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#最新研究

#最新研究 #認知症予防

緑黄色野菜を食べて認知症予防!?抗酸化物質を摂ると認知症リスク低下

老化による健康を阻害する要因のひとつである活性酸素。その働きを抑える効果のある抗酸化物質は、摂取すると身体に良いことを知っている人も多いのではないでしょうか。 その抗酸化物質の効果は、身体だけでなく脳にも良い影響があることがアメリカ神経学会が発表した研究によってわかりました。 その研究によると、抗酸化物質の血中濃度が高い人は認知症リスクが低下するそうです。 ニンジンで認知症予防? アメリカ神経学会が、認知機能の低下防止に対する抗酸化物質の効果についての研究結果を発表しました。 この研究は、45〜90歳の中高年の男女約7300人を対象におこなわれたもの。対象者の血液検査をして、ビタミンA、C、Eなど多数の抗酸化物質の血中濃度を測定しています。 その結果、「ルテイン」「ゼアキサンチン」などの抗酸化物質の血中濃度が高い人は、低い人に比べて認知症リスクが低いことが判明。抗酸化物質の量が増えるごとに認知症リスクは低下していたそうです。 このルテインやゼアキサンチンは、緑黄色野菜に多く含まれている物質。ニンジン、ホウレンソウ、カボチャ、ブロッコリー、ケールなどを食べることで摂取できる成分です。 研究グループは「抗酸化物質は、細胞にダメージを与える酸化ストレスから脳を保護するのに役立つ可能性がある」としています。ただ、生涯にわたる抗酸化物質の血中濃度を測定しているわけではないので、抗酸化物質の効果を確かめるために追加の研究が必要とのことです。 生活習慣病の予防にも 活性酸素の働きを抑える抗酸化は、もともと私たちの身体に備わっている機能ですが、加齢によってその効果が減少。活性酸素が多くなって処理しきれなくなってしまいます。 そうなると、がんや糖尿病、動脈硬化といった生活習慣病を引き起こしてしまうのです。 そのため、活性酸素から身体の細胞を守るには食品から抗酸化物質を摂取することが重要。パプリカ、カボチャ、ホウレンソウなど身近な緑黄色野菜にも多く含まれていますが、なかには体内で生成されないものもあるので、定期的に摂取する必要があります。 身体の健康を守るためにも、脳の健康を守るためにも抗酸化物質をたくさん摂っておいた方が、いつまでも元気でいられそうですね。

2022/05/30

#最新研究 #糖尿病治療

低リスクで糖尿病を完治させる!?膵島細胞を皮下脂肪に移植する新手法

日本の糖尿病患者は2000万人以上とされており、そのなかの10~20万人の重症の糖尿病患者は、一生涯インスリン注射を打つ必要があります。 そこで、福岡大学はインスリンを作る「膵島細胞」を患者に移植することで、糖尿病を完治させる方法を研究してきました。 これまで、細胞を移植された患者は免疫抑制剤を飲み続ける必要がありましたが、今回、福岡大学が免疫抑制剤を服用しなくても良い移植方法を発見。免疫抑制剤の使えない患者にも利用できる方法のため、より広い患者の糖尿病完治に期待ができるそうです。 リスクの少ない治療法 福岡大学は、免疫抑制剤の不要な膵島細胞の移植方法を発見したことを公表しました。 膵島細胞とは、血糖値を下げる働きのあるインスリンを作る膵臓の細胞のこと。糖尿病はインスリンを十分な量を作成できなくなることで高血糖になってしまう病気のため、膵臓細胞の働きが正常に戻ることが糖尿病の完治につながります。 これまでの膵島細胞の移植は、患者の肝臓に細胞を移植していましたが、移植された細胞を身体が拒絶してしまうため、免疫抑制剤を一生服用する必要がありました。 しかし、免疫抑制剤によって免疫が低下することで感染症などのリスクが増加。そこで、免疫抑制剤が不要な移植方法が求められていたのです。 そこで今回、福岡大学が発見したのは皮下脂肪に移植する方法。細胞を移植する前に褥そうの治療薬を投与しておくことで、拒絶反応が抑えられることがわかったそうです。 糖尿病が完治する病気になる? 今回の発見によって、糖尿病治療が大きく変わるかもしれません。 これまでも、膵島細胞の移植による治療はおこなわれていましたが、ドナーが少なかったり免疫抑制剤が利用できない患者には治療できないため、治療例があまりありませんでした。 そのため、今回の方法が確立されれば、より多くの糖尿病患者がインスリン注射から解放されるかもしれません。 ただ、まだマウス実験の段階のため、人体でも上手くいく方法かどうかはわかっていません。加えて、治療ができるようになるまではまだまだ時間がかかることでしょう。

