Q&A
母が入院をきっかけに頻繁にたん吸引が必要になり、入居している老人ホームから退去を勧められています。その施設では、たん吸引の対応はできないそうです。 最期まで生活できると聞いてその施設に入居したのに、医療行為が必要になったことを理由に退去勧告を受けることはあるのでしょうか? (平田さん・自営業・60歳) その介護施設の医療体制では処置ができない状態になった場合に、退去を勧められることはあります。その他にも、利用料の滞納や他のご入居者に迷惑をかける行為があった場合にも退去勧告を受けることがあります。もし、新しい施設を探すのであれば、今の身体状況で必要な医療行為をはっきりさせてから施設探しを始めましょう。また、退去時の入居金や退去日のトラブルが多いので、今の施設に事前に確認しておいてくださいね。 老人ホームから退去勧告されることはある? 母が入院したことをきっかけにたん吸引が必要な状態になりました。それを入居中の老人ホームに伝えたところ、「たん吸引に対応できないから退去してほしい」と言われてしまいました。今の施設には「最期まで暮らせる」と聞いて入居したのに、まさか退去勧告を受けるとは思いませんでした!老人ホームから退去を勧められることはあるんでしょうか? うーん。…正直なところ、退去要件に当てはまっていれば退去を勧められることはあります。退去要件については、入居時の契約書や重要事項説明書に記載されていますよ。具体的には、以下のような状況になると退去を勧められることがあります。 利用料を滞納したとき 暴力・暴言で他の入居者に迷惑をかけるとき 入院が長期間になるとき 施設では対応できない医療行為が必要になったとき まあ、「利用料を滞納したとき」は、退去勧告を受けてもしょうがないですよね。賃貸住宅で家賃を払っていないのと同じことですもんね。 おっしゃる通りです。やはり老人ホームも、ご入居者が支払うお金で運営されていますから、費用の未払いが続くと退去勧告に至ります。 二番目の「暴力・暴言で他の入居者に迷惑をかけるとき」というのはどういう状態ですか?他の入居者に暴力を振るう人がいるんですか? 認知症の人の中には、感情を抑えられなくて攻撃的な言葉を使ったり、他の人に手を上げてしまうケースもあるんです。暴力や暴言は認知症の症状のひとつではあるんですが、介護施設は共同生活の場ですから他のご入居者の迷惑になってしまうほどの状態だと退去勧告を受けることがあります。 へー、認知症だとそんな症状が出るんですね! また、その次の「入院が長期間になるとき」については、施設側で一定の入院期間を退去要件として定めている場合もあります。退去勧告される入院期間については、契約時によく確認しておいた方が良いでしょう。 でも、うちの母の場合、入院期間はまだ2ヵ月ほどです。施設の退去要件には「3ヵ月以上」と定められているので、まだ退去勧告される時期ではないと思うんです。長期入院が退去勧告を受けた理由ではないということでしょうか? 確か、施設に「たん吸引に対応できないから退去してほしい」と言われたとのことでしたよね? 母は誤嚥性肺炎で入院したのですが、入院中にさらに嚥下機能が落ちてしまって。食事の後や夜中にたん吸引が必要になってしまったんです。そのことを施設に知らせたら「うちでは夜間のたん吸引はできません」と言われてしまいました。 そういうことであれば、退去を勧められたのは入院期間が長引いたことが理由ではなく、施設が夜間にたん吸引ができる体制ではないことが理由ではないでしょうか?たん吸引は医療行為ですので、看護師などの医療従事者か研修を受けた一部の介護職員しか処置ができないんです。そのうえ、夜もたん吸引が必要となると看護師や研修を受けた介護職員が夜間帯も常駐している必要があります。今の施設では、そうした医療体制が整っていないのだと思います。 そうだったんですね…。母は今の施設で友達ができたようだったので、退院後も施設に戻りたかったんですが、別の施設を探すしかないということですね。 新しい介護施設の探し方 退去勧告を受けた理由はよくわかりました。次の施設はどうやって探したら良いんでしょうか?たん吸引が必要な状態で受け入れる介護施設はあるんですか? もちろん、すべての施設が受け入れられるわけではありませんが、たん吸引が必要な状態でも入居できるところはありますよ!お母様の場合、昼と夜にたん吸引が必要なので、看護師が24時間常駐している介護施設が良いでしょう。中でも民間施設の「住宅型有料老人ホーム」「介護付き有料老人ホーム」であれば、たん吸引に対応できる施設が多くありますよ。 へぇ、そうなんですね!住宅型有料老人ホームと介護付き有料老人ホームでも、すべての施設がたん吸引の対応をしてくれるわけではないんですよね? おっしゃる通りです。