母が誤嚥性肺炎で入院しています。発熱を繰り返してかなり入院期間が長引いてしまったせいか、どんどん体力が落ちてしまって…。入院前は問題なく一人暮らしをしていたのに、今は歩くこともできなくなり、何をするにも介助が必要になってしまいました。
そのため要介護認定を受けたところ、要介護5に。しかし、このところ母の体調が落ち着いており、もう少ししたら退院しないといけなくて…。母が回復したのは良いんですが、退院後の生活をどうするか悩んでいます。
私は仕事をしているので、母を引き取って自宅で介護するのは無理だと思っています。が、自宅で介護するのが良いのか、施設に入れるのが良いのか、まったくわからず…。一般的に要介護5だと在宅介護は無理なのでしょうか?
うーん。要介護5の人を在宅介護するのは無理ではありませんが、かなり難しいというのが正直なところです。
要介護5の人だと、身の回りのことほとんどすべてに介助が必要な状態だと思います。そのため、ご家族だけで介護するのは負担が大きすぎて難しいでしょう。
ただ、要介護5のご家族を在宅介護しているご家庭もあります。その多くは、複数の在宅介護サービスを駆使してできるだけ、ご家族の負担を減らしているんです。
在宅介護サービスですか…。介護のことはよくわからないのですが、どんなサービスなんですか?
主な在宅介護サービスには、以下のようなものがあります。
訪問介護はヘルパーさんがご自宅に訪問して、掃除や調理といった家事、排泄・入浴・食事の介助をおこなうサービスです。
デイサービスは、日中に介護施設に通うことで排泄・入浴・食事の介助を受けられるサービス。昼食も提供され、デイサービスに行っている時間帯はご家族が自分の時間を自由に使えます。
日中の間だけでも母を介護施設に任せられるのはとても助かりますね。昼間は仕事で家を空けてしまいますし。
その次のショートステイは、1日から介護施設に宿泊できるサービス。宿泊中は排泄・入浴・食事介助やレクリエーションなどが提供されます。最大30日連続で宿泊できるので、ご家族の”介護休み”や老人ホームに入居するための順番待ちの間に利用されることが多いです。
最後の小規模多機能型居宅介護は、ここまでにお伝えした訪問介護・デイサービス・ショートステイがひとつになったサービス。同じ介護施設で複数のサービスを受けられるので、「デイサービスの後にそのままショートステイ」など、柔軟な利用が可能です。また、緊急時に訪問介護を利用するといった対応もできます。
へぇ!それは便利ですね!小規模多機能型居宅介護を利用すれば、母を自宅に引き取って介護するのもありかも…。
在宅介護サービスを活用してご自宅でお母様を介護する方法をお伝えしましたが、もちろん老人ホームに入居するのも選択肢のひとつです。
やっぱり老人ホームなのかな…。老人ホームについてもまったく知識がなくて、施設に入れるべきか悩んでいるんですよね。
要介護5は、もっとも介護が必要な状態だと聞きました。そんな状態の母を受け入れてくれる老人ホームはあるんでしょうか?