2022/05/30

#最新研究 #認知症の薬

認知症薬の開発となるか?若いマウスの髄液を投与して記憶力が回復

記憶力に関する驚くような研究結果が発表されました。 それは、アメリカのスタンフォード大学の研究。老いたマウスに若いマウスの脳脊髄液を移植することで、老いたマウスの記憶力が向上したそうです。 さらに、記憶力の向上に関係すると考えられる脳脊髄液中のタンパク質を特定。将来的には認知症の治療薬の開発につながる可能性があるとしています。 若いマウスの脳脊髄液で記憶力回復⁉ アメリカのスタンフォード大学では、マウスの記憶力に関する研究がおこなわれました。 その結果によると、若いマウスの脳脊髄液を老いたマウスに投与することで、老いたマウスの記憶力が改善したそうです。 脳脊髄液とは、脳や脊髄を覆い細胞に栄養素などを供給している液体のこと。これまで脳脊髄液が加齢によって変化することは知られていたものの、それが脳細胞の機能にどのような影響を与えるのかはわかっていなかったそうです。 そこで、今回の研究では高齢マウスに対して、音と光でマウスを刺激しながら電気ショックを与えて、音と光と恐怖をマウスに覚えこませました。そして、そのうちの半分のマウスに、若いマウスの脳脊髄液を投与したのです。 その3週間後、今度は音と光だけを与えました。これによってマウスが動きを止めれば、音と光の後に電気ショックが与えられると覚えていることになります。 その結果、若いマウスの脳脊髄液を投与した高齢マウスは、約40%の確率で動きを停止。投与しなかった高齢マウスは、18%の確率でしか動きが止まりませんでした。 つまり、若いマウスの脳脊髄液を投与したことで、高齢マウスの記憶力が改善したと言えるそうです。 その後の研究で、研究チームは記憶力の改善に若いマウスの脳脊髄液に多く含まれる「FGF17」というタンパク質が関係していることを発見。これによって、脳脊髄液に直接作用する認知症の治療薬の開発につながるかもしれないとしています。 今後の実用化に期待 現段階の認知症薬では、認知症を完全に治療することはできないのが実情。症状の進行を抑えることはできますが、記憶力を回復させたり認知機能を改善する治療薬はまだないのです。 そのため、今回の研究によって記憶力を改善させるメカニズムが発見されたことで、認知症薬の研究が大幅に変わるかもしれません。 ただ、この研究結果が薬として形になるのは、まだまだ先の話。ですが、薬が実用化されれば高齢化に悩む社会にとって役に立つものになりそうですね。

2022/05/20

#心疾患 #最新研究 #糖尿病予防

座っている時間を1時間減らすだけで糖尿病が改善⁉3ヵ月間で効果あり

新型コロナの拡大で外出自粛生活が始まって2年以上。自宅で過ごすことに慣れた人も多いのではないでしょうか。 しかし、そこで心配なのが運動不足。「長時間、座りっぱなしでテレビを見ている」なんて人もいるかもしれません。 しかし、座っている時間を約1時間減らすだけで糖尿病や心臓病のリスクを減らす効果があることをフィンランドのトゥルク大学が発見。座っている時間を減らして、身体活動量を増やすだけで健康的になれるそうです。 座っている時間を短くするだけで健康に フィンランドのトゥルク大学が、座位時間や身体活動量と健康上の効果についての研究結果を発表しました。 この研究は、中高年64人を2つのグループに分けておこなわれたもの。1つのグループは、座っている時間を1日1時間短くして、軽い運動や活動時間を増やし、もう1つのグループは、普段通りに座る時間が長いままの生活を過ごしました。 その結果、座位時間を短くしたグループは3ヵ月間で血糖値のコントロール状況が改善し、インスリンの働きが良くなりました。さらに、肝臓の状態も改善。一方の普段通りの生活をしたグループは、健康状態に変化はなかったそうです。 今回の研究で特徴的なのは、3ヵ月の実験期間を通して座っている時間と活動している時間の身体活動量を活動量計で測定した点です。 というのも、従来の研究では、活動量を測定するのは実験期間の最初と最後の数日間だけなのが一般的。今回は参加者に活動量計をずっと身につけてもらうことで、実際の行動の変化に関して多くの情報を取得して分析できたそうです。 まずは立つ時間を増やすことから 「運動しないと…」と思いつつ、なかなか始められないことが多いですよね。 そういった人には、「座っている時間を3ヵ月間減らすことで健康に効果がある」という今回の研究結果は心強いものになるかもしれませんね。 ただ、今回の研究グループによると「糖尿病や心疾患など複数の病気のリスクが高い人は、座っている時間を減らすだけでは病気を防ぐには十分ではない」とのこと。運動の強度を上げたり運動時間を増やすことで、より効果が得られるそうです。 しかし、いきなりハードな運動をするのはなかなか大変。普段、座っている時間が長い人にとっては、座位時間を減らすだけでも運動を始める良いきっかけになるのではないでしょうか。

