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高齢者の就業を促進する取り組みが各地でおこなわれています。 例えば、兵庫県尼崎市では高齢者の生きがい就労事業を実施。企業と働きたい高齢者を結びつけることで高齢者が活躍できる環境を整え、フレイル予防や介護予防に取り組んでいます。 就労することで生きがいを 高齢者就労支援などをおこなう「あをに工房」が、尼崎市の「高齢者生きがい就労事業に係るプロポーザル」に採択され、今月より高齢者の生きがい就労を開始することがわかりました。 この事業は、尼崎市がおこなってきた生きがい就労事業を引き継ぐもの。より効率的な運営と活動地域を広げることで、高齢者の生きがいの創出や社会参加の促進をすることを目的としています。 この事業を請け負うあをに工房は、高齢者施設などで高齢者の就労支援を実施。箱詰めや袋詰めといった梱包作業、古くなった着物ほどきなどの軽作業を請け負い、高齢者に作業を委託しています。 同社を通じて作業を請け負う高齢者は、作業をすることが生きがいや認知症や介護予防にもなります。また、家族や友人などの身近な人以外と交流をすることで、社会とつながるきっかけにもなるそうです。 企業と高齢者を結びつける取り組み 元気な高齢者のなかには「働きたい」と思いつつも、採用する企業が少ないために働けない人が多くいます。 企業としては、高齢者は体力面から長時間働けなかったり新しく技術を習得するのに時間がかかるなどの問題があるため、採用をためらってしまうのです。 そこで、働きたい高齢者と依頼したい仕事のある企業を結びつけるコーディネーターを間にはさむことで、円滑に依頼が進むようになるそう。あをに工房では、高齢者が働きやすい物理的な環境や条件を整備することで働く高齢者を確保し、製品の品質の向上をおこなっています。 また、高齢になっても働き続けることは認知症やフレイル、要介護状態の予防につながるとのこと。「年を取っても働かないといけないのか」と思う人もいるかもしれませんが、生きがいのひとつとして就業を考えるのも良いのかもしれませんね。
2022/05/06
認知症のリスクを上げる要因として、食事や運動などの生活習慣が関連するという研究が数多く報告されています。 今回、それに加えてビクトリア大学が新たに発表した研究によって性格の特性が認知機能の低下に関連することがわかりました。 この研究によると、几帳面で責任感が強い人は軽度認知障害を発症しづらく、精神が不安定でストレスに弱い人は認知機能の低下が起こりやすいことがわかったそうです。 認知機能の低下と性格の関連とは カナダのビクトリア大学が「性格の特性と認知機能の低下に関連がある」という研究結果を発表しました。 この研究では、人間の性格を5つに分ける「ビッグファイブ」という分析方法で研究の対象者の性格特性を割り出し、性格と認知機能の低下リスクの関係を調査しました。 この5つの要素のなかでも認知機能の低下と関連があるとわかったのは、「誠実性」と「神経症的傾向」「外向性」の3つです。 まず、誠実性とは自制心の高さに関わる要素。誠実性の得点が高い人はそうでない人と比べて、軽度認知障害になるリスクが約22%低下しました。 一方で、神経症的傾向の得点が高い人は、そうでない人よりも軽度認知障害のリスクが約12%増加しました。神経症的傾向の得点が高い人は、認知機能を正常に維持できるのが1年以上も短くなるそうです。 神経症的傾向はストレスへの耐性と関係があり、神経症的傾向が高い人は緊張や不安が精神や身体の健康に影響が出やすいのが特徴です。 また、外向性は社交性や活発さに関係する要素。外向性が高いと人との関わりを好む傾向があります。 この外向性については、認知機能の低下と直接的な関連はなかったものの、「誠実性が高い」もしくは「神経症的傾向が低い」人で外向性の得点が高い人は、認知機能を長く正常に維持する傾向がありました。 