夜間もたん吸引が必要な人の施設探しをする場合、「24時間看護師常駐」がポイントなんです。ただ厳密には、住宅型有料老人ホームの場合、老人ホームに看護師が常駐しているわけではなく、別途、訪問看護の利用契約をしてサービスを受けます。対して、介護付き有料老人ホームは施設自体に看護師が常駐しています。どちらにしても、夜間帯のたん吸引に対応できる医療体制が整っている施設を探しましょう。 意外と多い!退去時トラブルにご注意 次の施設の探し方をお伝えしたところで、今の施設をトラブル無く退去するためのポイントをお伝えしますね。というのも、意外と介護施設を退去するときのトラブルが多いんですよ。 そうなんですね!どんなトラブルがあるんですか? トラブルになりやすいのは、以下のようなポイントです。 入居金の返還 原状回復費用 退去の申し出のタイミング もし、今の施設に入って間もない場合でしたら、入居金の返還があるかどうかを今の施設に確認してください。多くの施設では入居金の償却期間が設けられており、入居から数年以内でしたら償却していない分が返金されます。また、契約から90日以内の場合、入居期間分の家賃や食費などを差し引いた入居金が返還されるんです。これを「クーリングオフ制度」と言います。 母は入居してから2年くらいです。ということはクーリングオフ制度は適用されませんが、入居金は戻ってくるかもしれないですよね? はい、償却期間の間だったら返金があります。施設に事前に確認しておいてください。また、居室の原状回復費用もトラブルになりやすいです。通常の使用以上の汚れ・キズがあった場合は、修繕費用が発生することがあります。また、特別に汚れていなくてもクリーニング費用が発生するケースもありますから、こちらも合わせて確認した方が良いですね。 最後の「退去の申し出のタイミング」というのはどういうことですか?退去の申し出に決まりがあるんですか? そうなんです。賃貸住宅を引っ越しするときにも「退去の1ヵ月前に退去の申し出が必要」といったことを契約時に説明されると思います。それは老人ホームでも同じなんです。退去の申し出の時期は施設ごとに異なりますが、「退去の1ヵ月前」が一般的。次の施設探しに集中していて、今の施設へ退去の申し出をするのを忘れていた、なんてことにならないようにしてくださいね。 老人ホームを転居するのは、意外といろんなことを確認しなくちゃいけないんですね。大変だなぁ。 はい、そうなんです。なので、退院日や退去日から逆算していつまでに何を済ませておくか、計画的に手続きや施設探しを進めてくださいね。 医療依存度が上がる、他の入居者への迷惑を理由に退去勧告されることはある 医療行為が昼夜必要なときは、24時間看護師常駐の施設だと安心 入居金の返還があるか、原状回復費用がかかるかは退去前に要チェック! pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: scroll; line-height: 1.1; ...
2022/11/18
老人ホームの住み替えはしても良いものでしょうか?母が今の老人ホームが合わないようなので、別の施設に転居させたいです。 (井上さん・58歳・自営業) 老人ホームの住み替えは、大いに”アリ”です!ただ、今の施設に相談することで解決できることもあるので、まずは今の施設との話し合いをしてみてはどうでしょうか?それでも転居したいということであれば、お母様の希望する条件をはっきりさせてから次の施設探しを始めましょう。 介護度に合った老人ホームに住み替えを 老人ホームに入っている母が「引っ越したい」と言って聞かないんです。どうしたら良いでしょうか? おや、施設で何かあったんですか? どうも今の施設が母には合わないようで…。「夜中に騒ぐ人がいて寝られない」とか「認知症の人ばかりで話し相手がいなくてつまらない」と言っています。老人ホームなんてそんなものだと思うので、母には気の毒ですが我慢してもらうしかないと思うんですよね。 そんなことありませんよ!もし、今の施設でどうにもならない問題であれば老人ホームを替えることも検討しても良いんじゃないでしょうか。 施設を変えても良いんですか?今の施設は、母に何かあっても最期までお世話をしてもらえると思って入居を決めたのですが…。 もちろんです!「老人ホーム=終の棲家」とイメージされる方が多いですが、実は入居される方の介護度や身体状況によって住み替えるのが、老人ホームの”上手な活用法”なんです。 初めて知りました! お母様の場合、介護度の低い入居者さんが多い施設に転居しても良いかもしれないですね。