2022/05/20

#最新研究 #認知症予防

認知機能の維持に最適な睡眠時間は7時間!うつ病や不安感にも効果あり

朝早くに目が覚めてしまうと目がさえて寝付けないのに、昼過ぎになると眠くなって昼寝をしてしまうことがある人もいるのではないでしょうか。 今回、睡眠状態が良くないと日中の活動に影響するだけでなく、脳にも悪影響があることが中国とイギリスの大学の研究によって明らかになりました。 その研究によると、中高年期の睡眠時間は7時間が最適で、それより多くても少なくても認知機能や記憶力に悪影響があるそうです。 最適な睡眠時間は7時間 中国の復旦大学とイギリスのケンブリッジ大学が、共同で睡眠時間の認知機能への影響に関する研究をおこない、その結果が発表されました。 この研究は、イギリスに住む38~73歳の約50万人の健康データを分析したもの。睡眠のパターンや精神の健康状態についてのアンケート、認知機能テスト、脳のスキャン検査の結果などをもとに調査をおこなっています。 その結果、最も認知機能テストのスコアが良かった睡眠時間は7時間。これより多くても少なくても注意力や記憶力、問題解決能力などの認知機能が低下していました。 さらに、うつ病などの精神的な健康状態が良かった睡眠時間も7時間という結果に。7時間より睡眠時間が長かったり短かったりすると不安やうつ病の症状が多くなっていたそうです。 加えて、睡眠時間にばらつきがないことも認知機能や精神的健康の維持に関係するそう。毎晩7時間の睡眠時間を確保することで、認知機能と精神的な健康を良好にすることにつながることもわかりました。 こうした結果になった理由として、深い睡眠が妨げられることが認知機能に影響していることが挙げられます。深い睡眠が妨げられることで記憶が定着しにくくなり、認知症の原因物質のアミロイドが脳に溜まりやすくなるそうです。 高齢者こそ睡眠時間の確保を なかには「現役世代は仕事や家事に影響が出るからきちんと眠っていたけど…」と、年を重ねてから睡眠をおざなりにしている人もいるかもしれません。 しかし、今回の調査をした研究者によると「良質な睡眠を取ることは、特に年齢を重ねるにつれて重要になる」とのこと。いつまでも元気で活動したいシニアにこそ、睡眠は大切な健康習慣と言えそうですね。

2022/05/17

#最新研究 #認知症予防

身近に緑地があると認知症予防に?うつ病リスク低下の効果も

世界保健機関(WHO)によると、世界の認知症患者の数は増加傾向。2030年までに現在の2倍の6570万人、2050年には3倍の1億1540万人にまで増えるとされています。 そのため、世界では認知症に関する研究が進められています。 例えば、アメリカのボストン大学の研究チームは「自然の多い環境が脳に良い影響を与えるのか」という調査を実施。その結果、緑地の多い地域に住む人は認知機能の低下が緩和されて、注意力などが高くなることがわかりました。 緑地は認知症予防に効果がある? ボストン大学の研究グループが、緑地の脳への影響についての研究を実施しました。 この研究は、女性の慢性疾患について調べた研究のデータを分析したもの。その研究データから抽出した女性約1万3600人(平均年齢61歳、98%が白人)を対象に、緑地と認知機能との関係を調べました。 研究チームは、対象女性の緑地に触れている頻度や認知機能といったデータに加えて、対象者の住まいの周辺に緑地や自然がどれだけあるのかを調査しています。 その結果、緑地の多い場所に住んでいる人は、大気汚染にさらされにくいこと、うつ病リスクが低いこと、身体活動の頻度が増えることが判明。こうした要因が、認知機能の向上に関係する可能性があるそうです。 さらに研究チームは、「うつ病は認知症リスクに関係する大きな要因」としており、うつ病リスクを下げることが認知症予防に効果があることを示唆しています。 しかし、今回の研究対象が白人女性がほとんどであること、緑地で過ごした時間や運動の有無についてのデータがないことが制約になっています。 やはり生活習慣が予防のカギ? 認知症の発症には、さまざまな原因があることがわかっています。 例えば、生活習慣やストレスも発症リスクに関係。暴飲暴食や飲酒、喫煙などは認知症リスクを高めますし、反対に健康的な食事や適度な運動習慣は認知症予防に効果があります。また、ストレスが多い人は認知症になりやすいことも明らかになっています。 それは、今回の研究でも同様なのかもしれません。 というのも、緑地の近くに住む人は活動する習慣が多いとのことですし、うつ病リスクが低いということは、うつ病の原因のひとつであるストレスが少ない環境であることが考えられるからです。 つまり自然が多い場所というのは、自然と健康的で認知症予防につながる環境である可能性が高いということです。 「ストレスが多いな」と感じたら自然の中を散歩してみるのが、一番手軽にできる認知症予防なのかもしれませんね。