加えて、神経症的傾向が低くて外向性の得点が高い人は、軽度認知障害の診断を受けた後に認知機能が正常に回復しやすいこともわかりました。 つまり、外向性が高い人は社会的な交流などによって認知機能の改善につながりやすい可能性があるそうです。 性格が行動や習慣を形作る 当然ながら、毎日の行動や習慣は一人ひとりの性格に影響を受けます。そのため、長年の生活習慣が発症リスクに関連する認知症とその人の性格が関連するのは、自然なことなのかもしれません。 認知症や認知機能の低下をチェックするテストはたくさんありますが、今回の研究から性格診断テストも認知症リスクをチェックするものとして活用されるようになる可能性もあります。 今後さらに研究が進めば、認知症リスクが高い性格特性をより詳細にわかるようになるかもしれませんね。
2022/05/06
認知症を発症している高齢者は年々増加しており、これからも増加する見込みです。そのため、認知症の発見をする認知機能検査が注目されていますが、一般的に利用されている検査は時間がかかる点がネックでした。 そこで、アイ・ブレインサイエンス社は簡易的に認知機能を評価できるアプリを開発。その販売を大塚製薬社がおこなうことが明らかになりました。 認知機能検査が3分で? 大塚製薬が、認知機能を簡易的に調べるアプリの販売をおこなうことを発表しました。 これまで一般的におこなわれている認知機能検査は、問診に20分近くかかったり検査を受ける人の心理的負担が大きく、苦痛を受けやすいことが課題。さらに専門知識を持った医師などが問診をする必要がありました。 そのため、検査の簡易化や検査をする人や検査を受ける人の負担を少なくすることが求められていました。 そこで、アイ・ブレインサイエンス社は「アイトラッキング技術」を活用したこのアプリを開発。認知症のスクリーニング検査として日本で初めて薬事承認を取得しているそうです。 アイトラッキング技術とは、視線の動きをアプリが読み込むことで認知機能を評価するものです。 この技術を使うことで、簡単でストレスの少ない認知機能検査を実現。アプリをインストールしたタブレット端末を約3分間見つめるだけで簡単に認知機能の評価ができるようになりました。 検査時間が短くなったことに加えて、この検査では問診が不要に。そのため、人手不足の医療現場の負担の軽減にもなるそうです。 認知機能検査が身近なものに これまで、認知機能の検査を受ける人の多くが認知機能に違和感を感じてから検査を受けていました。 しかし、認知症の進行を抑えるためには、早期からの対策が大切。認知症の発症初期から対策をしておけば、生活環境を大きく変えずに暮らし続けられる可能性もあります。 そこで、今回のアプリのように簡単に認知症の検査が受けられると、認知機能検査を受ける人が増えるかもしれませんね。 ただ、このアプリはあくまで簡易的なもの。従来の認知機能検査を補助するものなので、この検査の結果だけを信じることはできないようです。 今後、さまざまなテクノロジーが開発されて、気軽に本格的な認知症検査ができるようになることに期待ですね。
2022/05/02
2020年の認知症の高齢者は約600万人。年々その数は増えており、2025年には700万人を越え、2060年には1100万人を越えるという予測が出ています。 しかし、このような予測を覆す推計を東京大学が発表。これまで、2043年の認知症患者の数は1000万人近くになると予想されていましたが、今回の予測では465万人にまで減少するという結果になったそうです。 認知症患者の数が減少⁉ 東京大学などの研究グループが60歳以上の認知症患者の人口などについて、将来的な推計を発表しました。 この推計は、60歳の高齢者の健康状態データをバーチャルで再現。半年ごとの発症率を計算して、2043年までの変化を割り出しました。 その結果、2016年の認知症の人の数は510万人となり、国の予想とほとんど同じ数字でしたが、2043年では465万人と2016年時点よりも減少。