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特別養護老人ホーム

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老人ホームの入居待ち期間をどう乗り切れば良いですか?もうこれ以上、在宅介護は続けられません!

老人ホームに入居の申し込みをしたのですが、満室で入れないと言われてしまいました…。しかも、入居待ちをしているのは900人と言われ、どうしたら良いのか…。 最近、実家で一人暮らしの母の認知症が悪化して、1人で出かけて家に帰れなくなってことがありました。それ以来、帰省する回数を増やしたりしてできるだけ母を1人にしないようにしているのですが…。私も仕事をしているので限界を感じています。 900人待ちとなると、どれだけ時間がかかるのか…。入居待ちの間、どうやって介護をしていけば良いんでしょうか? (杉浦さん・会社員・61歳) 入居の申し込みをしたのは、特別養護老人ホームでしょうか?特別養護老人ホームは入居の待ち期間が長くなる傾向があるので、申し込み後も介護を続けられる体制を作ることが大切です。入居待ち期間は、「在宅介護をする」「ショートステイを利用する」「民間施設に入居する」といった方法で乗り切りましょう。また、特養の場合、入居の申込み書類に具体的に入居申込理由を詳しく書くことで、入居待ち期間が短くなることも。特養は必要性が高い人から入所できるので、入所の必要性をしっかり伝えましょう。 老人ホームの入居待ち期間はどう過ごす? 一人暮らしの母が入る老人ホームを探しています。でも、近所の老人ホームに入所申し込みをしたら900人も入所待ちをしていると言われてしまいました。900人待ちなんて、入所がいつになるのか…。母の認知症が進行してしまって、先日は迷子になって警察に保護されました。なので、できるだけ母を1人にさせないように頻繁に帰省しているのですが、仕事もありますし、厳しい状況です。老人ホームに入れるまで、どうやって介護をしていけば良いのでしょうか? 900人待ちですか!申し込みしたのは、特別養護老人ホームですか? そうです。 特別養護老人ホームは、老人ホームのなかでも入所待ち期間が長い施設なんです。そのため、入所できるまでの介護体制についても考えておくことが大切です。 入所できるまでは、どうやって介護していけば良いんですか? 主に次の3つのパターンが考えられます。 在宅介護をする ショートステイを利用する 民間施設に入居する 在宅介護をする まずは、在宅介護を継続する方法です。在宅介護サービスを活用しつつ、できるだけ負担の少ない形で介護を続けていきましょう。具体的には、デイサービスや訪問介護を利用して、お母様が1人になる時間を減らすこと。入所待ち期間がどれだけかかるのかわかりませんから、杉浦さんに負担がかからない体制を作っていきましょう。 うーん。といっても、在宅介護をするなら私が実家に通わないと成り立たないんですよね。今も仕事の時間を短くしてもらっているのに、これ以上、仕事の時間を減らすことはできないですね…。 なるほど…。でしたら、他の方法も考えてみましょう! ショートステイを利用する 在宅介護を継続するのでも、ショートステイを積極的に活用することで介護の負担を大幅に減らせます。 ショートステイですか…。使ったことはないんですよね。 ショートステイは1日から利用できて、連続で最大30日間、介護施設に宿泊できます。泊まっている間の食事や入浴、排泄などのケアはすべて施設が対応してくれるので、杉浦さんの介護の負担はかなり減るでしょう。 30日も宿泊できるんですか!それはかなり助かるかも…。 ただ、30日泊まったら、最低でも1日は自宅で過ごさないといけません。ショートステイに30日泊まって、1日自宅に戻る、というのを繰り返して、老人ホームの入居待ちを乗り切っている方も意外といるんです。この方法を「ロングショート」「ショートのロング」と呼んだりします。 確かに、母を実家で1人にしておけないですし…。ショートステイを活用するのも良いのかもしれないですね。 他の老人ホームに入居する 希望の施設が入居待ちですぐに入れない場合、別の老人ホームに入って順番待ちをする方法もあります。 入居待ちをしているのに、他の老人ホームに入居しても良いんですか? はい。まったく問題ありません!特に、特別養護老人ホームの入所待ちが必要で在宅介護が難しい場合、待機期間だけ有料老人ホームなどの民間施設に入居するケースは珍しくありません。 でも、「特別養護老人ホームの入所待ちの間だけ入居させてください」って言うのは、施設さんに申し訳ない気が…。 そんなことはないですよ。そういった要望は多いので、民間施設のスタッフも慣れているので大丈夫ですよ! 老人ホームの入居待ち期間はどれくらい? 申し込みをした特別養護老人ホームに、入所を待っている人が900人と言われましたが、どれくらい待たないといけないんでしょうか? うーん。こればかりはまったくわかりませんね…。特別養護老人ホームの入所待ち期間は2~3年ほどとも言われますが、順番は入所の緊急性に基づいて決められているので、参考程度にしかなりませんね。 入所の緊急性ですか? 特別養護老人ホームの場合、「入所判定基準」に沿って入所の優先度が判断されます。これは、ご本人の生活状況や介護者の状況、介護サービスの利用状況などをもとに、点数化されるもの。点数が高い人から入所できます。入所判定基準は、市区町村によって定められています。例えば、以下の北九州市の入所判定基準は「本人の状況」「介護者の状況」「個別評価」の3つの項目で判定されます。 本人の状況 項目 配点 説明 要介護度 要介護1 20点 申し込み時の要介護認定が1である場合 要介護2 40点 申し込み時の要介護認定が2である場合 要介護3 60点 申し込み時の要介護認定が3である場合 要介護4 80点 申し込み時の要介護認定が4である場合 要介護5 100点 申し込み時の要介護認定が5である場合 特別な状況 排泄 10点 介護者が、オムツや尿とりパットの交換などの介助を要する場合に限る 摂食 10点 食事中に介助を要する場合に限る 徘徊 15点 当てもないのに外へ出かけてしまう、自宅や施設などでひっきりなしに歩き回ったりする行動がある場合に限る 暴力などの問題行動 15点 介護者が話しかけたり、介護をおこなう際に、手で払いのける、足で蹴る、たたくなど、介護の支障となる行動を取る場合に限る 非該当 0点 上記の特別な事情のいずれにも該当しない場合 参考:「入所判定基準」(北九州市) 介護者の状況 項目 配点 説明 身寄りなどの有無 身寄りなし 80点 同居・別居を問わず、身寄り(親、配偶者(内縁関係を含む)、子、子の配偶者)がいない場合に限る 実質的な介護者なし 70点 同居の介護者(親、配偶者(内縁関係を含む)、子、子の配偶者)がいる場合は、その者が要介護3以上であること。