2022/05/16

#最新研究 #認知症予防

高齢者のうつ病は認知症の前ぶれ?ウォーキングでリスクが25%減

コロナ禍が長引いて「気持ちがなんだか落ち込む」「何もする気が起きない」と感じることが増えた人もいるかもしれません。 そうした状況をそのままにしておくと、うつ病を発症してしまうことも。高齢者のうつ病は認知症と合併することも多いうえに、認知症の前兆としてうつ病の症状が現れる場合もあります。 そうしたうつ病の予防に効果的なのが、ウォーキングなどの運動であることがイギリスのケンブリッジ大学の研究で明らかになりました。 週に150分の活発な運動をしている人は、うつ病のリスクが25%低くなることがわかったそうです。 ウォーキングでうつ病予防 イギリスのケンブリッジ大学が、ウォーキングなどの運動と病気のリスクの関係について調査をおこないました。 この研究は、過去におこなわれた15件の研究データを分析したもの。約19万人の対象者のうち、約2万9000人がうつ病を発症したそうです。 分析の結果、1日30分、週150分の活発なウォーキングに相当する運動をしている人は、うつ病のリスクが25%低いことがわかりました。また、その半分の運動量でも18%もリスクが下がったそうです。 また、有酸素運動をすることで、精神を安定させるホルモンの「セロトニン」が活発になることがわかっています。 セロトニンは「幸せホルモン」とも呼ばれており、不安感が改善されてポジティブになる効果も。短時間でも運動することで、うつ病予防の効果が期待できるそうです。 うつ病と認知症が似ている? 高齢者のうつ病は、若い世代とは異なる特徴があります。 それは、身体機能の低下や社会的な役割の喪失による不安感が発症に影響していること。加齢によって昔と同じように活動できなくなったことや、定年退職や子どもが自立することで自分の生きがいがなくなり、気持ちが落ち込んでしまうのです。 さらに、うつ病の症状なのか認知症の症状なのか区別しにくいことも。「これまでできていたことができなくなる」「気持ちが落ち込んで活動的でなくなる」など、表面に現れる症状がとても似ているためです。 一方で、ウォーキングなどの運動はうつ病と認知症のどちらの予防にも効果があるとされています。 そのため、「なんだか気持ちが落ち込む」と感じたら、近所を散歩してみるのが良いかもしれませんね。外の空気に触れて気分転換にもなりますし、運動不足の解消にもなりますよ。

