状態が悪くなっています。もう年齢が年齢なので、「そろそろ覚悟しないと」とは思っているのですが、どうしても不安なんです。母の施設は「看取りケアが可能」と聞いて入居しました。ただ、まだ看取りのタイミングではないようで、看取りの具体的な内容までは聞いていません。看取りケアとはどんなことをするのでしょうか? 急にお母様の体調が変わってしまうと、とても心配になってしまいますよね…。それに「看取りケア」という言葉も耳慣れない言葉かもしれませんから、詳しくお話ししていきますね。まず、老人ホームで実施されている主な看取りケアは、以下のようなものがあります。 清潔の保持 身体的苦痛の緩和 精神的苦痛の緩和 清潔の保持は、入浴や口腔ケアといった身体や、ベッドのシーツ交換、居室の清掃などの環境を清潔に保つことです。当然のことのように思えますが、身体や環境を清潔に保つことは穏やかな最期を迎えるためにはとても重要。看取り期のご入居者は、寝たきりで意識がないケースが多いのですが、だからといって清潔の保持を怠らないことが看取りケアでは大切にされているんです。 身体的なケア 身体的なケアは主に以下です。 清潔の保持(口腔ケア、入浴、ベッドのシーツ交換など) 身体的苦痛の緩和(床ずれ防止など) 精神的苦痛の緩和 栄養や水分補給 排せつ バイタルサインのチェック 身体的なケアでは、入居者が穏やかで快適に過ごせるように、身体を拭いたり身だしなみを整えたりと、日常生活を整備するケアがおこなわれます。 身体的なケアは当然のことのように思えますが、体や環境を清潔に保つことは穏やかな最期を迎えるためにとても重要です。 なるほど…。看取りになる前から施設でやってもらっているとは思いますが、看取り期ではより重要視されているんですね。 また、最期を迎える際の苦痛をなるべく和らげるようなケアもおこなわれます。例えば、身体的な苦痛を和らげるために、定期的に寝ている身体の向きを変えて床ずれを予防します。また、看取り期に入ると食事ができなくなる人がほとんどです。なので、施設では食べられるだけ提供し、無理に食べさせるようなことはしません。中にはゼリーやプリンであれば食べられることもあるので、差し入れで持っていっても良いかもしれませんね。 母も少し前までは食事をすべて食べられていたんですが、最近は3分の1くらい食べられれば良い方だそうです。最期が近くなると食欲が落ちるものなんですね…。 身体的な苦痛を緩和するケアと同時に、精神的な苦痛の緩和もおこないます。終末期になるとご本人も不安が強くなることがあります。なので、できるだけお一人にしないように職員さんの訪室回数を増やします。また、他の感覚がなくなっても聴覚は最後まで残ると言われているので、反応がなくても何度も声掛けをしたり、ご家族との時間を作ってご家族からも声掛けをしてもらいます。ご本人が少しでも寂しさを感じないように配慮することも、看取りケアのひとつなんです。 精神的なケア 身体的なケアと同時に、精神的な苦痛を緩和するためのケアもおこないます。内容な主に以下です。 できるだけ一人にしないようにスタッフの訪室回数を増やす 継続的にコミュニケーションを取る スキンシップを図る 室内環境の整備(照明など) 終末期になると入居者本人も不安が強くなることがあります。看取りケアでは、入居者の不安や孤独感などの気持ちに寄り添いコミュニケーションを図っていきます。 また、プライバシーを尊重したり、今いる場所が安心だと思えるような快適な室内環境を作ることも大切にしています。 家族に対するケアがある? 看取り期は、亡くなるご本人と同時にご家族にもケアを実施するんです。 え?家族にですか? はい。やはり大切な方が亡くなるわけですから、ご家族の精神的な負担も大きいですよね。なので、ご家族の不安を和らげるためにケアの内容を丁寧に説明したり、最期を迎える際のご家族の希望をケアに反映することもあります。また、亡くなった後には「グリーフケア」を実施。大切な人を亡くした後のご家族が悲しみから立ち直って日常生活をおくれるようにする支援をおこなうんです。 家族へのケア 看取りケアでは、入居者本人へのケアだけでなく、入居者の家族へのケアもおこないます。具体的には以下です。 入居者の状態を正しく、わかりやすく伝える ケアの内容を丁寧に説明する 最期を迎える際の家族の希望をケアに反映する 家族が気持ちを打ち明けやすい雰囲気をつくる 不安や動揺している場合、気持ちに寄り添う 最期のときが近づくと、家族は大切な人が衰弱していく姿を見ることになるので、ショックを受けたり、冷静でいられなくなったりすることもあるでしょう。