また、同居の介護者がいない場合は、その者が県外であるか、要介護3以上の場合に限る 状況 独居 20点 県内に介護者(親、配偶者(内縁関係を含む)、子、子の配偶者)がいる場合で、本人が一人暮らしをおこなっている場合に限る。世帯分離は対象外。 介護者が高齢または持病 20点 主たる介護者が70歳以上の高齢である場合や、障害者(障害者手帳等を有するもの)、病気療養中の者(軽度の者は除く)である場合。もしくは主たる介護者が県内で北九州市に隣接しない市町村に在住する場合に限る 介護者が就労・複数介護・育児 20点 主たる介護者が週に20時間以上就労している場合(非正規雇用等も含む)や、複数介護、就学前の育児をおこなっている場合に限る 非該当 0点 上記の介護者の状況のいずれにも該当しない場合 参考:「入所判定基準」(北九州市) 個別評価 項目 配点 説明 待機場所 在宅 50点 在宅で生活をしている場合。短期入所生活介護等の入所サービスを受けている場合も含む 病院 30点 病院に入院している場合 軽費老人ホーム・ケアハウスなど 20点 軽費老人ホーム、ケアハウス(一般)、有料老人ホーム(住宅型)などに入所している場合 養護老人ホーム・グループホーム・老健・療養型病床 10点 養護老人ホーム、グループホーム、介護老人保健施設、療養型病床、介護保険適用外施設などに入所している場合 特別養護老人ホーム・特定施設入居者生活介護 0点 特別養護老人ホーム、介護付有料老人ホーム、ケアハウス(介護型)などに入所している場合 特殊事情 特殊事情 10点 待機場所が特養の場合で、ユニットから多床室、多床室からへのベッド移動、または施設移動を希望するやむを得ない事情がある場合 非該当 0点 上記の事情がない場合 住環境 住環境が不適応 15点 住む家がない場合、もしくは、屋外の環境により適応できない場合 例えば、エレベータのない住宅で2階以上の階に住んでおり、車椅 子を使用している方など 非該当 0点 上記の住環境のいずれにも該当しない場合 待機期間 1年以上の待機 10点 要介護3以上で、入所待機期間が 1年以上の場合 非該当 0点 上記の待機期間に該当しない場合 参考:「入所判定基準」(北九州市) へぇー、こんな厳密に設定されているんですね。 ちなみに、民間施設の入居の順番は、基本的には申し込み順です。民間施設であれば、特別養護老人ホームよりも入居待ちの人数は少ないので、比較的に早く入居できるでしょう。特別養護老人ホームの待機者数については、以下のご質問でも詳しくお話ししています。参考にしてください。 特養の入居待ち期間を短くする方法は? 入所までに2~3年も待たないといけないかもしれないなんて…。入所待ちの期間を短くすることはできないですよね? 必ず入所待ち期間を短くできると断言はできませんが、以下の方法で多少は短くできるかもしれません。 申し込み理由欄を詳しく書く 施設に報告をする 複数の特養施設に申込みをする 介護サービスを積極的に利用する 仕事をする 申し込み理由欄を詳しく書く 先ほどお話しした通り、特別養護老人ホームの場合は入所の順番が緊急度によって決められます。そのため、入所申込書の申し込み理由欄に詳しく記入することで、緊急度が上がる可能性があります。 申し込み理由欄…そういえば、書類にあったような気がします。それに何を書けば良いんですか? 主には「在宅介護が難しい理由」です。その他にも介護しているご家族がいかに困っているのか、を書くと特別養護老人ホームに入る必要性を伝えられるでしょう。意外と申し込み理由欄を簡潔に書いてしまう方が多いのですが、丁寧に詳細に書くことで入所の順番を早められることがあります。 施設に報告をする お母様の状態やご家族の状況が変わったら、申し込みをしている施設にその都度、報告しましょう。入所待ちをしている間に、認知症が進行したり身体機能が低下したりと、より介護が大変になっていくことが考えられます。そのため、状況が変わったら施設にその都度、報告をすることで入居順が早くなる可能性があります。 複数の介護施設に申込みをする 入所の申し込みをするときは、複数の施設に申し込みをしましょう。 えっ!?そんなことをして良いんですか? 大丈夫ですよ!実際に複数の施設に申し込みをしている方は結構いらっしゃいます。複数の施設に申し込むことで、早く順番が回ってきた施設から入所できますから。また、特別養護老人ホームのなかでも「ユニット型」という種類は比較的に入所待ち期間が短くなる傾向があるのでおすすめです。 どうして、ユニット型は入所待ち期間が短くなるんですか? ユニット型は、多床室や個室タイプに比べて費用が数万円ほど高いからです。反対に、多床室などの安い施設の方が入所希望が多いので、入居待ち期間が長くなりやすいですね。 入居待ち期間が短くなる代わりに費用が高くなるんですね。悩みますね…。 でしたら、地域を広げて施設探しをするのがおすすめです。都市部の方が入所の待機者数が多くなる傾向がありますから、待機者数が少ないエリアの特別養護老人ホームにも申し込みしておきましょう。 介護サービスを積極的に利用する 介護サービスを積極的に利用するのも、入所待ち期間を短くする方法のひとつです。特に入所申し込みをしている特別養護老人ホームが、ショートステイやデイサービスなども提供している場合、利用することでより入所待ち期間を短くできることがあります。 どうして、入所待ちしている特別養護老人ホームの介護サービスを使うと、入所待ち期間が短くなるんですか? というのも、特別養護老人ホームのスタッフさんにお母様の状況を随時、把握してもらえるからです。先ほどもお話しした通り、施設側にお母様の状況を把握してもらうことで入所の優先順位を上げてもらえることがあるからです。また、介護サービスを頻繁に利用しているということは、家族だけでは介護ができない状況ということ。介護が大変な状況であることをアピールする材料にもなります。 仕事をする 特別養護老人ホームの入所順を早めるために、介護をしている方が仕事をしたり仕事を増やしたりするのも良いでしょう。 つまり、私が仕事を増やす、ということですか?介護のために、仕事を時短勤務に変えてもらったのに…。フルタイムに戻したら、介護ができないですよ。 在宅介護が難しいことを、施設にアピールするんです。先ほどお伝えした入所判定基準にも、介護している人の就労状況が考慮されています。なので、杉浦さんが仕事を増やすことで、さらに入所の緊急性を上げられるでしょう。もちろん、無理に勤務時間を延ばして、杉浦さんが体調を崩したら元も子もありません。無理にならない程度に調整してくださいね。 入居待ち期間は、特養で2~3年、有料老人ホームは待機人数によって大きく異なる 在宅介護を継続、ショートステイの利用、民間施設に入居などで入居待ち期間を乗り切って 複数施設に申し込む、申込み理由欄を詳しく書く、などで特養の入居待ち期間が短くなることも pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: scroll; ...