他の入居者さんと介護度や身体状況が大きく異なると暮らしにくいということもありますが、お母様の介護度が悪化してしまうこともありえますから。 そうなんですか!? というのも、介護度の高い人が多い施設というのは、自分で家事などをしなくても職員さんがすべてやってくれます。それに、認知症の人が多いとコミュニケーションを取る相手も限られてくるので、生活に刺激がなくなってしまうんです。 確かに…母もそんなことを言っていました。 そうなると、自分で身体を動かす機会や脳への刺激が減って、身体機能が低下したり認知症を発症してしまうかもしれません。なので、入居される方の介護度に応じた施設選びが大切なんです。 次の施設探しをするときのポイントは? さっそく転居先の老人ホームを探し始めようと思うので、ポイントを教えてください! わかりました!…でも、施設探しを始める前に今の施設と話し合いをする場を設けることをおすすめします。 話し合い、ですか? 実は、住み替えしなくても今の施設に相談することで問題が解決することもあるんですよ。 それってどういうことですか? 例えば、「夜に騒ぐ人がいて眠れない」「認知症の人が多くて話し相手がいない」というお悩みは、居室の位置やフロアを変更してもらうことで解決できるかもしれません。あとは、あえてお母様が1人で過ごす時間を増やしてもらって、ご自身の趣味に集中できる環境を整えると「つまらない」という問題もなんとかなるかもしれませんよ。 老人ホームって、そんなに融通が効くものなんですか? うーん。こればかりは、施設ごとに対応が異なるのでなんとも言えません。ただ、施設に伝えなければ何も変わりませんから、まずは施設としっかり話し合ってください。もしかしたら、これまでコミュニケーションが足りなかっただけで話してみたら意外と要望が通ることもあるかもしれませんよ。 わかりました。一度、施設の担当者さんに相談してみます。 それでもお悩みが解決できなかったら、次の施設探しを始めましょう。 そのときは、どんなところに気をつけたら良いでしょうか? はじめにすることは、「希望条件の優先順位付け」ですね。「今の施設ではどんなことが解決できないのか」「これだけはゆずれない条件は何か」など、”必ずクリアしたい条件”があると思うので、そこをはっきりさせましょう。 なるほど。今回の施設選びは失敗したくないので、改めて考えてみます。 それと、施設の見学をするときは複数の施設を見比べてください。同じ条件で見つけた施設でも、雰囲気や職員さんなどとの相性はありますから。 複数の施設を比較するんですか…。結局、何が違うのかわからないままに終わってしまいそうです。 そういうときは、第三者の視点でのアドバイスも活用してみてください。「いい介護 入居相談室」では、たくさんの施設を熟知しているベテラン相談員がそれぞれの施設のメリット・デメリットを公平にご案内しているので、参考になると思いますよ。 転居するときの手続きトラブルが多い 今の施設から転居する際に、気をつけていただきたいことがいくつかあります。 気をつけることですか? まずは、今の施設の入居金についてです。もし入居金を払っていて償却期間内に退去する場合、返還金があります。加えて契約日から90日以内であれば、入居していた期間分の家賃や食費などを差し引いた入居金がクーリングオフ制度によって返金されるんです。 そうなんですね!母は入居してからまだ1ヵ月ほどなので、クーリングオフ制度が適用されそうです! であれば、今の施設にどのくらいの金額が返還されるのかを事前に確認しておいてくださいね。あとお金の関連で要注意なのが、原状回復費用です。通常の使用による以上の汚れ・キズがあった場合の修繕費用ですね。お母様は入居期間が短いのでないかもしませんが、原状回復費用についてのトラブルは多いのでよく確認しておきましょう。 特別に部屋を汚しているようには思えませんが…。汚れがないか退去前に部屋を見ておきます。 それと、これはお金に関することではありませんが「何ヵ月前に退去の申し出が必要なのか」もチェックしておいてください。 うーん…。老人ホームを退去するには、いろいろと確認しておかないといけないことがあるんですね…。 そうなんです。なので、はじめに退去時期を決めてそこから逆算して計画的に退去手続きや施設探しを進められると良いですね。 老人ホームの住み替えはアリ! 周囲と介護度のズレがあると、介護度が上がってしまう可能性も 施設探しの前に、今の施設と話し合いをしてみて 転居時の手続きやお金のトラブルに要注意 pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: scroll; line-height: 1.1; } pre:before { content: ...