看取りケアでは家族の不安や辛い心情に寄り添った対応をしてくれます。 また、施設側が家族に対して入居者の状態をわかりやすく伝えることによって、「今、何が起こっているのか」だけでなく、「これからどのようなことが起こるのか」がわかり、気持ちを落ち着けることにつながります。 母が亡くなった後のことはまだ考えられませんが…そうした支援があると助かりますね。 老人ホームでの看取りの流れは? 老人ホームでの看取りケアについて、おおまかにイメージがつきました。まだ母の老人ホームからは看取りについて何も言われていないのですが、看取りが始まるのはどんなタイミングなんでしょうか? 提携医療機関の医師によって「回復の見込みがない」と診断されたときに看取りをするかどうかの判断をします。ご本人やご家族の同意があった場合、看取りケアに入るわけですね。ちなみに、看取りケアは以下のような流れでおこないます。 医師から”看取り”の診断が下りる 家族から同意を得る 「看取り介護計画書」を作成する 看取りケアを実施する 3番目の「看取り介護計画書」とは何ですか? 看取り介護計画書は、看取りに特化したケアプランのことです。これまでも、介護内容を定めてケアプランをケアマネジャーさんに作成してもらっていると思います。看取り期に入ると、それが看取りケアの内容に変更するわけです。看取り介護計画書を作成する際に、「食事ができなくなったらどうするか」などの詳細なケアについてケアマネジャーさんと相談します。看取りケアについても通常のケアと同様でご本人やご家族の意向を反映できるので、「どんな最期を迎えたいか」をこのタイミングで考えておくと良いでしょう。 「どんな最期を迎えたいか」…。まだ実感がありませんが、それを考えないといけなくなるんですよね…。 そうですね…。お辛いことかもしれませんが、お母様やご家族の希望を実現するためには必要なことなんです。もちろん、通常のケアプランと同じく、決めた内容は後から変更できます。看取りケアをおこなう中で考えが変わった場合は、施設のケアマネジャーさんに相談してくださいね。 老人ホームだからこそできる看取り 日本の8割近くの人が病院で最期を迎えています。病院であれば、医師や看護師がすぐ近くにいるので急変時にもすぐ対応できて安心ですよね。ただ、病院では点滴や酸素吸入といった医療措置を受けて苦しみが長引き、その人らしい最期を迎えられないこともあります。そうしたときに、その人らしい最期を迎えるために老人ホームを選ぶのもひとつの手です。 病院での看取りと老人ホームでの看取りは、何か違いがあるんですか? 病院では、食事ができなくなると点滴をしたりと医療ケアがおこなわれます。病院で終末期におこなわれる医療ケアを「ターミナルケア(終末期医療)」と呼びます。病院でも無理な延命治療はおこないませんが、点滴によってむくんでしまったりあざができてしまったりと、治療による苦痛が伴う可能性があります。 点滴をすれば食事をしなくても良いから良いものだと思っていましたが、良いことだけではないんですね…。 対して、老人ホームでは点滴や酸素吸入などの医療ケアはできません。が、日常的なケアを通してできるだけ苦痛を和らげて自然な形での最期を迎えられるように支援をします。ご本人の意識が薄くてコミュニケーションが取れなくなっても、好きな音楽を流したりご家族との写真を飾ったりと、ご本人やご家族の意向を反映できるのが老人ホームでの看取りの特徴です。それに、それまで関わってきた介護職員さんに見守られながら最期を迎えられるのも安心できるポイントでしょう。 本当に、母の施設の職員さんたちには良くしていただいています。そうした人たちに見守られて最期を迎えられるなら、母も穏やかな気持ちでいられると思います。看取りが始まるまでまだ時間があるようなので、母にどんな最期を迎えてほしいのか家族でよく話し合ってみますね。 特養や有料老人ホームなど、看取り対応している介護施設は多い 介護施設では身体的・精神的苦痛の緩和、身の回りのケアを中心におこなう 介護施設なら家族との時間を作ったり、本人・家族の意向を重視した看取りができる pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: scroll; ...

