便を食べてしまったときに叱ったり怒ったりするのはNGです。ストレスを感じて、余計に食べるようになってしまう可能性があります。
便が下着の中に残っていることで肌が不快で触って、手に着いた便を食べてしまった可能性があります。なので、排便のタイミングを把握して、下着の中に便が残っている時間を短くしましょう。
空腹やストレスなどから便を食べてしまっている可能性があります。原因を把握して対応していきましょう。
先日、家に帰ったら父が手を便で汚して廊下に立っていたんです。よく見たら口の中にも便があって…。たぶん食べてしまったんだと思います。
それ以降、便を食べてしまったり、食べようとしたところを私が止めたことも何度かありました。ずっと目を離せないので、しんどくて…。
毎回、父を叱るのですが食べるのを止めないんです。
実は…便を食べてしまったときに叱ったり怒ったりするのはNGなんです。
えっ、そうなんですか!?どうしてですか?
叱られるというのは誰しもストレスを感じますよね。そのうえ、認知症の方の場合、なぜ怒られているのか理解できない可能性があります。
「なぜかわからないけど怒られる」というのはとてもストレスを感じることですよね。そのストレスが原因で、余計に便を食べるようになることもあるんです。
えぇ!?では、どうしたら良いんですか?
落ち着いた口調で、「便を食べるのは危険」と伝えましょう。便とわかっていない場合、「おしりに付いているものを食べるのは危険なんだよ」という伝え方でも良いでしょう。
便を触っていたり、食べてしまっているのを見ると、どうしても怒りたくなると思います。が、そこはぐっと気持ちを落ち着けてから、話をしましょう。
認知症の方との関わり方については、以下のご質問でも詳しくお話ししています。参考にしてください。
父が便を食べるのを止める方法はありますか?もう、どうしたら良いかわからないんです。
いくつか方法があります。ひとつずつ試していきましょう。
まずは、お父様の排便のタイミングを把握しましょう。同じルーティンで生活していることが多いご高齢者は、排便のタイミングもある程度決まっています。そのため、1日の排便のタイミングや、毎日、排便がない場合や何日間隔で排便があるのかを把握してみましょう。
トイレ介助をしている場合は、比較的、把握しやすいと思います。お父様がお一人でトイレに行く場合、いつもよりもトイレが長いときに排便していることが多いです。意識して記録しておきましょう。
排便のタイミングですか…。記録するのは良いんですが、タイミングを把握してどうするんですか?
排便のタイミングが把握できると、下着の中に排便してしまったときにすぐに確認できますよね。下着の中に便があると、気になって触ってしまうことがあります。それに手についた便を口にしてしまうことを防げるんです。
できるだけ便が肌に触れている時間を減らすと、便を食べてしまう回数が減ると思いますよ。
手で便をいじってしまうときの対応については、以下のご質問でも詳しくお話ししています。参考にしてください。
また、肛門やおしりの周りにワセリンなどの保湿クリームを塗っておくのも効果があるかもしれません。
というのも、下着やパッドの蒸れによって肌がかぶれ、おしりをかいてしまって便が手につくことがあります。あらかじめ、クリームで皮膚を保護しておくとかゆみの予防になるでしょう。
お父様が便に触っているということは、お家の中が汚れやすいことはありませんか?
そうなんです!特に父の部屋が汚れやすいんです。便がついた手でいろんなところを触ってしまうみたいで…。
便は臭いますから、掃除も大変ですよね。便を食べるのを予防するだけではなく、汚れの予防もすることで、相談者さんの負担も大きく減ると思いますよ。
例えば、便がつきやすい場所にビニールの保護シートを貼ったり、シーツが汚れる場合は上から敷く防水シートもあります。
へー!そんなものがあるんですね。
もし、畳の部屋の場合、畳の目に汚れがつまりやすくて掃除が大変だと思います。そういうときは、畳の上に敷くフローリングカーペットがあります。それだけでもとても掃除が楽になると思いますよ。
そもそも、どうして父は便を食べるようになってしまったんでしょうか?
いくつか理由が考えられます。便を食べてしまう主な理由は以下の通りです。
下着やオムツの中に便があると肌がかぶれてかゆくなります。そのため、おしりが気になってかくことで便が手についてしまうことがあります。手についた便が何だかわからなくて、口に入れてしまうんですね。
父はリハビリパンツを使っているのですが、最近、濡れたパンツやパッドを自分で捨てられなくなってしまいました。もしかしたら、それで肌がかぶれているのかも…。
便を食べ物だと勘違いしていることも考えられます。
認知症の影響で、物を認識していてもそれが何だかわからなくなることがあります。手についた便が汚いものなのか、食べ物なのか何なのか理解できなくなってしまうんですね。
でも、おいしいものではないでしょうし、口の中に入れたらわかるものだと思いますが…。
いえ、加齢や認知症の影響で、味覚が鈍くなることがあるんです。なので、口に入れても食べ物なのかどうかがわかっていない可能性があります。
お腹が減って便を食べてしまうんですか?食事は十分に食べさせているんですが…。
実は、認知症によって脳の一部が損傷することで、満腹を感じにくくなることもあるんです。なので、食べても食べても満腹感は薄く、常にお腹が減っている状態になることも。目についたものは何でも口に入れてしまうんです。
こういう場合は、軽食を渡すことで便を食べる回数が減るかもしれません。
便のほかにも、食べ物ではないものを口にしてしまうことを「異食」と呼びます。認知症の症状のひとつです。
便以外にも食べてしまうことがあるんですか?何を食べてしまうんですか?
その人にもよりますが、よく異食してしまうものには以下のものがあります。
いろいろあるんですね…。今のところ、父はこれらのものを食べてはいませんが、いつか口にしてしまうかも…。気をつけておかないと。
異食をしてしまうと、以下のようにさまざまな危険性があります。
薬の袋などのビニール類、服のボタンなどは、気管に詰まって窒息してしまう可能性があります。
また、洗剤を飲んでしまった場合、中毒症状が出る危険性も…。
中毒!?それは危険ですね。
そのうえ、当然ながら食べ物ではないものは胃の中で消化できずに残ってしまうことが多いです。すると、胃や腸などの消化器官を傷つけてしまうことも。
口に入れてしまいやすいものは、手の届かないところにしまっておきましょう。
異食があると常に目が離せなくて負担が大きいと思います。適度に気を抜けるように介護サービスの活用もしてくださいね。
介護施設への入居について、地域に特化した専門相談員が電話・WEB・対面などさまざまな方法でアドバイス。東証プライム上場の鎌倉新書の100%子会社である株式会社エイジプラスが運営する信頼のサービスです。