2023/09/25

施設入居 特別養護老人ホーム

特養(特別養護老人ホーム)の特例入所とは何ですか?お金がないので、父親をどうしても特養に入れたいです

特養に「特例入所」という制度があると聞きました。どんな制度か教えてください。 父親を特養に入所させたいのですが、区分変更の結果、要介護2になってしまったため入所できなくて困っています。特例入所の制度を使えば、父は特養に入所できるのでしょうか? (上原さん・アルバイト・68歳) 特例入所とは、特別な事情がある場合に限って要介護1や要介護2の方でも、特養に入所できる制度です。ただ、「認知症などで在宅生活が困難」など、条件が厳しく、特例入所制度を活用して入所している方はかなり少ないのが実情です。特例入所ができない可能性もあるので、特養以外の介護施設も合わせて検討しましょう。もし、金銭面で特養を希望されているのでしたら、「介護老人保健施設」や「グループホーム」なども良いかもしれません。 特養の特例入所とはどんな制度? 父の認知症が悪化して一人暮らしが心配なので、特養に入所させたいと思っています。ですが、区分変更の結果は要介護2。特養は要介護3以上じゃないと入れないのに…。ネットで特養には「特例入所」というものがあることを知りました。介護度が要介護3より低くても入所できるとのことですが、この制度を利用すれば、父も特養に入れるのでしょうか? 確かに、特例入所は、要介護3以下でも特養に入所できる制度です。厳密に言うと、要介護1もしくは要介護2の方でも例外的に特養に入所できます。ただ、特例入所をするには条件があって、それがかなりハードルが高いんですよ。 えっ、そうなんですか!?どんな条件なんでしょうか? それでは具体的にお話ししていきますね。 特養の特例入所の条件とは? 以下のように、特養の特例入所の条件の方針を厚生労働省が定めています。 認知症である者であって、日常生活に支障を来すような症状・行動や意思疎通の困難さが頻繁に見られること 知的障害・精神障害等を伴い、日常生活に支障を来すような症状・行動や意思疎通の困難さ等が頻繁に見られること 家族等による深刻な虐待が疑われること等により、心身の安全・安心の確保が困難であること、 単身世帯である、同居家族が高齢又は病弱である等により家族等による支援が期待できず、かつ、地域での介護サービスや生活支援の供給が不十分であること 引用元:「介護保険最新情報 Vol.1141 令和5年4月7日」(厚生労働省) うーん。これだけだと、よくわかりません。 ざっくりとした表現なので、具体的にイメージしにくいですよね。新潟県長岡市が公開している事例もふまえてご説明しますね。 一人暮らしの継続が難しいと判断されたケース アパートで一人暮らしをしている要介護2の101歳の方のケースです。大変高齢な方ですが、ご本人の希望で、お隣さんの生活支援を受けながら一人暮らしをしていたそうです。しかし、そのお隣さんが施設に入所してしまい、支援が受けられなくなってしまいました。しかも、ご本人はアパートの2階に住んでいて、歩行器を使って階段を登り降りしないといけない状況。そのうえ、居室にトイレはなく、用を足すには1階に降りないといけませんでした。 むしろ、101歳までこんな環境で一人暮らしできていたのがすごい…。 さらに、部屋にエアコンがなく、夏場は体調を崩すことが多くなったそうです。訪問介護やショートステイを利用していましたが、これ以上、夏や冬の時期を自宅で過ごすのは難しいと判断されて、特例入所が認められました。 家族による介助が難しいと判断されたケース ご家族による在宅介護が難しいと判断されて、特例入所ができたケースもあります。93歳で要介護2の認知症の方です。中心となって介護をしていた息子さんががん末期と診断され、介護ができなくなってしまいました。しかし、息子さんの奥さんは精神疾患と視力障害を持っており、お孫さんは知的障害と脳梗塞の後遺症の影響で要介護状態。介護ができるご家族がいない状態だったんです。デイサービスとショートステイを利用していたものの、これ以上の在宅介護が難しいと判断されて特例入所が叶いました。 事例の2つとも、かなり特殊なケースというか…。「これ以上、自宅では生活できない」というギリギリの状態のように思えます。 そうですね。この2つの事例から、特例入所はかなりハードルが高いことがわかりますね。判断基準は自治体ごとに多少異なりますが、客観的に見てどうしても在宅介護が難しいと思えるような、ギリギリの状況でないと特例入所は難しいのかもしれません。 参考:「特別養護老人ホームにおける特例入所者の取扱いについて」(長岡市) 特養に特例入所するための手続きは? 特例入所をするための手続きは、通常の入所の手続きと大きくは変わりません。ただ、特例入所を申し込む理由を詳細に記載する必要がある点が異なりますね。手続きは以下のように進みます。 特養に入所申込み 特例入所の適否を判定 入居順位の決定 入居 まずは、特養に入所の申し込みが必要なんですね。 そうです。特養に上原さんやお父様の状況を説明して、入所の必要性を理解してもらいます。そのうえで、特養が市区町村に特例入所の手続きをおこないます。その後、特例入所の要件に当てはまるかどうか市区町村が判定し、認められた場合は特養が入所対象者名簿にお父様の名前を載せることになります。 えっ、すぐに入所できるわけではないんですか? そうなんです。特例入所の要件を満たしていると判断されたとしても、入所対象者になることを認められただけなんです。そのため、他の申込者も含めて優先度が高いと判断された人から順番に入所していきます。 特例入所制度の実情 実は、特養の特例入所の制度は、厚生労働省が定めているものではありますが、すべての市区町村で上手く活用されているものではないのが実情です。 というと?どういうことですか? 以下のグラフを見てください。 参考:「特別養護老人ホームの入所申込者の状況(令和4年度調査)」(厚生労働省) これは、市区町村の特例入所の運用状況を表したものです。