2022/12/15

施設入居 医療体制 看取り

末期がん患者でも老人ホームに入居できますか?余命宣告を受けた父が入れる介護施設を探しています。

父は末期がんで余命半年と言われています。これ以上の治療ができないため退院をしなくてはいけませんが、在宅介護は難しいので老人ホームの入居を考えています。 医療用麻薬での痛みの管理が必要な状態なのですが、老人ホームで対応してもらえるでしょうか? (中田さん・自営業・57歳) 医療体制が整っている介護施設であれば、対応可能です!疼痛管理が必要な状態でしたら、訪問看護ステーションが介護施設に併設していたり、看護師が24時間常駐している施設が安心して生活できるでしょう。最近では、穏やかな最期を支援する「ホスピスケア」の対応ができる介護施設が増えています。そういった施設では最期までご本人らしく過ごせるようなサポートを受けられますよ。 末期がんでも入居できる老人ホームはある? 先日、父が末期がんで余命半年と言い渡されました。これ以上、治療のしようがないので退院しないといけません。でも、高齢の母が1人で介護をすることになってしまうので、在宅介護は難しい状況です。なので、老人ホームに入居させたいと思っているのですが、末期がんの父を受け入れてくれるところはあるでしょうか? はい。医療体制が整っている介護施設であれば、ご入居いただけるところはありますよ。ちなみに、お父様は痛み止めの使用をしていらっしゃいますか? しています。医療用麻薬と言うんでしょうか、痛み止めの注射をしています。 なるほど…。となると、夜間も看護師が常駐していたり、訪問看護サービスで24時間医療サポートが受けられるような手厚い医療体制が整っている施設が良いでしょう。 よかった、介護施設でも24時間医療サポートが受けられるところがあるんですね!緩和ケア病棟の申し込みをしていますが、空きがなくてすぐには入れそうにないので助かります。具体的には、どんな施設だと父を受け入れてもらえるんでしょうか? 施設ごとに医療体制が異なるのですべての施設が受け入れ可能ではありませんが、末期がんの人を受け入れられる介護施設には、主に以下のようなものがあります。 介護付き有料老人ホーム 住宅型有料老人ホーム サービス付き高齢者向け住宅 まず有料老人ホームは、「介護付き有料老人ホーム」と「住宅型有料老人ホーム」の2種類に分けられるんです。名前は似ていますが介護サービスの提供方法に違いがあるので、この2種類の違いを理解しておくと施設選びの失敗が少なくなりますよ。 サービスの提供方法ですか?何が違うんでしょう? はじめに、「介護付き」は介護サービスがすべて施設内で完結しており、介護保険の自己負担額に介護サービス費用が含まれています。この自己負担額は要介護度で決められる定額制で、サービスの量が増えても金額が変わらないのが魅力なんです。対して、「住宅型」では介護サービスの利用には、別途、外部の介護サービス事業者との契約が必要です。それが手間に感じるかもしれませんが、訪問看護や訪問介護などを好きなように組み合わせられます。さらに、介護サービス費が利用した分だけかかる形式なので、あまり介護サービスを使わない場合には、費用が抑えられるんです。 医療費なんかもかかりますから、費用が抑えられるのは助かります。 それと「サービス付き高齢者向け住宅」というのは、バリアフリー設計などご高齢者が暮らしやすいように工夫された住宅のこと。住宅型有料老人ホームと同様に、契約をすれば介護サービスを利用できます。その施設にもよりますが、有料老人ホームと比較すると要介護度が低い人が入居している傾向があります。 それぞれで特徴があるんですね。どの施設にするか迷うな…。 正直なところ、介護施設は一つひとつまったく異なります。お伝えした特徴を頭に入れておきつつ、実際の施設を見学してみてお父様に合うかどうか判断してくださいね。 老人ホームでのがん治療は? 父が入居できる介護施設がありそうでよかったです。 最近では、「ホスピスケア」ができる介護施設が増えており、ホスピスケアを提供する施設のことを「ホスピス」と呼ぶこともあります。ホスピスが増加したことで末期がんや難病の人を施設で受け入れるケースも増えているんです。 ホスピスケアとは ホスピスケアというのは、どんなケアですか? ホスピスケアは、安らかな最期を迎えてもらうためのサポートをすることです。