「長寿化の影響で認知症の人の数が増加する」というこれまでの世界的な常識を覆す結果となりました。 このような結果になった理由としては、学歴や健康状態の向上、人口減少などが考えられるそうです。 今回の結果をふまえて、研究グループは「社会的格差の対策が必要」としています。というのも、これからの認知症予防は、学歴格差や健康格差などさまざまな格差を小さくするための政策が必要であることがこの結果からわかったからです。 常識を覆す推計結果 これまで、認知症の人の数は年々増えていくものという予想が一般的でした。 例えば、厚生省の予測では2040年には認知症の人が800~1000万人まで増加。その医療費の増大が考えられるため、国は認知症の予防に力を入れています。 対して、今回の推計では2043年時点でその半分ほどの人数にとどまる結果に。2016年の人数よりも減少するそうです。 これまでのものとまったく異なる今回の推計が出たことで、国の方針などに変化があるかもしれませんね。
2022/05/02
テレビゲームをスポーツのように競い合う「eスポーツ」。ゲームは若者たちのものと思いがちですが、脳が活性化されて認知機能が高まるという研究もあり、高齢者の参加を促進する取り組みが広まっています。 例えば、NTT東日本は、東北福祉大学と仙台eスポーツ協会と連携して、eスポーツを活用した高齢者のフレイル予防、デジタル格差の解消を目指した実証実験をおこないます。 また、高齢者専用の「シルバーeスポーツジム」が埼玉県に登場。地域の高齢者の集いの場になっているそうです。 「高齢者×eスポーツ」が注目 NTT東日本がおこなうのは、東北福祉大学と仙台eスポーツ協会と連携した共同実証実験。高齢者の健康増進やフレイル予防にeスポーツやデジタル機器が良い効果を与えるのかを検証します。 この実証実験では、高齢者向けのeスポーツ体験会やタブレット端末などのデジタル機器の体験会を開催。それらの体験によって得られたデータを分析して、具体的にフレイル予防・デジタルデバイド解消の効果を測定するそうです。 また、昨年12月には埼玉県さいたま市に55歳以上の人向けのコミュニティカフェ「シルバーeスポーツジム」がオープンしました。 この店内には、複数のゲーム機と座席を用意。1人用が4台、2人用が2台、4人用の大スクリーンが1台設置されており、1人でも友人と一緒でも楽しめるようになっています。 ここで用意されているゲームは、初めてゲームをする人向けのものや中級者以上向けのものも。もちろん、初めての人にはジムのスタッフが丁寧にレクチャーしてくれるそうです。 また、コーヒーやお茶などのドリンクバーのオプションもあるそうです。 ゲームで高齢者が健康に 「若者向け」というイメージが強いeスポーツですが、高齢者の健康増進に効果があるという研究結果もあるそうです。 というのも、身体を動かすスポーツだと高齢者には負担が大きいですが、ゲームであれば激しく身体を動かすことがないので高齢者にうってつけ。ゲームの成績を競い合ったり、協力してゲームを進めるといった人との交流のきっかけにもなるので、フレイル予防の効果も期待されています。 だからといって、やったこともないゲームを始めるのには抵抗がありますよね。そういうときに、「eスポーツジム」などレクチャーしてもらえる環境があると初めてでも挑戦しやすいかもしてません。 「ゲームなんて難しくてできない」と思わずに、新しいことにチャレンジしてみるのも良いのではないでしょうか。
2022/04/22