約87%の自治体で運用されているものの、一部の自治体では特例入所の指針が決められておらず、上手く運用されていないんです。また、一部では地域独自のルールで特例入所の可否を判断されていることも厚生労働省の調べでわかっています。 えーっと、地域独自のルールがあるなら、どうしたら良いんでしょうか? 入居を希望する特養で、特例入所の条件について改めて確認してみるのが良いでしょう。特養側で特例入所の条件を把握しているはずですから。もしくは、お住まいの地域の役所で、特例入所について聞いてみるのもひとつの手です。役所の「高齢介護課」「介護保険課」といった窓口があるので、そこで確認すれば詳細を教えてもらえるでしょう。 特例入所できなかったときに検討する施設 北野室長の話を聞いていたら、なんだか父が特養に入所するのは難しい気がしてきました…。思ったよりも条件が厳しいですね。 そうですね。それだけ特別な場合にしか認められていない制度なんです。そういえば、どうして上原さんは特養を選んだんですか? 他の介護施設よりも安いと聞いたからです。あまりお金が出せるわけではないので…。 そういうことだったんですね。でしたら、比較的、費用が安い他の介護施設もご案内しますよ ぜひ、教えてください!介護施設ってたくさんあるから、自分ではなかなか調べられなくて…。 費用の設定は施設によって異なることもありますが、以下の種類の施設であれば、比較的、安い施設が見つかるでしょう。 介護老人保健施設 有料老人ホーム サービス付き高齢者向け住宅 グループホーム 介護老人保健施設 介護老人保健施設は、「老健」とも呼ばれる施設です。老健はリハビリ専門職が常勤していたり、医師の配置もあったりと医療面のサポートも手厚いという特徴があります。ただ、老健はリハビリなどによって在宅復帰を目指す施設。そのため、一般的な入居期間は3~6ヵ月とされています。空室状況によってはもっと長期間の入所ができる場合もありますが、すべての施設で長期入所に対応しているわけではありません。 長期入所はできないんですか。最期まで父の面倒を見てくれる施設が良いのですが…。 はい。ただ、「特養や他の施設の入所順が回ってくる間だけ入所する」という手もあります。もしくは、「まず老健に入所して、その間に施設探しをする」という方法もあります。 そういう理由で入所するのもアリなんですね。最近、毎日のようにおもらしをしたり、わけのわからないことを言うことが増えたので、もう一人暮らしは無理だと思うんです。とりあえず、老健に入所させるのも良いのかな…。 有料老人ホーム 有料老人ホームは、「介護付き有料老人ホーム」と「住宅型有料老人ホーム」の2種類あります。介護付き有料老人ホームは、食事介助や排泄介助といった介護サービスを施設が直接提供。対して、住宅型有料老人ホームは、介護サービスを受けるには外部の介護事業者を利用する必要があります。費用面では、住宅型有料老人ホームの方が安くなる傾向があります。というのも、介護付き有料老人ホームは、介護サービスを利用料が少なくても介護サービス費を満額で払わないといけないのに対して、住宅型有料老人ホームは利用した分だけの費用で済むからです。 そうなんですね!住宅型有料老人ホームなら、介護サービスを最低限に抑えれば費用を安くできるということでしょうか? おっしゃる通りです。ただ、介護が必要な量が多い場合、むしろ住宅型有料老人ホームの方が高くなってしまうこともあります。その場合は、介護サービスをたくさん使っても金額が変わらない介護付き有料老人ホームの方が安くなるでしょう。つまり、お父様に必要な介護サービスの量によって、介護付き有料老人ホームと住宅型有料老人ホームのどちらが安くなるのかが変わってくる、ということです。また、有料老人ホームは施設によって、入居時費用が0~数千万円、月額11~30万円と大きく異なります。費用を事前に確認しておきましょう。 サービス付き高齢者向け住宅 サービス付き高齢者向け住宅は「サ高住」とも呼ばれる施設です。サ高住は住宅型有料老人ホームと同様に、介護が必要な場合は外部の介護事業者を利用します。サ高住が住宅型有料老人ホームと異なるのは、生活支援サービスの有無。住宅型有料老人ホームは食事や掃除などの生活支援サービスを提供しますが、サ高住は安否確認と生活相談サービスのみです。つまり、介護とまではいかないけど、生活のサポートサービスがあるのが住宅型有料老人ホーム。見守りだけを提供しているのがサ高住ということです。 サ高住は見守りだけなのかぁ。となると、父には合わないかもしれません。今でも掃除や洗濯などは私や私の妻がやっていますから。 グループホーム グループホームは、認知症の方限定の施設です。最大9名のユニットごとの生活をしているため、アットホームな雰囲気が魅力です。また、入居できるのが認知症の方だけとあって、職員さんも認知症ケアの経験が豊富なのが特徴。認知症の方が穏やかに暮らせる環境やケアが提供されます。 へぇ!父も認知症なので、グループホームが良いかもしれません。グループホームの費用はいくらなんですか? グループホームの費用は、入居時費用が0~数十万円、月額費用は10~15万円です。グループホームも料金の幅があるので、事前に確認してくださいね。 北野室長の話を聞いて、特養に特例入所するのはかなり難しいことだとよくわかりました。近くの特養にかけあってみますが、特例入所できなかったときのために、特養以外の施設も探してみます。 介護施設はたくさんありますから、施設探しに迷ってしまったときはぜひ「いい介護 入居相談室」にご相談くださいね。 特養の「特例入所」とは、要介護1や要介護2でも入所できる制度 特例入所をするのは、かなりハードルが高い 特例入所できなかったときのために、他の施設も検討しよう pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; ...