具体的には、以下のようなケアがおこなわれます。 身体的ケア 精神ケア 社会的ケア 「身体的ケア」は、入浴、食事、排泄などといった身体的な介助のこと。加えて、痛みをコントロールするための治療も含みます。その次の「精神的ケア」は、病気による苦しみや恐怖心を和らげることです。医師や看護師だけでなく、カウンセラーなどとも連携して精神的にもサポートをおこなっています。 そうなんですね…。父も余命宣告を受けてショックを受けているので、精神的なサポートをしてもらえるのは助かります。 最後の「社会的ケア」は、財産の整理や相続対策などを代行してくれるサービスです。ホスピスを利用する人やそのご家族は、社会的な申請や手続きなどをおこなう余裕がないことが多いので、それを代行して負担を減らす配慮がされているんです。 そうか…そういう手続きも必要なんですよね。父のことで頭がいっぱいで、手続きについてまで気が回っていませんでした。代行サービスがあるなら利用したいなぁ。 ホスピスでおこなわれる3つの大切なケア 先ほどお話しした「身体的ケア」「精神ケア」「社会的ケア」とは別に、ホスピスではご入居者の苦しみや痛みの負担を軽くするために以下のような基本的なケアを提供しています。 緩和ケア ターミナルケア 看取りケア 「緩和ケア」はわかります。病院でもおこなっていましたから。がんの痛みをコントロールすることですよね? おっしゃる通り、鎮痛剤などを使って病気の痛みを軽減するケアのことです。この緩和ケアで使用される医療用麻薬は看護師でないと扱えません。そのため、痛みが出たときにすぐに対応できるように、看護師が24時間対応できる体制を持つ介護施設が末期がんの人の受け入れをしています。 それではその次の「ターミナルケア」はどんな内容ですか? ターミナルケアは、残りの人生を豊かにするためのケアです。緩和ケアも並行しておこない、ご入居者の生活の質を保つことを目的としています。最後の「看取りケア」は、死の間際の人に日常的な介護を通して苦痛を緩和するケアのこと。ターミナルケアと異なるのは、看取りケアでは鎮痛剤などを使った治療や看護はおこなわず、日々の介護を通して苦しみを和らげる点です。 病院と老人ホームのケアの違い 老人ホームの対応内容についてもよくわかりました。ただ、病院でのケアとは何が違うんでしょうか?父が病院で受けていたケアとは違うんですか? 基本的に、病院は病気を治療するのを目的としていますが、老人ホームでは異なります。痛みを緩和するための医療サポートはおこなうものの、病気の改善ではなく苦痛の緩和を目的としたものです。 あぁ、なるほど…。父も医師から「もう状態が良くなる見込みがない」と言われています。 そうだったんですね…。もうひとつ、病院と異なる点は、ご家族もケアに参加できる点です。病院では面会時間や人数に制限がかかっていることが多いです。一方で、ホスピスケアを提供している施設では、ご家族と一緒に食事ができたり宿泊もできる場合もあり、比較的融通が効きます。なので、「家族との時間を大切にしたい」という希望も老人ホームなら叶えられるでしょう。 そうなんですね!施設に入居するとなると、父がさびしい思いをしてしまうんじゃないかと心配でしたが、宿泊できるのはうれしいですね。 加えて、イベントやレクリエーションをおこなっている施設も多いです。それに、病院とは異なり、お酒やタバコを禁止していない施設もあります。最期の時間をなるべく豊かにできるように、暮らしの楽しみが多くあるんです。 へぇ!父は、がんが発見されるまでお酒を毎日飲むような人でしたから、飲酒できるのはとても喜びそうです。 ホスピスケアを提供する介護施設では、末期がんなどの病気の人が穏やかに最期を迎えられるような体制が整っています。病院とは異なって自由度も高いので、お父様らしい生活ができると思いますよ。 末期がんの人にホスピスケアを提供できる老人ホームが増えている 老人ホームでは「緩和ケア」「ターミナルケア」「看取りケア」を提供している 老人ホームでは、病気の改善ではなく最期を穏やかに過ごすためのケアがおこなわれる pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: scroll; line-height: ...