2022/05/11

#最新研究 #認知症予防

白内障手術で認知症リスクが3割低下⁉80代以上のほぼ全員が発症

年齢を重ねると、どうしても視力が落ちてくるもの。特に80代以上のほとんどが白内障によって視力が低下しているという研究もあります。 「年だからしょうがない」と考えてしまいがちですが、その白内障を治療することで認知症リスクを低下できるという研究結果が発表されました。 この研究は、アメリカの医師会の専門誌に昨年12月に掲載されたもの。白内障を治療する手術を受けた人は、そうでない人と比べて約3割も認知症リスクが低下していたそうです。 白内障を治療して認知症を防ぐ? 昨年12月、アメリカの医師会の専門誌に「白内障の手術をすると認知症リスクが低下する」という研究論文が発表されました。 白内障は、目の中でレンズの役割をしている水晶体が加齢によって白くにごり、見えにくくなる病気。物がかすんで見えたり光がまぶしく感じられたりと視力の低下を引き起こします。 今回おこなわれたのは、白内障の診断を受けている65歳以上のアメリカ人約3000人を対象とする研究。白内障の手術をしたグループと手術をしていないグループに分けて、その後の認知症リスクを追跡調査しました。 その結果、手術を受けたグループは受けていないグループと比べて29%も認知症の発症率が低下。この効果は、5年以上も持続したそうです。 80代以上のほとんどが白内障⁉ 「白内障診療ガイドライン」によると、50代の2人に1人は白内障。年齢を重ねるごとに発症率は高まり、80代以上になるとほぼ全員が白内障になるそうです。 つまり、高齢者の多くが認知症リスクを高める可能性のある白内障を抱えていることに。しかし、目薬では進行の予防はできますが、根本的な治療はできません。 その唯一の根本治療法が手術。にごってしまった水晶体の代わりに人工レンズを入れるのです。 白内障の手術は、約20~30分程度で終わるため日帰りが可能。一般的に利用されている人工レンズを入れる手術であれば保険が適用でき、片目で2万円前後で済みます。 目が見えにくいだけで日常生活に支障をきたすことも多いので、認知症予防のためでなくても「目が見えにくい」と感じたら眼科に相談してみても良いかもしれませんね。

2022/05/11

#嚥下 #最新研究

4時間以上の離床で高齢者の嚥下機能を維持⁉離床時間の延長がリハビリに

身体の筋肉量や嚥下機能(飲み込む力)は、年を重ねるほど低下しやすくなることがわかっています。 しかし、日常的に介護が必要な高齢者の場合、積極的に運動する機会が減ることで全身の筋肉量が減りやすい状況に。さらに、ひとたび低下した嚥下機能を回復させることは難しいため、「やわらか食」「ミキサー食」といった介護食に頼らざるを得ないのです。 そこで、東京医科歯科大学は摂食嚥下リハビリテーションの調査の一環として、要介護高齢者の離床時間と筋肉量・嚥下機能の関連を研究。その結果、離床時間が4時間以上の高齢者は手足の筋肉量や嚥下機能が維持されていることがわかりました。 離床時間が長いと嚥下機能が保たれる 東京医科歯科大学が、要介護状態の高齢者の離床時間と筋肉量・嚥下機能の関係について調査。それによると、4時間以上の離床している高齢者は、筋肉量・嚥下機能を維持していることがわかりました。 この調査の対象となった高齢者は、すべて要介護状態の人。要介護3~5相当の身体状況にある人の離床時間、筋肉量、服薬、BMI(体格指数)などを調査しました。 その結果、離床時間が4時間未満の高齢者に比べて、4時間以上の高齢者は四肢の筋肉量と嚥下機能が維持されていることがわかりました。さらに、離床時間が6時間以上の高齢者は、体幹の筋肉量も多く、常食に近い形の食事をとっていたそうです。 離床時間が延びたことが食事形態に影響したのは、常食を食べるためにはしっかり覚醒して咀嚼する必要があるため。咀嚼するには体幹の筋肉が大切であり、離床時間が6時間以上になることで覚醒状態が安定し、体幹の筋肉量が保たれていた可能性があります。 効果的なリハビリのために 慢性的に人手不足である介護現場では、身体や嚥下機能のリハビリを頻繫におこなうことは難しいもの。特に嚥下機能は専門家による指導がないと、効果的なリハビリが難しい分野です。 そこで、今回の調査結果をふまえて研究グループは、離床時間を4時間以上を目指すことを推奨。現在、4~6時間は離床できている人は、6時間以上ベッドから離れて余暇の時間を過ごすことを目指すことを勧めています。 積極的なリハビリが難しい以上、離床時間を延ばすことがリハビリにつながるのであれば、ぜひ少しずつ起きている時間を増やしていきたいですね。