2023/08/18

施設入居 認知症介護 特別養護老人ホーム

特養の入所を一度断ったら、もう入所はできなくなりますか?母親がかわいそうになって入所させるのをためらっています

母親を特別養護老人ホーム(特養)に入所させるかどうか迷っています。先日、母の介護度が要介護3に上がったので特養の見学をして、これから順番待ちの申し込みをしようと思っています。ただ、そのことを叔母に話したところ「施設に入れるなんてかわいそう!」と言われてしまって…。 叔母に言われたことで、私ももうしばらく自宅で介護を続けた方が良いのかと迷っています。幸い、私の妻も介護を手伝ってくれるので、まだ在宅介護でも大丈夫かなとも思っています。 一度入所の順番が回ってきたときに断ったら、入所はできなくなってしまうんでしょうか? (伊東さん・会社員・63歳) 自治体によって異なりますが、一度入所を断ったからといって入所ができなくなることはまずないですよ。ただ、いつ空室が出るかわからないので、次に声がかかるかもわかりません。100人以上順番待ちが出ている施設もありますから、1年後になる可能性もあります。そうなると、お母様の身体状況が変わってより介護の負担が大きくなることも。要介護3以上となると在宅介護が難しくなるタイミングですので、「まだ大丈夫」と思わずに無理をしないで済む選択をしてくださいね。 特養の入所を一度断ったら、もう入所できなくなる? 母が要介護3に上がったので、特養の入所の申し込みをしようか悩んでいます。その話を叔母にしたら、「施設に入れるなんてかわいそう!」と言われて…。私も妻も仕事をしながら母の介護をしていて大変なので申し込みをしようと考えていたのですが、そう言われると迷ってしまって…。なので、特養に入所させるのはもう少し待ってみても良いのかなと思っています。もし、順番が回ってきたときに、断ったらもう入所はできなくなってしまうのでしょうか? 自治体によって対応が異なりますが、多くの場合は一度断ったからといって二度と入所できなくなることはないですよ。「今回は見送ります」と伝えれば、次に空室ができたときに再び声をかけてもらえるはずです。 よかった!それを聞いて安心しました。 ただ、気をつけていただきたいのは、次に順番が回ってくるのがいつになるかわからない点です。すぐの場合もあれば、1年後になる可能性もあるんです。 1年後…。そこまで在宅介護を続けられるかな…。 今後、介護の負担がより大きくなることも考えられますから、断るかどうかよく考えてくださいね。 特養の入所の順番は申し込み順ではない? 見学に行った特養は、何十人も入所の順番待ちをしている人がいるそうです。もし今、申し込みをしたら、どれくらい待つことになるんでしょうか? 正直なところ、まったくわかりません。というのも、特養の入所の順番は申し込み順ではなくて緊急度をもとに決められているからです。 緊急度、ですか? 緊急度とは、「本人の状況」「介護者の状況」「個別評価」という3つの観点から判断されるもの。つまり、介護の状況が逼迫している人が優先的に入所できるようになっているんです。施設や自治体によって判断基準が少しずつ異なるので、例として北九州市の判断基準をご紹介します。 本人の状況 項目 配点 説明 要介護度 要介護1 20点 申し込み時の要介護認定が1である場合 要介護2 40点 申し込み時の要介護認定が2である場合 要介護3 60点 申し込み時の要介護認定が3である場合 要介護4 80点 申し込み時の要介護認定が4である場合 要介護5 100点 申し込み時の要介護認定が5である場合 特別な状況 排泄 10点 介護者が、オムツや尿とりパットの交換などの介助を要する場合に限る 摂食 10点 食事中に介助を要する場合に限る 徘徊 15点 当てもないのに外へ出かけてしまう、自宅や施設などでひっきりなしに歩き回ったりする行動がある場合に限る 暴力などの問題行動 15点 介護者が話しかけたり、介護をおこなう際に、手で払いのける、足で蹴る、たたくなど、介護の支障となる行動を取る場合に限る 非該当 0点 上記の特別な事情のいずれにも該当しない場合 参考:「入所判定基準」(北九州市) こんなに明確に点数を付けて判断されているんだ! もちろん、この項目以外にも入所の必要度が高くなる理由がある場合は、それも加味されます。この点数をもとに、施設の「判定会議」で入所の優先順位が決定されます。判定会議には施設長や職員、生活相談員などが参加し、さまざまな観点から優先順位の判断がされていますよ。 特養入所の申し込みの流れ そういえば、特養の入所申し込みをする場合ってどうすれば良いんでしたっけ?まだ、申し込みをするか迷っているのですが、念のため確認しておきたくて。 でしたら、改めて特養の入所までの流れを確認しておきましょうか。特養に問い合わせしてから入所するまでは、以下のような流れで進めていきます。 問い合わせ・資料請求・見学 見学後に申込書を提出 審査 優先順位通知が届く 面談 入所 1.問い合わせ・資料請求・見学 まず、入所を検討している施設に電話やメールなどで問い合わせます。資料を用意している施設もあるので、資料を取り寄せても良いでしょう。もし、対応や費用の面で疑問がある場合には電話で問い合わせると具体的に回答がもらえると思います。より詳細に施設の様子が知りたい場合は、見学することをおすすめします。 2.申込書を提出 資料を見たり実際の施設を見学して気に入れば、入所の申し込みをおこないます。見学日当日に施設に申し込みしたいことを伝えれば、すぐ申込書を受け取れるでしょう。後日、申し込みをする場合は施設に問い合わせて申込書を取り寄せてください。あわせて、提出が必要な書類についても確認しておきましょう。 3.審査 地域ごとに定められた審査の指針があり、それにそって申し込みの対象者が入所できるかどうかが判断されます。 4.優先順位通知が届く ここでさっきの優先順位が決まるんですね。 はい。入所審査の後、施設の判断基準によって入所の順番が決まります。この優先順位を伝えるのが「優先順位通知」ですね。自治体にもよりますが、新宿区の場合は3ヵ月に1度のペースでこの通知を郵送しています。申し込みをしている人の状況によって順番はその都度変わるので、通知に記載されている順番はおよその目安と考えましょう。 5.面談 入所の順番が回ってくると、施設から連絡が来ます。入所の意向を伝えたら、その後には施設の担当者との面談。健康診断書の提出もおこないます。 6.入所 面談や健康診断書の情報をもとに、入所できるかどうかが決定されます。 えっ?ということは、入所できない場合もあるんですか? 問い合わせなどの段階で、大まかに身体状況を施設に伝えますから、この段階で入所ができないことはまずありません。ただ、以前よりも大きく心身の状態が悪化していたり、医療ケアが頻繁に必要だったり、施設で受け入れが難しい状態であることがこのタイミングでわかったら入所を断られることもあります。そうならないように、入所の順番待ちをしている段階でも定期的に施設と情報の共有をしておくことが大切ですね。 要介護3以上で在宅介護は難しい 特養に入所させるかどうか、まだ決断ができずにいます。やっぱり施設に入れるのはかわいそうだし…。 そう考えるのももっともです。ただ、一般的に要介護3は、在宅介護が難しい状態とされています。 そうなんですか!? というのも、要介護3とは1人で立ち上がったり歩くのが難しい状態。歩行器や車椅子を使うこともありますので、入浴や排泄にも介助が必要になるので常に誰かの手助けが要ります。ちなみに、お母様はどんな状態ですか? ちょっとふらつきはありますが、なんとか1人で歩いています。ただ、トイレに行くことを忘れてしまったり、トイレの使い方も忘れてしまうことがあります。なので、トイレに行くように声掛けしたり付き添いが必要です。身体の機能としては問題ないと思うのですが、認知症のせいでやり方や道具の使い方がわからなくなってしまって。それに、1人で外に出て帰れなくなったこともあるので、目が離せないんです。 なるほど…。となると、お母様を1人にするのは心配ですよね。 そうなんです。私は日中は仕事ですから、妻にパートの仕事を減らしてもらって、母から目を離さないようにしています。でも、夜中に大声で叫んだり、暴言を吐くこともあって。なんとかもうしばらくは在宅介護を続けられるとは思うんですが、妻も私も精神的な負担が大きくて…。 そう感じていらっしゃるなら、特養に申し込みすることをおすすめします。お話を聞くと、伊東さんご夫婦の負担が大きいように感じます。先ほどお話ししたように、入所の順番は緊急性に基づいて決まります。他の申込者に緊急性の高い人が多い場合は、申し込みしてもすぐに入所とならない場合もありますので、順番待ちをしている間に入所するかどうかを考えても良いと思いますよ。順番待ちをしている間に状態が変わって、入所の緊急度が上がる可能性もあります。そのときにすぐに入所できるように、早い段階で申し込みをしておくのがおすすめです。 特養入所を一度断っても、空室が出れば再度声がかかる 次の空室はいつになるかわからないので、辞退はよく考えて 要介護3以上で在宅介護は難しい。介護する人の負担が大きくなることも pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: ...