2022/11/21

施設入居 認知症介護 グループホーム 看取り

グループホームでは看取りの対応ができますか?母の最期は病院ではなく施設で迎えてさせてあげたいと思っています。

母の認知症が進行しており、介護施設に入居させようと考えています。母は大人数が苦手なので、グループホームを中心に探している状況です。ただ、母は今は元気ですが高齢なため看取りの対応ができる施設が良いかな、と思っています。 看取りができるグループホームはあるんでしょうか? (西川さん・65歳・自営業) 看取りができるグループホームはありますよ!グループホームは少人数のユニット体制のため、介護職員さんや他の入居者さんも見知った顔の中で最期までの時間を過ごせるのが魅力なんです。ただ、医師や看護師が常駐していない施設がほとんどなので、医療処置が必要な場合はグループホームでの看取りは難しいです。また、すべてのグループホームで看取りの対応をしているわけではないので、事前に確認しておきましょう。 グループホームで看取りはできる? 最近、母の認知症が進行してきて、自宅では介護しきれなくなってきたので介護施設に入居させようと考えています。母は大人数が苦手なので、介護施設の中でも少人数体制のグループホームが合っているんじゃないかと思って施設探しをしています。ただ、母はもう89歳。今後のことを考えると、看取りの対応をしている施設が良いです。グループホームでは看取り介護をしてもらえるのでしょうか? グループホームで看取り介護をしているかどうかは、施設ごとに異なります。看取りができるグループホームもあれば、看取りの体制が整っていないところもあるんです。 そうなんですね。じゃあ、施設に確認しなきゃいけないんですね。 おっしゃる通りです。高齢化に伴って介護を必要とするご高齢者が増えて、それに合わせて看取りができるグループホームも増加しています。とはいえ、まだまだ看取りができない施設も多いのが実情です。 グループホームでの看取り介護 看取りができるグループホームを探している、と言いつつ、看取り介護でどんなことをするのかをよくわかっていません。グループホームではどんな対応をしてくれるんでしょうか? グループホームに限らず、看取りケアは以下のような流れでおこなわれます。 協力医療機関の医師の判断 家族の同意 看取り介護の計画を作成 看取り介護の実施 医師が「回復の見込みがない」かつ「医療機関での処置の必要性が低い」と判断した人が看取りケアの対象となります。ほとんどのグループホームには医師が常駐していませんから、この判断は協力医療機関の医師がおこないます。その後、医師からご家族に看取りケアの必要性を説明し、同意を得ます。この際に、ご家族は「グループホームで看取り介護をおこなう」という選択はもちろん、「医療機関に入院する」という選択も可能です。 なるほど。医師からの説明があるなら安心できますね。 そして、グループホームで最期を迎える場合、医師や看護師などと連携してケアマネジャーが看取りケアの計画を作成します。ここで、具体的なケア内容を決めるわけですね。ご家族の要望もこの計画に盛り込むことができます。そうして決定した計画に基づいて、看取り介護が開始されます。ちなみに、看取りケアでは血圧などのバイタルチェックはおこないますが、点滴などの医療的ケアはおこなわれません。こうした医療処置をおこないたい場合は、医療体制の整っている介護施設か病院に入院する必要があるので注意してください。 点滴はグループホームではできないんですね。では、具体的にはどんなことをしてもらえるんですか? グループホームでの看取りに限らず、看取り介護では以下のようなケアを実施します。 栄養・水分補給 清拭(入浴) 口腔ケア 排泄ケア 体位変換 褥瘡ケア 身体的苦痛の緩和 定期的な居室巡回 居室の環境整備 バイタルの確認 コミュニケーション スキンシップ 看取り期の人は、口からの栄養摂取ができない状況であることが多いです。それでも、無理のない範囲でゼリーなどで水分・栄養摂取をします。合わせて、口腔ケアも重要です。口の中にゼリーなどが残っていたり唾液が溜まってしまうことで、誤嚥性肺炎のリスクが高まります。穏やかな最期を迎えていただくためにも、口腔ケアは大切なんですね。 食事をしないから口腔ケアは必要なさそうですが、重要なんですね…。 また、同じように体位変換や褥瘡ケアも大切。看取り期の人はベッドの上で長時間、横になっているわけですから、褥瘡ができやすい状態です。さらに、ほとんど栄養を摂らず皮膚が弱くなっていることも褥瘡の原因になります。そのため、定期的な体位変換で褥瘡の予防をおこないます。 「コミュニケーション」というのは何ですか?看取りの人は意識がないので、会話はできないですよね? ええ、ほとんど会話はできない状態であることが多いです。意識がはっきりしていなくても、聴覚は最期まで残っていると言われています。そのため、看取りケアでも名前を呼びかけたり声をかけてあげるんです。…と、このように、看取りケアではその人がなるべく苦痛がなく穏やかに最期を迎えられるように支援をおこなっていきます。 医師・看護師のいないグループホームでの看取り ここまで、グループホームでおこなう看取りケアについてお話をしてきました。グループホームでの看取りケアについてイメージできたでしょうか? はい。最期まで自宅で過ごせない以上、やはりグループホームで看取りケアをしてもらう方が良いかな、と考えています。 それはよかったです。ただ、グループホームでの看取りケアには注意点があります。 注意点ですか?どんなことでしょう? ほとんどのグループホームに医師・看護師が常駐していないということです。 えっ!グループホームって、ドクターや看護師さんが常駐していないんですか? そうなんです。中には看護師が日中は勤務しているグループホームもありますが、ごくわずかです。そのため、協力医療機関の医師が定期的に往診していたり、訪問看護を利用して医療処置を受けているケースが大半です。もし、「何かあったときにすぐに医師や看護師のケアが欲しい」と考えている場合は、グループホームでの看取りケアは難しいですね…。 そう聞くと不安になりますね…。どうしたら良いんでしょうか? 「やっぱり看護師がいる環境で看取り介護を受けたい」という場合は、特別養護老人ホームや有料老人ホームを選ぶのがおすすめです。グループホームのように、少人数体制でない施設が多いのですが、日中は看護師が常駐していますよ。もちろん、元気なうちはグループホームに入居して、医療的ケアが必要になったら特養や有料老人ホームに転居するのもひとつの手です。 そういった方法もあるんですね!グループホームしか考えていなかったので、その他の施設も視野に入れてみます。 もちろん、状態が安定していれば、グループホームでも看取りの受け入れは十分可能です。ただ、事前に医師や看護師が常駐していないことを理解したうえで、グループホームで看取りをするかどうかを決めてくださいね。 看取りができるグループホームの探し方は 看取りケアに対応しているかどうかは、グループホームによって違うんですよね?いくつもあるグループホームの中から、どうやって看取りケアをしている施設を探せば良いんでしょうか? グループホームが看取り対応しているかどうかは、契約内容について記載している「重要事項説明書」を見ればわかります。この重要事項説明書で「看取り介護加算」を算定しているグループホームは、看取りケアの対応が可能です。ただ、重要事項説明書はネット上で公開している施設もありますが、いちいち探すのも面倒なのが正直なところ。なので、やはり手っ取り早いのは、グループホームに直接問い合わせる方法でしょう。 それはそうですよね。施設に電話すればどんな対応ができるのかも聞けるでしょうし…。でも、どこにどんなグループホームがあるのかもよくわからないので、問い合わせのしようがないというか…。 そうなんですよね。なので、看取り対応をしているかどうかをグループホームに問い合わせたい場合は、ぜひ「いい介護 入居相談室」にご相談ください。近隣の複数のグループホームに問い合わせがまとめてできますよ。グループホームでの看取りは、小規模体制ならではの温かみを感じられるものです。ただ、必ずしも看取りの対応ができるとは限らないので、事前にしっかり確認してくださいね。 グループホームでも看取り対応している施設と対応していないところがある 医療体制が充実しているわけではない点に要注意 pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: scroll; line-height: 1.1; } ...