岡山県のおばあちゃんたちの”お節介”が、海を越えてウクライナまで届こうとしています。 NPO法人真庭あぐりガーデンが「ウクライナ支援お節介プロジェクト」を開始。おばあちゃんたちが作るカット野菜「お節介野菜」の売上金をウクライナ侵攻で苦しむ人たちの支援金として届けるプロジェクトです。 このプロジェクトは今月1日から始まり、来月末まで継続されるそうです。 戦争体験から「何かできんじゃろか」 高齢者福祉事業などを手掛けているNPO法人真庭あぐりガーデンが「ウクライナ支援お節介プロジェクト」をスタート。3年前から販売している「お節介野菜」の売上をウクライナ侵攻で被害を受けた子どもたちやその家族に支援金として届ける取り組みです。 この「お節介野菜」とは、真庭市の高齢者たちが野菜を切ってパッケージした商品。出汁パックもセットになった「みそ汁用」や多彩な野菜がはいった「八宝菜用」など、いろんな料理にあわせた野菜セットを販売しています。 このカット野菜を作っているのは、地元のおばあちゃんたち。平均年齢は82歳で、中には90歳を超えた高齢者も活躍しています。 そうしたおばあちゃんたちの「ようがんばっとるなぁ、ここまでしといたけえ、絵本でも読んじゃれえ」という忙しい子育て世代を応援する気持ちが込められているのが、この「お節介野菜」です。 今回のウクライナ支援プロジェクトのきっかけは、おばあちゃんたちの「何かできんじゃろか」の一言から。おばあちゃんたちのなかには戦争を経験している人も多く、その当時の悲しい体験からこのプロジェクトを立ち上げたそうです。 すでに今月1日からプロジェクトは開始しており、5月末までの「お節介野菜」シリーズのすべての売上を支援金としてウクライナに届ける予定です。 90歳を超えても元気な秘訣は 真庭市では過疎化が急激に進んでおり、孤立する高齢者が増加しているそう。そのため、「お節介野菜」の製造という社会参加によって認知症予防や健康増進を促進する事業をおこなっています。 驚きなのが、「お節介野菜」を作るおばあちゃんのなかには90歳を超えた人もいること。その年齢になっても働いて人と交流したり手先を動かしているからこそ元気でいられるのかもしれませんね。 そうした元気なおばあちゃんたちの”お節介”が、ウクライナの子どもたちの支援につながると良いですね。
2022/04/22
厚生労働省の調査によると、介護が必要になった原因のトップは認知症で全体の2割を占めています。 そのため、多くの人にとって認知症は避けたいもののひとつとなっていますが、その発症のメカニズムなどは明らかになっていません。 そこで、順天堂大学が筋肉や肥満と認知症の関係について調査。その結果、筋肉量が減っている「サルコペニア」で肥満を併発している高齢者は、認知症の発症リスクが高いことがわかりました。 サルコペニア+肥満で認知症に? 順天堂大学は「サルコペニア肥満」の高齢者は、軽度認知障害と認知症のリスクが高いという研究結果を発表しました。 サルコペニア肥満とは、筋肉量が減っている状態「サルコペニア」と肥満を合併した状態のこと。サルコペニアの状況は握力の強さで測ることができ、男性は28キログラム、女性は18キログラム未満だとサルコペニアと診断されます。 また、軽度認知機能障害とは認知症の前段階の状態のこと。物忘れなどの症状があるものの、日常生活への影響は小さく記憶力以外の認知機能には問題がないケースが大半です。 今回の研究では、東京都文京区に住む高齢者約1600人が対象。対象者を「正常」「サルコペニア」「肥満」「サルコペニア肥満」の4グループに分けて、それぞれの身体状況と軽度認知機能障害・認知症の発症リスクの関連を調査しました。 その結果、軽度認知機能障害・認知症のどちらのリスクも、サルコペニア肥満が最も高いことがわかりました。具体的には、サルコペニア肥満の人の軽度認知機能障害リスクは正常の人の約2倍、認知症リスクは約6倍に増えることが明らかになりました。 また、サルコペニアだけでも認知症リスクが3倍以上になることも判明。筋力と認知症の発症リスクに関係があることがわかりました。 外出自粛は大切だけど…。 コロナ禍が長引き、外出自粛生活に慣れてしまった人もいるのではないでしょうか。 外出自粛は感染予防には大切なことですが、外出が減ることで運動量が減ってしまい、筋肉が衰えてしまうリスクもあります。 加えて、自宅でテレビを見ながらじっとしていると、ついついお菓子やおせんべいなどに手が伸びがちに。その結果、筋肉量が減って体脂肪が増えてしまうことも…。 何気ない習慣ですが、毎日積み重なるとそれが認知症リスクを高めることになりかねません。 身体の健康と脳の健康を維持し続けるためにも、ぜひ積極的に運動を取り入れていきたいですね。