2022/05/10

#医療現場の改革 #最新研究 #糖尿病治療

糖尿病で受診するのは3割だけ⁉受診”しない”人の予測モデルを開発

”予備軍”も含めると、国内に約2000万人もの患者がいるとされている糖尿病。国民病とも言える病気ですが、糖尿病と診断されても受診をせずに治療しない人が多いことが課題とされています。 というのも、糖尿病の治療は食事や運動などの生活習慣を見直す必要があり、長期にわたることが多いから。これまでの生活習慣を変えることを面倒に感じて受診できないケースもあるそうです。 そこで、受診しない人の受診を促すために、東京大学が受診しない糖尿病患者の予測システムを開発。糖尿病患者のデータを大量に機械に学習させることで、予測が可能になったそうです。 受診しない人の傾向とは 東京大学は、糖尿病と診断されても半年以内に受診しないケースの傾向を割り出し、受診しない人を予測するシステムを開発しました。 このシステムは、約1万人分の医療データを機械に学習させることで実現。それにより、糖尿病と診断を受けて半年以内に受診をしない人には、以下のような傾向があることがわかりました。 過去12ヵ月間、受診をしていない 「HbA1c」の値が低い 脂質異常症薬を処方されていない 降圧剤を処方されていない HbA1cとは、過去1~2ヵ月間の血糖値に関連する数値。血糖値はその日の食事や運動などの影響を受けて常に変動していますが、HbA1cは過去1~2ヵ月間の平均血糖値に影響されるので長期的な血糖値のコントロールの指標に使われています。 これまでにも、年齢や性別、飲酒頻度といった13項目をもとに、受診するかどうかを予測する方法もありました。しかし、それよりも今回の4項目を用いる方法の方が正確に予測できることがわかったそうです。 つまり、今回の方法の方が必要な情報が少なくなるため効率的に予測ができるうえに、正確性も上がるということです。 将来的には、「受診をしない人への働きかけなどにこの予測を活用し、受診率を上げていくことに期待できる」と研究グループはしています。 初期段階から受診することが大切 今回の研究グループによると、血糖値が高いために受診を勧められた人のうち、35%しか受診をしていなかったとのこと。糖尿病は初期段階では自覚症状が出ないことが多く、日常生活に支障がないので、受診しない人が多いそうです。 しかし、糖尿病は進行すると重大な合併症を引き起こすことも。例えば、失明や慢性的な腎臓障害に加えて、心筋梗塞などの命に関わる病気の原因になりかねません。 そのため、「血糖値が高め」と診断されたらまずは受診。治療薬を使わなくても血糖値が改善できることもあり、長い目で治療していく姿勢が大切です。

2022/05/10

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介護付き有料老人ホームとは│提供されるサービス・費用・入居条件などを解説

介護付き有料老人ホームは、介護スタッフが24時間常駐している介護施設。介護サービスや身の回りの世話を受けられます。 この記事では、介護付き有料老人ホームの種類及び入居のための条件や必要な費用、サービス内容などを詳しく説明しています。 https://youtu.be/oK_me_rA0MY 介護付き有料老人ホームの特徴 介護付き有料老人ホームとは、有料老人ホームのうち、都道府県または市町村から「特定施設入居者生活介護」の指定を受けた施設です。24時間介護スタッフが常駐し、介護や生活支援などは施設の職員により提供されます。 主に民間企業が運営しているため、サービスの内容や料金は施設ごとに異なります。また、入居基準も施設により異なり、自立している方から介護が必要な方まで幅広く受け入れている施設も。選択肢が幅広いため、自分に合った施設を選ぶことができます。 看取りまで対応している施設も多数あり、「終の棲家(ついのすみか)」を選ぶうえでも選択肢のひとつとなります。 全体の概要をまとめるとこのようになります。 費用相場 入居時費用 0~数千万円 月額利用料 15~30万円 入居条件 要介護度 自立~要介護5※1 認知症 対応可 看取り 対応可 入居のしやすさ ◯ ※施設の種類によって異なります。 特定施設入居者生活介護とは 特定施設入居者生活介護は、厚生労働省の定めた基準を満たす施設で受けられる介護保険サービスです。ケアマネジャーが作成したケアプランに基づき提供される食事や入浴・排泄など介助のほか、生活支援、機能回復のためのリハビリなどもおこなわれます。指定を受けてこのサービスを提供する施設は、一般的に「特定施設」の略称で呼ばれています。 介護付き有料老人ホームの種類と入居基準 介護付き有料老人ホームには「介護専用型」「混合型」「健康型」の3種類があり、それぞれ入居条件が異なります。 介護度 ...

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グループホームとは|入居条件や費用、入居時に気をつけたいポイントを解説