2022/11/01

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介護付き有料老人ホームとは│提供されるサービス・費用・入居条件などを解説

介護付き有料老人ホームは、介護スタッフが24時間常駐している介護施設。介護サービスや身の回りの世話を受けられます。 この記事では、介護付き有料老人ホームの種類及び入居のための条件や必要な費用、サービス内容などを詳しく説明しています。 https://youtu.be/oK_me_rA0MY 介護付き有料老人ホームの特徴 介護付き有料老人ホームとは、有料老人ホームのうち、都道府県または市町村から「特定施設入居者生活介護」の指定を受けた施設です。24時間介護スタッフが常駐し、介護や生活支援などは施設の職員により提供されます。 主に民間企業が運営しているため、サービスの内容や料金は施設ごとに異なります。また、入居基準も施設により異なり、自立している方から介護が必要な方まで幅広く受け入れている施設も。選択肢が幅広いため、自分に合った施設を選ぶことができます。 看取りまで対応している施設も多数あり、「終の棲家(ついのすみか)」を選ぶうえでも選択肢のひとつとなります。 全体の概要をまとめるとこのようになります。 費用相場 入居時費用 0~数千万円 月額利用料 15~30万円 入居条件 要介護度 自立~要介護5※1 認知症 対応可 看取り 対応可 入居のしやすさ ◯ ※施設の種類によって異なります。 特定施設入居者生活介護とは 特定施設入居者生活介護は、厚生労働省の定めた基準を満たす施設で受けられる介護保険サービスです。ケアマネジャーが作成したケアプランに基づき提供される食事や入浴・排泄など介助のほか、生活支援、機能回復のためのリハビリなどもおこなわれます。指定を受けてこのサービスを提供する施設は、一般的に「特定施設」の略称で呼ばれています。 介護付き有料老人ホームの種類と入居基準 介護付き有料老人ホームには「介護専用型」「混合型」「健康型」の3種類があり、それぞれ入居条件が異なります。 介護度 ...