2023/07/20

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介護付き有料老人ホームとは│提供されるサービス・費用・入居条件などを解説

介護付き有料老人ホームは、介護スタッフが24時間常駐している介護施設。介護サービスや身の回りの世話を受けられます。 この記事では、介護付き有料老人ホームの種類及び入居のための条件や必要な費用、サービス内容などを詳しく説明しています。 https://youtu.be/oK_me_rA0MY 介護付き有料老人ホームの特徴 介護付き有料老人ホームとは、有料老人ホームのうち、都道府県または市町村から「特定施設入居者生活介護」の指定を受けた施設です。24時間介護スタッフが常駐し、介護や生活支援などは施設の職員により提供されます。 主に民間企業が運営しているため、サービスの内容や料金は施設ごとに異なります。また、入居基準も施設により異なり、自立している方から介護が必要な方まで幅広く受け入れている施設も。選択肢が幅広いため、自分に合った施設を選ぶことができます。 看取りまで対応している施設も多数あり、「終の棲家(ついのすみか)」を選ぶうえでも選択肢のひとつとなります。 全体の概要をまとめるとこのようになります。 費用相場 入居時費用 0~数千万円 月額利用料 15~30万円 入居条件 要介護度 自立~要介護5※1 認知症 対応可 看取り 対応可 入居のしやすさ ◯ ※施設の種類によって異なります。 特定施設入居者生活介護とは 特定施設入居者生活介護は、厚生労働省の定めた基準を満たす施設で受けられる介護保険サービスです。ケアマネジャーが作成したケアプランに基づき提供される食事や入浴・排泄など介助のほか、生活支援、機能回復のためのリハビリなどもおこなわれます。指定を受けてこのサービスを提供する施設は、一般的に「特定施設」の略称で呼ばれています。 介護付き有料老人ホームの種類と入居基準 介護付き有料老人ホームには「介護専用型」「混合型」「健康型」の3種類があり、それぞれ入居条件が異なります。 介護度 ...

2021/11/10

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グループホームとは|入居条件や費用、入居時に気をつけたいポイントを解説