2022/07/19
住宅型有料老人ホームに入居している母を別の介護施設に転居させたいと考えています。母の介護度が上がったことで訪問介護サービスを利用する回数が増え、費用が上がってしまったので、安く抑えられる施設を探しています。何か気をつけるポイントはありますか? (松本さん・59歳・主婦) 次の施設探しで後悔しないために、希望条件の優先順位付けをしましょう。また、今の施設を退去するときに、入居金の返還があるか、いつまでに退去の申込みが必要かも確認しておいてください。退去の時期から逆算して、計画的な施設探しをしてくださいね。 転居する理由をはっきりさせることが大切 北野室長、実は介護施設に入っている母を別の施設に転居させたいと考えているんです。 そうなんですね。どうして転居させたいと思ったんですか? 母は今、住宅型有料老人ホームに入居しているんですが、介護度が上がったら費用がかなりかかるようになってしまって…。もっと安く抑えられる施設に変えたいんです。 なるほど、なるほど。今は外部の訪問介護サービスを利用されている状況ですか? はい、訪問ヘルパーさんと週3回のデイサービスを利用しています。入居したときはそんなに介助が必要なかったんですが、足が悪くなって車いすに乗るようになってからは、車いすの乗り降りやトイレも手伝ってもらわないといけなくなって…。 となると、訪問介護の頻度が増えて、介護サービス費がかさんでいるということですかね? そうなんです!「介護度が上がっても入居し続けられる」と言われたから入居したのに、実際はどんどんお金がかかってしまって。こんな金額だと支払い続けられないです。 ”住宅型あるある”ですねぇ。住宅型有料老人ホームだと、介護サービス費の上限がなく、利用した分だけ支払うので介護度が上がると高額になってしまうことがあるんですよ。 そんな…。もっと安く抑えられる施設はあるでしょうか?次の施設は失敗したくないので、施設探しで気をつけるポイントを教えてください! まずは、転居する理由をはっきりさせて次の施設の希望条件の優先順位付けをすることですね。 優先順位付けですか?とにかく今より安くしたいです。 そうですよね。あとは、「身体介助をしてもらえる」「介護度が上がっても予算内で収まる」という点も必須条件ですよね。 どちらかというと「身体介助をしてもらえる」というのが優先順位が一番高いかも。母は介助がなければ生活できませんから。 そうそう!そんな感じで”絶対に外せない条件”をはっきりさせていきましょう! 退去手続きのトラブルが多い 次の施設のことを考えるのも大切ですが、あわせて今の施設の退去手続きの確認も大切です。特にお金に関するトラブルが多いので、施設の「重要事項説明書」を確認しておきましょう。 そうだった!重要事項説明書って契約時にチェックした書類ですよね? そうです。サービス内容や契約内容などについて記載されているものですね。この書類の中でも特に重要なのが、料金の部分です。入居金の返還がある場合はどれくらい返ってくるのか、居室の原状回復費用の支払いが必要なのか、などを確認しておきましょう。 すっかり忘れていました。家で書類を探してみます。 また、クーリングオフ制度を利用できる場合もあります。入居してから90日以内に退去する場合は、家賃やサービス代などを差し引いた入居金が返還される制度です。 確か入居金は支払っていないので、返金はないはずです。 であれば、心配なさそうですね。あと大切なのが退去日です。今の施設に「何ヵ月前に退去の旨を伝える必要があるのか」もチェックしておいてください。 そうか、今の施設に早めに連絡しておかないといけないんですね! なので、いつまでに退去するのかを決めて、その日から逆算して施設探しの計画を立てていくとスムーズに施設の住み替えができると思いますよ。 次の老人ホームを探す方法は? 次の施設はどうやって探したら良いんでしょう?とりあえずネットで探しているのですが、施設の違いがイマイチよくわからなくて。 そうなんですよねえ。ネットだといろんな施設を見られるので下調べには便利なんですが、たくさんありすぎるからこそどの施設が良いかわからなくなりますよね。それに、結局は見学に行かないとわからないこともたくさんありますし。 ホントそうなんです!気になった施設があったら、直接連絡して見学すれば良いですか? もちろんそれでもOKです。…が、いくつもの施設を見学するとなると、ご自身で日程の調整をするのは大変じゃないですか? 確かに、自分で一つひとつの施設に連絡するのは大変そうですね…。 なので、施設探しをするときはぜひ「いい介護 入居相談室」にご相談ください。複数の施設の見学をするときも相談員がまとめて手配しますし、ベテランの相談員が施設のことをわかりやすくご説明しますよ。施設探しでわからないことがあったら、気軽にご相談くださいね。 転居する理由をはっきりさせよう! 退去時に入居金、原状回復費用などのトラブルが多い 退去時期から逆算して施設探しの計画を立てる いい介護なら、施設に詳しい入居相談員に相談できる pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: scroll; line-height: 1.1; } pre:before { content: ...
2022/07/15
介護施設への入居について、地域に特化した専門相談員が電話・WEB・対面などさまざまな方法でアドバイス。東証プライム上場の鎌倉新書の100%子会社である株式会社エイジプラスが運営する信頼のサービスです。