2021/11/10

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グループホームとは|入居条件や費用、入居時に気をつけたいポイントを解説

認知症の方の介護は大変です。「そろそろ施設への入居を検討しよう」と思っても、認知症の症状があると、入居を断られてしまうのではと心配もあるでしょう。 グループホームは認知症高齢者のための介護施設です。住み慣れた地域で暮らし続けられる地域密着型サービスであり、正式な名称を「認知症対応型共同生活介護」といいます。 こちらの記事では、グループホームについて解説します。また、グループホームで受けられるサービスや費用、施設選びのポイントも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。 https://youtu.be/EofVO7MRRDM この記事を読めばこれがわかる! グループホームの詳細がわかる! グループホームを選ぶ際のポイントがわかる! グループホームへ入居する際の注意点がわかる! グループホームとは グループホームとは、認知症高齢者のための介護施設です。専門知識と技術をもったスタッフの援助を受けて、要支援以上の認知症高齢者が少人数で共同生活をおくります。 「ユニット」といわれる少人数のグループで生活し、入居者はそれぞれ家事などの役割分担をします。 調理や食事の支度、掃除や洗濯など入居者の能力に合った家事をして自分らしく共同生活を過ごすところが、ほかの介護施設や老人ホームとは異なるポイントです。 グループホームの目的は、認知症高齢者が安定した生活を現実化させること。そのために、ほかの利用者やスタッフと協力して生活に必要な家事を行うことで認知症症状の進行を防ぎ、できるだけ能力を維持するのです。 グループホームは少人数「ユニット」で生活 グループホームでは「ユニット」と呼ばれるグループごとに区切って共同生活を送るのが決まり。1ユニットにつき5人から9人、原則1施設につき原則2ユニットまでと制限されています。 少人数に制限する理由は、心穏やかに安定して過ごしやすい環境を整えるため。環境変化が少なく、同じグループメンバーで協力して共同生活することは、認知症の進行を防ぐことに繋がります。 認知症の方にとって新しく出会う人、新しく覚えることが難しいので、入居者やスタッフの入れ替わりが頻繁にある施設では認知症の高齢者は心が落ち着かず、ストレスを感じ生活しづらくなってしまいます。その結果、認知症症状を悪化させるだけでなく、共同生活を送る上でトラブルを起こすきっかけとなります。 慣れ親しんだ場所を離れて新しい生活をするのは認知症の方には特に心配が尽きないもの。その心配を軽減するため、より家庭にできるだけ近づけ、安心して暮らせるようにしています。 グループホームの入居条件 グループホームに入居できるのは医師から「認知症」と診断を受けている方で、一定の条件にあてはまる方に限ります。 原則65歳以上でかつ要支援2以上の認定を受けている方 医師から認知症の診断を受けている方 心身とも集団生活を送ることに支障のない方 グループホームと同一の市町村に住民票がある方 「心身とも集団生活を送ることに支障のない」という判断基準は施設によって異なります。入居を希望している施設がある場合には、施設のスタッフに相談しましょう。 また、生活保護を受けていてもグループホームに入ることは基本的には可能です。しかし、「生活保護法の指定を受けている施設に限られる」などの条件があるので、実際の入居に関しては、行政の生活支援担当窓口やケースワーカーに相談してみましょう。 グループホームから退去を迫られることもある!? グループホームを追い出される、つまり「強制退去」となることは可能性としてゼロではありません。一般的に、施設側は入居者がグループホームでの生活を続けられるように最大限の努力をします。それでも難しい場合は、本人やその家族へ退去を勧告します。「暴言や暴力などの迷惑行為が著しい場合」「継続的に医療が必要になった場合」「自傷行為が頻発する場合」etc。共同生活が難しくなった場合には追い出されてしまうこともあるのです グループホームで受けられるサービス グループホームで受けられるサービスは主に以下です。 生活支援 認知症ケア 医療体制 看取り それぞれ詳しく見てみましょう。 生活支援 グループホームでは以下の生活面でのサービスを受けられます。 食事提供 :◎ 生活相談 :◎ 食事介助 :◎ 排泄介助 :◎ 入浴介助 :◎ 掃除・洗濯:◯ リハビリ :△ レクリエーション:◎ 認知症を発症すると何もできなくなってしまうわけではなく、日常生活を送るだけなら問題がないことも多いです。 グループホームには認知症ケア専門スタッフが常駐しています。認知症進行を遅らせる目的で、入居者が専門スタッフの支援を受けながら入居者の能力(残存能力)に合った家事を役割分担して自分たち自身でおこないます。 食事の準備として買い出しから調理、配膳、後片付けまで、そして洗濯をして干すといった作業や掃除も、スタッフの介助を受けながら日常生活を送ります。 グループホームでは、入居者の能力(残存能力)に合った家事を役割分担して自分たち自身でおこなうことになります。 例えば、食事の準備として買い出しから調理、配膳、後片付けまで。