2022/04/19
認知機能や記憶力の低下は多くの人が気になるもの。介護予防に脳トレをしている人もいるのではないでしょうか。 そこで、今月16日に脳科学者が監修した脳トレパズルが登場。「やさしすぎず、難しすぎない」脳トレを少しずつでもおこなうことで、脳が活性化して記憶力を鍛えられるそうです。 パズルを解いて記憶力アップ? 世界文化社が今月16日に発売したのは、脳科学者の篠原菊紀氏が監修した『脳が若返る かなカナ文字パズル』です。 これは、ひらがなとカタカナのみのパズルで構成。「ちょっと考えないと解けない」難しさの問題が掲載されています。 例えば、文字の並びかえて単語を見つけるものや、穴あきしりとり、言葉の穴うめ、名前さがしなどさまざまなタイプのパズルが集められています。 そのため、得意なパターンの問題から解いたり、反対に苦手なタイプの問題に挑戦してみたりと得意不得意やそのときの気分に合わせた使い方もできます。 また、このパズルは言葉を探すことで脳を活性化させる効果があります。 例えば、「ぶんこた」という文字から「たんこぶ」に並びかえる「文字の並べかえ」という問題では、頭の中でひらがなの並びかえを考えながら、記憶から意味の通る単語(たんこぶ)を見つけ出したときに脳全体が活性化するそうです。 つまり、言葉を探すことは記憶を探りながら脳に操作を加えることだそう。短時間の記憶をしながら並行して作業する力である「ワーキングメモリ」が鍛えられます。 まずは簡単にできるものから 年を重ねると、認知機能の低下が気になる人も多いかもしれません。 ただ、ひとくちに「認知機能」と言っても中身はさまざま。記憶、理解、学習、思考、言語など、いろんな脳の機能があるため、どの機能をどのように鍛えれば良いのかわからなくなってしまいますよね。 そこで、こういったパズルブックを活用すると、手軽に脳トレができて良いかもしれません。 ちなみに、このパズルはすべて解かなくても大丈夫ですし、やりたい問題に取り組むだけでも効果があるそうです。 もし、「何から始めれば良いかわからない」ということであれば、まずは気軽にできるものから手を付けてみるのも良いのではないでしょうか。
2022/04/19
「デイサービス」というと、どんな介護サービスを受けられるイメージがあるでしょうか。 食事や入浴といった身の回りの介助を受けたり、歌や体操、簡単な脳トレクイズをするイメージを持っている人もいるかもしれません。 そんなイメージを覆すデイサービスが群馬県前橋市にあります。 その名も「こぐれ学園」。黒板を学習机で囲む様子は学校そのもので、『古事記』『源氏物語』の原文を読むという大学レベルの講義をおこないます。 こうした授業を受ける利用者の約7割は認知症の人で、この学園に通うことで認知症の症状が軽くなったという人もいるそうです。 大学レベルの授業をデイサービスで⁉ 前橋市にある「こぐれ学園」は、学校形式のデイサービスです。 このデイサービスの特徴は、本格的な授業を受けられること。源氏物語や古事記といった古典を原文で学んだり、音楽や美術といった実技科目を学ぶこともあります。 このデイサービスで授業をしているのは、地域に暮らしている専門家。大学の名誉教授など各分野の深い知識を持った人材が講師を務めているそうです。 この授業は1コマ60分。認知症の人は集中力が続かないと一般的には言われていますが、この学園では、多くの利用者が60分間集中して授業を受けているとのことです。 というのも、建物を学校の教室のようにすることで、かつて学校に通っていたことを思い出し、脳が活性化するため。