先日、実家で一人暮らしをしている母が保護されたと警察から連絡がありました。様子がおかしいと思って検査をしたら、認知症ということがわかりました。これ以上、一人暮らしは難しいと思うのですが、同居は厳しい状況です。
かかりつけ医に勧められて、介護認定の申請をしたのですが、結果が出るまで2ヵ月かかると言われてしまって…。
介護認定の結果が出る前に介護サービスを使うことってできないんですよね?
高齢化の影響で介護認定の結果が出るのが遅くなっている地域もあるんですよね…。
介護認定の結果が出る前に介護サービスを利用できますよ!それには「暫定ケアプラン」が必要です。
暫定ケアプランとは、仮のケアプランのこと。見込みの介護度に基づいてケアプランを作成することで、介護サービスを利用できるようになるんです。
そういえば、介護認定の結果が出る前に介護サービスを利用したら、費用は全額負担になってしまうんですか?
介護保険が適用されないと、1割負担にはならないですよね?
いえいえ、介護保険は申請時に遡って適用できるんです。なので、介護認定の結果が出る前に利用した介護サービスも、介護保険が適用されて費用を1割負担に抑えられるんです。
それならよかった!
それで、その暫定ケアプランってどうやって作ってもらえば良いんでしょうか?
暫定ケアプランは、既に担当ケアマネジャーさんが付いている場合はケアマネジャーさんに。初めての介護認定の場合はお住まいの役所や地域包括支援センターに相談すれば、暫定ケアプランを作ってくれますよ。
暫定ケアプランは、介護認定の結果が出る前に介護サービスを利用できるので便利な反面、注意が必要なこともあります。
注意が必要なこと?どんなことですか?
想定していた介護度よりも低い結果になった場合、一部が全額自己負担になる可能性があるということです。
全額自己負担ですか!?どういうことですか?
介護保険には利用限度額が決められており、所得に応じて自己負担割合も定められています。この利用限度額を超えた分は、全額自己負担になります。
以下の表は、在宅介護サービスの利用限度額と自己負担分です。
利用限度額 | 1割負担 | 2割負担 | 3割負担 | |
---|---|---|---|---|
要支援1 | 5万320円 | 5032円 | 1万64円 | 1万5096円 |
要支援2 | 10万5310円 | 1万531円 | 2万1062円 | 3万1593円 |
要介護1 | 16万7650円 | 1万6765円 | 3万3530円 | 5万295円 |
要介護2 | 19万7050円 | 1万9705円 | 3万9410円 | 5万9115円 |
要介護3 | 27万480円 | 2万7048円 | 5万4096円 | 8万1144円 |
要介護4 | 30万9380円 | 3万938円 | 6万1876円 | 9万2814円 |
要介護5 | 36万2170円 | 3万6217円 | 7万2434円 | 10万8651円 |
参考:「介護報酬の算定構造」(厚生労働省)
例えば、要介護2と想定して暫定ケアプランを作ったのに、要介護1の結果になってしまった場合、要介護2の上限額まで介護サービスを利用していたら、超えた分の費用は全額自己負担になってしまいます。
えっ、じゃあこの表に基づいて考えると、3万円近く追加で支払わないといけないということですか?
おっしゃる通りです。
想定していた要介護度と異なる結果になることはあり得ますから、暫定ケアプランで介護サービスを利用するときには頭に入れておいてくださいね。
介護認定の結果が思っていたよりも低くなってしまったらどうしよう…。予想よりも要介護度が低かったら、お金の負担が大幅に増えてしまう可能性があるんですよね?
その通りです。なので、適切な要介護度と判定が出るために、認定調査には同席してください。
認定調査って、母の状態を調査するものでしたっけ。役所で説明を受けた記憶があります。
私が遠方で暮らしているので同席するつもりはなかったのですが、同席は必要なんですか?
はい。というのも、同席しないと実際の要介護度よりも低い結果になる可能性が高いんです。
えっ!そうなんですか!?
認定調査では、認定調査員がお母様の心身の状態を聞き取り調査をします。「今日は何日ですか?」「今日の朝食は何でしたか?」といった認知機能に関わる質問から、立ち上がりや歩行などの身体機能に関わる質問がされます。
こういった質問に対して、理解している風に嘘をついたり、普段はできていないことも「できます」と回答してしまうご高齢者が多いんです。初対面の認定調査員に、できないことを話すことに抵抗があるのだと思います。
母も、話をよくわかっていないのにわかったふりをすることがあります。母も認定調査で見栄を張って「できます」と言ってしまうような気がします。
できないことを「できる」と言ってしまうと、要介護度は低く算出されてしまいます。となると、介護保険が適用される金額が減るので、古賀さんの負担が大きくなってしまうことに…。
なので、古賀さんが同席して普段のお母様の様子や、介護をするうえで困っていることを伝えましょう。
そう考えると、確かに私が同席しないと適切な要介護度が出ないと思います。なんとか時間を作って認定調査には同席するようにします。
もし、思っていたよりも要介護度が低い結果になってしまったらどうしたら良いんでしょう?
介護サービスがあまり使えないのは本当に困るのですが…。
介護認定の結果に納得がいかないときは、「審査請求(不服申立て)」と「区分変更」という2つの方法で、介護認定のやり直しができます。
ただ、審査請求の方は、認定結果が再度出るまでに数ヵ月かかるので、ほとんどの人は区分変更をしていますね。
区分変更の手続きはどうすれば良いんですか?
まずは、役所や地域包括支援センターで区分変更申請をしましょう。その後の流れは介護認定の流れと同じです。
認定調査を再度おこない、その結果や専門家の意見を元に要介護度を判定します。
また同じように認定調査をするんですね。
やはり、この認定調査でしっかり実情を伝えることが大切です。また、合わせて大切なのが医師の意見書です。
介護認定にも区分変更にも医師の意見書は必要です。特に要介護度に納得が行かずに区分変更をするときは、想定と違う結果になってしまった旨を医師に伝えましょう。
意見書の内容を充実させて、実情に合わせた要介護度が出るように計らってくれるでしょう。
医師の意見書も要介護度の判断には大切なんですね。
とりあえず、早く介護サービスが利用できるように、役所に相談してみます!
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