また、そして洗濯をして、干すまで…など。そのために必要な支援を、認知症ケアに長けた専門スタッフから受けられるのが、グループホームの大きな特徴です。 グループホームは日中の時間帯は要介護入居者3人に対して1人以上のスタッフを配置する「3:1」基準が設けられています。施設規模によっては、付き添いやリハビリなどの個別対応が難しいので、入居を検討する際は施設に確認しましょう。 認知症ケア 施設内レクリエーションやリハビリのほかに、地域の方との交流を図るための活動の一環として地域のお祭りに参加や協力をしたり、地域の人と一緒に公園掃除などの活動を行う施設も増えてきました。 グループホームとして積み上げてきた認知症ケアの経験という強みを活かし、地域に向けた情報発信などのさまざまな活動が広がっています。 地域の方と交流する「認知症サロン」などを開催して施設外に居場所を作ったり、啓発活動として認知症サポーター養成講座を開いたりするなど、地域の人々との交流に重きを置くところが増えています。 顔の見える関係づくりをすることで地域の人に認知症について理解を深めてもらったり、在宅介護の認知症高齢者への相談支援につなげたり。 こうした活動は認知症ケアの拠点であるグループホームの社会的な価値の向上や、人とのつながりを通じて入所者の暮らしを豊かにする効果が期待できます。 医療体制 グループホームの入居条件として「身体症状が安定し集団生活を送ることに支障のない方」と定義しているように、施設に認知症高齢者専門スタッフは常駐していますが、看護師が常駐していたり、医療体制が整っているところはまだまだ少ないです。 しかし近年、高齢化が進む社会の中で、グループホームの入居者の状況も変わってきています。 現在は看護師の配置が義務付けられていないので、医療ケアが必要な人は入居が厳しい可能性があります。訪問看護ステーションと密に連携したり、提携した医療機関が施設が増えたりもしているので、医療体制について気になることがあれば、施設に直接問い合わせてみましょう。 看取り 超高齢社会でグループホームの入所者も高齢化が進み、「看取りサービス」の需要が増えてきました。 すべてのグループホームで看取りサービス対応しているわけではないので、体制が整っていないグループホームの多くは、医療ケアが必要な場合、提携医療施設や介護施設へ移ってもらう方針を採っています。 介護・医療体制の充実度は施設によってさまざまです。介護保険法の改正が2009年に行われ、看取りサービスに対応できるグループホームには「看取り介護加算」として介護サービスの追加料金を受け取れるようになりました。 看取りサービスに対応しているグループホームは昨今の状況を受け増加傾向にあります。パンフレットに「看取り介護加算」の金額が表記されているかがひとつの手がかりになります。 グループホームの設備 グループホームは一見、普通の民家のようで、家庭に近い雰囲気が特徴ですが、立地にも施設基準が設けられています。 施設内設備としては、ユニットごとに食堂、キッチン、共同リビング、トイレ、洗面設備、浴室、スプリンクラーなどの消防設備など入居者に必要な設備があり、異なるユニットとの共有は認められていません。 入居者の方がリラックスして生活できるように、一居室あたりの最低面積基準も設けられています。このようにグループホーム設立にあたっては一定の基準をクリアする必要があります。 立地 病院や入居型施設の敷地外に位置している利用者の家族や地域住民と交流ができる場所にある 定員 定員は5人以上9人以下1つの事業所に2つの共同生活住居を設けることもできる(ユニットは2つまで) 居室 1居室の定員は原則1人面積は収納設備等を除いて7.43㎡(約4.5帖)以上 共有設備 居室に近接して相互交流ができるリビングや食堂などの設備を設けること台所、トイレ、洗面、浴室は9名を上限とする生活単位(ユニット)毎に区分して配置 グループホームの費用 グループホーム入居を検討する際に必要なのが初期費用と月額費用です。 ここからは、グループホームの入居に必要な費用と、「初期費用」「月額費用」それぞれの内容について詳しく解説していきます。 ...

2021/11/15

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【動画でわかる】有料老人ホームとは?費用やサービス内容、特養との違いは

介護施設を探している中で「老人ホームにはいろいろな種類があるんだ。何が違うんだろう?」と疑問を感じることがあるかもしれません。 そこで今回は、名前に「老人ホーム」とつく施設の中でも、「有料老人ホーム」を中心に紹介。よく似ている「特別養護老人ホーム」との違いも見ていきます。 「老人ホームの種類が多すぎて訳がわからない」と思ったら、ぜひ参考にしてみてくださいね。 https://youtu.be/eMgjSeJPT8c 有料老人ホームの種類 有料老人ホームには、以下の3種類があります。 介護付き有料老人ホーム 住宅型有料老人ホーム 健康型有料老人ホーム この3種類の違いを以下にまとめています。 種類 介護付き有料老人ホーム ...

2021/10/28

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