お話を聞く限り、お母様は認知症になってしまった可能性があります。もし、認知症だった場合、お母様を否定するような言い方はNG。説得できないようでしたら、お母様が出かけている間に捨てるのもひとつの手です。
また、介護サービスを利用するなど食品を必要以上に買わない工夫をすることも大切。早めに認知症検査を受けて、認知症かどうかを確かめましょう。早めに認知症ケアをすることにつながりますよ。
実家に約半年ぶりに帰省したら、冷蔵庫から腐ったり賞味期限切れの食品がたくさん出てきました。同じ食品を買っていたり、腐っているものも冷蔵庫にありました…。
捨てようとすると、「まだ食べられる!もったいない!」と捨てさせてくれません。明らかに変なにおいがするものもあるのに。前に帰省したときにはこんなことはありませんでした。
どうしてこんなことになってしまったんでしょうか?母の様子がおかしくて不安です。
話を聞いた限りですが…もしかしたら、お母様は認知症になってしまったのかもしれません。認知症の初期段階では、食品の管理が上手くできずに腐らせてしまうケースは少なくありません。
認知症ですか?まだまだ1人で暮らせていますし、そんなことはないと思いますよ。会話も普通にできていますし…。
どうして認知症だと思ったんですか?
同じ食品を買っている点と、腐っているもののにおいがわからないという点からです。
認知症になると、記憶障害によって直近の出来事を忘れやすくなります。そのため、まだ家にあることを忘れて同じものを買ってきてしまうんですね。
それに、認知症になると段取りをつけて作業をすることが苦手に。料理ができなくなることも多いです。そのため、食材を買っても料理ができず、結局、使いきれずに腐らせてしまうパターンも考えられます。
心当たりがあります。母は料理好きなので実家に帰ると何かしら作ってくれるのですが、今回はそれがありませんでした。それで私が食事を作ろうと思って冷蔵庫を開けたら、腐った食材がたくさん出てきた…というわけです。
もうひとつ、「腐っているもののにおいがわからない」と言っていましたよね。認知症になると、においがわからなくなるんですか?
そうなんです。認知症になると、嗅覚がにぶくなることがわかっています。私たちはにおいで食品が腐っているか確認することがありますが、認知症になるとそれもできなくなってしまいます。
こうしたことから、認知症になると食材を腐らせてしまいやすくなるんです。
そうだったんだ…。思い当たることがいくつもあります。もしかしたら、母は認知症になってしまったのかもしれません。
腐っているものや賞味期限が切れているものだけでも処分したいのですが、母にそう言うと「腐っていない!まだ食べられる!」とすごい剣幕で怒鳴られて、処分できなかったんです。
母の健康のためにも腐っている食材をどうにか処分したいのですが、何か良い方法はないでしょうか?
これは腐った食材を捨てるときだけではなく、認知症の方への対応全般に共通することですが、お母様の言葉や行動を否定するような言い方は避けてください。
例えば、「腐ったものばかりで冷蔵庫の中がめちゃくちゃだよ」「賞味期限切れのものまで入れておいてどうするの!」「こんなにたくさん買って、無駄遣いしないで」といった言い方です。
でも、はっきり言わないとまた同じものを買い続けますよね。だから、「同じものばかり買い続けて、お金の無駄だよ」と責めてしまいました。どうしていけないんでしょうか?
お母様としても同じものを買いたくて買っているわけではないからです。
あくまでお母様が同じものを買っているのは、家に在庫がないと思っているから。前日に同じものを買ったとしても忘れてしまっています。家にないものを買ったと認識しているので、責めても意味がないと考えられます。
確かに。買う必要があると思ったから買っただけですもんね。
それに、お母様が認知症だった場合、同じものを買っていることを忘れているかもしれません。冷蔵庫や戸棚の中を見せて「何で同じものばかり買っているの!」と叱ったとしても、効果がないのではないでしょうか。
むしろ「理不尽に叱られている」と感じ、お母様もカチンときて口論になってしまうことも考えられます。
なるほど…。母を叱っても意味がないことなんですね。
認知症の方との関わり方については、以下のご質問でも詳しくお話ししています。参考にしてください。
とりあえず、実家の冷蔵庫を整理したいと考えています。腐っているものや賞味期限切れの食品だけでも捨てたくて…。
でも、それを伝えたら母は猛反対するに決まっています。良い方法はないでしょうか?
初めに、お母様に相談することは省略しないでください。落ち着いて話せば理解してくれることもあるので…。
ただ、やはりお母様が納得しない可能性もあります。そのときには、お母様が出かけているときに処分するのもひとつの手。ほかのご家族に連れ出してもらって、その間に腐っているものや賞味期限切れの食品を処分しましょう。
腐っているものや賞味期限切れの食材を処分して冷蔵庫がすっきりしたとしても、このままではお母様はまた食品を腐らせてしまうでしょう。
そのため、食材を腐らせない体制を作ることも大切です。
どうしたら良いんですか?
例えば、以下のような方法ではどうでしょうか?
もし、スーパーでたくさん食品を買ってしまうのであれば、毎月決まった額の現金を渡すのも方法のひとつ。生活には困らない額だけを渡しておけば、買い物する量を限定できます。
ただ、もし認知症だった場合、決められた額でお金をやりくりするのが難しい可能性も。今までよりも帰省の頻度を増やして、見守り体制を手厚くすることも併行しておこないましょう。
もし、お母様が認知症だった場合、介護サービスを利用することをおすすめします。認知症であれば、今後、状態が進行して一人暮らしが難しくなる可能性が高いからです。
一人暮らしが難しくなってから介護サービスを使い始めるのでも良いのですが、状態が進行していくなかでお母様の介護をしつつ、介護の手続きをするのはかなり重労働。まだ、一人暮らしができているうちに介護のプロとつながっておくことで、本格的に介護が必要になったときに慌てずに対応できるでしょう。
つまり、母は介護が必要な状態ということですね…。まだまだ元気だと思っていたのに…。
へー!介護サービスって直接的に介護してもらうだけかと思っていたけど、そういう使い方もあるんですね。
西さんとお母様の生活が大きく変わってしまいますが、同居するのもひとつの方法でしょう。
別居していると、どうしても目の届きにくいことがありますし、もし認知症だった場合、お母様が一人暮らしを続けるのは心配ですよね。なので、同居してご家族がお母様のサポートをしながら生活するのも良い方法だと思いますよ。
同居かぁ…。確かに、このまま母を一人暮らしさせておくのは心配です。それに、同居すれば母に買い物させずに済みますし…。
お母様に完全に買い物をさせないのはおすすめできません。というのも、お母様の生活能力を奪ってしまうことになるから。できることまで代わりにやってしまうと、心身の衰えが急激に進む傾向にあるので、できることはなるべくお母様自身でやってもらうようにしましょう。
例えば、買い物に同行したり毎回メモを持って買い物してもらう、などの対策がとれます。同居していれば、こうしたきめ細かいサポートもしやすくなるでしょう。
北野室長の話を聞いていて、母は認知症なのかもしれないと不安になってきました。
そうした不安を払うためにも、早めに認知症検査を受けましょう。お母様が認知症かどうかをはっきりさせた方が本腰を上げて認知症ケアの体制を作りやすいですし、ご家族も安心しやすいと思いますよ。
確かに…。認知症という診断が出てしまうのは怖いですが、認知症かどうかわからない中途半端な状態の方が不安は大きそうです。
おっしゃる通りです。それに、認知症ではなかった場合、ほかの病気などが原因でお母様に異変が起きている可能性もあります。それを詳しく調べるためにも早めに認知症の検査を受けてくださいね。
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