認知症の方の介護は大変です。「そろそろ施設への入居を検討しよう」と思っても、認知症の症状があると、入居を断られてしまうのではと心配もあるでしょう。 グループホームは認知症高齢者のための介護施設です。住み慣れた地域で暮らし続けられる地域密着型サービスであり、正式な名称を「認知症対応型共同生活介護」といいます。 こちらの記事では、グループホームについて解説します。また、グループホームで受けられるサービスや費用、施設選びのポイントも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。 https://youtu.be/EofVO7MRRDM この記事を読めばこれがわかる! グループホームの詳細がわかる! グループホームを選ぶ際のポイントがわかる! グループホームへ入居する際の注意点がわかる! グループホームとは グループホームとは、認知症高齢者のための介護施設です。専門知識と技術をもったスタッフの援助を受けて、要支援以上の認知症高齢者が少人数で共同生活をおくります。 「ユニット」といわれる少人数のグループで生活し、入居者はそれぞれ家事などの役割分担をします。 調理や食事の支度、掃除や洗濯など入居者の能力に合った家事をして自分らしく共同生活を過ごすところが、ほかの介護施設や老人ホームとは異なるポイントです。 グループホームの目的は、認知症高齢者が安定した生活を現実化させること。そのために、ほかの利用者やスタッフと協力して生活に必要な家事を行うことで認知症症状の進行を防ぎ、できるだけ能力を維持するのです。 グループホームは少人数「ユニット」で生活 グループホームでは「ユニット」と呼ばれるグループごとに区切って共同生活を送るのが決まり。1ユニットにつき5人から9人、原則1施設につき原則2ユニットまでと制限されています。 少人数に制限する理由は、心穏やかに安定して過ごしやすい環境を整えるため。環境変化が少なく、同じグループメンバーで協力して共同生活することは、認知症の進行を防ぐことに繋がります。 認知症の方にとって新しく出会う人、新しく覚えることが難しいので、入居者やスタッフの入れ替わりが頻繁にある施設では認知症の高齢者は心が落ち着かず、ストレスを感じ生活しづらくなってしまいます。その結果、認知症症状を悪化させるだけでなく、共同生活を送る上でトラブルを起こすきっかけとなります。 慣れ親しんだ場所を離れて新しい生活をするのは認知症の方には特に心配が尽きないもの。その心配を軽減するため、より家庭にできるだけ近づけ、安心して暮らせるようにしています。 グループホームの入居条件 グループホームに入居できるのは医師から「認知症」と診断を受けている方で、一定の条件にあてはまる方に限ります。 原則65歳以上でかつ要支援2以上の認定を受けている方 医師から認知症の診断を受けている方 心身とも集団生活を送ることに支障のない方 グループホームと同一の市町村に住民票がある方 「心身とも集団生活を送ることに支障のない」という判断基準は施設によって異なります。入居を希望している施設がある場合には、施設のスタッフに相談しましょう。 また、生活保護を受けていてもグループホームに入ることは基本的には可能です。しかし、「生活保護法の指定を受けている施設に限られる」などの条件があるので、実際の入居に関しては、行政の生活支援担当窓口やケースワーカーに相談してみましょう。 グループホームから退去を迫られることもある!? グループホームを追い出される、つまり「強制退去」となることは可能性としてゼロではありません。一般的に、施設側は入居者がグループホームでの生活を続けられるように最大限の努力をします。それでも難しい場合は、本人やその家族へ退去を勧告します。「暴言や暴力などの迷惑行為が著しい場合」「継続的に医療が必要になった場合」「自傷行為が頻発する場合」etc。共同生活が難しくなった場合には追い出されてしまうこともあるのです グループホームで受けられるサービス グループホームで受けられるサービスは主に以下です。 生活支援 認知症ケア 医療体制 看取り それぞれ詳しく見てみましょう。 生活支援 グループホームでは以下の生活面でのサービスを受けられます。 食事提供 :◎ 生活相談 :◎ 食事介助 :◎ 排泄介助 :◎ 入浴介助 :◎ 掃除・洗濯:◯ リハビリ :△ レクリエーション:◎ 認知症を発症すると何もできなくなってしまうわけではなく、日常生活を送るだけなら問題がないことも多いです。 グループホームには認知症ケア専門スタッフが常駐しています。認知症進行を遅らせる目的で、入居者が専門スタッフの支援を受けながら入居者の能力(残存能力)に合った家事を役割分担して自分たち自身でおこないます。 食事の準備として買い出しから調理、配膳、後片付けまで、そして洗濯をして干すといった作業や掃除も、スタッフの介助を受けながら日常生活を送ります。 グループホームでは、入居者の能力(残存能力)に合った家事を役割分担して自分たち自身でおこなうことになります。 例えば、食事の準備として買い出しから調理、配膳、後片付けまで。また、そして洗濯をして、干すまで…など。