認知症の方の介護は大変です。「そろそろ施設への入居を検討しよう」と思っても、認知症の症状があると、入居を断られてしまうのではと心配もあるでしょう。 グループホームは認知症高齢者のための介護施設です。住み慣れた地域で暮らし続けられる地域密着型サービスであり、正式な名称を「認知症対応型共同生活介護」といいます。 こちらの記事では、グループホームについて解説します。また、グループホームで受けられるサービスや費用、施設選びのポイントも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。 https://youtu.be/EofVO7MRRDM この記事を読めばこれがわかる! グループホームの詳細がわかる! グループホームを選ぶ際のポイントがわかる! グループホームへ入居する際の注意点がわかる! グループホームとは グループホームとは、認知症高齢者のための介護施設です。専門知識と技術をもったスタッフの援助を受けて、要支援以上の認知症高齢者が少人数で共同生活をおくります。 「ユニット」といわれる少人数のグループで生活し、入居者はそれぞれ家事などの役割分担をします。 調理や食事の支度、掃除や洗濯など入居者の能力に合った家事をして自分らしく共同生活を過ごすところが、ほかの介護施設や老人ホームとは異なるポイントです。 グループホームの目的は、認知症高齢者が安定した生活を現実化させること。そのために、ほかの利用者やスタッフと協力して生活に必要な家事を行うことで認知症症状の進行を防ぎ、できるだけ能力を維持するのです。 グループホームは少人数「ユニット」で生活 グループホームでは「ユニット」と呼ばれるグループごとに区切って共同生活を送るのが決まり。1ユニットにつき5人から9人、原則1施設につき原則2ユニットまでと制限されています。 少人数に制限する理由は、心穏やかに安定して過ごしやすい環境を整えるため。環境変化が少なく、同じグループメンバーで協力して共同生活することは、認知症の進行を防ぐことに繋がります。 認知症の方にとって新しく出会う人、新しく覚えることが難しいので、入居者やスタッフの入れ替わりが頻繁にある施設では認知症の高齢者は心が落ち着かず、ストレスを感じ生活しづらくなってしまいます。その結果、認知症症状を悪化させるだけでなく、共同生活を送る上でトラブルを起こすきっかけとなります。 慣れ親しんだ場所を離れて新しい生活をするのは認知症の方には特に心配が尽きないもの。その心配を軽減するため、より家庭にできるだけ近づけ、安心して暮らせるようにしています。 グループホームの入居条件 グループホームに入居できるのは医師から「認知症」と診断を受けている方で、一定の条件にあてはまる方に限ります。 原則65歳以上でかつ要支援2以上の認定を受けている方 医師から認知症の診断を受けている方 心身とも集団生活を送ることに支障のない方 グループホームと同一の市町村に住民票がある方 「心身とも集団生活を送ることに支障のない」という判断基準は施設によって異なります。入居を希望している施設がある場合には、施設のスタッフに相談しましょう。 また、生活保護を受けていてもグループホームに入ることは基本的には可能です。しかし、「生活保護法の指定を受けている施設に限られる」などの条件があるので、実際の入居に関しては、行政の生活支援担当窓口やケースワーカーに相談してみましょう。 グループホームから退去を迫られることもある!? グループホームを追い出される、つまり「強制退去」となることは可能性としてゼロではありません。一般的に、施設側は入居者がグループホームでの生活を続けられるように最大限の努力をします。それでも難しい場合は、本人やその家族へ退去を勧告します。「暴言や暴力などの迷惑行為が著しい場合」「継続的に医療が必要になった場合」「自傷行為が頻発する場合」etc。共同生活が難しくなった場合には追い出されてしまうこともあるのです グループホームで受けられるサービス グループホームで受けられるサービスは主に以下です。 生活支援 認知症ケア 医療体制 看取り それぞれ詳しく見てみましょう。 生活支援 グループホームでは以下の生活面でのサービスを受けられます。 食事提供 :◎ 生活相談 :◎ 食事介助 :◎ 排泄介助 :◎ 入浴介助 :◎ 掃除・洗濯:◯ リハビリ :△ レクリエーション:◎ 認知症を発症すると何もできなくなってしまうわけではなく、日常生活を送るだけなら問題がないことも多いです。 グループホームには認知症ケア専門スタッフが常駐しています。認知症進行を遅らせる目的で、入居者が専門スタッフの支援を受けながら入居者の能力(残存能力)に合った家事を役割分担して自分たち自身でおこないます。 食事の準備として買い出しから調理、配膳、後片付けまで、そして洗濯をして干すといった作業や掃除も、スタッフの介助を受けながら日常生活を送ります。 グループホームでは、入居者の能力(残存能力)に合った家事を役割分担して自分たち自身でおこなうことになります。 例えば、食事の準備として買い出しから調理、配膳、後片付けまで。また、そして洗濯をして、干すまで…など。