もう限界です。母の認知症がどんどんひどくなってきて、妻も私も疲れ切っています。
以前からお風呂とトイレの介助が必要だったのですが、最近になって嫌がるようになりました。それも、大声で「助けて!」と叫んで抵抗するんです。気持ちが高ぶっていると手が出るときもあります。
それに、夜中に起き出してきて家から出ようとするので、毎晩、私や妻が母をなだめないといけなくて…。ゆっくり眠れないので、いつも寝不足なんです。
それは本当に大変な状況ですね…。ちなみに、介護サービスを利用していますか?
いえ、していません。以前、利用した訪問ヘルパーさんと母が折り合いが悪くて、訪問介護を使うのを止めてからは、何もサービスを利用していません。
お母様の状況を聞いていると、ご家族だけの介護はもう厳しいと思います。というのも、認知症ケアはかなり難しく、ご家族の負担がとても大きいんです。
ですので、できれば介護サービスを利用することをおすすめします。
そうなんですよね…。私と妻だけでは、介護を続けるのは難しいと思います。でも、どのサービスを使えば良いんでしょうか?
介護サービスは、在宅介護サービスと施設介護サービスに分けられます。それぞれお話ししますね。
お母様にぜひ使っていただきたいのは、次の在宅介護サービスです。
デイサービスでは、日中の間、介護施設に通って介護サービスを受けられます。具体的には、食事、入浴、レクリエーションなどを提供しています。
もちろん、必要であれば食事介助、入浴介助、排泄介助も受けられます。
デイサービスって聞いたことがあります。お風呂やトイレの介助も任せられるんですね!
その次のショートステイは、1日から介護施設に宿泊できるサービス。もちろん、宿泊している間の食事や入浴、レクリエーションなども提供しています。
最大30日連続で宿泊できることもあり、ご家族のリフレッシュや介護施設に入るまでの順番待ちの間に利用されることもあります。
在宅介護ではなく、施設入居を検討するのもひとつの手です。むしろ、小泉さんと奥様が限界を迎える前に、早めに検討することをおすすめします。
介護施設か…。いろんな種類がありますよね?よくわかっていないんですよね。
はい。介護施設にはたくさんの種類があります。認知症の方だったら、以下の施設がおすすめです。
特別養護老人ホームは聞いたことがあります。でも、詳しくは知らないです。
そうでしたか!特別養護老人ホームは、要介護認定3以上の方が入居できる施設。介護が必要な方のための施設で、「終の棲家」として入居される方も多いです。
ただ、公的施設ということもあって料金が安いので、入居の順番を待たないといけないことがほとんどです。なかには数年待つケースもあるようです。
人気なんですね…。ただ、うちの母は要介護2なので入居できないですね。
その次のグループホームというのは?
グループホームは、認知症の方向けの施設です。「ユニット」と呼ばれる最大9名の少人数のグループで生活をするのが特徴。掃除や料理などをご入居者が協力しながらおこなっています。
もし、お母様がアットホームな施設が合いそうであれば、グループホームがおすすめです。
アットホームなところか…。母は人の好き嫌いがはっきりしているので、合わない人がいたらなじめなさそうです。
でしたら、介護付き有料老人ホームも選択肢のひとつです。比較的、大規模な施設が多く、合わない人がいたらフロアを変えるなどの対応もしてもらえるかもしれません。
また、介護付き有料老人ホームも看取りなどの対応ができる施設ですので、最期までお母様を任せたい場合はおすすめです。
介護サービスを利用すれば、私たちの負担が減りそうで安心しました。
ただ、在宅介護サービスを使うにしても、介護施設に入居するにしても、しばらくは私たちが介護をしないといけませんよね。母の状態がこのままだと、どちらにしろ気が休まらない気がして…。
うーん。もしかしたら、お母様への対応を変えることで、認知症の症状が緩和するかもしれません。
えっ、私たちの対応を変えるだけで、症状が緩和するんですか?
認知症を進行させる原因のひとつにストレスがあります。認知症の方は、認知機能が低下することで不安を感じていることが多いんです。その不安感が和らぐことで、症状が緩和すると言われています。
へぇ!そうなんですね。具体的にはどうしたら良いんでしょう?
では、詳しくお話ししていきますね。
認知症の方は認知機能の低下や、加齢によって耳が遠くなっていることがほとんどです。なので、以下のようなことに気をつけてコミュニケーションを取りましょう。
特に気をつけていただきたいのが、「話を否定しない」です。
認知症の方は、症状の影響で事実と異なる話をしたり、何度も同じ話をしたりします。でも、それに対して「それは違うよ」「さっきも言ったでしょ」と、認知症の方を否定するのは禁物なんです。
そうなんですか!?
毎晩、母が「仕事に行かなきゃ」と言って出かけようとするので、「もう仕事はしていないでしょ!」と止めていたのですが…。いけないことだったんですね。
おそらく、お母様の中では仕事に行っているのが事実です。なので、それを否定してしまうと、混乱して不安になってしまうんですね。
なので、「仕事は今日休みだよ」「まだ仕事の時間には早いから、もう一度寝よう」などの声掛けをすると、納得してもらえるかもしれません。
認知症の方とのコミュニケーションは、その方の”世界観”に合わせるのが基本。事実と異なっていても否定をせず、話を合わせていると症状が穏やかになっていくと思いますよ。
認知症の方に言ってはいけない言葉については、以前のご質問でも詳しくお話ししています。参考にしてください。
今の状況が良くなりそうで良かったです。このままだと、私も妻もどうにかなりそうだったので…。
認知症の方の介護は大変ですよね。我慢の限界を超える前に、負担を減らす工夫をしていきましょう!
限界を超えてしまうと、「介護うつ」になってしまうこともあるので…。
介護うつですか?
はい。介護うつは介護が原因で起こるうつのことです。介護によって心身に大きな負担がかかり続けていると、発症してしまうことがあります。
長期的に食欲や気力がなくなっていると、危険なサイン。趣味や好きなことを楽しめなかったり、気分が晴れない状態が続いている場合、介護うつの可能性が高いです。
そうした状態になる前に、ショートステイを使うのもおすすめです。まとめて数日間ショートステイを利用して、ゆっくり休む時間を作りましょう。
介護サービスには、そういう使い方もあるんですね。私や妻が限界を迎える前に、介護サービスを活用していきたいと思います。
介護施設への入居について、地域に特化した専門相談員が電話・WEB・対面などさまざまな方法でアドバイス。東証プライム上場の鎌倉新書の100%子会社である株式会社エイジプラスが運営する信頼のサービスです。