そのために必要な支援を、認知症ケアに長けた専門スタッフから受けられるのが、グループホームの大きな特徴です。 グループホームは日中の時間帯は要介護入居者3人に対して1人以上のスタッフを配置する「3:1」基準が設けられています。施設規模によっては、付き添いやリハビリなどの個別対応が難しいので、入居を検討する際は施設に確認しましょう。 認知症ケア 施設内レクリエーションやリハビリのほかに、地域の方との交流を図るための活動の一環として地域のお祭りに参加や協力をしたり、地域の人と一緒に公園掃除などの活動を行う施設も増えてきました。 グループホームとして積み上げてきた認知症ケアの経験という強みを活かし、地域に向けた情報発信などのさまざまな活動が広がっています。 地域の方と交流する「認知症サロン」などを開催して施設外に居場所を作ったり、啓発活動として認知症サポーター養成講座を開いたりするなど、地域の人々との交流に重きを置くところが増えています。 顔の見える関係づくりをすることで地域の人に認知症について理解を深めてもらったり、在宅介護の認知症高齢者への相談支援につなげたり。 こうした活動は認知症ケアの拠点であるグループホームの社会的な価値の向上や、人とのつながりを通じて入所者の暮らしを豊かにする効果が期待できます。 医療体制 グループホームの入居条件として「身体症状が安定し集団生活を送ることに支障のない方」と定義しているように、施設に認知症高齢者専門スタッフは常駐していますが、看護師が常駐していたり、医療体制が整っているところはまだまだ少ないです。 しかし近年、高齢化が進む社会の中で、グループホームの入居者の状況も変わってきています。 現在は看護師の配置が義務付けられていないので、医療ケアが必要な人は入居が厳しい可能性があります。訪問看護ステーションと密に連携したり、提携した医療機関が施設が増えたりもしているので、医療体制について気になることがあれば、施設に直接問い合わせてみましょう。 看取り 超高齢社会でグループホームの入所者も高齢化が進み、「看取りサービス」の需要が増えてきました。 すべてのグループホームで看取りサービス対応しているわけではないので、体制が整っていないグループホームの多くは、医療ケアが必要な場合、提携医療施設や介護施設へ移ってもらう方針を採っています。 介護・医療体制の充実度は施設によってさまざまです。介護保険法の改正が2009年に行われ、看取りサービスに対応できるグループホームには「看取り介護加算」として介護サービスの追加料金を受け取れるようになりました。 看取りサービスに対応しているグループホームは昨今の状況を受け増加傾向にあります。パンフレットに「看取り介護加算」の金額が表記されているかがひとつの手がかりになります。 グループホームの設備 グループホームは一見、普通の民家のようで、家庭に近い雰囲気が特徴ですが、立地にも施設基準が設けられています。 施設内設備としては、ユニットごとに食堂、キッチン、共同リビング、トイレ、洗面設備、浴室、スプリンクラーなどの消防設備など入居者に必要な設備があり、異なるユニットとの共有は認められていません。 入居者の方がリラックスして生活できるように、一居室あたりの最低面積基準も設けられています。このようにグループホーム設立にあたっては一定の基準をクリアする必要があります。 立地 病院や入居型施設の敷地外に位置している利用者の家族や地域住民と交流ができる場所にある 定員 定員は5人以上9人以下1つの事業所に2つの共同生活住居を設けることもできる(ユニットは2つまで) 居室 1居室の定員は原則1人面積は収納設備等を除いて7.43㎡(約4.5帖)以上 共有設備 居室に近接して相互交流ができるリビングや食堂などの設備を設けること台所、トイレ、洗面、浴室は9名を上限とする生活単位(ユニット)毎に区分して配置 グループホームの費用 グループホーム入居を検討する際に必要なのが初期費用と月額費用です。 ここからは、グループホームの入居に必要な費用と、「初期費用」「月額費用」それぞれの内容について詳しく解説していきます。 ...

2021/11/15

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【動画でわかる】有料老人ホームとは?費用やサービス内容、特養との違いは

介護施設を探している中で「老人ホームにはいろいろな種類があるんだ。何が違うんだろう?」と疑問を感じることがあるかもしれません。 そこで今回は、名前に「老人ホーム」とつく施設の中でも、「有料老人ホーム」を中心に紹介。よく似ている「特別養護老人ホーム」との違いも見ていきます。 「老人ホームの種類が多すぎて訳がわからない」と思ったら、ぜひ参考にしてみてくださいね。 https://youtu.be/eMgjSeJPT8c 有料老人ホームの種類 有料老人ホームには、以下の3種類があります。 介護付き有料老人ホーム 住宅型有料老人ホーム 健康型有料老人ホーム この3種類の違いを以下にまとめています。 種類 介護付き有料老人ホーム ...

2021/10/28

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