認知症の人はついさっきのことは忘れてしまうことが多いですが昔のことはしっかり覚えているため、「学校」という空間がかつての記憶を刺激して脳が活性化して集中できるようになると考えられています。 このように授業を受けることで脳が刺激を与えることで、認知症の症状が緩和されたケースもあるそうです。 例えば、認知症になってから10年間笑顔を見せたことのなかった男性が、デイサービスから帰ったときに笑顔で「ただいま」と家族に言えるようになったり、重度の認知症で歯ブラシの使い方がわからなかったのに、このデイサービスに通って自分で歯磨きをできるようになった人もいるそうです。 昔の記憶を呼び起こしていきいきと活躍 デイサービスで脳トレというと、小学生レベルの簡単な計算問題や漢字クイズといったイメージがありますが、このデイサービスでは大学レベルの本格的な授業をおこないます。 その授業をする講師のなかには、自身も認知症を抱えている人もいるとのこと。40年にわたって高校の数学教師をやっていたことからデイサービスでの数学講師を依頼したところ、認知症であることがまったくわからないほど堂々と授業をしているそうです。 このように、認知症になると何もできなくなると思ってしまいがちですが、かつて得意だったことや好きだったことの記憶を活用することで、認知症の人もいきいきと暮らせるということがこのデイサービスの取り組みからわかりますね。
2022/04/12
現在、認知症の人は国内だけでも約500万人います。2025年には700万人を超えるという予測もあるほど、日本での認知症患者の数は増加の一途をたどっています。 そのため、認知症の治療法や認知機能を向上させる方法への注目が集まっており、治療薬はもちろん、薬を使わない治療の研究も盛んにおこなわれています。 そのひとつが音楽療法。音楽を聴いたり歌を歌うことで脳に刺激を与えて認知機能を向上させるとされています。 そのなかでも今回、東京都立産業技術大学院大学などが「作曲をすることの認知機能への影響について」の研究を開始しました。 作曲が認知機能に効果がある? 東京都立産業技術大学院大学とAmadeus Code社が、作曲の認知機能への効果についての検証プロジェクト「音会(おとかい)」をおこなうことを明らかにしました。 Amadeus Code社は、自動作曲AIを使って音楽を生成するアプリをしている企業。今回は、同社の音楽生成アプリを使って高齢者の認知機能に作曲がどのような影響を与えるのかを確かめるそうです。 具体的には、まずは講師から与えられた写真や俳句などの「お題」から連想する言葉をソフトウェアに入力。その言葉からアプリが自動作曲をするので、最もイメージに近い曲を選びます。 そして、音会の当日は少人数のグループワークをおこない、自分の作品を発表。その曲を選んだ理由を説明したり講師から曲やその曲のイメージについて講評を受けます。 こうしてグループメンバー同士での感想を共有することで、コミュニケーション能力が身に付いたり新しいものの見方を身に着けるそうです。 このプログラムを受ける前後で認知機能の検査をおこない、週1回の音会を通じてどのように認知機能が変化するのかを検証するそうです。 AIで簡単に作曲ができる時代に 介護施設などで音楽療法をおこなっていることはありますが、そのほとんどは歌ったり楽器を弾いたりするもの。作曲するプログラムはとても珍しいです。 というのも、作曲は経験がない人にとってとてもハードルが高いから。その問題を自動作曲AIアプリでクリアすることで、まったく経験のない人も気軽にプログラムに参加できるのが良いですね。 「認知症予防」というと、簡単なクイズを解いたりと人によっては簡単に感じてしまうことも。そこで今回のプログラムの形であれば、趣味のひとつとして認知症予防を楽しめるかもしれないですね。
2022/04/11
介護施設への入居について、地域に特化した専門相談員が電話・WEB・対面などさまざまな方法でアドバイス。東証プライム上場の鎌倉新書の100%子会社である株式会社エイジプラスが運営する信頼のサービスです。