そのために必要な支援を、認知症ケアに長けた専門スタッフから受けられるのが、グループホームの大きな特徴です。 グループホームは日中の時間帯は要介護入居者3人に対して1人以上のスタッフを配置する「3:1」基準が設けられています。施設規模によっては、付き添いやリハビリなどの個別対応が難しいので、入居を検討する際は施設に確認しましょう。 認知症ケア 施設内レクリエーションやリハビリのほかに、地域の方との交流を図るための活動の一環として地域のお祭りに参加や協力をしたり、地域の人と一緒に公園掃除などの活動を行う施設も増えてきました。 グループホームとして積み上げてきた認知症ケアの経験という強みを活かし、地域に向けた情報発信などのさまざまな活動が広がっています。 地域の方と交流する「認知症サロン」などを開催して施設外に居場所を作ったり、啓発活動として認知症サポーター養成講座を開いたりするなど、地域の人々との交流に重きを置くところが増えています。 顔の見える関係づくりをすることで地域の人に認知症について理解を深めてもらったり、在宅介護の認知症高齢者への相談支援につなげたり。 こうした活動は認知症ケアの拠点であるグループホームの社会的な価値の向上や、人とのつながりを通じて入所者の暮らしを豊かにする効果が期待できます。 医療体制 グループホームの入居条件として「身体症状が安定し集団生活を送ることに支障のない方」と定義しているように、施設に認知症高齢者専門スタッフは常駐していますが、看護師が常駐していたり、医療体制が整っているところはまだまだ少ないです。 しかし近年、高齢化が進む社会の中で、グループホームの入居者の状況も変わってきています。 現在は看護師の配置が義務付けられていないので、医療ケアが必要な人は入居が厳しい可能性があります。訪問看護ステーションと密に連携したり、提携した医療機関が施設が増えたりもしているので、医療体制について気になることがあれば、施設に直接問い合わせてみましょう。 看取り 超高齢社会でグループホームの入所者も高齢化が進み、「看取りサービス」の需要が増えてきました。 すべてのグループホームで看取りサービス対応しているわけではないので、体制が整っていないグループホームの多くは、医療ケアが必要な場合、提携医療施設や介護施設へ移ってもらう方針を採っています。 介護・医療体制の充実度は施設によってさまざまです。介護保険法の改正が2009年に行われ、看取りサービスに対応できるグループホームには「看取り介護加算」として介護サービスの追加料金を受け取れるようになりました。 看取りサービスに対応しているグループホームは昨今の状況を受け増加傾向にあります。パンフレットに「看取り介護加算」の金額が表記されているかがひとつの手がかりになります。 グループホームの設備 グループホームは一見、普通の民家のようで、家庭に近い雰囲気が特徴ですが、立地にも施設基準が設けられています。 施設内設備としては、ユニットごとに食堂、キッチン、共同リビング、トイレ、洗面設備、浴室、スプリンクラーなどの消防設備など入居者に必要な設備があり、異なるユニットとの共有は認められていません。 入居者の方がリラックスして生活できるように、一居室あたりの最低面積基準も設けられています。このようにグループホーム設立にあたっては一定の基準をクリアする必要があります。 立地 病院や入居型施設の敷地外に位置している利用者の家族や地域住民と交流ができる場所にある 定員 定員は5人以上9人以下1つの事業所に2つの共同生活住居を設けることもできる(ユニットは2つまで) 居室 1居室の定員は原則1人面積は収納設備等を除いて7.43㎡(約4.5帖)以上 共有設備 居室に近接して相互交流ができるリビングや食堂などの設備を設けること台所、トイレ、洗面、浴室は9名を上限とする生活単位(ユニット)毎に区分して配置 グループホームの費用 グループホーム入居を検討する際に必要なのが初期費用と月額費用です。 ここからは、グループホームの入居に必要な費用と、「初期費用」「月額費用」それぞれの内容について詳しく解説していきます。 ...

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【動画でわかる】有料老人ホームとは?費用やサービス内容、特養との違いは

介護施設を探している中で「老人ホームにはいろいろな種類があるんだ。何が違うんだろう?」と疑問を感じることがあるかもしれません。 そこで今回は、名前に「老人ホーム」とつく施設の中でも、「有料老人ホーム」を中心に紹介。よく似ている「特別養護老人ホーム」との違いも見ていきます。 「老人ホームの種類が多すぎて訳がわからない」と思ったら、ぜひ参考にしてみてくださいね。 https://youtu.be/eMgjSeJPT8c 有料老人ホームの種類 有料老人ホームには、以下の3種類があります。 介護付き有料老人ホーム 住宅型有料老人ホーム 健康型有料老人ホーム この3種類の違いを以下にまとめています。 種類 介護付き有料老人ホーム ...

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