もちろんです!以下の老人ホームでしたら、要介護5の人も受け入れていますよ。
有料老人ホームには、「介護付き有料老人ホーム」と「住宅型有料老人ホーム」の2種類があります。どちらも要介護5の人を受け入れていますが、特に介護体制が充実しているのは介護付き有料老人ホームの方です。
介護付き有料老人ホームには、24時間介護スタッフが常駐し、看護師は少なくとも日中帯に常駐しています。また、介護サービスを何度使っても介護サービス費が上がらない定額制のため、おむつ交換など夜間にも介助が必要な人や頻繁に介護が必要な人にぴったりの施設です。
特養も24時間介護スタッフが、日中に看護師が常駐している施設。介護付き有料老人ホームと異なるのは、特養は公的施設のため費用が安い点です。
そのため、ほとんどの特養で入居の順番待ちが発生。施設によっては入居まで数年待つこともあるほど人気の施設なんです。
何年も待つんですか!だったら、母の退院までに間に合わないかな…。
老健は、医師が常駐しているため医療面のケアも可能な施設。主な目的はリハビリによる在宅復帰で、3~6ヵ月ごとに入所を継続するかの判定がおこなわれるのが特徴です。自宅に戻っても問題ないと判断されたら、退去しないといけません。
えっ!長期的に入所できないんですか?それは困ります。
ただ、病院から退院後、移り住む施設が見つからない場合に老健に一時的に入所して、その間に施設探しをするのもひとつの方法です。
入院したままだと病院から退院を迫られて焦ってしまいますよね。とりあえず老健に入所して、その期間に落ち着いて他の老人ホーム探しをするケースも珍しくないんですよ。
なるほど、そういうやり方もあるんですね。すぐに老人ホームが見つからなかったらやってみようかな。
介護医療院は、医療ケアと介護を同時に受けられる施設。点滴や経管栄養、在宅酸素など、日常的に医療ケアが必要な方が多く入所しています。
もしお母様に医療ケアが必要な場合、有力な候補のひとつとなるでしょう。
もし、母を老人ホームに入れるとなると、お金がすごくかかりますよね。そんなにお金をかけられるわけではないので、そこがネックで…。
確かに在宅介護をするよりも、老人ホームに入居する方がお金はかかります。ただ、費用を抑えて老人ホームに入居する方法はありますので、それをお伝えしますね。
老人ホームの費用を抑える方法のひとつめは、安い老人ホームに入ることです。
と言っても、安い老人ホームってどうやって探すんですか?見分けられるものでしょうか?
絶対ではありませんが、安い老人ホームには以下のような特徴があります。この特徴の施設を探すと、費用を抑えられるかもしれません。
うーん、あまり私の家から遠い地方だと困ります。何かあったときに、私がすぐに駆けつけられないのはちょっと…。
おっしゃる通り、施設探しをするうえでゆずれないポイントはあると思います。そのため、どうしてもゆずれないポイントと安い施設の条件を比べて、”ちょうど良い”施設を探してくださいね。
老人ホームの費用を抑えるためには、安い施設に入居することとあわせて減免制度も活用しましょう。
介護費用の減免制度には、以下の2つがあります。
高額介護サービス費とは、毎月の介護サービス費に上限額を設け、それ以上を支払ったときに超過分が払い戻される制度です。
この上限額は、ご利用者本人や世帯の所得によって次の表のように定められています。
区分 | 負担の上限(月額) |
---|---|
生活保護を受給している方など | 15,000円(個人) |
前年の「公的年金等収入額」と「その他の合計所得金額」の合計が年間80万円以下 | 24,600円(世帯) 15,000円(個人※1) |
世帯の全員が市区町村民税を課税されていない方 | 24,600円(世帯) |
市区町村税課税~課税所得380万円(年収約770万円)未満 | 44,400円(世帯) |
課税所得380万円(年収約770万円)~課税所得690万円(年収約1160万円)未満 | 93,000円(世帯) |
課税所得690万円(年収約1160万円)以上 | 140,100円(世帯) |
高額介護合算療養費は、介護サービス費と医療保険の自己負担額の合計が、上限を超えたときに超過分が戻ってくる制度です。
この上限額も所得に応じて、次のように設定されています。
70歳以上 | 70歳未満 | |
---|---|---|
年収約1160万円以上 | 212万円 | 212万円 |
年収770万~1160万円 | 141万円 | 141万円 |
年収370万~770万円 | 67万円 | 67万円 |
年収156万~370万円 | 56万円 | 60万円 |
市町村民税世帯非課税 | 31万円 | 34万円 |
市町村民税世帯非課税 (所得が一定以下) | 19万円 | 34万円 |
高額介護サービス費も高額介護合算療養費も、負担の上限額が所得によって異なるんですね。事前に確認しておかないと…。
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